龍騎Xトリロジー アナザーレジェンドヒーロー 後編 | Dの悲劇

Dの悲劇

へっぽこ高校生のライダーブログ



「うわあああああああああああああああああああああああ!!」

ゼロソードは持ち主の意思に関係なく放たれた。
集の意識を支配しているのはモンスター。
人間のようにためらいはない。
止めることは集にはできなかった。

鏡の中から主人の危機を感じ取ったゴウラムがゼロを弾き飛ばす。

「ぐおっ!?」

心の奥でデネブの憎悪を感じるが、集にとってはありがたかった。
もう自分ではデネブをコントロールすることができない。
このモンスターが孝幸を連れ去るか、他のライダーが来ればいい。

「ぐ・・・・うう!!」

集の抵抗も関係なしに剣が振るわれる。
ゴウラムはそのたびに主人を剣の攻撃から守る。
それでも一向に起きる気配が無い主人を確認したゴウラムはどこかへテレパシーを飛ばした。























希望の霊石の力を受け継ぎし者、誇り高き戦士を前にした時、汝自らの邪悪を除きて馬の鎧となる僕は真の力を解き放たん

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THENOVEL 龍騎Xトリロジー

EPISODE GOUGA アナザーレジェンドヒーロー 後編 「豪我」






























   ユナイトベント

王蛇の契約モンスター3体が融合して獣帝、ジェノサイダーが地面に立つ。
ジェノサイダーは口から衝撃波を発射し、クウガとガドルはそれを回避する。
ガドルは射撃態に戻ってボウガンでその巨体を射撃する。
だがいくらガドルのボウガンが強力といっても7000APを誇るジェノサイダーが相手では怯ませることもできない。
さらにガドルがジェノサイダーに気をとられている隙に王蛇のべノサーベルが振り下ろされる。
それによってボウガンは叩き落され、腹部にも強烈なパンチを喰らう。
ガドルもやられているだけではなく、お返しに回し蹴りを王蛇の頭部に当てる。
お互いは後ずさって追撃を警戒する。

「なかなかやるな。仮面ライダー」
「しゃべるモンスター?お前をこいつらに食わせればしばらくは持ちそうだなぁ」

(今のうちに・・・・)

両者がお互いに自分に気づかない内に離脱しようとするクウガ。
それに気づいたガドルは俊敏態になって走り出す。
ライジングマイティのままでは逃げられないため、クウガも構えを取る。

「超変身!」

ボディは青く変化、瞳も体と同じ青に変化する。
パワーが落ちた代わりにジャンプ力やスピードが格段に上昇した形態、ライジングドラゴン。
2人は平行して走り出す。
ジェノサイダーは2人に増えた獲物へ衝撃波を放つ。
ジェノサイダーの衝撃波も動きの早い2人なら容易にかわせる。
王蛇もその素早い動きに対抗するためにカードをセットする。

   スイングベント

目にも止まらぬスピードで鞭を振るう。
ガドルはその攻撃で動きが止まり、クウガはそのまま脱出に成功する。
これ以上負っても無駄と判断しクウガを一旦諦め、目の前のライダーに集中する。
ガドルはさらに振るわれる鞭にも怯まずに大きく跳躍する。
そして王蛇の真後ろに着地し、槍を取り出して攻撃する。
突き出された槍を剣で防ぎ、横腹に連続で蹴りを入れた。
ガドルはその長い槍をうまく使って蹴りを弾きつつ、王蛇の装甲を突き上げる。
王蛇は宙に浮いて体の自由が取れなくなったところでさらに一瞬で剛力態となったガドルのパンチに吹っ飛ばされた。
普通の者ならその痛みに苦しむであろう。
だが王蛇は違う。

「ははははははっははっははははは!!」

蛇の笑いが空間にこだます。
何がそんなに可笑しいのかと疑問に思うが途端に相手の狙いに気づく。
その時はもう遅かったが。

「消えろ」

ジェノサイダーの衝撃波がガドルの足元に着弾した。




























「うまく逃げ出せた・・・」

クウガはミラーワールドを脱出し、変身を解こうとする。
だがちょうどその時に頭の中に何かが伝えられる。

(これは・・・・・ゴウラム?)

間違いない。ゴウラムだ。
クウガはゴウラムから送られてきたメッセージを読み取る。

(孝幸君が!?このままじゃ危ない!!)

