2007年10月14日(日)

★ 『パンズ・ラビリンス』

テーマ:【ヒューマン・ドラマ】
2006年。スペイン。"EL LABERINTO DEL FAUNO".
ギレルモ・デル・トロ監督。
 監督はスペイン人だと思ったらメキシコ出身だったが、『ドン・キホーテ』を生んだ国の血は流れており、近年まれに見るほどの素晴らしく美しくて残酷なファンタジー映画の傑作だった。
 ポスターなどを見て、「またファンタジーか!」とうんざりして、すぐに見ようとしなかったことを後悔したほどに、これは見事な出来ばえだった。
 今年に入ってから劇場で見た映画のすぐれたもので、すぐに思い浮かぶ作品は、『ゾディアック』 と、『ボルベール』 くらいしかないが、これはそれらに匹敵するくらいに素晴らしかった。(実際はDVDで見た映画の中に本当に素晴らしい映画が存在するので、相対的に見て、良かった、ということに過ぎない。)
 
 スペインの1940年代の軍事政権下で、読書が好きな空想癖のある少女が無残に射殺されるまでの物語。
 少女が想像するファンタジーの世界が映像化されて、映画におけるハッピーエンドとは何かを美しく残酷に見せてくれる。
 ヴィクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』や『エル・スール』といった名作を連想させる部分もある。
 『ブレイド2』の監督らしく、ファンタジーの世界に登場する妖精もグロテスクなもので、少女の絶望的な現実を反映したものにも見える。
 IMDb                公式サイト(日本)
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 主人公のオフェリア(イバナ・パケロ)の視点から描かれる物語では、現実と空想の区別がなく、オフェリアは悪夢のような世界に迷い込み、牧神に困難な試練を与えられる。
 これだけなら、平凡なファンタジー映画だが、ファンタジーを相対化する外部の人間の視点が入ることによって、物語は残酷で美しい輝きを持ったものとなった。
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 反政府ゲリラの一員であるメルセデス(マリベル・ベルドゥ)がオフェリアの唯一の理解者として、現実にはむごたらしく短い生涯を終えたオフェリアを看取る。
 最後には、死にゆくオフェリアの前で、メルセデスの鼻歌のような子守唄が流れることから、この物語は、メルセデスが、オフェリアの残酷な死を受け入れられずに作りあげた、オフェリアの魂に捧げられたファンタジーのようにも見える。
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冷血なファシスト、ビダル大尉(セルジ・ロペス)と結婚した母親カルメン(アリアドナ・ヒル)。オフェリアはビダルを父親とは認めようとしなかったが、ビダル大尉の描き方にも単純な悪役ではない微妙な人間味が感じられて面白かった。
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 現実には銃で撃たれて死につつありながら、オフェリアは牧神が与えた試練を乗り越えて、王女として王国に迎え入れられる。ファンタジーと現実との関係を問い直すような見事なラストシーンだった。
 リサ・シャウワーという批評家が、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作と同じレベルの上質なファンタジーと書いているが、個人的にはこちらの方が比較にならないくらいにすぐれている、と思った。
アミューズソフトエンタテインメント
パンズ・ラビリンス DVD-BOX
アミューズソフトエンタテインメント
パンズ・ラビリンス 通常版
黒坂みひろ, ギレルモ・デル・トロ
パンズ・ラビリンス
サントラ
パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック
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