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2007年12月22日(土)

★★★ 『スマイル 聖夜の奇跡』

テーマ:【コメディ】
2007年。フジテレビ/東宝/電通/日本映画衛星放送。
   陣内孝則監督・原作・脚本。
 この映画は、ひょっとしたら、今年の日本映画の最高傑作、ということになるのではないのだろうか。
 陣内孝則というと、以前にダウンタウンが司会をする番組で、二枚目半のキャラクターを作ろうと努力していたのか、小ネタのギャグを言うたびにすべるのを、ダウンタウンが必死に拾ってやろうとしていたが、関西ののりとかみ合わないのか、空回りを続けて自爆寸前だった悲惨な光景を思い出す。
 ところが、東京の司会者が仕切った番組では、ギャグがうまい具合に機能していたこともあった。

 『ロッカーズ』という映画は、陣内孝則が属していたバンド、ロッカーズをモデルにした映画だったらしいが、同時期のルースターズが今見ても、音を聴いてもカッコいいのと対照的に、ロッカーズは見た目も音も中途半端でカッコ悪く見えたので、映画もどうせつまらないだろうと思って、見ていなかった。

しかし、そういった偏見をすべて帳消しにする破壊力を持った映画が、この『スマイル』だった。なぜこれほどまでに素晴らしい映画になってしまったのか、不思議だが、全体にただよう昭和の空気は、陣内監督が、昭和時代の映画を相当マニアックに見ていることが反映されているように見える。
 「今年の日本映画のベスト1位は『サッド・ヴァケイション』 で決定だね。」などと言っていたが、あれはしょせんは、映画ファンの映画ファンによる映画ファンのための映画で、広く一般の観客層に受け入れられるものではないことを想えば、この映画こそがベスト第1位だという気もする。
 が、この映画も大ヒットしているわけではなく、青山真治監督とは異なるパターンの、映画ファンの映画ファンによる映画ファンのためのマニアックな映画だとも見える。
    公式サイト
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 コサック・ダンスの得意なウクライナ出身のシェフチェンコ君(チョーミン樹南)が登場してからは、最後にとんでもないボケをかますのがわかっていながら、シェフチェンコ君のせりふを待ち望むようになった。
 この時点で、この映画は、難病ものでも感動ものでもなく、基本はコメディ映画だということに観客もうすうすと気づき始めるのが感じられた。
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 オープニングでは、パッとしない顔ぶれに見えたスマイラーズの選手たちが、終わってみれば、キャラクターの明確な面白い顔に見えたことが、映画の成功を物語っている。
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 『スマイル 聖夜の奇跡』というタイトルは、映画の中で登場人物が見に行く映画のタイトルだということを最初に見せることで、この映画のタイトル自体を相対化してしまい、この映画では何が起こるのかわからない、という不安と期待を観客に与えている。
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 試合のシーンをきっちり見せるのもスポーツ・ドラマの基本を押さえた作りで素晴らしい。DVD化を無視したようなスクリーンでしか顔の判別が出来ないロング・ショットが多かったのも、映画に躍動感と映画らしさをもたらしていたような気がする。
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 一応は「難病もの」と「感動もの」というジャンル映画としても見ることが出来るが、終わってみれば、コメディ映画、という印象がもっとも強い。
 スケートリンクですべる場面がほとんどの映画だから、ギャグがすべってもかまわない、と開き直ったかのように、感動を盛り上げるための場面にもギャグが次々にはさみこまれる。
 難病の少女を思いやるしんみりとした場面でも、他の選手の背中にはローマ字で名前が入っているのに、シェフチェンコ君だけは、カタカナで「シェフチェンコ」と書かれているのが映ったときは、場内に失笑が続いた。
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 いろいろと面白い場面があって、もう1度見に行ってもいいような気になった。
ポニーキャニオン
スマイル 聖夜の奇跡
陣内 孝則
スマイル―聖夜の奇跡 (幻冬舎文庫 し 25-1)
レミオロメン, 小林武史, 四家卯大, 藤巻亮太
Wonderful&Beautiful
 
サントラ, RAMONES, ジャクソン5, レミオロメン, T.レックス, 修平, 幹夫の母, スマイラーズ
スマイル~聖夜の奇跡~オリジナル・サウンドトラック

コメント

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1 ■観に行きます!

頭から面白くないだろうと決めつけていて完全にノーマークの作品でした。教えていただきありがとうございました。この休みに観に行くことにします。1000円サービス期間中なので多いだろうな~と思いつつ。。。娘は今日、魍魎の匣を観に行ってきたそうです。
マタンゴ、TSUTAYAにあるんですね。こちらも是非観たいです。以前ラジオの映画関連の番組で面白いと言っていたのを聴いて気になっていましたので。

2 ■ヤッパリ傑作なんですか!!

私が敬愛する作家がHPで絶賛してたので、一瞬「何言ってんだ?」と疑いましたが、asphaltさんも絶賛となると疑いようがないですね。年内に見なくちゃ!

3 ■white lillyさま

本当に面白いかどうかは、冷静に考えてみるとよくわかりませんので、好みが別れる作品のような気がします。

4 ■木島十三さま

実は、木島さんが書いていたその記事が頭にあって見てみたんですよ。かなりベタで古臭いギャグが連発されるアナクロな感じの映画です。たぶんクレージーキャッツのコメディ映画を真似したんだと思われます。

5 ■無題

隠れた快作なんですね。
観てみたくなりました。

6 ■観てきました。

記事につられて(失礼!)親子三人で今日観て来ました。
結論。いろんな良いものが日本映画特有のしつこさがなく(これまた失礼!)良かったです。
娘は泣きすぎて大変だったそうですが、泣かそうとあざとく演出している訳でもなく、笑いを入れながら楽しめる映画でした。ボクも泣きましたがこれは歳のせいです(^^)
しかし、日本映画も大御所ばかりにお金をかける時代は終わりましたね。

7 ■日本インターネット映画大賞募集中

突然で申しわけありません。現在2007年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。
投票にご参加いただくようよろしくお願いいたします。なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。

8 ■macさま

冷静に考えると、それほどのこともなかったような気もします。パンク・ロックみたいな勢いだけはありました。

9 ■栗エー太さま

偏見で書いた記事なんで申し訳なく思いますが、面白く鑑賞されたのならよかったです。
 つまらなかった、という人の方が多いみたいなので。

10 ■ようやく観ました

良かったです。日本映画が置き忘れてきたものがここにはあると言ったらいささか大げさですが、笑えて泣けて感動する立派な娯楽映画でした。でもやはり最後は圧倒的ハッピーエンドが良かったなとは思います。とはいえ、今年の日本映画の中では一番映画らしい映画でした。

11 ■木島十三さま

鈴木則文をほうふつとさせるというのが、文字通りだったんで、私も驚いて過大評価してしまいましたが、こういう映画は過大評価するべきだとも思いました。

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