孝幸の危機を知り、その場へ駆ける。
ライジングドラゴンのスピードならすぐにたどり着けるはずだ。

「急がないと・・・・・!」

いまだにゴウラムから送られてくるSOSサイン。
それに応えるために一旦立ち止まる。

「超変身!」

掛け声と共にクウガの体も変わる。
感覚が強化される代わりにその変身は数十秒しか持たない形態、ライジングペガサス。
その強化された視覚、聴覚、嗅覚で孝幸の場所を探す。

(どこだ・・・・・・・・・・・あそこか!)

やがて視覚の先に倒れている孝幸の姿を捉える。
再びライジングドラゴンに姿を戻して走り出す。
孝幸の体を切り裂こうとしている緑のライダーに猛スピードで接近し、キックで突き放した。
























どうやら仮面ライダーを甘く見すぎたようだ。
破壊のカリスマ一生の不覚。
攻撃によってついた傷の痛みを感じながらもゴの名に恥じないよう真っ直ぐに立つ。

「さあ・・・・そろそろ終わりにするか」

王蛇は目の前の獲物の始末に取り掛かった。
ベノバイザーに紋章が3つ描かれているカードをセットする。

   ファイナルベント




ファイナルベントの発動により、ガドルの背後にいるジェノサイダーの腹が全てを飲み込むブラックホールに変化する。
ガドルも決着をつける時だと感じ、電撃態に変わる。
王蛇とガドルは同時に走り出して跳躍する。

「おらあっ!」
「ぬうん!!」

お互いのきりもみキック、ドゥームズデイとゼンゲビビブブが激突する。
その威力はどちらも絶大。
だがドゥームズデイの本当の威力は相手をキックで吹っ飛ばした後である。
キック自体の威力はゼンゲビビブブのほうが上であり、それゆえに王蛇がその勝負に負ける。

「おああっ!?」

全身に響く痛みに浅倉は耐える。
いつもなら強敵との戦いは浅倉にとってはこの上ない喜びであるが、今はそういうわけにはいかない。
契約モンスターが3体に増えたためにその餌を確保するのも一苦労だ。
強大な力にはそれなりの代償があるというものだ。

「ただのモンスターかと思ったが・・・お前何者だ?」
「俺は破壊のカリスマ、ゴ・ガドル・バ。」
「カリスマなぁ・・・・・苛々するぜ」

王蛇はやり場の無い苛立ちを感じ、咄嗟にカードを3枚セットする。

   アドベント
   アドベント
   アドベント

ジェノサイダーは3体に分離して一斉にガドルに襲い掛かる。

「ボシャブバ(こしゃくな)」

ガドルは自分に降りかかる毒液をかわし、目の前に立ちふさがるメタルゲラスを殴り飛ばす。
視界を遮るエビルダイバーを投げ飛ばし、王蛇の姿を探すが、もうすでに王蛇の姿は消えていた。

「逃げたか・・・・・まあいい」

もうここに用は無いとクウガたちを追おうとするが、残されたモンスターたちはなおも自分を食らおうとする。

「俺の相手はお前達ではない」

ガドルは俊敏態になってモンスターの攻撃をかわしながら飛び越える。
そのままクウガが消えた方向へ走り去り、残ったモンスターたちは餌を求め咆哮を繰り返した。


























がきん!と音が鳴り、ゼロの剣がクウガの装甲にぶつかる。
だが今のクウガは先ほどの軽快な動きを生み出す軽い体ではない。
その動きは鈍重であり、だがその装甲はゼロのどんな攻撃も受け付けなかった。
ライジングタイタン。
それが今の紫のクウガの名だ。

「ぐううううう!!」

何度も叫びながら剣を振るうゼロを見て普通なら狂気を感じるだろう。
だが雄介は違う。
雄介にはゼロが仮面の奥で泣いてるように見えた。
まるで自分が未確認と戦っていた時のように。

(この人も俺といっしょなんだ・・・・・なら俺が止めてあげないと)

戦いたくないのに戦わなければいけない。
その苦しみは雄介自身がよく理解している。
そんな運命は背負って欲しくない。
だから。

「はっ!」

ゼロが持っているゼロソードを掴む。
アマダムの力が発動し、ゼロソードはライジングタイタンソードに変換される。
武器を失ったゼロは一瞬動揺するが、すぐに武器を変える。
剣から拳へと。
突き出された拳をクウガはあえて受け入れる。
その行動が理解できず、ゼロはクウガから手を離す。
クウガはゼロへゆっくりと語りかけた。

「・・・・・痛いんです」

(?)

