龍騎Xトリロジー アナザーレジェンドヒーロー 前編 | Dの悲劇

Dの悲劇

へっぽこ高校生のライダーブログ



どこかの実験場。



警報音が鳴り響き、実験動物が脱走したことを知らせていた。
研究者たちは量産型のレガシーに変身して捕まえようとする。

「なんとしてもこいつは捕まえるんだ!」
「生け捕りにしろ!」

   ストライクベント

多数のブレイブネックがそれに巻きつく。
そのまま捕獲しようと引き寄せようとする。

「ゾンデギゾバ(その程度か)」

それは悲しむようにしゃべり、自分を束縛している武器を持って力をこめる。
すると彼を引っ張っていたレガシーたちが逆に引き寄せられていった。

「な、なんだ!?」
「うわあ!?」

レガシーたちは次々とブレイブネックを離してそれから逃げ出そうとする。

「逃がさん」

彼は胸の装飾品から1つを取る。
それは一瞬の内に巨大な大剣へと変化する。
目の色が紫に変わり、ガドルは
変身している科学者たちは怯え、ある者は無謀にも立ち向かい、ある者は恐れをなして逃げ出した。
彼はまず向かってくる者達を剣で串刺しにする。

「うぎゃあああああ!?」

振るわれる武器も彼の体には傷ひとつつけられず逆にその剣の餌食となる。
向かってきたものを全て殺し、標的を逃げ出した者達へ変える。
すると目の色が変化し、青色になる。
その跳躍力で科学者たちの前へ回り込み、目の色が緑色に染まる。
持っている武器も大剣からボウガンに変化する。

「ビセギビ ギベ(きれいに死ね)」

ボウガンの空気弾が次々と研究者達をデッキごと破壊した。

















「仮面ライダー、か」

彼の足元には研究者達の死体が転がっていた。
それらを踏みつけながら前に進む。

「ゲゲルを再開する」

彼の標的は特別な力を持つリント(人間)。すなわち、仮面ライダー。
まだ見ぬ強敵への期待に胸膨らまし、彼は鏡の中へ入っていく。

「ゴセパ ザバギンバシグラ ゴ・ガドル・バ ザ」

彼、ガドルは自分の存在を示すようにつぶやき、姿を消した。

















希望の霊石の力を受け継ぎし者 邪悪なる者を憎み 聖なる泉枯れかけたとき 汝を導く 戦士クウガが現れん

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THENOVEL 龍騎Xトリロジー

EPISODE GOUGA アナザーレジェンドヒーロー 前編 「戦士」























   サバイブ

疾風を身にまとい、サバイブ態へその身を変化させたナイト。
装甲は美しい青と金に染まり、左手に盾、右手に剣を持ち、背中にはマントがたなびく。

「らあっ!!」

姿が変わろうと関係のない王蛇はべノサーベルを振り下ろす。
ナイトSV(サバイブ)はそれを上回るスピードでべノサーベルを弾き、王蛇を切り裂く。

「うあぁっ!?」

ナイトSVの斬撃は止まらず、王蛇の腕を、足を、胸を切り裂いていく。
がむしゃらに振るわれた剣は盾に受け止められ、逆に切り上げられる。

「ちっ・・・・・」

   スイングベント

新たに手に入れたカードを使い、エビルウィップでナイトSVに反撃の一撃を与えるが、効果があるようには見えない。
様々な角度から鞭を振るうが、全て盾に防がれる。
鞭は通用しないと悟った王蛇は武器を捨て、ナイトSVへ駆け出した。
それを見たナイトSVは剣、ダークブレードをダークバイザーツバィに収納してカードをセットする。

   シュートベント

バイザーがダークアローに変形する。

「はっ!」

ダークアローから発射された矢は王蛇の肩に命中。
王蛇はさらに続く矢を何とか回避し、状況が不利なためその場から退散しようとするが、ナイトSVはそれを許さない。
王蛇の背中に次々と矢が刺さる。

