龍騎X 第35話 「センキと少女」 | Dの悲劇

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へっぽこ高校生のライダーブログ




Xがいる部屋、通称Xの間。
ここにオルタナティブXが気絶している城戸真司、そして古崎を抱えて入ってくる。
そしてXの前で古崎を乱暴に放り投げ、真司はそっと床に寝かされた。
椅子に座っているXは冷たい目で古崎を見下し、変身を解除した貌据が顔面を蹴って叩き起こした。

「・・・・!ぐおあっ!」
「やっと起きましたか・・・・無様な姿ですね」
「黙れ!!あいつらぁ・・・・!このままではすまさねえ!!絶対に潰す!!」
「威勢がいいですね古崎・・・・・クラッシュのデッキはあるんですか?」

そのことを問われた瞬間、はっと顔を青くする古崎。
Xは椅子から立ち上がって古崎の目の前に歩み寄った。

「古崎・・・まさかクラッシュのデッキを破壊されたのか?」
「ぐ・・・・・」
「どうなんだ?」

Xの眼光に怯えて言葉が出ない古崎。
その無言を返事と受け取ったXは古崎の体を蹴り飛ばす。

「うあああっ!?」
「まさか最新式のデッキを破壊されるとはな・・・とんだ期待外れだったようだ」
「待ってくれ!元の世界に戻すのだけは勘弁してくれ!!」
「そういえばお前は元いた世界では犯罪者の仲間だったか・・・・あの裁判の判決をおとなしく受けてきたらどうだ?」
「頼む!もう一度チャンスをくれ!期待には応えてみせる!!だから・・・!」
「・・・・とのことです。X、もう一度チャンスを与えてみては?」
「・・・そうだな。古崎、これが最後のチャンスだ。フェニックスの抹殺および例のカードの回収。それとデッキの回収をお前に命じる。クラッシュの代わりにお前にはアビスのデッキを与える」
「任せろ!今度こそ必ず期待に応える!!」
「それでいい・・・デッキの回収はセンキ、ゼロ、ゾルダの3つだ」
「ではアビスのデッキを」

貌据が差し出したアビスのデッキを受け取った古崎は意気揚々とXの間を出て行った。
その様子を可笑しそうに笑う貌据。

「よいのですか?アビスを彼に与えてしまっても」
「別に構わない。あのデッキ自体はおまけのような物だ。あれで負けるようなら価値は無い」
「なるほど。それと1つ腑に落ちないことがあります。なぜデッキの回収を?」
「センキとゼロに関してはもう能力を把握したためだ。あれ以上は期待できないだろう」
「ではゾルダは?」
「奴は場を引っ掻き回す厄介な奴だ。そろそろ脱落してもらう」
「本当によろしいのですか?ゾルダの実力はライダー達の中でも上位に入ると思いますが・・・」
「関係ない。どうせ全員死ぬんだ」
「そうでしたね・・・ふっ」

微かに笑う貌据に疑問を持つX。

「何が可笑しい」
「いえ、なんでもありませんよ」
「・・・ひとつだけ言っておく」
「なんでしょう?」
「例えお前とはいえ失敗は許さん。もしも失態を重ねるようだったら・・・」
「分かっていますよ。私がそんなへまをするお思いになって?」
「・・・もういい。下がれ」
「では」