「殴られるほうも勿論痛いけど・・・・・殴るほうも痛いんです。だからもうやめてください。このまま戦っても辛いだけだから」
「・・・・・!」

ゼロの動きはぴたりと止まる。
クウガはゼロのデッキを外した。
仮面が外れ、集の素顔が現れる。
その表情は雄介の言うとおり泣いていた。




















「あれ、ここは・・・・?」

孝幸が目覚めると雄介がどこからか買ってきたのかパンを渡す。

「起きた?」
「五代さん・・・・・あ、どうも」

素直にパンを受け取るが、食べる気にはなれなかった。

「食べないの?」
「いや今は食べる気になれなくて」
「寝起きにはパンがいいよ。俺の知り合いの桜井さんなんていっつも食べてるし」
「はあ・・・・」

しかたなくパンをほおばる孝幸を見て雄介は安心したように笑顔になる。
パンを食べ終えた孝幸は口を開いた。

「あの・・・・・五代さんが助けてくれたんですか?」
「正確には俺と集って人でね」
「そうだったんですか・・・・・ありがとうございました」
「いや!孝幸君が無事ならそれでいいから!ね!」

さっきのようにサムズアップをする五代を見てつられて笑顔になった。
だがふとさっきの言葉に疑問を覚えた。

「あの・・・・集さんは?」
「あ・・・・・・その人は・・」

途端に口ごもる雄介。
孝幸はそんな彼を問い詰める。

「五代さん・・・・・聞きたいことはそれだけじゃありません。あなたの変身するクウガやあなたがやって来た他の世界のことも全部教えてください」
「・・・・わかった」

雄介は話し始めた。
自分の世界のこと、未確認生命体のこと、そしてさっきの戦いを。

「そんなことが・・・・・・」
「信じられないかもしれないけど・・・・・」
「・・・・いえ、信じられます」
「え?」
「集さんはライダーになって変わってしまいました。優しかった集さんはもういません」

その事実を悲しそうに、だがどこかで諦めているように言った。
やがて心の中で1つの決心をする。

(もう俺・・・・・戦いなんて止めたほうがいいのかなあ・・・・・」

「五代さん」

孝幸はゴウガのデッキを差し出す。

「これは?」
「五代さんの世界に持ち帰って欲しいんです。五代さんの話を聞く限りゴウラムはクウガにも制御できそうですし」
「どうしてかな?」
「俺わかったんです。そのクウガと同じ力で復讐なんかしちゃいけないって。もう俺には戦えません」
「そうだね・・・・・俺も嫌だよ。でもこれを受け取ることはできない」
「どうしてですか!?このデッキがあっていいことなんてありません!こんなものあっちゃいけないんだ!!」

孝幸はデッキを地面に叩きつける。
雄介はそのデッキを拾って孝幸に差し出す。

「もう要りません」
「俺も君を戦わせたくないよ。でもあの人は君を必要としてる」
「あの人?」
「集さんだよ。さっき言ってたよ。あの人は強くなったけどその代わりモンスターに操られたりするんだって。クウガにそっくりだね」
「そんな・・・・・」
「あの人は戦ってる時も泣いてた。デッキを壊そうかと思ったけど止められたよ。「俺を止められるのは孝幸だけだ」って言ったんだ」

その言葉に孝幸の心は揺れ動く。

「そんなこと言われたって俺に何ができるっていうんですか!?わかりませんよ・・・・・・・」

頭を抱え込む孝幸に雄介は微笑む。

「悩んでるんだ?」
「これが悩まずにいられるわけ無いでしょう・・・・・」
「落ち込むことないよ。君が悩んだり迷ったりすることは悪いことじゃない。むしろ必要なんだ」

孝幸は何の反応も返さないがそれでも雄介は話を続ける。

「君は何かのために悩んだり迷ったりできる。それなら同じように何かのために戦えるよ。復讐とは別にね」
「俺は誰かの笑顔を守るためなら戦える。人は何かを守るためならどこまでも強くなれる」
「そんなの綺麗ごとです。現実は違います」
「確かに綺麗ごとだよ。でもだからこそ現実にしたいと思ってる。結局一番いいのは綺麗ごとなんだか。君だって笑顔を守れる。集さんの笑顔を」
「俺に守れる・・・・・集さんの笑顔を?」
「君が悩んだり迷ったりして出した答え。守りたい物。戦う理由。君の願い。正直に出してごらん」
「それを全部ひっくるめてあるものが君なんだから」
「君がまだ吹っ切れないならそんな君自身になれるように戦えばいいんだ」
「・・・・・!」

