2011年02月06日(日)

★ 『ザ・タウン』

テーマ:【アクション】
2010年。アメリカ。"THE TOWN".
  ベン・アフレック監督・脚本・出演。チャック・ホーガン原作。
 ケイシー・アフレックとミシェル・モナハン主演の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』がDVDストレートで発売されたときからアナウンスされていた映画で、チャック・ホーガン原作の『強盗こそ、われらが宿命』という日本のミステリー小説ファンの間でもちょっとは話題になったらしい原作(読んでいない)を映画化するということも、そのときに表明されていて、
 この映画の公開をひそかに心待ちにしていた。心待ちにしているくらいなら2年間の間に原作くらい読んでおくのが普通だが、そうしないところが本をいかに読まないかの現れでもある。

 期待していた主な理由は、前作の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』が相当に優秀な作品だったためで、ベン・アフレックの演出家としての手腕には、期待を持たせるだけの潜在能力が宿っているようにも見えた。

 ところが、何と演出家に徹するはずのベン・アフレックが今回の映画では主演も兼ねている。ベン・アフレック主演の映画で面白かった作品など過去には存在しないに等しいので、(『ハリウッドランド』は例外的に良かった。チョイ役で出演したときには意外と好感が持てる。)、大幅な期待度ダウンとなった。

 その代わりに、この映画では『ハートロッカー』のジェレミー・レナーが大活躍を見せて、ほぼ主役の座を奪っているようにも映ったので、良かった。
 ベン・アフレックの代わりに、もう少しよごれっぽいイメージがあり、華もある俳優(たとえば『ソーシャル・ネットワーク』での好演が光り輝いていたジャスティン・ティンバーレイクとか、キリアン・マーフィーとか、ジョバンニ・リビシとか、青春スターだが悪党役にもはまりそうなチャニング・テイタムとか)が演じていたら、ギャング映画の近年の最高傑作と称されたに違いない。
 それくらいにベン・アフレックの俳優としての存在は、この映画ではマイナス要素としてしか機能していなかった。

 しかし、ベン・アフレックの監督としての技能はやはり優秀だったことが、この大予算犯罪ドラマを見ても感じとれたので、映画自体の満足度は高かった。
 脇を固める俳優陣の活躍によるところも大きいが、アクション場面での製作スタッフの、「ど派手なシーンを見せて観客の度肝を抜いてやろうぜ!」といった向上心のあるチームワークが感じられるシーンが見られたことも大きく影響している。
 生まれ育った街、ボストンが舞台だということが演出家としてのベン・アフレックに良い影響を与えているようにも見える。
 かつて、クリント・イーストウッドの『ミスティック・リバー』を見たアフレック氏が、「イーストウッド氏は尊敬する映画監督だが、ボストンの街のことは何にもわかっていない。あんなものはボストン映画とは呼べないね。」と批判していたことからも、「俺が本物のボストンを見せてやる。」という意識が相当に強い人物のようで、それが今のところは良い方向に作用していて、
 裏ボストン観光案内映画としてもすぐれた作品のように見えた。ボストン・レッドソックスの松阪大輔も「強盗も野球もチームワークが大事。うちの近所でもよく強盗事件があります。」と感動的なコメントを寄せている。
     IMDb         公式サイト(日本)
映画の感想文日記-thetown2
 『ハートロッカー』の主演のときは、マルコム・マクダウェルの若い頃を連想させるような印象のジェレミー・レナーだったが、
 今回は、ギャング映画の帝王、ギャングの中の最もギャングらしいギャングを演じさせたら右に出る者がいなかった俳優、ジェームズ・キャグニーの再来のように映った。
 顔つきが似ていることもあるが、小柄な体にタフな精神力とオリンピック選手のような運動神経の良さ、悪魔のような魂を持ったすばしっこい男のイメージが、『汚れた顔の天使』(1938年)や『民衆の敵』(1931年)でのジェームズ・キャグニーを連想させる。
 死にざまのかっこ悪いかっこ良さもジェームズ・キャグニーのイメージに重なる。
 いつの日か、ジェームズ・キャグニーのギャング映画の最高傑作、『白熱』(1949年、世界一のギャング映画)みたいに素晴らしい映画に参加する日が来る予感もある。
映画の感想文日記-thetown3
 犯罪に巻き込まれた犠牲者でありながら、いつの間にかベン・アフレックを愛するようになってしまった銀行の支店長を演じていたレベッカ・ホールも素晴らしい。しっかり者のように見えてセンチメンタルな感傷に流されやすい心の弱さもあり、適度な色っぽさもある。ベスト・キャスティングのひとりだろう。
 FBI捜査官を演じたジョン・ハムはいまひとつさえなかった。
映画の感想文日記-thetown1
 『旅するジーンズと16歳の夏』や『旅するジーンズと19歳の旅立ち』で若者のハートをつかんだブレイク・ライブリーが、ビッチなあばずれ最低女の役で、本物のビッチなあばずれ最低女にしか見えなかったのが素晴らしい。
 これもベスト・キャスティングのひとつだった。
 裏社会のボスを演じたピート・ポスルスウェイト、ジョン・ハムの信頼できる相棒を演じていたタイタス・ウェリヴァー、ベン・アフレックの父親を演じたクリス・クーパーなど、ベストなキャスティングは多くて、
 考えてみれば、ベン・アフレック以外の俳優は全員素晴らしかった。ベン・アフレックは俳優としてどこがダメなのか、やはり間抜け顔と中途半端なハンサムさが、機敏な動きをする人物には見えない点が致命的だろう。
 監督として、引き続き犯罪小説の映画化プロジェクトは進めてゆくようなので、期待したい。(次回作はSF小説『リプレイ』の映画化らしいが。)
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