貌据は背を向けて立ち去った。
その背中にXは疑いの目を向けていた・・・。
























その頃。
自分が狙われているとも知らない大志は川原で野宿をしていた。
カップラーメンを食べながら今後のことを考えていた。

「次は誰と戦おうか・・・?」

候補その1、ナイト。
ナイトに変身する秋山蓮とは親友だが、どうも戦うのは気が引けた。
ナイトの戦いは飛行や分身、超音波と真正面から戦う大志には苦手な物ばかりだ。

「なら・・・・」

候補その2、ゼロ。
ゼロの青海集ともまた親友ではある。
だが先日戦った際にはなんだか様子がおかしかったが戦うにはちょうどいいだろう。

「よし!集に決めたで!明日は集を探すんや!」

スープを飲み干して地面に寝転がる。
そして数秒後には盛大ないびきが発せられた。

「ごがぁぁぁあああ・・・・・・」

「うるせえなぁ」

偶然近くを通りかかった要は大志のいびきのうるささに顔をしかめていた。
今日の寝床を探して来たのだがもうすでに場所は取られている。

「よくもまあこんな奴をライダーにしたもんだな・・・あ~眠い・・・・ん?」

周りを見回した要が見た物はゆっくりと歩いている集だった。

















ちょうど大志が眠っている近くで集が高ぶる闘争心を抑える為に夜の散歩をしていた。
あのガドルというモンスターと戦って以来、以前よりもデネブを抑えるのが困難になっていた。
この前も危うく人を襲いかけたほどだ。

「早いとこケリをつけないとな・・・・」

キィン キィン

「変身」

モンスターの気配を察知してすぐさま変身。
ミラーワールドに潜むモンスター、シアゴーストを殴り飛ばした。
食事を邪魔され、悔しそうに鏡の向こうを見つめていることに気づいてその視線を追った。

「なるほど・・・・あの家族を狙っていたわけか」

川原で楽しそうに遊んでいる家族を微笑ましく思い、同時に襲わせてなるものかとも思う。

「食わせてたまるかよ!」
 
   ソードベント

ゼロソードを手に敵に瞬く間に接近。斜めに切り裂いた。
痛々しい悲鳴が上がるが、あいにく集はモンスターに対して同情する気などない。
動きが鈍った相手の腹部に思い切り剣を突き刺し、貫いた。

   シュートベント

さらにゼロボウガンを相手の体に当てて至近距離で連射。
大ダメージを負ったシアゴーストは爆発。そこから生まれたエネルギーはデネブが捕食した。
狩りを終えたゼロはそのまま帰ろうとするが、デネブがじっと何かを見ていることに気づいた。

「どうした」

デネブの視線の先にはモンスターが狙っていた家族がいた。
そして集がデネブの狙いに気づいた時にはもうすでに手遅れだった・・・。

「デネブ!!」


























夜が明けて大志も目を覚ます。

「ふああ~・・・・・・」

あくびをしながら起き上がって目をこする。
ふと人の気配を感じて横を見た。

「・・・・・・・・」

そこには少女が立っていた。
もう一度目をこすってこれは夢ではないのかと疑う大志。

「・・・・・・・?」

夢ではない。

「うえええええええええええええっ!?」

数分後。

落ち着きを取り戻した大志はその少女に話しかけた。

「・・・・・なんや?お前・・・どうしたんや?親はどこにいるんや?」
「・・・・・・・・」
「なんか言わんとわからへんやろ。さ、言うてみ」
「・・・・・・・」

少女はなにも答えない。
子供の扱いには慣れていない大志はため息をついて少女の顔を覗き込む。

「まいったな・・・・・これじゃあ誘拐犯や・・・あ、そうや!」

何かを思いついて少女を見つめる大志。

「お前さん、コーヒーはお好き?」
「・・・・?」


数十分後。

「・・・・・でここに来たと」
「そういうことや!」
「なんて奴だ・・・・」

その少女を連れて「朝日」にやってきた大志。
事情を聞いた龍次と孝幸は呆れかえり、真美は少女の相手をしていた。
満足そうにコーヒーを飲む大志には呆れ果てるしかなかった。

「あんたなあ・・・・普通そこは交番だろ!?なんで喫茶店に来るんだよ!?」
「そうですよ!これじゃあ立派な誘拐じゃないですか!!」
「ぅるせえ!寝起きに子守をする羽目になった俺の気持ちを考えろ!」
「答えになってねえよ!!」