「がああああっ!?」
「逃がすか!」

後頭部めがけて発射された矢を間一髪で避けて、あらかじめ用意しておいたカードをセットする。

   アドベント

「何!?」

ベノスネーカーが矢から王蛇を守り、毒液を吐き出す。
ナイトSVがダークアローで応戦している間に、王蛇はその場から逃げ出すことに成功する。
それを追おうとしても、ベノスネーカーに阻まれ、思うように動けない。

「待て!浅倉ぁ!!」
「ははは・・・・!ははっははははは!!」



















王蛇は傷ついた場所を押さえて出口を目指す。
次こそは殺すと内心誓ったその時、体に横から衝撃がぶつかる。

「ぐああ!?」

ダメージでボロボロの体がコンクリートの上を転がる。
一体誰だ。
王蛇を攻撃したのは他ならぬゴウガだった。

「いい様だなぁ!浅倉ぁ!!」

ゴウガのハイキックが王蛇を吹っ飛ばしたのだった。
思わぬ邪魔に王蛇は苛立つ。

「しつこい野郎だ!」
「俺の母さんを殺した報いだ!!」

   シュートベント

ゴウガボウガンを召還。
王蛇のデッキに狙いを定める。
王蛇もダメージにより動きが鈍い。
ゴウガボウガンから放たれる空気弾なら確実にデッキを射止めることができる。

「終わりだぁあああああああ!!!」

復讐の一撃が今放たれた。
これは確実に王蛇を葬ることができるはずだった。
しかしその一撃が王蛇に届くことはなかった。

「・・・・・・・・・誰ですか」

ゴウガと王蛇の間に割り込んだのは紫の鎧を身に纏い、どことなくゴウガに似ているが、瞳の色や、ベルトの形状が異なっていた。
その重厚な鎧がボウガンの一撃、ブラストゴウガを防いだのだった。

「はははっ!後悔するぜぇ。俺を倒さなかったことをなあ・・・・・」

王蛇はそう言い残してその隙にミラーワールドを脱出しようとする。
ゴウガは追いかけようとしても紫のライダーが行く手を阻んだ。

「邪魔しないでください!」
「・・・・・・・」

その間に王蛇はミラーワールドを脱出する。
またしても目的を達成できなかったことにゴウガは苛立つ。

「誰だか知りませんけどもう邪魔はしないでください。今度邪魔したら容赦はしませんよ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・それじゃ」

ゴウガはとぼとぼと帰っていく。
その後姿を見て紫のライダーはぼそりとつぶやいた。

「あれが・・・・・・・ゴウガ」





























「くそぉっ!!」

孝幸はいつまでも仇を取れないことに対する怒りに震えていた。
ゴウガの力は王蛇に対抗するには十分。むしろ王蛇のスペックを上回っている。

「俺の力じゃゴウガは使いこなせないのか・・・・・?」

やはり自分のような高校生が凶悪犯を倒すなんて無理だったのか。

「いや・・・・・無理じゃない。現に後一歩というところまで追い詰めたじゃないか。あのライダーの邪魔が入らなければ・・・・」
「俺は邪魔してよかったと思ってるよ」
「え?」

背後から聞こえてきた声に驚いて振り向くと、男が立っていた。

「あなたは・・・・・・?」
「はじめまして。孝幸君だよね?俺は五代雄介(ごだい ゆうすけ)。ごめんね名刺持ってきてなくってさ」
「はあ・・・・・・」

その男、雄介は笑顔でサムズアップする。
その笑顔を見ていると心が安らぎ、憎しみが薄れたような気がした。

「あの・・・・・さっきの言葉なんですけど・・・」
「うん?」

笑顔で聞き返してくる五代を見て尋ねるのは気が引けるが、思い切って聞いてみた。

「あなたは・・・・・さっきの」
「そうだよ。俺はクウガ」
「仮面ライダークウガ・・・・・・」

やはりさっきのライダー、クウガの正体は雄介だった。
だが孝幸には納得できなかった。

(五代さんみたいな人でも他人を犠牲にしてでも叶えたい願いがあるんだな・・・・・)

