2007年。LionsGate. "WAR".
フィリップ・G・アトウェル監督。
 東映のロゴの次にライオンズ・ゲートのロゴがあらわれたときに、何かを期待させるものがあった。出演者の顔ぶれも『アドレナリン』 でのアホキャラが板についていたジェイソン・ステイサムに、デヴォン青木、ケイン・コスギと、『DOA/デッド・オア・アライブ』 の2人が出演していることもあり、
 シリアスにカッコいい映画とは全く別の次元にある、とんでもない作品になるだろうとはうすうす感じてはいたものの、
 ここまで予想を上回る、とんちんかんな、ある種の傑作になっているとは思わなかったので、
 退屈でダラダラした『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ』などより、よほど素晴らしい映画にさえ思われてきた。『スキヤキ』は2度と見ることはないだろうが、この映画なら、もう1度見ても良いかも知れない。

 ただし、これは演出がすぐれているからそうなったのではなく、あまりにも間抜けすぎるために、日本人が見たら、思わず失笑してしまう場面が次から次へと出てくるため結果的に面白い作品になってしまったのだろう。

 最初の方の場面で、ジェイソン・ステイサム演じるFBI捜査官が、地元の警察官に向かって、「日本人街のヤクザを担当するなら日本語くらい勉強しろよ!」と強い口調で説教するので、彼は、さぞや流暢な日本語で日系人ヤクザを尋問するのだろうと思ったら、
おそらくローマ字で書かれた文字をそのまま棒読みしているような抑揚のない声で、しかも何を言っているのかわからない。
 言いたかっただろうことは理解できた、あまりにおかしいが、ここは笑う場面ではないと思い、必死で笑いたいのをこらえていたら、意外と入っていた観客席の誰かが、我慢できなくなって笑い出してくれたので、一挙に場内は爆笑のうずに包まれた。
 その後も追い討ちをかけるように失笑シーンが連続して、まじめに役をこなしているジェット・リーが気の毒になったが、
 まともに動けるアクション俳優としては、唯一ともいえる存在となったジェット・リーの見せ場もそれなりに用意されており、石橋凌(今回はおかまの美容師ではなく、日本のヤクザのボス役)との日本刀での対決がよかった。
 謎の殺し屋ローグの驚くべき秘密が明らかになるラストも、それはあり得ないだろうというとんでもないオチだったが、全体にずっこける場面が多いものの、だれる場面もなく、日本人観客に限っては、お笑い系ギャング映画として、楽しむことが出来る拾い物の面白い作品だった。
 IMDb        公式サイト(日本)
war1
 ジェット・リー、169センチ、ジェイソン・ステイサム、174センチ、合衆国では2人ともかなりのチビッ子だが、脇を固める俳優もみんな小さいので画面では違和感は全く感じられない。
war2
 すでに55歳のジョン・ローン。映画で見るのは久しぶりだったが、どうやら映画やテレビより、舞台での活動をメインにしているらしい。何となく良い顔になったような気がする。
war3
 海外ドラマの吹替え版の声優みたいな不思議なイントネーションでせりふを棒読みするデヴォン青木。
 ナイフとピストルで部下をおどして、「サラダを作ってきてちょうだい。」と要求する。この場面には何か意味があったのかどうか謎だった。
war5
 FBIで相棒だったトム(テリー・チェン)は、暗殺者ローグによって妻と娘とともに惨殺される。ローグへの復讐のため、執念の捜査を続けるクロフォード(J・ステイサム)だったが、トムが惨殺されたのはFBI内部に裏切り者がいたためだった。
war4
 日本語も英語もまともにしゃべることが出来る唯一の俳優だった石橋凌。ローグ(ジェット・リー)との対決は、斬ったり斬られたりで、けっこう迫力のある良いシーンになっていた。ような気がする。
角川エンタテインメント
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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東宝
アドレナリン
スヌープ・ドギー・ドッグ, ドクター・ドレー, ザ・レディ・オブ・レイジ, D.O.C., アイス・キューブ, 2パック, RBX, ロジャー・トラウトマン, ドッグ・パウンド
ザ・クロニカル~ドクター・ドレー・ベスト・ワークス