激しい口論を繰り広げる男達の横で少女と話す真美。
とりあえずジュースを飲ませて何かを聞き出そうとするが、あいにくなにもしゃべろうとはしない。

「名前は?」
「・・・・・」
「どうしてあの人のところにいたの?」
「・・・・」
「お母さんは?お父さんは?」
「・・・・・・・」
「はぁ・・・」

黙ってうつむく少女に手を拱いていたとき、痺れを切らした大志が立ち上がって少女に詰め寄った。
抑えようとする龍次達を押しのけて少女へ顔を真っ赤にして近寄った。

「おら!なんか言いたいのならさっさと話さんかい!なんであそこにおったんや!」
「お、落ち着けよ!!子供相手に!」

なんとか抑えて少女から離そうとするが、突然ぽつりと口を開いた。

「・・・・・鏡」
「え?」
「鏡から出てきた人がママとパパを連れていっちゃったの・・・・・・」
「鏡から出てきた人・・・・それって・・・・」

鏡から出てきた人。
すなわちモンスター、あるいは仮面ライダーのどちらか。
いずれにしてもその目的は明白。捕食のためだ。
その意味を知っている龍次、孝幸、大志は言葉を失い、真美は不思議そうにするだけだ。

「鏡から出てきた人?変態なのかな・・・・」
「いや、真美・・・・そうじゃなくて」
「・・・龍次さん、ちょっと」
「え?」

孝幸は龍次を奥に引き連れて他には聞こえないような小さい声で話す。

「あの子を襲った鏡の人・・・もしそれがライダーなら」
「ライダーが?いくらなんでもそれは・・・」
「確かにモンスターの方が可能性は高い。でもライダーの可能性もあります」
「・・・浅倉か」

仮面ライダー王蛇、浅倉威。
確かに奴ならば餌として人を襲わせるかもしれない。
だが。

「あの子は人って言ってた。ということは人型のモンスターだったってことだろう。まさかライダー自身が襲うわけじゃないし」

浅倉の契約モンスター、ベノスネーカーはどう見ても人型ではない。
蓮の話だと今浅倉はメタルゲラス、エビルダイバーとも契約しているらしいが、辛うじてメタルゲラスを人型と呼べるかどうかだ。
しかも、もし襲ったのがメタルゲラスならばあの子は人ではなくサイまたは動物という表現をするはずだ。
犯人は野良モンスター、そして人型の契約モンスターを持つライダーということになる。

(でも・・・人型の契約モンスターって確か・・・仮面ライダーゼロ)

「ちーす!」

店内の微妙な空気を入れ替えるようにやってきた集。
そして手を揉み解しながらカウンターに座った。そのさいに一瞬表情が歪んで見えたのは気のせいか。

「コーヒー!・・・・ってマスターいないのかよ」
「集さん・・・」
「おっ・・・・孝幸・・・」
「この子に見覚えがありますか?」

少女を指差し、集もその顔を見るが・・・一瞬でその表情は暗くなった。
それに気づいた孝幸が指摘する前に集は席から立って逃げるように店を出て行った。
犯人を確信した孝幸はその後を追いかける。

「集さん!!・・・・待て!」
「孝幸!俺も!!」

孝幸一人では危険と感じたのか龍次も一緒に追いかけようとするが、それは止められた。

「待ってください!もしかしたら野良モンスターの可能性もまだあります。だから龍次さんはあの子を守ってあげてください!」
「・・・わかった!任せとけ!」
「お願いします!」

孝幸は集を追って店を出て行った。
残された龍次はうなだれて落ち込んでいる大志の隣に座った。

「わいは・・・・なんちゅうことを・・・あいつは落ち込んで当然やのに・・・」
「なあ、あんた悪い人には見えないけどどうしてライダーになったんだよ?」
「・・・へ?お前はチャンピオンにならんかい?」
「はぁ?チャンピオン~?どういうことだよ!」