こんなにいい笑顔の人でも結局は欲望にまみれた1人のライダーだったということか。
しかし腑に落ちないことがひとつあった。

「五代さん」
「なんだい?」
「なぜ王蛇を倒すのを邪魔したんですか?王蛇を助けるメリットなんてありませんよ?」
「ああそれ?俺はね、この世界のライダーじゃないんだ」
「へ?どういうことですか?」
「俺は他の世界から来た仮面ライダークウガ。この世界の戦いとは関係が無いんだ。それにたとえあの人が他人の笑顔を奪うような奴だったとしても、俺は今の君には彼を倒して欲しくないんだ」
「今の俺・・・・?」
「それは憎しみで使っちゃいけないんだよ?」

確かに雄介の言うとおり孝幸は憎しみに動かされて戦っている。
だがその憎しみという感情こそが孝幸の力でもあり、戦う理由でもある。

「俺は憎むことで戦えるんです」
「本当にそうなのかな?」
「え?」
「俺は他にも戦う理由があるって聞いたよ」
「そんな・・・他に戦う理由なんて」

   キィィン キィィン

「・・・話は後です。俺はモンスターを倒してきます」
「俺も行くよ」
「危ないですよ?」
「大丈夫。だって俺クウガだし」

一体クウガがどれほどの物かは知らないが、雄介の笑顔を見ていると大丈夫という気がしてきた。

「・・・知りませんよ」

孝幸と雄介は音がする方へ向かった。






















「・・・ここか」

集はモンスターの気配を察知してその場所にやってきた。
だが人が襲われている様子はなく、その場にいたのは軍服を着た男だけだった。
聞き間違いかと思ったが、今も音は続いている。
それもこの男から。

(こいつは・・・何者だ?)

じっとこちらを観察してくる男に不信感を覚えた。
そもそも放たれる覇気が半端な物ではない。
そう思っていると不意に男が口を開く。

「待っていたぞ。仮面ライダーよ」
「・・・どうしてそのことを」
「このような誰もいない場所にわざわざやってきたのだ。お前は仮面ライダーだろう」
「そういうあんたもライダーか?」

集はこの男の正体はライダーだと確信する。
モンスターの気配もこの男の契約モンスターのせいだろう。
そう考えたが、それは間違っていた。

「俺は仮面ライダーではない」
「何?」

集が男の言葉に疑問を覚えた瞬間、男が姿を変えた。
その肉体は屈強な黒と金の体へ変わり、頭には立派な一本角が生えた。

「嘘だろ・・・あんたモンスターかよ・・・」
「俺はモンスターなどではない。俺は破壊のカリスマゴ・ガドル・バ。仮面ライダーの敵だ」
「ライダーでもモンスターでもない未知の存在だと・・・!?」

自分すらも知らない未知の敵に驚愕する集。
ガドルはそんなことはお構いなしに集へと近づく。
我に帰った集はデッキを取り出すが、変身するのに躊躇した。

(変身すれば俺はまたデネブに意識を乗っ取られる・・・その時俺はまた正気を取り戻せるのか?)

