2007年。 MGM. "HANNIBAL RISING".
ピーター・ウェーバー監督。 トマス・ハリス原作・脚本。
ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス、リチャード・ブレイク、ドミニク・ウェスト、ケヴィン・マクキッド、スティーヴン・ウォーターズ、その他出演。
 
 ハンニバル・レクター博士シリーズの第4作、といっても第1作でジョナサン・デミ監督とアンソニー・ホプキンスが共同で作り上げたレクター博士のイメージを借り受けただけの、その後の作品はほとんど忘れてしまった。
 この前の『レッド・ドラゴン』は、豪華な第一級の俳優の競演で面白かったような気もするが、ほとんど印象に残っていない。レイフ・ファインズというすぐれた俳優を使いこなせていないのが、残念な作品だった。

 この作品は、全米で初登場第3位という、期待はずれの出だしで、結局すぐに消えてしまい、ほとんど話題になることもなかったようだった。アンソニー・ホプキンスが出演していないハンニバル・レクターの映画など、誰も求めてはいない、ということらしい。会社はかなりの借金を背負い込んだのではないだろうか。
 IMDBでも5.7という低い評価で、コメントにも、「最悪」、「退屈」といった単語が目に付く、一方で「Love」という単語もある。
おそらく10代の女子を中心に、主役のギャスパー・ウリエルへの人気票があるような気がする。

 レクター博士の封印された過去の秘密を描いた物語になっているが、家族を殺された少年が成長して後、復讐を遂げてゆくという話で、アンソニー・ホプキンスのレクター博士のイメージとはつながりにくい。
 これがレクター博士というモンスター誕生の秘密だとしたら、かなりつまらない、ばかばかしい、といった印象の作品になっている。
 一番の欠点はコン・リーが出演していることだろう。『SAYURI』、『マイアミ・バイス』に続いて、コン・リーの出るハリウッド映画に良い映画はない、というジンクスは今回も守られた。
 オープニングから東ヨーロッパの落ち着いた色調の画面で、『ホステル』『ブラックブック』を想い出して、ちょっとは期待したのだが、欧米での低い評価ほどには悪い作品ではないような気もする。
  オフィシャル・サイト(日本)
IMDb
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理系で美形で、白衣を身にまとう、これでメガネだったら、日本では理系好き女子を中心に大ヒットになったかも知れない。どっちにしろ、映画とは関係のないところで、ギャスパー・ウリエル人気が世界的に上昇しているようだ。
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1944年のリトアニアでナチスの協力者たちに妹を殺され、あるおそろしい行為を強制されたことが、ハンニバル・レクターの人格形成に大きな影響を与えた。
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何も食べるものがなくなったとき、ナチス協力者たちのリーダー、グルータス(『ノッティングヒルの恋人』のリス・エヴァンス)は、悪魔のような行為を始める。
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戦争でレクターと同様に家族をすべて失った警察官ポピール(ドミニク・ウェスト)は、すぐにレクターが犯人だと見抜いて、彼を追いかける。
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日本の武士の末裔レディ・ムラサキ(コン・リー)に、武道教育を受けて、レクターは刃物に魅了される。
グルータスとその一味に捕らえられ人質となったレディ・ムラサキ。コン・リーの出演しているシーンのせいで、奇妙な印象の映画になってしまった。
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残虐な復讐を開始したハンニバル。獲物を身動きできなくして、調理の準備を始める。
 原作にはハンニバルの人格形成の過程が細かく描かれているらしいが、映画を見た後で、原作を読んでみたいとは全く思えないのが、映画の残念な出来を物語っている。
GENEON ENTERTAINMENT,INC(PLC)(D)
ハンニバル・ライジング 完全版 プレミアム・エディション
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ハンニバル・ライジング スタンダード・エディション
トマス・ハリス, 高見 浩
ハンニバル・ライジング 上巻
トマス・ハリス, 高見 浩
ハンニバル・ライジング 下巻