戦士の心の中で何かが変わりかけていた。

























「この先か」

ガドルはお目当ての戦士たちを見つけ、そこへ向かう。
だが目前とまで来たところで何者かがガドルの前に立つ。
このミラーワールドでガドルにはむかおうとする存在。すなわち。

「貴様は仮面ライダーか」

目の前に現れたマゼンダのライダーへ問いかける。
そのライダーは両手をぱんぱんと叩く。

「俺は通りすがりの仮面ライダーだ。クウガ達はあいにく取り込み中でなあ。その間は俺が相手だ」
「面白い。どこからでもかかってくるがいい」
「遠慮なく」

そのライダー、ディケイドはベルトに付いているライドブッカーを剣に変化させて構えた。


























雄介の言葉を聴いた孝幸には心が定まっていた。

キィィン キィィン

「五代さん。俺も・・・・・戦いたくはありません。それでも集さんを助けることができるのは俺だけ。俺しかないならやるしかない」
「それが・・・・・君の答えだね」
「はい」
「じゃあ・・・・行こうか」
「勿論です!!」

2人は鏡の前に立った。

「五代さん・・・俺の頼み聞いてくれますか?」
「いいよ。何でも言ってよ!」
「俺が復讐じゃなくて笑顔のために変身するのを見ててもらえませんか?」
「いいよ!俺が一条さんや桜子さんに支えてもらったみたいに今度は俺が君を支える。俺が見届ける」
「じゃあ・・・・いきますよ」

戦士の意味を持つ紋章が鏡に映った。
デッキを握り締め構えを取る。
それに合わせて雄介もアークルを出現させる。

「俺の!」

「「変身!!」」

クウガとゴウガ。
同じ姿、同じ志を持つ戦士が並び立った。



















「来たか・・・・・」
「何?」

剣をぶつけるディケイドとガドルの元へクウガとゴウガがやってきた。
2人はガドルに掴みかかってディケイドから引き離す。
クウガ・ライジングマイティはディケイドにお礼を言った。

「門矢さん!ありがとうございました!!」
「礼なら別にいい。あんたのやるべきことをやってこい」
「はい!」

クウガは再びガドルへ立ち向かっていった。
ディケイドはライドブッカーを元に戻して次元のオーロラを出現させる。

「さて、俺もこの世界でやるべきことをやるか。この龍騎の世界で、な」

ディケイドはオーロラを通ってどこかへ消えた。

「おりゃあ!」
「たあっ!」

ダブルパンチがガドルの胴体を殴りつけた。
力なら2人相手でもまったく劣らないガドルもさらに重たいパンチを2人の胸に叩きつける。
だがその程度でダブルライダーは止まらない。
何度反撃を食らおうと攻撃をやめなかった。
しかし止まらないのはガドルも同じ。
召還した大剣を横薙ぎに振るった。

「超変身!」

ライジングタイタンの装甲が剣の行く手を阻み、ゴウガはその隙にカードをセットする。

   ソードベント

「うおおおおお!!」

ゴウガソードを両手で構え、ガドルの腹に突き刺した。
だが剣はしっかりと刺さっているのだが、手ごたえは無かった。
ガドルは笑う。

「その武器で俺は倒せんぞ」
「だったら!」

クウガはガドルの剣をライジングタイタンソードに変え、ゴウガソードの横に突き刺す。
さらにゴウガソードにも電撃を送り込んだ結果、ゴウガソードはライジングゴウガソードに強化される。

「「はあああああああああああっっ!!」」

2人の力を合わせて剣を押し込めた。

「ぬうううああああっ!?」

ガドルも初めてそれらしい声を上げて剣を突き刺したまま後ずさる。
ゴウガはやったか?と思うが、クウガはそうは思っていない。

「よし・・・・」
「油断しないで!」

クウガの言うとおりガドルの体に刻み込まれた封印の文字はすでに消えていた。
ガドルは自分に刺さっている2本の剣を引き抜いて投げ捨てる。

「リントは本当に変わったな」

ガドルは喜んでいる。
といっても他のグロンギのように殺戮を楽しんでいるというわけではない。自分と対等に戦える相手がいる。
それと全身全霊をかけて戦えるのだ。

「俺も本気で行こう」

ガドルは全身の闘志を解き放って電撃態となる。
最強の形態となったガドルが召還した強化されたボウガンが乱射される。
その威力にはライジングタイタンですら吹っ飛び、ゴウガに至っては装甲に亀裂が走った。