もしかすればもう人間ではいられなくなるかもしれない。
このまま逃げることも視野入れたその時だった。

「・・・時間か」

ガドルの体から時間切れを示す粒子があがる。
すると近くの水溜りからミラーワールドに入り込み、鏡の世界から集を見つめる。

「仮面ライダーよ。もしお前が戦うつもりがあるのならこい。俺は逃げはしない」

こちらに襲い掛かるわけでもなく、ただじっと待っている怪人を見て集は考えを改めた。

「・・・カリスマさんよお」
「なんだ」
「あんたのおかげで気づかされた。俺は結局・・・戦うしかないってな」

さっきの時間切れを見る限りやはりガドルはモンスターだ。
たとえそうでなくても餌にはなる。
それに自分は仮面ライダー。
どんな時でも戦わないことは許されない。

「変身!」

愛する者ために緑の戦士、ゼロはガドルと対峙した。

「ゾグ、ゴレガ仮面ライダーバ(ほう、それが仮面ライダーか)」
「一気に倒す」

   ソードベント




























孝幸と雄介がモンスターの気配を追ってきた。
彼らが目にしたのはゼロとガドルが鏡の中で戦っている光景だった。

「あれは・・・・集さん」
「知り合い?」
「はい。あの緑色のライダーです。あともう一人は・・・・・まさか・・・仮面ライダー!?」
「あれって・・・・!」

孝幸は表情が険しくなった雄介に尋ねた。

「どうしたんですか?」
「あの集って人と戦ってる奴・・・あいつは仮面ライダーじゃない。未確認生命体だ」
「未確認生命体?」

聞きなれない単語に首をかしげるが、聞いたことがあると思い出す。

「それってUMAってやつですか?」
「もっとたちが悪い奴ら。下手するとあの人も・・・」
「そんな!じゃあ俺行ってきます!」
「あ!ちょ、待って!」

雄介が止めるのも聞かずに孝幸はデッキを構える。

「変身!」

孝幸が変身したゴウガはゼロに加勢するためにミラーワールドに突入する。
























ゼロの武器のゼロソードが連続で振るわれる。
それに対してガドルは身動きすらとらずにいた。

「はあっ!とあっ!うりゃああ!!」
「・・・・・・・」

邪魔されること無くガドルへ到達する剣。
しかし、剣がガドルの肉体を切り裂くことはなく、その鋼の体によって弾き返される。

「硬い・・・!」
「その程度か。仮面ライダー」
「ちっ!」

ゼロは後退し、カードをセット。
それに合わせてガドルも目の色が緑に変わり、射撃態に変身し、胸の装飾品をボウガンに変化させる。

   シュートベント

召還されたゼロバスターが火を噴いた。
ガドルが狙いを定める前に無数の銃弾が激しい音を立てて着弾する。
さすがに効いたか?と思ったが、ガドルにダメージが入った様子は無い。
攻撃が止むと同時にボウガンがゼロへ向けられる。

(まずいっ!?)

かわす間もなく矢がゼロへ命中。
・・・する前にゴウガがゼロを抱えて飛び退いた。
標的を失った矢は後方にあった廃墟に直撃する。
廃墟を消し飛ばし、その爆風は轟音と共にゼロとゴウガをまとめて吹き飛ばした。

「一撃でこの威力だなんて!?」
「2重の意味で化け物だな」

ゼロもゴウガもボウガンを武器として扱っているが、それとは比べ物にすらならなかった。
それほどの威力ならば反動も半端な物ではないはずだが、ガドルはなんとも無いといった様子。
ガドルは再びボウガンを向けてくるが、ゴウガの姿を目に留めた瞬間、話しかけてきた。

「クウガ・・・なぜお前がここにいる」
「え・・・・俺はクウガじゃなくてゴウガ・・・・っていうかクウガって五代さんのことじゃ・・・」
「クウガではない?だがその姿は」

(今だっ!!)

   ファイナルベント

ガドルの注意が逸れていた隙にカードをセットするゼロ。
デネブとゼロバスターの銃撃が吹きあられ、デネビックエンドがガドルを強襲した。
今度こそ息の根を止めたと思ったゼロはふーっとため息をつく。
ゴウガは突然のことに呆気にとられていたが、ゼロバスターの銃口がこちらに向いていることに気づく。

