2014年。『さよなら歌舞伎町』製作委員会。
  廣木隆一監督。新井晴彦・中野太脚本。つじあやの音楽。
 前田敦子と染谷将太が主演の映画かと思ったら群像劇だった。前田敦子と染谷将太は登場人物のひとりに過ぎない。歌舞伎町のラブホテルを舞台にグランドホテル形式で14人くらいの人々の人生の一日が描かれる。
 柳下毅一郎が『皆殺し映画通信』で酷評している。酷評に値するダメでトンチンカンな映画であることに間違いないのだが、
 ダメだとわかりつつも群像劇には、嫌いになれないエピソードがひとつあったりすると、つい愛着を感じてしまいがちだ。
 かつてローレンス・カスダン監督の『わが街』(1991年)という見直してみたら全く大したことのなかった群像劇映画に感動して以来その傾向は続いている。

 アカデミー作品賞を受賞したポール・ハギス監督・脚本の『クラッシュ』も一度目は感動したので見直してみたら、本当にひどいクズ映画であることが判明した。リチャード・カーティス監督の『ラブ・アクチュアリー』も同様に酷い。ただしどちらも嫌いな映画ではない。
 失敗作とみなされているエミリオ・エステベス監督の『ボビー』に至っては見終わろうとするとき感激して泣いてしまったほどだった。
 これよりダメな『グランドホテル』形式の映画は他にもたくさんある。
 源孝志監督で菊池成孔が音楽を担当した『大停電の夜に』(2005年、つまらないなりに案外面白かった記憶もある)、三谷幸喜監督・脚本の『THE 有頂天ホテル』(酷過ぎる記憶だけが残っている)など列挙に暇がないほどだ。
 ロバート・アルトマンのいくつかの映画を例外にすれば、優れた群像劇映画は、ポール・トマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(1999年)と、吉田大八監督の『桐島、部活やめるってよ』の2本くらいしかないのではないか、という気さえする。
   公式サイト(日本)
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sayonarakabikicho

 登場する俳優の中に熱演で印象深い俳優が何人かいた。
風俗嬢役のイ・ウンユ、その恋人役のアン・チョンス、風俗嬢に夢中の村上淳、風俗スカウトの忍成修吾、家出少女の我妻三輪子、不倫警察官の河合青葉と宮﨑吐夢など、
 松重豊と南果歩の二人の台無しなミスキャストとつまらないエピソード(松重豊と南果歩のふたりは本当にひど過ぎて、気の毒なほどで、キャリア上の汚点となることだろう。)以外はそう悪くはなかったような気もしてきた。
  廣木隆一監督は以前にも、『きみの友だち』という石橋杏奈、北浦愛、吉高由里子などが出演する青春群像劇を演出していたが、あの映画も実際甘ったるい映画で大した作品ではなかったのだが、嫌いにはなれない。

 傍から見たらつまらない人物にしか過ぎない男や女のために命がけで奔走する人物たちを情感豊かに描くのはデビュー作のピンク映画、『性虐!女を暴く』(1982年)の頃から一貫している。
 現在公開中で評判の悪い『ストロボ・エッジ』も見に行くつもりである。
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