2011年04月16日(土)

★ 『冷たい熱帯魚』

テーマ:【ホラー/ スリラー】
2010年。日活。"COLD FISH".
  園子温監督・脚本。
 上映時間が約2時間30分、最近だと途中でつい、うとうとしてしまう場面がどこかにあるものだったが、この映画については、全く眠気など感じるひまはなく、超ハイテンションで最初から最後まで突っ走って、あっという間に終わってしまった。
 韓国映画の『悪魔を見た』を見たときに、日本映画でなぜこういう作品が出来ないのだろうか、日本映画は心底ダメだなあ、特にこの数年の日本映画はほぼ全滅状態で死に体にある、と思ってしまっていたが、
 (それ以前にも、比較的最近だと、同じく韓国映画の『シークレット・サンシャイン』、『チェイサー』、『母なる証明』、『息もできない』などを見たときに、同じような思いを抱いていた)、
 否、すぐれた企画、すぐれた脚本と演出、素晴らしい俳優が集まれば、さらに国際市場を視野に入れることのできるプロデュース能力のある人物が参加すれば、日本映画でもこんなにすごい映画を製作することが可能だったのだ、
 今、まさに私は世界に誇ることができる日本映画を見た、と思って、すがすがしく誇らしげな気分にもなった。

 『悪人』や、『告白』などは、実際のところは、外国人に見られたらちょっと恥ずかしいレベルの作品だったので、「日本映画にもたまにはすぐれた作品もあるのですよ。」と思わず弁解したくなるような気持ちがあったが、
 この『冷たい熱帯魚』に関しては、堂々と胸を張って、「どうです?アメリカ映画で最近これに匹敵するようなものが果たしてありましたでしょうか?正直なところは何もないんじゃありませんか?」と逆に質問したくなるような気分にさえなった。
 おそらく、想像(妄想)でしかないが、たぶん、間違いなく、『ミスティック・リバー』や、『チェンジリング』のクリント・イーストウッドも、この『冷たい熱帯魚』を見たら、「参りました。脱帽です。私もまだまだ努力が必要ですな。」と言うに違いない。
 『チェイサー』のナ・ホンジン監督も、「やられた!私の敗北です。」と語り出すかもしれない。
 『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャだったら、「ああ!俺にリメイクさせてくれるプロデューサーがどこかにいないだろうか。」と嘆き始めるかもしれない。

 サスペンス映画としては一級品、超一級品と言っても過言ではないだろう。
 ホラー映画としては、トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』に匹敵する力強さを持っている、というのは言い過ぎかもしれないが、大傑作に認定されることには疑問の余地はない。
 変則的なヒューマンドラマとしても、超一級の品質を持っている、と感じた。
 コメディ映画としても、最近では珍しいくらいに場内のあちこちから笑い声が途切れることなく引き起こされていた。第一級のコメディ映画としても、すぐれている。
 人間ドラマの近年まれにみる大傑作であることには間違いないはずだ。

 映画の内容については、雑誌やさまざまなメディアでいろいろな角度から語られているので、そういうものからも影響されたあげくに、もはや何も思いつかない。
 今年の日本映画の暫定第一位の王座は確保された。おそらく年末になっても、その座は揺るがない、という予感はある。
          IMDb            公式サイト(日本)
映画の感想文日記-coldfish1
 海外の映画祭で高く評価された後の逆輸入商品という点では、『おくりびと』や、『悪人』などとも共通した経緯をたどっているが、
 はっきり言って、そんな作品と並べられたら、製作チームや配給会社も迷惑だろう。商品の質の高さがあまりに違い過ぎる。

 サム・ペキンパー監督の『わらの犬』みたいなクライマックスの場面で、主演の吹越満が、親が子に自分の命をかけて伝えるべきことを伝え、感動的なエンディングが訪れるのか、と身構えていると、娘(梶原ひかり)の予想もしなかった反応に場内はどよめきのような、失笑のような不穏な空気に包まれたが、
 親は子に何も伝えられない、そもそも伝えるべきものなど何もない、このとんちんかんで、リアルで、ぎくしゃくしたエピソードは、逆説的なヒューマンドラマのひとつとして、伝わってくる何かは存在した。
 そして、この映画は、一見すると悪ぶっているが、素晴らしい愛の物語でもあったのだ、と気づかされることになった。
映画の感想文日記-coldfish2
 金の亡者だが、基本的にはお人好しの好人物だった吉田さん(諏訪太朗)のハイスピードで展開するエピソードから、スクリーンから眼が離せなくなり、出てくる俳優の全部が素晴らしく光り輝いていた。その光とは映画の栄光の光であったに違いない。
 やはり、なかでも特別に、でんでん、吹越満、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、の主要登場人物は本当にすばらしかった。
 今年の日本映画は、『海炭市叙景』あたりでベストワンは決定か、などと思っていたが、これでよくわからなくなった。『海炭市叙景』も『冷たい熱帯魚』も、もう一度見てみたい、という強い気持ちがある、という共通点がある。
 いまだに見ていない『愛のむきだし』もなるべく近いうちに見てみよう、と思った。
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