「集さん?」
「ライダー同士は戦い合う。そうだな?孝幸」
「でも俺は集さんを倒すなんて・・・」
「その甘さが命取りだ!」

ゼロはゼロバスターの引き金に手をかけた。

「ガラギボザ、ゴラゲザ(甘いのは、お前だ)」

仕留めたはずの声が聞こえ、ゼロは警戒する。
だが今更警戒したところで無意味。

「ぐおああああああああっっ!?」

ボウガンから立て続けに3発の矢が放たれる。
1発目は回避するが、2発目は肩に命中、さらに3発目が胸に当たる。
たった2発の攻撃によってゼロは吹っ飛び、廃墟の瓦礫の中に沈む。
それを見たゴウガは助けに行こうとするが、破壊のカリスマに背を向けるのは命取りだった。

「うがあああああっ!!」

背中にボウガンの一撃が命中した。
さらにもう一発の矢が迫るが、最初の矢によって倒れたため矢は頭上を通り過ぎていった。

「くっ!」

   シュートベント

ゴウガボウガンを構えてガドルへ駆け出す。
続いた矢をジャンプで避け、ガドルとの距離を一気に詰める。
だがゴウガの攻撃の射程距離に入った瞬間にボウガンが目の前に突きつけられる。

「終わりだ」

引き金が引かれ、ボウガンがゴウガを貫く。
いや、貫いたように見えただけだった。
ボウガンを手に持ったことでゴウガの感覚は通常よりも研ぎ澄まされており、引き金が引かれた瞬間に瞬時にしゃがんで攻撃を逃れたのだった。
さらにガドルの持っている漆黒のボウガンを奪い取る。

「む・・・・!」

ガドルが驚いたのは他でもない。
ゴウガがガドルのボウガンを握った瞬間、ゴウガボウガンに変化したからだ。
ガドルはそれをできる人物を2人知っている。
それは他でもない自分と・・・・・クウガだ。

「喰らえ!」

2丁のボウガンの引き金を引いてエネルギー弾が発射され、ガドルの胸板で弾ける。
派手に火花を撒き散らしながらガドルは倒れる。
先ほどのこともあるためゴウガは油断せずにゆっくりとガドルに近づく。

「やはりお前はクウガではない」
「なっ!?」

突然起き上がったガドルに対処が遅れるゴウガ。
そのままガドルが新たに召還した漆黒の槍がゴウガを突き上げる。
俊敏態に変化したガドルは無様に倒れる赤い戦士を踏みつける。

「クウガはもっと強いはずだ。お前は力も速さも技量もクウガには劣る」
「五代さんが・・・・・!?」
「仮面ライダーとはこの程度のものだったか・・・・・残念だ」

びゅん!と音を立てて槍が突き出される。
だが槍があと数センチというところで止まる。

「ぬぐぐ・・・!」

ゴウガが両足で槍を掴んで止めていたからだ。
その反応速度にガドルは素直に感心する。
確かにこのライダーはクウガには劣るが、経験をつめばせめて対等までは行くかも知れない。
ガドルはそう評価するが、ゴウガにはそんなこと知る由も無い。

   アドベント

ゴウガの忠実な僕、ゴウラムが破壊のカリスマを跳ね飛ばす。
姿だけでなく仲間すらも同じ姿をしていることにガドルは少なからず驚いて動きが止まる。
ゴウガにとっては最大のチャンスだ。

   ファイナルベント

ついに切札となるカードをセットする。
ゴウガの必殺技、ゴウガアサルトを喰らえばいくらゴ集団最強のガドルといえどもひとたまりもないはずだった。

「なぜ・・・?」
「む・・・」

カードを発動したにもかかわらずゴウラムは動こうとしなかった。

「行け!」

命令をしてもゴウラムは動かず、ただゴウガをじっと見つめるだけだった。

「なんで・・・・・」
「どうやらそれを扱いきれていないようだな」

ガドルは剛力態に変わり、大剣を構える。
さらにガドルの体に稲妻が走り、大剣も強化される。
本能的に危機を察知したのかゴウガはすぐさまカードをセットする。

   ソードベント

ゴウガソードを構え、敵の出方を待った。
相手の武器は現在は剣になっている。
それならば近づかなければ問題ないと思った。

「ガラギ(甘い)」

ガドルはその考えを見透かしたように笑い、剣を地面に叩きつける。
すると衝撃波が地面を直線に向かって走る。
まったくの不意打ちだったため、ゴウガは避けることもできずにそれを喰らってしまう。