訳のわからないことを言い出す大志に混乱し、説明を求めた。
話が噛み合わないことに気づいて大志も説明を始めた。


「わいが久しぶりにこの辺りに帰ってきたときのことやった・・・神崎って言う奴が現れて俺にデッキを渡してこう言ったんや」

『戦え。そうすればチャンピオンになれる』

「最初は何がなんだかわからへんかったけど・・・これは新しい格闘技のスポーツの大会で勝ち残った者にはチャンピオンの称号と多額の賞金が手に入るって言われて俺は参加することにしたんや」

「・・・それは真っ赤な嘘だ。この戦いはそれぞれの願いを賭けた戦いだ。しかも敗北は死を意味する」
「そんな・・・じゃあ俺は危うく集を殺しかけたってことかいな・・・・」
「あんたも俺達に協力してくれないか?この戦いを止めるために」
「そんな・・・今はなんもわからへん・・・」

蹲ってそのまま黙り込んでしまう大志。
しばらくそっとしておこうと思いそこから離れて、真美と話している少女に向かい合って座った。

「あなたの名前は?」
「理子・・・」
「どうしてあのお兄ちゃんのところにいたの?」
「ママとパパがいなくなって怖かったけど・・・あのお兄ちゃんの傍にいると怖くなかった・・・」
「・・・・・・」
「お母さん達はどこにいっちゃったんだろうね?」
「そうだな・・・」

真美とこの少女は知らない。
もう永遠に彼女の親が戻ってくることなどないのだ。
むしろ知らないほうが幸せなのか・・・。

「・・・タイミングが悪かったかな」

いつのまにか店にやって来た要は居心地の悪さに苦笑いをするしかなかった。

「か、要・・・いつの間に」

つい先日、要との関係を知ってしまったせいで、どこか戸惑っている部分もあるが、あいにく要は気づいていない。

「いやぁ・・・話は聞かせてもらったよ。大変だな」
「ああ・・・孝幸は青海さんを犯人と思って行っちゃったし・・・」
「・・・それはちょっと不味いな」
「え?どういうことだ?」

その後。
要から事情を聞いた龍次は大急ぎで孝幸の後を追って行った。























逃げ続ける集を自転車で追いかける孝幸。
やがて追いつき、車体の体当たりで集の動きを止めた。

「もう逃がしませんよ!」
「孝幸ぃ・・・・!」
「あなたなんですか?あの子の両親を襲ったのは!?」
「・・・ああ、そうだ。もう俺は自分を制御することが出来ない。願いを叶えるまで止まる気は無い!!」
「そこまでして叶えたい願いって一体何なんです!?モンスターに成り果てて、人を襲ってまで叶えたい願いって!?」
「俺に彼女がいることは知ってるだろう」
「たしか・・・科乃さんでしたか」
「俺が彼女の実家に行った時のことだった。いつも通り彼女の両親にも挨拶をして、一緒に昼食を食べていたんだ・・・・」

「だが突然、鏡の中から現れた金色のライダーが剣で彼女の両親を刺し、彼女にも襲い掛かろうとしたんだ。俺は止めようとした時だった・・・」

「神崎士郎が現れて俺にデッキを渡したんだ。俺はそれで変身してそのライダー、オーディンと戦った。そして戦いの後、俺は現実世界に戻ったら・・・」


それは非情な現実だった。
彼女の叫び声を聞いた近くの警官がやってきたんだ。
彼女が罪を犯したと誤解した警官はそのまま身柄を拘束した。
俺が戻ってきた時にはもうすでに終わった後だったよ。

「俺は何度も警察に掛け合ったけど、その度に追い返された。そして彼女には有罪判決だ。だから俺はライダーになった。彼女を救うために」

集から全てを聞いた孝幸。
だがその表情は晴れない。

「そんな・・・・証拠もないのにどうやって逮捕を?それに有罪だって?あり得ない・・・」
「今はもうそんなことどうでもいいさ。なんせ彼女は数日前に自殺した。けど俺のすることは変わらない。彼女を生き返らせるために戦うだけだ」
「待ってください!おかしいですよ!?何か大きな力が働いているとしか・・・!」

そこまで言って孝幸はガドルの言葉を思い出した。

「俺のこの体は作られた。その体に俺の記憶を埋め込まれた。俺を作った者達は俺のことを「グロンギ型ミラーモンスター」と呼んでいた」

(ガドルを作った者達・・・まさか奴らが?)

