2011年05月15日(日)

★ 『ブラック・スワン』

テーマ:【ホラー/ スリラー】
2010年。アメリカ。"BLACK SWAN".
  ダーレン・アロノフスキー監督。
 これまで、さまざまなジャンルの映画に出演しては、清純派女優のイメージを破壊しようと苦労してきたナタリー・ポートマンだったが、全部が失敗している。
 クライヴ・オーウェンやジュード・ロウと共演した『クローサー』でも無理しているのが痛々しく感じられるほどで、無惨な結果に終わっている。『ダージリン急行』での下着シーンも、こんなノーセクシーな女優も珍しいと思われたほどで、セクシー度ゼロの女優の代表選手と化している。アメリカ版の中谷美紀みたいなものだろう。
 そういう自分のイメージをあえて引き受けて、清純なバレリーナのか弱い精神が崩れ去っていく物語の主演をつとめた。
 ナタリー・ポートマンだからこそ演じることが出来た役柄で、これは大成功だったように見える。

 思いのほか、軽い作風の映画で、ほとんどB級スリラー映画、またはB級ホラー映画と言っても良いほどで、どことなく似たところのあるダリオ・アルジェントの『サスペリア PART2』や、『サスペリア』みたいな格調の高さ(?)はないが、心理サスペンス映画としては、それなりに良く出来ていて、
 ナタリー・ポートマンが『サスペリア』のジェシカ・ハーパーと重なって見える場面もあった。

 ダーレン・アロノフスキー監督の映画を最初に見たのは、『ファウンテン 永遠に続く愛』という駄作として名高い映画で、深遠な哲学映画みたいに見えて、実は薄っぺらで浅はかな思考しかない、という問題作だったが、そのせいでダーレン・アロノフスキー監督はダメ監督の筆頭に位置している。
 その後の『レスラー』も世間での評判ほどに良い映画だとは思えなかった。すべては『ファウンテン 永遠に続く愛』があまりにもくだらな過ぎた効果だった。

 しかし、妻であるレイチェル・ワイズの心の支えもあったのか、『レスラー』が高い評価を得たことで自信を取り戻したのか、いつまでもダメ監督のままではいられない、と奮起したのか、
 これまでの深遠ぶった気取りを捨て去り、「どうせ俺はB級映画の演出家なのさ!」と開き直ったのか、この映画では、異常なまでにさえた配役の効果もあり、
 いろいろ気になる点もあったり、こんなB級サイコホラー映画がアカデミー賞にノミネートされたのは変だと思ったりもしたものの、
 ダーレン・アロノフスキーのこれまでの最高傑作だと思われたほどには面白かった。
    IMDb          公式サイト(日本)
映画の感想文日記-blackswan1
 ニナ(ナタリー・ポートマン)の心の不安定さが常軌を逸しているさまが、鏡を多用することで表現されている。鏡の使い方がもうちょっと上手に出来ないものか、と思われなくもなかったが、ほとんどの場面に鏡が使われていたので、美術スタッフとの打ち合わせなどで意思の疎通がうまくいかないこともあったのだろう。
 神経が鋭敏になりすぎて、幻覚を見てしまうエピソードがそれほど不自然には見えなかったので、成功しているとみなして良いのかもしれない。
映画の感想文日記-blackswan2
 ニナを大役に抜擢し、鬼のように特訓するのがヴァンサン・カッセルというキャスティングが素晴らしい。これだけで、この映画が面白くなった。
 いつものぎらついたチンピラヤクザ役ではなく、スマートで知的でありながら、ヴァンサン・カッセルであるからには、ただでは終わらない、という期待感もあり、ヴァンサン・カッセルにしては紳士的過ぎたが、物語を盛り上げる要素にはなった。
映画の感想文日記-blackswan3
 ニナが心のバランスを崩していくきっかけとなったリリー(ミラ・クニス)。実際は気さくな人柄だったようだが、ニナの眼には、彼女を主役の座から引きずり下ろそうとするブラック・スワンそのものに見えてくる。
 酔っ払ったニナがリリーとベッドの上でレズビアンごっこをする妄想シーンが最大の見せ場にもなっていて、ナタリー・ポートマンの俳優キャリアの上でも最大のチャレンジだった。
 コメディ映画での印象が強いミラ・クニスだが、ここでは背中のタトゥーも利いていて、こわい女のイメージに沿った行動(実際はニナの妄想か幻覚)を見せる。
映画の感想文日記-blackswan4
 かつて栄光の時代があったが、現在は見捨てられた存在で、周囲の人々から哀れみと同情のまなざしで見つめられる、という役をウィノナ・ライダーが演じているが、現実のウィノナ・ライダーとかぶり過ぎていて、これは残酷だが、こういう役を引き受けたからにはウィノナ・ライダーにも何か思うところがあったのだろう。
映画の感想文日記-blackswan5
 過保護で娘に夢を託して、彼女を押しつぶしてしまう恐ろしい母親役のバーバラ・ハーシーもすばらしい。
 母親の部屋に飾られた絵の眼が一瞬動くシーンは『サスペリアPART2』そのものに見えた。

 『ブルーバレンタイン』を見た後だったせいか、どうしても軽薄な映画に見えてしまったが、軽薄で薄っぺらな映画にもすぐれた作品はある、ということの証明にもなっていたようにも見えた。
 世評で言われているように、今敏監督の『PERFECT BLUE パーフェクト・ブルー』には確かに良く似ている。パクリではないかも知れないが、そっくりな印象がある。 『イヴの総て』(1950年)を連想させる部分もちょっとあった。
 当然ながら、美内すずえの『ガラスの仮面』も連想させられる。
 元ネタ(パクリネタ?)になっているらしいロジェ・ヴァディムの『血とバラ』(1962年)と、パウエル&プレスバーガーの『赤い靴』(1948年)は見ていない。
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