「うああ!?」

ゴウガソードを手にしていたためにゴウガの防御力は通常よりも上がっていた。
それゆえに攻撃にも耐えられたが、それでも孝幸の肉体に大きなダメージを残した。
ゴウガは剣を握っている手を離し、自分も膝をつく。

「そん・・・・なっ・・・」

すでに意識を保っているのがやっとであるが、相手に容赦はない。

(体に力が入らない・・・・・・)

敵が近づいてくるのがわかるが動けなかった。
思えば王蛇との戦いから連戦続き。
あれから疲労も回復しきってないままここに飛び込んだ。
自業自得というわけか。

「た、孝幸!」

集の声が聞こえた。
やっと起きたのだろうか。

「うおりゃああああああぁぁああああぁああ!!」

誰かの叫び声が聞こえる。
それが誰のものかを確認する前に孝幸の意識は沈んでいった。





















「孝幸君!」

鏡の中でゴウガは苦戦を強いられていた。
もう助けにいかないわけにはいかない。

「この世界の戦いには介入しないって約束だったけど・・・やっぱり無理!」

雄介は意を決し、手を腹部に構える。
すると腹部にベルト、アークルが浮かび上がる。
もう誰も悲しませたくない。
笑顔を奪う未確認を野放しになどできない。

「変身!」

ベルトの横にあるスイッチを押す。
アークルは光り輝き、雄介の体は変身する。
金色の角、赤く輝く複眼、鮮やかな赤のボディを持つ戦士。
その姿はゴウガと似ていても、その内に宿す信念は大きく異なっている。
その戦士の名はクウガ。
超古代の英雄、伝説を塗り替える者。

変身した雄介は鏡の向こうへ突進する。
そのままミラーワールドに突入。
そして大きく跳んで、

「うおりゃああああああぁぁああああぁああ!!」

炎の蹴り、マイティキックがガドルを吹っ飛ばした。
ガドルの体に封印の紋章が浮かび上がるが、威力が足りないせいか一瞬で消滅する。
だがクウガにとってはそんなことは分かりきっていたこと。
孝幸を助ける時間があればよかった。








「大丈夫!?」

クウガは倒れているゴウガを助け起こすが、反応はなかった。

「急いでここから出ないと・・・でも」

未確認を放っておくわけにもいかない。
目の前にいる未確認は46号。
知る限りでは究極の闇をもたらす存在、第0号を除けば最強の存在。
雄介もほぼぎりぎりで勝てた強敵だ。

「孝幸!」

こちらに緑のライダーが駆け寄ってくる。
たしか集と呼ばれていたはずだ。

「すみません!」
「なんだ?あんたは」
「詳しいことは後で!孝幸君をお願いします!」
「え、でも」
「俺はあいつを倒します!」

雄介は孝幸をゼロに任せてガドルへ向かっていく。
ゼロは自らに迫る強敵と意識を失っている親友の姿を見比べる。

「・・・じゃ任せたぜ!」

ゼロはゴウガを背負って出口に向かう。
それを見てもガドルは追おうともせず、目の前に現れた宿敵を睨みつけていた。

「クウガ・・・・」
「・・・・」
「俺はこの世界の戦士、仮面ライダーを全て殺す。クウガ。お前はその前の前座だ」
「・・・・・!」

ガドルは武器を捨てて格闘態に戻る。
クウガもこの姿のままでは勝てないと悟り、己の気を高める。
アークルから電撃が流れ、クウガのボディがより鮮やかになり、金の装飾や、足にマイティアンクレットが装備される。
その姿の名はライジングマイティ。
究極の力の一部を引き出したライジング形態の一つ。

「おりゃああ!」

クウガのラッシュがガドルに入っていく。
だがライジングフォームの腕力をもってしてもガドルは僅かに後ずさるのみ。
さらに力をこめたパンチがガドルの頬に打ち込まれると同時に、ガドルの拳が腹部にめり込む。

(やっぱり強い・・・・!)