そもそも不自然なことが多すぎるのだ。なぜオーディンというライダーは科乃の両親を殺したのか。
何者かの企みがあるのは間違いがなさそうだ。
それならば今ここで集を止めなくては。

「集さん、これは仕組まれたことです!これ以上戦うのは・・・!」

「ああ!無意味だ!」

声が聞こえたと感じた瞬間、ミラーワールドからアビスハンマー、アビスラッシャーが集に襲い掛かった。
突然の不意打ちに対応できずに張り倒されたしまった集を守るように孝幸が間に入った。

「そこを退いた方が身のためだぜ?」

鏡から現れたのは鮫のライダー、仮面ライダーアビス。
ただし、変身しているのは古崎だが。

「お前は・・・?」
「俺の目的はゼロのデッキの回収だ。邪魔をするなら命はない!」
「まさか・・・お前達が集さんをライダーに?」
「ご名答!そいつはゼロのデッキの実験台として選ばれたということだ!だがもうゼロの能力は把握した。そいつに用は無い!やれ」

命令を受けたモンスター2体が唸って駆ける。

「勝手なことを言うな!!」

孝幸も対抗してゴウラムを呼び出してモンスターの相手をさせた。
だが数はあちらの方が有利。
ゴウラムがアビスハンマーを押さえている間にアビスラッシャーが孝幸を飛び越えて集に突撃する。
その衝撃で落としてしまったゼロのデッキを回収、アビスへ投げ渡した。

「もういい。これで用は済んだ」

アビスハンマーを呼び寄せてそのままミラーワールドに入ってしまったアビスを追いかけるためにデッキを構えた。

「変身!」

深紅の戦士、ゴウガは親友の笑顔のためにアビスを追って行った。

   ホイールベント
























キィン キィン

「朝日」付近にある公園でシアゴーストが大量に発生していた。
すでに公園に来ていた何人かの人々が犠牲になっている。
孝幸を追いかけていた龍次はその光景を見て居ても立ってもいられなくなって孝幸のことは後回しにするしかなかった。

「ううああああ!!」

老人に襲い掛かろうとした1体を蹴り飛ばし、その間に老人を公園から逃がした。
さらに子供に向かっていた数体をドラグレッダーが上空へ弾き飛ばし、火球で焼き払った。

「変身!」

そして龍騎に変身。
群がるモンスターを相手に戦闘を開始した。

「早く逃げろ!」

同じく公園に駆けつけていた大志も人々をモンスターから逃がしていた。
そうしている内にモンスターに囲まれてしまうが、現れたアカネタカが周囲のモンスターを薙ぎ払い、変身の隙ができた。

「変身!」



   ソードベント
   ストライクベント

龍騎とセンキ、2人のライダーはそれぞれの武器で敵を撃破していく。
だが敵の数は半端な物ではない。
次第にその数に押され始め、ついに窮地に追い込まれた。

「どうする!?」
「隙を作ってくれ!後は俺が一気に蹴散らす!」
「任せとき!」

   ストライクベント
   ソードベント

アカネタカが発する炎、オニビがモンスター達を焼き払い、さらにその炎で怯んだ者をレッカソードで切り裂いていった。
やはり数はあまり減らないが、その時間さえあれば十分だ。
龍騎がデッキから抜いたカードはセンキを上回る烈火の炎を生み出して龍騎を包み込んだ。