「孝幸君!」

ゴウガは雄介に応えるために必死でデッキからカードを抜いた。

    シュートベント

「ぬあああああああーーーーっっ!!!」

疾風のごとく放たれた矢はガドルの手からボウガンを弾き飛ばした。
倒れ掛かった体を支えてゴウガはゴウガボウガンをクウガに投げ渡す。

「五代さん!」

クウガはそれを受け取ると同時にライジングペガサスに変身する。
ボウガンもライジングペガサスボウガンに変わり、その引き金を引いた。
その弾は狙い通りゴウガが打ち抜いた手に命中する。
それでも破壊のカリスマを倒すには至らないがダメージは確かに与えた。

「超変身!」

クウガの体はライジングマイティに、そこからさらに変化し、アメイジングマイティとなる。

「ぬうんっ!!」

お互いのハイキックが激突する。
お互いがその威力に堪らず後方に吹っ飛ぶが、起き上がるのはガドルの方が早かった。
立ち上がろうとするクウガに踵落しを決めようとする。
クウガにかわす術はない。
だが仲間ならいる。

「危ない!!」

ゴウガが渾身のタックルを当てて、その巨体は僅かにぐらつく。
そのせいで間ができたためクウガは起き上がってアッパーをガドルの顎にブチ当てた。

(この戦い・・・・・これこそが俺にとってのザギバスゲゲルだ)

ガドルは体に蓄積しているダメージに耐えながら拳を握り締める。
そして向かってきたクウガとガドルの拳が激突した。
後ろからゴウガがやってくるのを感じたガドルはクウガの腕を掴んでゴウガに投げ飛ばす。
クウガはゴウガと共に倒れ、相手が立ち上がる前にジャンプし、キックを放つ。
それはまさしくライダーキックだった。
それに気づいたゴウガはクウガを押しのけてキックを胸に食らう。
ゴウガの装甲はついに一部が崩壊し、孝幸を全身の激痛に苦しむ。
すかさず向かってきたクウガへ腕を振るうが瞬時にしゃがんで肘鉄を腹に当てた。
奮闘するクウガを見てゴウガも再び立ち上がった。
その行動がガドルには理解できない。

「もう1人のクウガよ。貴様はなぜクウガを庇った。この場で一番装甲が脆いのは貴様のはずだ」
「き、決まってるじゃないか・・・・守りたいから・・・だよ・・・・・!」
「それが・・・・仮面ライダー、か」

ガドルはボロボロになりながらも戦い続けるゴウガを見て理解できないことがあった。
諦めないことはわかる。
だが自分と仮面ライダーの違いは何なのか。それがわからなかった。

(なるほど・・・・・仮面ライダーとは何かを守る者。それが俺達との決定的な違いか)

