2011年05月28日(土)

★ 『マイ・バック・ページ』

テーマ:【青春】
2011年。「マイ・バック・ページ」製作委員会。
  山下敦弘監督。向井康介脚本。川本三郎原作。
 映画評論家、文芸評論家として知られる作家の川本三郎が雑誌、『朝日ジャーナル』の記者だった時期に経験した事件を中心に書いた小説、またはエッセイのようなものを青春群像劇風に映画化した作品。
 2007年の『天然コケッコー』以来、テレビでの仕事などを除けば、本格的な映画監督作品としては4年ぶりの山下敦弘監督作品なので、期待度は高かった。

 山下敦弘監督の映画は、『松ヶ根乱射事件』だけは、見終わった瞬間に、「この世にこれ以上の映画など存在するわけがない!」と思ったほどにすぐに反応できたが、
 『リンダ リンダ リンダ』や、『天然コケッコー』などは、最初はなぜこんな題材をこんな風に取り扱うのか、すべてに戸惑いを感じた、その後、見直したりするうちにじわじわとその素晴らしさに取りつかれていった、ということがあった。

 この『マイ・バック・ページ』の場合は、『松ヶ根乱射事件』と『天然コケッコー』との中間くらいの感じで、
 なぜいまさら1970年を描くのか、しかも松山ケンイチは『ノルウェイの森』で同じ時期の人物を演じたばかりだし、予算の少なさが画面に反映してもいて、さえたクールなカメラもない。

 しかし、この作品は全部が実際に起こった出来事にもとずいている、という点が『ノルウェイの森』とは大きく異なった点で、その上、若松孝二監督などとは違って、事件当時には生まれてさえいない監督も含めたスタッフや俳優によって作られている。

 最大の見どころは松山ケンイチと妻夫木聡という日本映画の未来の鍵となる二人の共演にあったが、
 映画を見たときは、主役以外でみょうに気になる俳優が何人かいれば、その時点でその映画は成功だと思う。今回は、惣那汐里、中村蒼、石橋杏奈、古館寛治、あがた森魚などが印象に残り、気になる俳優となったので、成功している。

 一見すると、起伏にとぼしいストーリーで、エモーションもラスト・シーン以外には存在しないみたいにダラダラしている。
 ダラダラした感じは『リンダ リンダ リンダ』を連想させるが、次第にそうか、あの時代もダラダラしていたのだ、ということに思い当たり、現在とつながった時間の流れにある物語としてこの映画を再度感じとったような気になった。
 
 映画の中で語られるアメリカン・ニューシネマの『ファイブ・イージー・ピーセズ』と『真夜中のカーボーイ』を再発見するような映画にもなっていて、2本とも1度みたきりで、つまらない映画だと思っていたが、

 最後に妻夫木聡がエモーショナルに泣き崩れながら、知人の前なので照れ笑いを浮かべながらも、泣き崩れることを止めることが出来ない、
 というラスト・ショットで妻夫木聡は素晴らしい俳優になったものだ、やはり『悪人』でひとまわり大きな演技者になったのか、
 と思うと同時に、『ファイブ・イージー・ピーセズ』のジャック・ニコルソンと、『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマンとジョン・ボイトと妻夫木聡とが共鳴し合っている瞬間にも見えてきて、
 世界中の全部がつながってくる、という『松ヶ根乱射事件』で感じた感覚がよみがえってくるような不思議な心持ちになった。
 この映画は傑作に違いない、マルコ・ベロッキオの『夜よ、こんにちは』みたいな大傑作と比較すると見劣りするが、ダラダラし過ぎているのでヒットはしないだろうが、それでも新鮮さはところどころにあり、もう一度見直すとさらによく見えるような気にもなり、もう一度見直してみたい気もするので、とりあえず傑作だと思っておこう、と思った。
       公式サイト
映画の感想文日記-mybackpage1
 トリックスター的な恒常的なうそつきの梅山(松山ケンイチ)に周囲の人々が振り回されて、取り返しのつかない事態に陥るまでの物語。
 「赤衛軍事件」という実際には存在しない組織の名をかたって自衛隊基地への侵入と自衛官殺害事件を引き起こした実在の人物がモデルだけに、当事者にとってはしゃれでは済まされないことなのだろうが、
 松山ケンイチの好演もあり、映画の作りとしては面白いことになってきた。
 土本典昭監督の『パルチザン前史』で大阪のオモロイおっさんぶりが炸裂していた滝田修の無実の罪による10年以上にわたる逃亡生活も、この映画で、なるほどそういうことだったのか、とつながってきた。
映画の感想文日記-mybackpage2
 登場人物は意図的にキャラクター描写が平坦でマンガみたいにペターっとして見えるような印象が強いが、それでも中村蒼、惣那汐里、古館寛治などは押さえ込めきれずに立体的に飛び出してくるような感じで、強く印象に残る。今後が気になる俳優となった。
映画の感想文日記-mybackpage3
 川本三郎の著書といえば、図書館にしかない絶版状態の村上春樹との共著、『映画をめぐる冒険』という映画を何百本か紹介した本があった。
 川本三郎のセンチメンタル野郎ぶりと、村上春樹の映画についての意外に浅はかなアマチュア的意見など、両者にとっても封印してなかったことにしてしまいたい本なので再版も文庫化もされないのかも知れない。
 川本三郎は何冊かは読んだことがあったが、これまで特に興味はなかったが、いろいろ著書を読んでみたくなった。同時にこれまで無関心だった村上春樹にもなぜか興味が出てきた。
 やはり山下敦弘監督の映画は脳を活性化させる作用が強力なのかもしれない。
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