「なんやあれ!?」

突然のことに驚くセンキ。
その間にセンキの攻撃をすり抜けて龍騎に突っ込んでいくモンスターがいた。

「まてぇ!!」

追いかけようとしても他のモンスターが邪魔で叶わない。
そしてシアゴーストが吐き出した糸が龍騎の伸びていった。

   サバイブ

だがその直前に龍騎から発せられた炎が糸を焼き尽くし、ドラグバイザーツバイのビームがそのモンスターを撃破した。

「あれは・・・・!」

すでに龍騎は強化形態、龍騎サバイブに変身しており、ドラグバイザーツバイのビーム攻撃でモンスターを次々と倒していった。
それで勢いづいたセンキも攻撃を再開し、カードをセットした。

   ファイナルベント

アカネタカは敵の数にあわせて巨大な太鼓となり、集団の動きを止めた。

「音撃打!業火怒涛!!」

レッカの力強い打撃を次々と叩き込んでいくが、相手の数が多いせいか、あまり聞きめはない。

「わいは・・・騙されて友を殺しかけた!幼い少女を守れなかった!!もうあんなことは繰り返さへん!うりゃああああああああーーーーっっ!!」

もう繰り返さない。
その覚悟が伝わったのか、威力は徐々に増していき、ついに大爆発を起こして撃破する。

「っしゃああああああああ!!」

一方龍騎SVもドラグブレードでモンスターの数を的確に減らしていった。
そろそろ頃合だろうと判断してビームを連射。相手が離れ、カードをセットする余裕が生まれた。

「これで終わりだ!」

   ファイナルベント

切札を発動してドラグランザーを召還、さらにバイクへと変形させる。
道を塞ぐモンスターをひき潰し、ドラグランザーの火球が前方のモンスター達を爆散させる。
そしてウィリー走行で特攻、全て叩き潰すドラゴンファイアーストームでその場にいた集団を全滅させた。

「ふう・・・・」

バイクから降りて、同じく戦闘を終えたセンキを見つめた。
武器を握っている彼が下した決断は・・・・。

「俺は・・・あの子を・・・理子を守る!もうあんなことを繰り返させない!!」

熱く叫ぶセンキに予想通りの答えを出したことに龍次は喜んだ。
すなわち自分の味方ということだ。

「じゃあ・・・俺達と一緒に戦ってくれるんだな!!」
「それとこれとは別や!」
「そうか・・・って、えええええええええええええええっっ!!!?」

今度は予想外の答えに戸惑う龍次に構わずセンキは走り出していた。

「わいは理子のために戦う!ライダー同士なんてまっぴらや~~~!!」
「あ!おい待てよ!うおい!!」





















ライドゴウラムに迫る爆撃。
それらを車体を操ってかわし、アビソドンに乗って逃げ続けるアビスに接近する。

「逃がすか!」
「ちっ!」

アビスバイザーから鎌型の衝撃波を発射するが、爆風の中を突き抜けてきたゴウガはそれを物ともせずにジャンプした。

   シュートベント

ゴウガボウガンの精密射撃でデッキを持っていたアビスの手を撃ち抜く。
たまらず手を離したアビスの手から離れたデッキは地面に落ちる瞬間、現れたデネブが回収してどこかへ行ってしまった。

「貴様!!」

   ソードベント

アビスセイバーで襲い掛かるアビスから身をかわして蹴りを入れた。
反撃の一振りも力ずくで叩き落し、カウンターを放つが、さすがに一筋縄ではいかない。アビスセイバーを交差して拳を防ぎ、隙ができた体へ膝蹴りを入れて怯ませ、さらに突きを入れることでゴウガを弾き飛ばした。  

「くうっ!!」

後ろに飛び退いて追撃をかわし、自分も近接用の武器であるゴウガロッドを召還しようとするが、そうはさせまいとアビソドンの爆撃がカードをセットする暇を与えない。
さらにアビスバイザーの衝撃波がゴウガの装甲を激しい火花と共に削った。

