龍騎X 第10話 「遠のく真実」 | Dの悲劇

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へっぽこ高校生のライダーブログ

 



「ちょ、ちょっと待ってください!本当になにも覚えていないんですか!?」
「朝日」の寝室。
龍次は目覚めた女性が自分の過去を知っている。そう思ったのに

「ごめんね。なにも覚えてないの・・・・・。」

女性は龍次に申し訳なさそうに言う。

「そんな・・・・・・・。」

龍次はがっかりしてその場に座り込んだ。

「やっと・・・・・過去の手がかりを見つけたと思ってたのに・・・・・・。」

女性は申し訳なさそうにうつむいていたが、ズボンのポケットになにかが入っているのを見つけた。

「これなにかな?」

財布だった。

「あれ。名札がついてる。名前は・・・・・・、へえ私の名前って真美って言うんだ。」

龍次は顔を上げて名札を見つめる。

「財布に名札・・・・・・・。俺と一緒だ。」
「え?君も記憶がないの?」
「ああ。俺の名前は龍次。唯一思い出せるのは君といっしょにいて、別れた時だ。」
「へえ~。じゃあ私たち記憶を失う前は恋人同士だったってこと?」
「いや~・・・・そこまではまだ分からないかな・・・・・。」

二人はそのまま黙りこくった。
(意外とかわいいな・・・・・。)
真美を見つめながら龍次は思った。
(記憶を失う前は俺と真美はどういう関係だったんだろうか・・・・。)
じっと真美を見つめていると、彼女は再びポケットを探った。

「こんなのも入ってたよ。」

それを取り出して龍次に見せる。

「そ・・それは・・・・・・・!!」

真美が持っていたのはブランクのカードデッキだった。


















一通り話をした二人は店に降りてきた。

「あ、龍次君彼女起きたのね。」

マスターは安心した様子で声をかけてきた。店には蓮と集と孝幸がおり、集と孝幸は二人で談笑しており、蓮は険しい顔でコーヒーを飲んでいた。
龍次は蓮の隣に座って話しかけた。

「蓮どうしたんだよ。そんな顔して。」
「お前には関係ない。」
「んだよ。冷たいなあ。」

龍次は頬杖をつきながら水を飲む。
(貴様には一生関係ないことだとよかったんだがな。)
蓮は龍次を横眼で見ながらそう思った。









「え!じゃあここに住んでもいいの!?」
「記憶が戻るまではここにいるといいよ。」
「やった!」
「ただし暇なときは店を手伝ってね。」
「はーい!」

マスターから住み込み許可をもらった真美はその場で飛び跳ねて龍次の所に行った。



「龍次ー!」

「ん?」
龍次が声のした方を向くと、

目の前に拳があった。

「あ?」
次の瞬間龍次は真美のパンチを食らって、椅子から転げ落ちた。

「のわあああ!?」

蓮は驚いて動きが止まり、集はコーヒーを吹きだし、孝幸は慌てて龍次に駆け寄った。

「ちょ、ちょっと!龍次さん大丈夫ですか!?」
「ご、ごめん!」
「ケホッケホッ、なんでいきなり龍次の事殴るんだよ。」

せき込みながら集が尋ねても真美は首をかしげるだけだった。

「癖、かな?」
「なんじゃそりゃああ!!」

龍次は立ち上がって

「大丈夫ですよ集さん。きっと記憶がなくて困惑してるだけですから。」
「そうなのか?」
「ええ。そうだろ?真美。」

真美は許してもらって笑顔になって

「ありがとう!龍次!」

再び龍次は殴られた。

「ごはあ!!」
吹っ飛ぶ龍次を見ながら蓮は呟いた。
「嬉しくなると人を殴る癖か・・・・・・・・・。」




「マスター!コーヒー!!」

要が来店した。
だが、真美の姿を確認した途端、要の顔が青ざめた。

「まままままま、真美ぃ!?なななんでこんな所に!!」
「え!私の名前を知ってるの!?」

要はしまった、という顔をして店を大慌てで出て行った。

「待って!」

真美もそのあとを追って店を出て行った。
店内はしばらく呆然としていたが、外から悲鳴が聞こえてきたのを聞いて孝幸がやれやれといった様子で店の外に出て行った。
マスターはそんなのもお構いなしに龍次にテレビを見せた。

