2011年05月23日(月)

★ 『ジュリエットからの手紙』

テーマ:【ラブコメ/ ロマコメ】
2010年。アメリカ。"LETTERS TO JULIET".
  ゲイリー・ウィニック監督。
 『ロミオとジュリエット』の舞台となったイタリアのヴェローナには、ジュリエットの生家という観光名所があり、そこには世界中から恋の悩みについての手紙が毎年5000通以上届けられているという。
 地域振興のために観光局がでっちあげたみたいな話だが、その観光名所を舞台に、偶然発見された50年前の手紙をモチーフに語られる長い年月をへだてた純愛物語。

 何となく、『舞踏会の手帖』(1937年)という古いフランス映画と、『氷壁の女』(1983年)という傑作を連想した。
 『舞踏会の手帖』は数十年前の舞踏会の手帖を見つけた孤独な女性が、過去に出会った男性たちを訪ね歩くセンチメンタルで残酷な物語だったが、多少はこの映画のヒントにはなっているのかも知れない。
 『氷壁の女』は、山で50年くらい前に遭難した青年の死体が氷づけになって50年前の若々しい青年の姿のままに発見されるエピソードがあり、かつての恋人でいまは老婆になってしまった女性が若々しい青年のままに眠っているような青年の死体を見つめるシーンが、ロマンチックさと残酷さと時間の流れの無情さと他にもいろいろな要素が混じり合って複雑な感慨を呼び起こすシーンとなり、老婆の何とも言えない視線が強く印象に残っている。

 しかし、この映画はそんな深刻さとは無縁の、軽さが持ち味のロマンチック・コメディの形式で作られている。

 ところが、クライマックスの場面で、ある違和感が発生した。フランコ・ネロが登場したからだった。
 フランコ・ネロを最後に見たのは、ファスビンダーの『ケレル』(1982年)というジャン・ジュネの『ブレストの乱暴者』という戯曲を原作にした映画だった。
 5年ほど前だったか、ヴェンダースの失速(やる気をなくした?)と時期を同じくして、ファスビンダー・ブームが起こり、DVDボックスが次々に発売されて、その中の1本に『ケレル』があった。
 ジャン・ジュネなど1冊も読んだことがないので不明だが、濃密なゲイ的な空間で繰り広げられる男たちのドラマには、せりふの難解さもあり、さっぱりわけがわからなかったが、すぐにシャツを脱いで上半身裸になる水兵たちのオイルを塗っててかてかと光り輝く肉体美が強烈なイメージとして残っている。
 フランコ・ネロはゲイではない海軍の将校みたいな役だったが、ののしり合いか殴り合いの場面で相手との間にホモセクシャルな空気が流れる瞬間があった記憶がある。

 そんなフランコ・ネロがさっそうと白馬に乗って登場する。白馬に乗った王子というより白馬に乗ったマフィアのドンといった印象が強い。おそらくかたぎではないだろう。ぶどう農園の経営をしているという設定だったが、過去には何人かの男たちを直接にではないにしろ殺してきたはずだ。多くの女性を泣かせてもきただろう。
 俳優としてのキャリアからも、どうしてもそんなイメージしか浮かばない。
 フランコ・ネロが運命の恋人を演じることに対する違和感が最後までつきまとい、(現実にはヴァネッサ・レッドグレーヴの実生活での夫であるので妥当なキャスティングなのかも知れないが、やはり映画だとイメージが優先してしまう。)、なぜこんな荒くれ者のギャングみたいな男性に恋したのか、不思議な感覚だけが残った。
 危険な雰囲気の男に魅力を感じる女性だったのかも知れない。
    IMDb        公式サイト(日本)
映画の感想文日記-juliet1
 イタリア料理のレストランの開業準備で多忙なヴィクター(ガエル・ガルシア・ベルナル)とソフィ(アマンダ・セイフライド)とは婚約中だが、開業前にイタリアへ婚前旅行に出発する。
 『ジェニファーズ・ボディ』でミーガン・フォックスの心臓をひと突きで刺し殺したアマンダ・セイフライドはタフなジャーナリストの役で、「ジュリエット・レター」を取材することになる。
 終始ハイテンションだったガエル・ガルシア・ベルナルは後半で出番が減ると同時に、かませ犬的な役割だったことが判明する。
映画の感想文日記-juliet2
 ソフィはジュリエットの生家で偶然50年前の「ジュリエットへの手紙」を発見する。
映画の感想文日記-juliet3
 手紙を置いていたのはロンドンに住む老婆クレア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)だった。ソフィからの連絡でヴェローナにやって来たクレアだったが、
 心配した孫のチャーリー(クリストファー・イーガン)が付き添いとして同行する。チャーリーがイケメンだったことで、これはソフィとの間に何かが起こるぞ、ということが容易に予想された。
映画の感想文日記-juliet6
 ヴァネッサ・レッドグレーヴといえば、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『欲望』(1966年)が代表作のひとつだが、若い頃はきつめの顔立ちだったのが、穏やかな雰囲気の老婦人になり、『いつか眠りにつく前に』での好演も記憶に新しい。
 よほど幸福で穏やかな人生を歩んできたのだろう、と思ったらキャリアをみると、波瀾万丈の人生で相当に苦労の多い人生を過ごしてきたようだが、なぜ穏やかな雰囲気を持っているのかが不思議だった。
映画の感想文日記-juliet4
 ともに行動するうちにソフィとチャーリーとは次第にひかれ合っていく。ソフィは婚約中の身でありながら、ちょっと不謹慎な気もしたが、ガエル・ガルシア・ベルナルのキャラクターとは最初からうまくいきそうにないムードだったので、許せる範囲ではあった。
映画の感想文日記-juliet5
 運命の再会を果たしたクレアからニューヨークに戻ったソフィのもとへ驚くべき内容の手紙が届く。
 最後のパーティー場面が『ゴッドファーザー』のオープニングのパーティーの場面にそっくりなのは、イタリア式だから当然なのだろうが、やはりフランコ・ネロはかたぎではなかったのか、とつい連想してしまうのはちょっとおかしかった。
ジュリエットからの手紙 [DVD]/アマンダ・セイフライド,ガエル・ガルシア・ベルナル,クリストファー・イーガン
¥3,990
Amazon.co.jp
新訳 ロミオとジュリエット (角川文庫)/シェイクスピア
¥460
Amazon.co.jp
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

asphaltさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。