2008年10月27日(月)

★ 『落下の王国』

テーマ:【ヒューマン・ドラマ】
2006年。アメリカ/イギリス/インド。"THE FALL".
  ターセム監督・製作。
 1915年のハリウッド。撮影中の事故で重傷を負い、下半身不随になる可能性の高いスタントマンの青年と、木から落ちて骨折した5歳の少女とが病院内で知り合う。
 青年は失恋と自分自身の将来を悲観して、自殺したがっているが、動けないので少女に物語を語って聞かせ、高濃度のモルヒネの入った薬瓶を持って来させようとするが、なかなかうまくいかない。
 青年がその場の思いつきで語ったような物語が少女のイマジネーションというかたちで映像化されて出てきて、劇中劇みたいな構造になる。
 物語が気に入らないと少女が変更を加えたりして劇中劇は行き当たりばったりな進み方をするが、王を殺そうとする奴隷たちの物語で、青年の暗い想像力が反映していて子供に聞かせるようなものではないが、少女はその物語に魅了される。

 オープニングからナイキのCMフィルムみたいな「おしゃれでカッコいい」映像で、これはひょっとすると退屈な映画かな、と不安になったが、
 設定が何かに似ていると思ったら、『蜘蛛女のキス』にそっくりで、自殺したがっている青年と、純粋な心を持った少女という組み合わせがうまく生かされていて、
 クライマックスでは、5歳の少女と20歳代後半と思われる青年がお互いへの愛を告白し合うというとんでもない場面になるが、少女の愛があまりに純粋で美しく、青年を自殺から救おうとする姿が素晴らしいので、感激してしまった。

 ターセムという監督の映画は初めて見たが、数年がかりで24カ国以上の国でロケ撮影をした大作で、しかもすべて自己資金で製作しているらしい。数十億円はかかっているような印象があったが、どれだけ金持ちなのかわからない。自分の製作会社がGoogly Filmという名前なので、Googleと関連があるのかも知れない。
 金持ちなのに、貧しい労働者の視点からものごとを見つめ、しかも王を倒す奴隷たちの物語を語る、というのも不思議な印象があった。
   IMDb          公式サイト(日本)
thefall1
 舞台がハリウッドが劇映画を作り始めた初期の頃というのも魅力的な設定だった。身分違いの恋に破れた青年が自暴自棄になって5歳の少女に語って聞かせる物語というのも複雑なもので面白かった。
 少女も骨折が治ったら、果樹園の労働の手伝いをやらされる、という過酷な環境で生きている。
thefall2
 寝たきりの青年ロイ(リー・ペイス)と少女アレクサンドリア(カティンカ・ウンタルー)の二人が素晴らしかったこともこの映画を魅力的なものにしていた。
 特に少女役のカティンカ・ウンタルーは全くのアマチュアらしく、本当に5歳なので、青年の語る物語を信じて、気に入らないと変更させる場面にはアドリブも含まれているらしく、演技しているようには見えない素晴らしさだった。
thefall3
 劇中劇の登場人物は病院内にいる人々や、少女の亡くなった父親などで、世界中でロケされたというだけに雰囲気がころころと変わり、絵になる場所ばかりで何かのプロモーション・フィルムっぽく見えるところもあったが、先が読めないストーリーで、途中からは少女自身も登場してくるので退屈せずに見ることができた。
thefall4
 アレクサンドラは青年のために薬瓶を保管庫から持ち出そうとして転倒してしまい、意識を失う。自殺しようとしていた青年ロイは、少女の横たわるベッドで大人の女性に話しかけるように自分自身の絶望を語る。
 眼をさました少女が青年に自殺を思いとどまるように説得する場面がクライマックスになっている。
thefall5
 退院した少女アレクサンドラはロイのその後の消息を知ることはなかったが、好きな映画の中でロイが映画に復帰して元気にスタントマンとして活躍するする姿を何度も見た、と信じ込む。
 いろいろな仕掛けのある映画なので、もう1度見たくなった。
 
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