2011年01月21日(金)

★ 『ソーシャル・ネットワーク』

テーマ:【青春】
2010年。アメリカ。"The Social Network".
  デヴィッド・フィンチャー監督。ベン・メズリック原作。
 チェックした限りでは、ネットワークの専門家が総じてつまらない映画だとみなしている、特によく参考にしている『粉川哲夫シネマノート』では酷評されており、デヴィッド・フィンチャーのダメさ加減が強調されていたこともあり、期待していない映画だった。
 共通しているのは、原作が低俗なものであるせいで、マーク・ザッカーバーグやフェイスブックの革新性や価値が全く見えてこない映画になってしまっている、ということのようだった。
 しかし、そんな先入見を持ちながら見たためか、好きな俳優のひとりであるジェシー・アイゼンバーグ主演の映画が『ゾンビランド』に続いて、大規模で上映されていることに喜びを感じていたせいか、学園残酷物語的なストーリーに矮小化して見入っていたせいか、予想外に面白く、感銘を受けた。

 実際は映画を見た、というより字幕を読んでいた、というような状態だったが、オープニングでいきなりこの映画の最大のクライマックス場面となる。美しいルーニー・マーラとの口論のシーンで、マーク・ザッカーバーグが、『アメリカン・ティーン』に描かれていたような階級社会が大学にも存在することに打ちのめされて、心の奥底では深く傷ついていることが明らかにされる。
 現実の社交クラブには入会できなかった青年が、屈辱感をばねにしてインターネットを使った社交クラブを結成し、それが自分の考えを超えた未知の巨大な何かであることに気づき、それが急速度で拡大していくうちにさまざまなトラブルに巻き込まれるが、困難を乗り越えていこうと努力する物語。

 というような、ジェイソン・ビッグスとミーナ・スヴァーリ主演の『恋は負けない』みたいな、またはジョナサン・タッカー、キャサリン・ハイグル出演の『Hな彼女の見つけ方 マシューの童貞卒業物語』みたいな大学が舞台の学園映画の文脈で見ると、
 金のかかったゴージャスな学園ドラマで、これからのアメリカ映画の中心となるだろう若手有望俳優総出演みたいなキャスティングもすばらしく、これはこれでありだろう、という気がした。
 ただし、アカデミー賞の作品賞がほぼ確定的とか聞くと、過大評価され過ぎではないか、とも思われる。
 事実を忠実に再現していないらしいことはいろいろな評論文から判明したので、フィクションとして受け止めて、楽しかった。

 題材はちょっと異なるものの、凝った映像技術を駆使して、豪華なキャスティングで、音にもこだわった大学映画ということで、『ルールズ・オブ・アトラクション』を連想させるところもあった。
 『ルールズ・オブ・アトラクション』とこの映画のどちらがすぐれているかとなると、やはり『ルールズ・オブ・アトラクション』のほうが面白いし、すぐれているような気がする。しかし面白かった。
   IMDb      公式サイト(日本)
映画の感想文日記-socialnet1
 デヴィッド・フィンチャーに何かを期待すること自体が間違いだということは、昨年の最低映画のひとつでもある『ベンジャミン・バトン』で多くの人が身にしみて思い知らされたはずだが、そのことを忘れているのだろうか。
 『ゾディアック』みたいな傑作は例外中の例外で、あれは保守的な題材だからこそデヴィッド・フィンチャーの持ち味が最大限に発揮されていたような気がする。デヴィッド・フィンチャーの代表作は『パニックルーム』ではないのか、ということにも最近思い当った。
映画の感想文日記-socialnet3
 ロックスターみたいな身のこなしでさっそうと登場して、うそか本当かわからないようなことを早口でしゃべり続けるナップスターの創設者でペテン師みたいなショーン・パーカーを演じていたジャスティン・ティンバーレイクが途中から主役の座をおびやかすような好演を見せていて、すばらしかった。
映画の感想文日記-socialnet2
 フェイスブックが爆発的な勢いで拡大していくさまには、ザ・ポップグループの「ウィー・アー・タイム」(We Are Time)という曲(1979年)を連想した。フェイスブックおよびマーク・ザッカーバーグのイメージダウンになると危惧する人もいるようだが、少なくとも個人的にはそれよりも肯定的なイメージのほうが強めだったような気がする。
 頭の中で「ウィー・アー・タイム」と叫んでいるフェイスブック創設者たちのイメージが浮かんだし。
映画の感想文日記-socialnet5
 「ソーシャル・ネットワーク」という言葉には懐かしい響きがある。アメーバに移転する前の2005年頃に世間でブログというものが流行しているようだと知り、自分も始めてみようと思い、いろいろ探して、登録したのが、ジョコソ(ジョーコソだったかもしれない)という韓国系のソーシャル・ネットワークで、自分の写真と本名で登録するという点や、仕組みがフェイスブックとほぼ同じだったような記憶がある。
 匿名よりも実名のほうが抵抗がなかったのは、インターネットに慣れていなかったせいか、しかし、本名で登録したものの、何を書いたらいいのかわからないので、映画の感想だけを書き続けていた。友だちとして登録したのもあえて遠方の人ばかりで、仲良くなって実際に「お会いしましょう」という流れになるのがめんどくさいという意識があったようだ。実名でも実質的には匿名的な利用のしかたをしていたことになる。
 交流(といっても活字でのやりとりだけなので当たり障りのない浅いものだった)していた人々とも2007年前後に閉鎖になって(会員数が少なかったことが原因なのか、フェイスブックに著作権侵害だとして警告されたのか、よく知らない)すぐに遮断された。
 北海道の大学を卒業して留学するか就職するかで迷っていた映画マニアの女性にはずいぶん上から目線の説教じみたことを言っていたことを申し訳なく思っている。ギンレイホールの会員でマイナーな映画ばかり見ていた人が近くに旅行するので何人かでお食事会をしませんか、という誘いがあったときも何かめんどくさくて仕事が忙しいとか言って断ったことを申し訳なく思っている。父親同士が知人なので幼いころに加瀬亮と会っていたという女性(今から振り返れば上流階級の御令嬢だったと気づく)にも上から目線の厚かましい言葉で会話していたことを申し訳なく思う。ソーシャル・ネットワークには苦い思い出しかないようだ。
 実名から匿名へ、時代を逆行していたことになる。
 日本でもフェイスブックが一般化するようなことになれば、また実名の世界へ戻ることになるのかもしれない。
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