「クウガ!決着だ」

ガドルは体に残る全ての力を発揮して走り出す。
クウガもそれに応じて走り出す。

「うおりゃああああああああああああああああああ!!!」
「ぬうあああああああああああああ!!!」

アメイジングマイティキックとゼンゲビビブブがお互いを打ち砕かんと一直線に進む。
そしてお互いのキックが胸部へ炸裂した。

「ぐあっ!?」
「五代さん!?」

落下するクウガの体をゴウガが抱きとめた。
ガドルも地面に落ちるが、まだ倒しきれてはいなかった。

「前のようにはいかんぞ。クウガ」
「くっ・・・・・!」

だがそういうガドルもふらついている。
後一歩といったところか。

「こうなったらこれしかない!」





   ファイナルベント

ゴウラムが飛来するが、やはり動こうとはしない。
ゴウガはゴウラムを説得する。

「ゴウラム・・・・・俺は守りたいんだ!五代さんの笑顔を!集さんの笑顔を!だから力を貸してくれ!お願いします!!」

ゴウラムはその言葉に応じて空高く飛行した。
古代より続く戦士との絆はもう1人との戦士の絆を生み出した。

「行きましょう!」

クウガはうなずき、再び腰を低く構える。
ゴウガも同じように腰を低くした。
ゴウラムはガドルを背後から挟み込んだ。

「何!?」

そのまま滑空し、待機しているゴウガの元へ飛行する。
クウガとゴウガは助走をつけて飛び上がった。

「ぬうんっ!!!」

ガドルは力づくでゴウラムの顎から脱出し、急降下しながらゼンゲビビブブを放つ。
それをアメイジングマイティキックとゴウガアサルトが迎え撃つ。

「うおおおおおりゃあああああああああああああーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
「どりゃああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
「ぬおおおおおおおあああああああああああああああ!!!」

そして。























「俺の負けだ・・・・・強き仮面ライダーたちよ」

地面に倒れていたのはガドルだった。
彼の体には3つの封印の文字が消えることなく刻まれている。
雄介はもう戦う様子が無いガドルに話しかける。

「お前はなんでよみがえったんだ?」
「俺のこの体は作られた。その体に俺の記憶を埋め込まれた。俺を作った者達は俺のことを「グロンギ型ミラーモンスター」と呼んでいた」
「一体誰がそんなことを?」
「わからん・・・・・・それよりもう時間だ」

ガドルの言うとおり封印エネルギーはベルトへ到達しようとしていた。

「クウガ・・・・・お前は俺のライバルだ。もしもまた縁が会ったらその時は殺す」
「・・・・・・・・」
「もう1人のクウガ・・・・・お前の名は」
「ゴウガです」
「ではゴウガ・・・・・・見事だった。よくぞこの破壊のカリスマを倒した。お前はン・ゴウガ・バだ」
「・・・・・どうも(素直に喜べない・・・・・・)」

ガドルは言いたいことはもう全て言ったのか立ち上がって自分の名に恥じないようにする。

「俺はゴだ。死ぬ時は立派に散る。ではさらばだ!クウガ!ゴウガ!」

そう言い残してガドルは爆散した。


















澄み渡る青空の下、2人は笑いながら寝転んでいた。

「五代さん!俺五代さんのおかげで立ち直れました!ありがとうございました!」
「立ち直ったのは君自身の強さだと思うよ?あ!そうだ!これ知ってる?」

雄介は孝幸にサムズアップを見せ付ける。

「サムズアップですよね」
「違うよ!これの意味!!」
「意味?」
「これはね古代ローマで納得したり、満足した者にのみ許される行為なんだ。俺の先生が教えてくれたんだ。お前もこれにふさわしい男になれってね」
「へえ~」
「だから孝幸君もこれが似合う男になろうよ。次会うときまでの約束!」
「・・・・・ええ!また会いましょう!五代さん!!」

雄介と孝幸。
クウガとゴウガ。
2人は忘れることの無い約束を胸に別れた。

別れる際に雄介はポケットからブランクのデッキを取り出す。
すると目の前に神崎士郎が現れる。

「それは役に立ったようだな」
「はい。ありがとうございました」
「ゴウガは大丈夫そうか?」
「もうばっちりです!」
「そうか」

雄介は思いを新たにした戦士の背中を見つめた。

(集さん・・・・・まっててください!俺が貴方の笑顔を守ります!)

孝幸の心はまるで青空のように澄み渡っていた。































「あんたは誰だ!?」
「俺は火野映司」
「俺を覚えているか?」
「あれはヤミー。君の欲望から生まれたんだ。」
「アンクのメダルは絶対に返してもらう!!」
「仮面ライダー・・・・バース?」

龍騎Xトリロジー フェニックス編 不死鳥の欲望

第30話 「出会いとヤミーと映司バース」




















今回疑問を持った方も多いと思いますがゴウラムはクウガの言うことも聞きます。
その理由はたぶん次回でわかります!
それじゃ!!


追記

クウガがミラーワールドに入れたのはブランクのカードデッキがあったおかげです。
雄介は最終回後から来た設定でアマダムも修復されています。
ガドルも倒された後からの記憶です。そのため自分がクウガに負けたことを自覚しています。

没ネタとしてはガドル究極態というのも考えてましたがたぶん勝てないだろうという結論に至りやめました。
他にも止めは当初はアルティメットにする予定でした。
ただオーバーキルすぎるのでやめておきました。


フェニックス編は現在書いてる最中です。
少し時間がかかるかもしれません。