2004年。GranadaTv/etc. "SEX TRAFFIC".
デヴィッド・イェーツ監督。
 ボスニアに派遣された国際平和維持部隊はマフィアと共同で未成年の少女の人身売買ネットワークの窓口になっていた、というびっくりする内容の社会派サスペンスドラマ。
 実際の事件にもとずいたテレビドラマとして放送されたもので、欧米の視聴者向けに作られているため、国際情勢に疎いものには、最初は意味のわからない部分が多い。
 いろいろな組織が出てくるが、それがどういう組織で、他とどういう関係にあるのかが説明なしに物語が進んでいくので、後半になってようやく事態が理解できてきた。
 現在進行形の事件なので、何も解決せずに後味の悪い終わり方をする。
 組織に逆らおうとする個人の無力さが強調されているのが、やるせなさを助長している。
 180分の長時間ドラマだが、最後までだれずに見させる演出には、イギリスのテレビ業界のレベルの高さを感じたが、この監督はこの作品が評価されて『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の監督に採用されたらしい。
 そうなると、ちょっと見てみたくなるがハリー・ポッターシリーズは本も映画もひとつもさわったこともないので、とりあえず前の4本の映画を見てからにしよう、と思った。
   WOWOW番組ページ
 IMDb
sext4
主人公ダニエル(ジョン・シム)、「自由の声」というNGOに所属しているが、ボスニアで起こっていることを見て告発する準備を進める。すると組織の存続を優先するNGOが彼を押しつぶそうとして、ついに彼を解雇する。
sext3
 国際平和維持部隊の人員は、アメリカの人材派遣会社が送った契約社員だった。ボスニアで起こっていることを知りながら、一部の隊員が起こした不祥事として済ませようとするCEOのトム(クリス・ポッター)。
 人権問題に憂慮する善意ある人々のふりをした悪魔として描かれる。
sext5
 一部の欲望につられた隊員の不祥事だと思われた事件は、意外にも派遣された隊員3000人全員の了解による組織ぐるみの犯行だったことが明らかになる。元締めは部隊長で、隊員たちは少女たちの体をもてあそんでいた。
sext2
 人身売買組織から逃げてきた少女たちを救う施設を運営する善意のNGO代表。しかし彼女も最後にはわいろの金を受け取ってしまう。
sext1
 物語はエレナとヴァラという姉妹が売買されてゆく姿を中心に描かれる。エレナは途中でNGOに救出されるが、ヴァラを捜し求めてロンドンにたどり着いたエレナは、そこで組織の一員になったヴァラと対面することになる。
 生きのびる手段としては、それはそれでありだろうとも思われる。
 ロンドンのイングリッシュ・スクールがマフィアの人身売買ネットワークの中継地として利用されているという実態も描かれる。
 実際のところ、どこまでが事実にもとずいているのかもわからないほどに国際情勢にうといので、驚くことが多いドラマだった。
角川エンタテインメント
セックス・トラフィック