「龍次君この人見たことない?」
「え?」

テレビのニュースでは男性の顔写真が映し出されていた。

「この人はね、友達の会社で働いてた見習いの記者だったんだけどね。行方不明になったんだって。だから僕も心配で心配で。」

その男性の名前は

「・・・・・・城戸真司・・・・・。」





















孝幸は真美に殴られて倒れていた要と真美を店に連れて帰ってきた。
要は龍次と蓮に二階に運ばれて、真美は集にこっぴどく叱られていた。
蓮は要を椅子に縛って逃げられないようにした。

「さあ、お前の知っていることを全部洗いざらい吐いてもらうぞ。」
「そうだそうだ。」

要は澄まし顔で答える。

「現時点答えられる限りならな。」
「聞こえなかったのか?ぜ・ん・ぶだ。」
「何が知りたい?」
「なんでお前のデッキはこんなに強力なカードがある。」
「ああそれね。それは俺が常にサバイブだから。」
「サバイブ?」
「仮面ライダーの強化体だよ。サバイブのカードを使えばライダーとモンスターを強化できる。」
「じゃあそのカードを出してもらおうか。」
「断る。」
「お前に拒否権はない。」

蓮が要のポケットからデッキを出そうとすると、

「いいのか?俺のモンスターが黙ってないぜ?」

鏡の向こうからバーニングフェニックスが蓮を威嚇していた。
蓮は諦めて手をひっこめて、次の質問をする。

「なぜあの女の名前を知っている?あのタイミングじゃ真美の名前は聞き取れないはずだ。」
「いえねーな。」
「貴様・・・・・・!」
「蓮落ち着けって。おい要、せめてそれぐらい教えろよ。」

龍次に言われて、要は仕方ないといった様子で答える。

「じゃあこの縄をほどけ。そしたら教えてやる。」

龍次は言われたとおり要を縛っていた縄をほどいた。

「ほどいたぞ。さあ教えろ。」

要はにやりとした。その手にはデッキが握られている。

「・・・・・!龍次!そいつをとり押さえろ!!」
「遅い!」

「変身!」

フェニックスは窓から飛び降りて走って行った。

「逃げられたか・・・・・・・・。」

蓮が悔しそうに窓を見つめていると、フェニックスがいた場所に一枚のメモが落ちていた。
それには

真美を連れて丈大広場に行け

と書かれていた。















その話を影で聞いているものがいた。
(驚いたな。まさか蓮と龍次、それに要がライダーだったとはな。できれば三人とは戦いたくはなかったが・・・・・・・・・。)
集は頬に傷を作ってその話を聞いていた。
ちなみに傷は説教が終わった途端に真美に殴られたときにできたものだ。
集は目を鋭くさせる。
(だれが相手だろうと俺は勝ち残る!蓮、龍次、要!覚悟しろ!)


















丈大広場。
龍次は真美を連れてそこに来ていた。

「ねえ龍次。そのデッキ返してよ~。」
「駄目だ。」

ブランクのデッキは自分があずかることにした。もしかしたら真美もライダーになるかもしれない。だが真美には戦いは無理だ。だから自分があずかった。

「けち~。」
「お前のためだ。」
「私のため?うれしい!」

ドゴッ

「グヘッ!」
「あ、またやっちゃった。」
「い・・・・痛い・・・・・。」

龍次は頬をさすりながら歩く。

「にしてもここに何があるっていうんだよ。」

丈大広場は人でにぎわっているが、それもごく普通の人たちだ。

「おいそこのあんた。」

突然声をかけられた。
辺りを見回す。

「こっちだ。」

振り向くと、赤いジャケットを着た男が手招きをしている。
近寄って話しかける。

「誰だ?あんた。」
「俺の名は手塚海之(てづか みゆき)。占い師だ。あんたを占ってやるよ。」

手塚はコインを投げて目をつむる。

「・・・・・・なるほどな。」
「悪いけど俺は占いは信じないんだ。」
「安心しろ。俺の占いは当たる。」
「はあ?」
「今日俺は一人のライダーに遭遇すると占いが出ていた。あんたのことだったんだな。」
「お前・・・・まさか。」
「その通りだ。」

