2006年。DreamWorks/etc."SHE'S THE MAN".
アンディ・フィックマン監督。W・シェークスピア原作。
 アマンダ・バインズ主演。
 芸術の秋といえば、読書の秋のことを言うことが多いが、読書には克己心が必要で、特に長編小説は、がまん強く耐えることが出来ない自分のような人間には、途中で読むのを中断したままの本が山のようにあって、
 つい、映画でごまかしてしまいがちだったが、
 今月はせめて、「芸術的な」映画を見て、忍耐力をつける訓練をしよう、と思った。高い金を支払って買ったのに、放置状態の『ゴダールの映画史』を何とか最後まで見ることを目標にしたい。

 この映画は、ありがたいことに読んだことのないシェークスピアの『十二夜』を原作にした、ドタバタ学園ラブコメディで、物語の設定の基本的な部分は原作に忠実になっており、学園コメディを見ながら、同時にシェークスピアの素晴らしさを経験することが出来る仕組みになっている。

 主役のアマンダ・バインズの素晴らしい演技もあるが、物語の展開が面白すぎるくらいに面白く、さすがに長く愛されてきた古典文学は、どんなアレンジでもすぐれた点がそこなわれない強さを持っている、ということを確認することが出来た。
 これを機会にシェークスピアの戯曲も、出来れば今年の秋には何冊か読んでみたい、とも思った。
  IMDb
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 高校の女子サッカーに青春を賭けていたヴァイオラ(A・バインズ)は、サッカー部が廃部になってしまったので、男子サッカー部へ編入を申し出るが、ボーイフレンドのジャスティン(ロバート・ホフマン)に、「女と男ではレベル差がありすぎる」とあざ笑われる。
 怒りに燃えたヴァイオラはジャスティンを捨て去り、双子の弟セバスチャン(James Kirk)になりすまし、男装してセバスチャンの高校のサッカー部へ入部し、ジャスティンがストライカーをしている高校との試合で勝利することを目指す。
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 ルームメイトになったサッカー部のエース、デューク(チャニング・テイタム)とヴァイオラは親友になり、イケメンでマッチョな見た目と裏腹に繊細な心を持っていたデュークは、親友であるヴァイオラに、実は彼女いない暦17年の童貞男であることを告白する。
 ヴァイオラは次第にデュークの純真さに恋心をつのらせていく。
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 学園の女王オリヴィア(ローラ・ラムジー)は、女心を理解してくれる男装したヴァイオラに恋してしまう。
 しかし、オリヴィアはデュークが片想いを3年間続けていた相手だったことから、話がややこしくなり、キャラの立った脇役が入り乱れて、ドタバタ騒動が展開される。
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 鬼コーチ(ヴィニー・ジョーンズ)はヴァイオラの努力と才能を認めて、先発メンバーに抜擢する。そして、いよいよ憎きジャスティンのいる高校との試合の日がやってくる。
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 こんなに面白い学園コメディは久しぶりだった。まさかドタバタ学園ラブコメで大きな感動を得ることができるとは予想もしていなかっただけに、より素晴らしい作品のように見えた。
 多彩な脇の登場人物にもかなり笑えるキャラクターが多かった。
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
アメリカン・ピーチパイ
Original Soundtrack
She's the Man