2009年。アメリカ。"Sherlock Holmes".
  ガイ・リッチー監督。
 これはやばい。面白い。ガイ・リッチーの映画がこんなに面白いなんてことがあってもいいのだろうか。もっとコメディ色が強いものを想像していたら、いつものカッコつけたガイ・リッチー映画だったが、コスチューム劇なのでカッコつけているのが嫌味に見えない。
 ガイ・リッチーの最高傑作だろう。プリプロダクション段階にある続編も楽しみになった。

 というのはシャーロック・ホームズに何の思い入れも持たないからで、シャーロック・ホームズに何がしかの想いを持った人にはつまらないジョークにしか見えない映画かも知れない。
 周囲にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズを語るような英国紳士然とした人などいないのでわからないが、このオリジナルのストーリーは中盤までは面白く、後半トーンダウンしていったような気がするのは、脚本がそうなのか、ガイ・リッチーの演出に問題があるのか、
 どちらにしろ、いつものガイ・リッチー映画と同じく、「まあ、こんなものかな。」という大したことはないが、そこそこに面白いという時間の浪費を主な目的とする娯楽産業には最善な後味を残した。
 考えてみれば映画館でガイ・リッチー映画を見るのはこれが初めてだった。

 ガイ・リッチーというと、ダニー・ボイルと並んで、「大したことない映画を作る演出家」というジャンルに属していたが、どちらもポップ音楽に依存し過ぎる傾向にあり、その使われるポップ音楽が自分の嗜好と一致している部分が多いので(英国のポップファンと日本のポップファンはノーザンソウル愛好など趣味嗜好が限りなく近しい、という歴史のせいもあり)、嫌いにはなれない人物だったが、
 今回は舞台が19世紀なので、いつものようにレゲエやR&B,ロックなどを流すことはできない点が案じられたが、ピアノを中心の何となく『犬神家の一族』などの金田一耕助シリーズ映画を連想させる旋律の音楽が使われていて、その響きが好感の持てるものだった。

 ウィリアム・ギブソンのサイバーパンク、スチームパンクといった懐かしい流行語を思い出す大がかりな仕掛けも楽しい。似たようにスチームパンク的な世界を作ろうとしていた『K-20 怪人二十面相・伝』も思い出したが、こっちのほうがはるかに面白かった。
IMDb         公式サイト(日本)
映画の感想文日記-holmes1
 19世紀が舞台のわりには猟奇的なイメージの少ない健全な物語で年齢制限もない映画だったのは多少物足りない印象を残した。ホームズの薬物中毒的なキャラクターもほのめかし程度にとどめられている。
 ロバート・ダウニー・Jrとシャーロック・ホームズというキャラクターとは最後まで一致しないままだったが、その違和感がこの映画でもっともパンク的な要素だったかも知れない。
 ジュード・ロウはひげだけで英国紳士の典型みたいな顔立ちになるのが意外だったが、やはりワトソンのイメージとは一致しない。
映画の感想文日記-holmes2
 黒魔術を使って、死刑執行後に復活すると言い遺したブラックウッド卿(マーク・ストロング)が、遺言どおりに復活してホームズと対決する物語。
 ガイ・リッチー組のマーク・ストロングがシャーロック・ホームズを演じた方が違和感がなかったような気もするが、それでは全国で劇場公開される映画にはならなかったので、あいかわらずマーク・ストロングは存在感を発揮してカッコいいので良しとしよう。
映画の感想文日記-holmes3
 ガイ・リッチー映画の特長は2度見る気がしない、という点だったが、今回の映画はもう1度見てもいいかな、と思わせられるというガイ・リッチー映画としては画期的な感触をもたらした。
 シャーロック・ホームズ・マニアの心情をくすぐる細部の小ネタがあるらしいので、1度は読んだはずだがあまり記憶にないシャーロック・ホームズを読み直してみようか、という気にもなった。
シャーロック・ホームズ オリジナル・サウンドトラック/サントラ
¥2,520
Amazon.co.jp
AD