そう言って手塚は紅色のデッキを見せる。

「俺は仮面ライダーライア。この戦いの運命を変えるために戦っている。」

龍次はその言葉に目を輝かせる。

「じゃああんたは戦う気はないんだな!」
「もちろんだ。」
「よかった~!やっとまともそうなやつに会えたよ。」
「その口ぶり。お前も戦いには反対か。」
「ああ!俺は龍次。仮面ライダー龍騎だ。」
「かめんらいだー?」
「あ。真美は黙ってて。」
「ちぇ。」

真美はふてくされてその場に座り込む。

「話を戻すぞ。俺はお前がこれからすべきことを占った。結果は・・・・・・・。」

手塚は広場にいる長身の男を指さす。

「あいつを追え。」
「追ってどうするんだよ。」
「あとはお前次第だ。」
「それでいいのか~?」
「俺の占いは当たる。」

龍次はため息をついてその男を追った。

「あ!龍次待ってよ~。」

龍次を追おうとする真美を手塚は呼びとめる。

「お前も占ってやる。あいつはすぐもどってくるから安心しろ。」
「え!やったあ!」

ドゴッ

「私の過去を教えて!」
「・・・・・・ッッ。わかった。」

手塚は鼻を押さえながらコインを投げる。
その脳裏に写ったビジョンは・・・・・・・・・・・。





























一方龍次はその男を追っていた。だが、角を曲がった途端に男の姿が消える。

「あ、あれ?どこに行った?」

「俺をお探しか?」

後ろにその男が立っていた。

「い、いや。別に。」
「とぼけなくていい。俺みたいなやつをつけるとしたら・・・・・・。」

「ライダーですか。」

いつの間にか男がもう一人立っていた。

「・・・・・・須藤。」
「お久しぶりですね北代矢(きた だいや)。」

龍次はその声を聞いて首をひねる。

「どっかで聞いたことがあるような・・・・・。」
「おや龍騎あなたもいるのですか。」
「あ!シザースか!」
「ほうこのストーカーもライダーか。」
「ストーカーじゃねえよ!」
「あなたにようはない。私の目的は彼との決着です。」
「のぞむところだ。」

二人はお互いを睨みつけながらデッキを構える。
 
「「変身!!」」

須藤はシザースに。代矢はキリンのライダー、レガシーに変身した。
それぞれはミラーワールドに突入していった。

龍次も戦いを止めるためにデッキを構える。

「変身!」

龍騎もミラーワールドに突入していった。


その姿を見送ると物陰から集が現れる。

「変身!」























   ストライクベント
   ストライクベント

シザースとレガシーはそれぞれ自分の武器を構えてぶつかり合う。シザースはシザースピンチでその首を狙うが、レガシーの武器、キリン型の契約モンスターの首の部分を模した格闘武器、ブレイブネックで攻撃を防ぐ。
その隙にシザースの腹に蹴りをお見舞いする。

「今だ!」

ブレイブネックを伸ばしてシザース突く。シザースは痛みをこらえて立ち上がる。

「どうしました?この程度ですか?」
「減らず口を叩けるのも今のうちだ・・・・・・・・!」

シザースは仮面の奥で笑っていた。





















「ライダー発見っと。」

ゾルダは二人の戦いを上から見ていた。奴らが隙を見せた瞬間に攻撃を仕掛けるつもりだった。

   シュートベント

ギガランチャーを構えて時を待つ。
(どれだけ卑怯といわれようと俺は生き残らなくちゃいけないからな。)


















戦場に一向に現れない龍騎。一体どうしたというのか。それは

「おい!邪魔すんな!俺は戦わないって!」
「じゃあそのまま死ね。」

ゼロに行く手を阻まれていたからである。

「行くぞっ!」
「くそう・・・・やるしかないのか!」

   ソードベント
   ソードベント

ドラグセイバーとゼロソードがぶつかり合う。だが力ではゼロの方が勝っていた。ゼロは攻撃の手を緩めずにあらゆる方向から龍騎に剣を振るう。龍騎はそれを弾くので精いっぱいだった。
しかしゼロは新たなカードを発動する。

