拉致問題の解決を訴える被害者の家族会などによる「国民大集会」が25日、都内で開催される。今年で12年目。民主党政権になっても動かない拉致問題。国民の関心が薄れるのを心配する家族もいるが、集会には数え切れない人が集まってくれる。金(キム)賢姫(ヒョンヒ)元工作員による横田めぐみさん=拉致当時(13)=に「会ったことがある」との新証言も加わった。解決の糸口にと家族は金元工作員訪日に望みをつなぐ。めぐみさんの両親、滋さん(77)、早紀江さん(74)夫妻に思いを聞いた。(桜井紀雄)

 ■見えなかった部分

 「これまで全く見えなかった部分」。早紀江さんは、大韓航空機爆破犯の金元工作員の新証言にそう期待をふくらませる。

 夫妻が政府から新証言を説明されたのは今年に入ってから。政府職員から新証言について書かれた韓国の雑誌の日本語訳を手渡された。滋さんは「日本語訳を見せられ、それに沿って説明された。それだけだった」。

 金元工作員は田口八重子さん=同(22)、同僚の金淑姫(スクヒ)工作員がめぐみさんとの組み合わせで、1981年前後に同じ地区でそれぞれ暮らした。金元工作員はめぐみさんに会った事実を「両親に直接お話ししたい」との意向を表明。政府が日本招聘(しょうへい)に向け、韓国政府と交渉を進めている。

 「私たちは生きていると信じて動いているが、どう思いますか」。早紀江さんは金元工作員に会えれば、まずそう尋ねてみたいという。めぐみさんがどんなときに泣いて、どんなときに笑って、どんな歌を歌っていたのかも聞きたい。

 一方で、「そんなことを言っても大丈夫かと心配。大事な方だから」とためらいもある。新事実を告白した金元工作員、行方が知れない淑姫工作員の立場を気にかけているためだ。

■「泳いでいるよう」

 めぐみさんとともに気がかりなのが孫のヘギョンさん(22)の存在だ。さまざまな関係者から第三国での面会を打診され、昨年末にも衆院拉致問題特別委の議員から意向を確認された。

 「あの子が利用されるとかわいそう。個人的な喜びのためだけに拉致問題に取り組んできたんじゃない」。夫妻は日本以外での面会をきっぱり断った。

 情報に振り回されてもきた。政府に問い合わせても「新しいことはない」との回答で、それ以上何も聞けなかった。

 2人とも2年ほど前から急に疲れやすくなった。「ふわあと静かになりたい」と思うこともある。民主党政権になって7カ月。目立った動きもない。

 「政治とカネの問題でいろんなことがありすぎた。拉致も置いていかれちゃう」と早紀江さんは不安を募らせる。「民主党の若い人たちはおとなしい。一生懸命、拉致問題を言ってくれた人も何も言わなくなった」との不満もあるが、だからこそ、「こちらから動かないと。講演も無理してでも行くんです」。心強いのは、「周囲に国民の方々が大勢いてくださる」ことだ。

 「何にも分からない中で泳いでいるような感じ」。夫妻はこれまでの拉致問題への取り組みをそう表現した。「どうしたらいいの。いつも誰に聞いたらいいんだろうと思う」。

 知れば知るほど北朝鮮と金正日政権の暗部は深まるばかりだが、早紀江さんはこう言う。

 「どこまで本当か分からない。だからむしろ、信じられるんですよ。生きているって」

               ◇

■「救う会」、街頭で大集会参加呼びかけ

 家族会と支援組織「救う会」のメンバーが24日、東京・銀座の街頭で、通行人に「国民大集会」への参加を呼びかけた。

 国民大集会は、25日午後2時から、東京都千代田区の日比谷公会堂で開催。横田滋さん、早紀江さん夫妻や田口八重子さんの長男、飯塚耕一郎さん(33)ら拉致被害者家族がパネルディスカッション形式でそれぞれの思いを語る。

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