やはりこの前のようにはいかず、ガドルには微かなダメージしかない。
それでも諦めずに立ち上がって攻撃を加える。
神速の拳がガドルの胴体を押していく。
何十発と放たれる拳にはさすがのガドルも怯んだ。
攻撃を休めることなく真っ直ぐにストレートを放つが、単調な攻撃であるゆえに受け止められてしまう。

「ヌンっ!」

体が宙に投げ出され、背中を地面に思いっきり打ちつける。
普通の人間だったら死んでいるかもしれない。
体制を立て直し、何か勝つ手段はないかと考える。

「こうなったら・・・・!」

方法は2つある。
1つは凄まじき戦士、アルティメットフォームへ変身すること。
アルティメットならばほぼ確実に勝つことできるだろう。
だが強大な力を持つ反面、暴走の危険性がある。
そうなってしまってはおしまいだ。
ならば2つめ。
それは上位形態であるライジングのさらに上位形態であるアメイジングへの変身。
たしかにアメイジングもアルティメットには遠く及ばないが、それでも強力な力を持っている。
実際この形態でガドルを倒したのだから。
しかしアメイジングで今度もガドルに勝てるかどうかは分からない。
それでも選択の余地は無い。

「やるしかない!」

雄介がそう決意した瞬間だった。

「待てよ・・・・そいつは俺の獲物だ」

ゴウガの敵である存在、王蛇が現れた。

「あなたは!」
「そこのモンスターには俺のモンスターの餌になってもらう。邪魔をするな・・・」
「ほう」

自らを餌呼ばわりしたライダーにガドルは興味を持った。
このライダーはさっきまでの奴らとは違う。そう感じた。
王蛇はベノバイザーを構えた。
もう片方の手に持っているのは一枚のカード。

「このカードも試せるしなぁ」

   ユナイトベント

ゼロも所持しているユナイトベント。
だがその効果は異なり、王蛇の3体の契約モンスター、ベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバーが合体する。
そして誕生したのは全てを飲み込む獣帝。

ジェノサイダー 降臨。

その迫力にクウガすらもたじろぐ。
王蛇はその光景を愉快そうに見つめた。

「これで戦いがもっと面白くなる・・・」




























「ここまでくれば安全か・・・?」

孝幸を地面に降ろして一息つく集。
いまだに気絶したままだがじきに目覚めるであろう。
そうしたら・・・

「そうしたら・・?」

そうしたら自分はどうする。
また戦うのか?
自分を助けてくれた恩人と?
何の罪も無い者を殺すのか?

「そんなことは」

するしかない。
もう後戻りはできない。
すでに1人殺してしまった。
なら何人殺そうと同じ。
それならば。

「いやだ・・・・」

今殺してしまおう。

「そんなことはしたくない!!」

集の意思とは関係なく変身してしまう。
必死に抵抗しようとするが、体はそれと反対の行動をとる。

   ソードベント

自分でも何をしようとしているのかわかる。
でもそんなことはしたくない。
やるにしても正々堂々戦いたい。
体はそれを拒否した。

「やめろぉ!デネブぅぅぅぅぅ!!」

邪悪な意思の命じるまま剣を孝幸の首筋に当てる。
孝幸は目覚めぬまま。

「うわあああああああああああああああああああああああ!!」

戦士の大いなる瞳は邪悪なる意思に葬られようとしていた。


















tobecontinued














次回予告





「もう俺には戦えません!」
「リントは本当に変わったようだな」

   ファイナルベント

「おらあっ!」
「君が迷ったり悩んだりすることは悪いことじゃない。むしろ必要なんだ」
「それを全部ひっくるめてあるものが君なんだから」

EPISODE29 豪我


















突っ込みや指摘、感想待ってます!それでは!