   シュートベント

大型の銃、ゼロバスターを召喚して龍騎にエネルギー弾を連続で発射する。

   ガードベント

龍騎もドラグシールドを召喚して、攻撃を防ぐがその勢いは凄まじく、徐々に後退する。

   アドベント

ゼロは契約モンスター、デネブを召喚する。デネブは龍騎の後ろに回り込んで後ろから砲撃する。

「うがあああああああっっ!!」

龍騎は悲鳴をあげて倒れた。

「さっさと止めをさすか・・・・・・・。ん?あれは・・・・・・・。」

ゼロ達のすぐ近くでシザースとレガシーが戦っていた。

時は来た。















ゾルダは下に降りてカードを取り出す。チャンスは今しかない。マグナバイザーにカードをセットする。

   ファイナルベント

地面からマグナギガが現れる。攻撃準備は整った。















シザースはゾルダの存在にとっくに気付いていた。自分は腐っても刑事なのだ。それくらい気付く。そしてゾルダが降りてきたのを確認するとカードを発動する。

   アドベント

ボルキャンサーを召喚してレガシーに向かわせる。レガシーがボルキャンサーに気を取られている隙にシザースはゾルダからできるだけ距離を取った。
ゾルダは遠距離の攻撃に特化したライダーだ。とうぜんファイナルベントも遠距離用だろう。
すでにゾルダはファイナルベントを発動している。
作戦は完璧だ。
















マグナギガの体に搭載された全ての武器の砲門が開いた。狙いはライダーたちだ。
マグナギガの背中にマグナバイザーをセットして引き金を引いた。
ゾルダの必殺技、エンドオブワールドを発動した。






無数のミサイルや弾丸が龍騎、ゼロ、レガシーに迫った。
龍騎とゼロは少しでもダメージを軽減しようとその場から退避する。完全な回避は不可能だが。
だがレガシーのとった行動は違った。
レガシーの腕に付いている、レガシーバイザーにカードをセットした。

   シャッフルベント

そのカードの効果は対象の相手と自分の位置交換。そしてその対象はシザースだった。
次の瞬間、シザースの目の前には無数のミサイルがあった。

「なっ・・・・・!!」





その一帯は大爆発を起こした。

「「「ぐわああああああああああああああああああ!!!!!!」」」

龍騎、ゼロ、シザースはその爆風によって吹き飛ばされた。
しかもシザースはその衝撃でデッキが破壊された。

「これで脱落だな。」

ゾルダはそう呟いて去って行った。





シザースはその変身が解除され、生身をさらけだした。
そしてその背後にはボルキャンサーが唸りを上げていた。
デッキが破壊されたことにより、ボルキャンサーとの契約が解除されたのだ。
「ばっばかな!!私はこんな所で死ぬわけには・・・・・ッッ!!」
ボルキャンサーは須藤を餌とみなした。

すなわち








グガァアアアアぁああ!!!!ぎゃあああああああああ!!!うがぁ!!ああああああああああ!!!!」





須藤雅史はボルキャンサーに跡形もなく食われてしまった。


仮面ライダーシザース 脱落















手塚は真美の占い結果を知った。
そして真美の過去のビジョンは・・・・・









(これは・・・・・ライダーバトル?)

龍騎、ナイト、ゾルダ、ライア、そして見知らぬ紫のライダーが戦っていた。だが龍騎とナイト、ゾルダとライアと紫のライダーはそれぞれチームで敵対しているようだった。
そしてそれぞれのライダーがファイナルベントを発動。

光に包まれた・・・・・・・・・・・。



そこでビジョンは終わった。




(今のはいったい・・・・・・・・・・。)

手塚は真美の目を見つめた。
そこにあるのは純真な心だけだった。
















to be continued






やっぱ長いなあ。今回はちょっと読みづらいかもしれませんね。すいません。
シザース脱落は・・・・・まあ流れでこうなったっていうか。
真美のくせは嬉しくなると人を殴る、です。とんでもない基地外ですね。
ついでに真美と龍次は同い年~。
そんじゃ。