IQ / ∞ | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。

$5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

元フュージョンコアのIQ、2009年5月27日発売の2ndアルバム「∞」。

DEV LARGEがやっていたEL DORADOレーベルは、SUIKEN、ランチ、BIG-Oなどの強力な面子を中心とした、非常に内容の濃い12インチをリリースする良レーベルだった。初期の集大成「EL DORADO THROW DOWN」は、オリジナルVer.もFORCE OF NATUREのリミックスもサイコーな出来栄えで、何度も針を落とした愛聴盤だったコトは強く記憶に残っている。

そんなEL DORADOも後期になると陰りが見え始めた。その原因の一旦はフュージョンコアのリリース辺りからだったと俺は思っている。凡庸な声、デリヴァリーの少ないフロウ、高校生レベルのライミング、この2MCが何故にEL DORADOからリリースできるのか当時から全く理解出来ず、その後に続くRICEなんかも含めて、進化するシーンに完璧に付いて行けてないレーベルになってしまったという印象だ。

そんなフュージョンコアのIQの作品を好意的に聴くことなんてなかったので、数年前に出た1stアルバムは完全にスルーしていた。今回の2ndも俺的にはかなりチャレンジ盤。サウンドを手掛けるI-DeA、DJ WATARAI、DJ KENT、KASHI DA HANDSOME、マイクゲストのMACCHO、Mummy-D、GOCCI、Keyco、ANTY the 紅乃壱、KASHI DA HANDSOME、これらの面子に釣られて聴いてみたのだ。

5曲目「ハナウタ」は、DJ KENTにしてはストレートなピアノを使ったなぁ。Keycoの歌うヴァースはかなり流麗で素晴らしいがIQのラップは単調でドンくさい。あ、これは最近チャートで流行りの、歌がメインでラップがオマケという手法に乗っ取った曲だ。確かにIQのラップは童子兄さんバリにオマケ感が強く、良く言えば歌の邪魔をしない、刺し身のツマ的な存在ってトコか。

6曲目「KARUMA」は、旧友MACCHOが参加。そういやオジロの1stマキシで、IQとリップ加入前のSUが参加してたポッセカットがあったなぁ…。懐かしい。で、この曲は普通すぎてスルー。7曲目「RUNNIN'」は、かつてのレーベルメイトKASHI DA HANDSOMEがマイクと音で援護射撃。いやしかし、彼の作るトラックはMAKI THE MAGICに通じるようなネタ感の強さがホント打点高いわ。ラップも、ドラムと同じリズムでフロウするKASHI流のトラックへのアプローチがマジ良いね。主役のIQは全く形無し。

11曲目「同期 de 桜」はMr. PowとDJ ANAを迎えた、オリジナル・フュージョンコアでの曲。解散して正解だったと誰もが納得できる曲だ。12曲目「黄金の男」は、水戸の重鎮GOCCIが参加。これは、カントリーっぽいギターが哀愁感を醸し出すDJ KENTのトラックが凄く良い。IQのラップもアルバム中で一番マシ…だと思う。GOCCIはいつも通りだが普段から地力が高いので問題ナシ。フックもカッコ良いし、アルバム終盤でやっとまともな曲に出会えた。

全14曲。
さすがEL DORADOブランドを地に墜とした張本人だけあるといったところか。これゲストがいなかったらどうなってたんだろう。前回レビューしたDJ TOSHIと同じくこれもユニヴァーサルからのリリース。メジャーレコード会社でここまで寛容なのもスゴいね。

ゲストに助けられてもマイク2本、いや、2000VOLT。