「うわああああーーっ!?」

予想外のダメージを負い、相手の接近を許してしまった。

「おらああっ!!」

アビスセイバーの大振りをぎりぎりキックで受け止め、その一瞬でカードをセット。

   ストライクベント

ゴウガロッドを手にとって素早く突きを放ち、その強化された脚力を生かしたジャンプでアビソドンの攻撃をかわす。
そしてロッドを大きく振りかぶり、アビス目掛けて思い切り振り下ろした。

「おりゃあああーーーーっっ!!」

防御に構えていた剣を押し切り、アビスの肩に強力な一撃を叩き込む。
さすがに効いたのか、剣を取り落として倒れてしまい、武器を取ろうと顔を上げたときにはデッキにロッドが向けられていた。
ゴウガがこのままロッドを振るえば古崎の命は無い。

「動くな・・・・!お前達の目的を話してもらうぞ!!」
「はっ!餓鬼が!粋がるんじゃねえ!!」
「話さなければ命は無い・・・!」

精一杯強がる古崎だが、内心はかなり焦っていた。
このまま目的を全て話さなければ命は無い。かと言って話してしまえばXがただで済ませてくれるはずが無い。
どちらにしても非常に不味い状況だ。

「さあ!」
「っく・・・・・」

諦めて口を開こうとした時だった。

   シュートベント

「ぐごおううあああああああっっ!!!!」

現れたYゼロのゼロバスターの銃弾がゴウガとアビスを襲った。

「うわああああっっ!!」
「うおおおおおおーーっ!!?」

狂気の銃弾は辺り一面を破壊しつくす・・・・・。


















「朝日」。

理子は真美が作ったケーキを食べており、残されたのは理子の護衛を任された要と真美だけだ。

「それにしても・・・・」

果たして龍次は間に合っただろうか。
モンスターの気配に大志も飛び出していったが、龍次もモンスターの方に行ってしまったのだろう。
ゴウガとゼロの戦闘は避けなければいけないのだが、自分がここを離れるわけにもいかない。

「面倒だな・・・・そういえば龍次の態度がなんかおかしかったな・・・まぁいいか」

美味しそうにケーキを食する理子を横目で見つつ、真美の姿が見えないことに気づく。

「どこにいったんだ・・・?」

ふと奥から何か聞こえることに気づいて進んでいく要。
そして見たのはしゃがんですすり泣く真美だった。

「真美・・・?」
「うっぐずっ・・・・・・・あ、要」
「なんで泣いてるんだ?」
「別に・・・・」

目元を服の袖でごしごしと拭いてその場を後にする真美。
要はそれに疑問を抱いた瞬間、気配がした。

キィン・・・・・

ほんの一瞬だったために空耳か、と思うが、要の後ろの鏡の中には一枚の白い羽が落ちていた・・・。









To be continued








次回予告




「あなたとは・・・戦いたくなかった」
「それが・・・お前の狙いかいな・・・」
「もはや衝突は避けられない」

第36話「その男ゼロへのラスト」

「俺は・・・負けられないんだ!!」

戦わなければ生き残れない!!





















久々のアフター

手塚「なるほど。ここはそういう場所なのか・・・」
代矢「そういうことだ」
須藤「暇ですね・・・誰か死なないかな」
キリン「縁起悪っ!!」
蟹「・・・あながち本当にそうなりそうですよね・・・」

芝浦&高見沢「計画通り・・・!」
佐野「はいはい、さっさと掃除してくださいよ」


天の声「ところで残りのライダーは後何人だ・・?」
俺「20人」





















重要なお知らせ。

次回から龍騎Xは毎週日曜朝9時に更新となります。
余裕があるときには2話更新や、土曜の夜9時などに更新もあるかもしれません。

集!やっちまったなあ!!
でもまだなにかありそう・・・?

サブタイトルの割にあまり大志が目立ってないのは内緒。



質問&感想待ってま~す。