1996年、 "COMMENT JE ME SUIS DISPUTE...(MA VIE SEXUELLE)".
アルノー・デプレシャン監督。
 確かゴスペラーズのヒット曲に同じタイトルのものがあったような気がする、あれはこの映画からパクッたのだろうか。
 181分、約3時間、超ダメ人間の大学講師ポール(マチュー・アマルリック)を中心に恋愛ドラマがほとんど会話のみで作られた映画。
 フランス版『フレンズ』という印象もないことはない群像劇でコメディだが、主役のポールが哲学教師で彼の周辺の人物も大学関係ばかりなので会話は哲学的な台詞が多い。しかも全員がエネルギーの全てを恋愛に使っている、フランスではこれが普通なのだろうか。
  例外はポールの10年来の恋人エステル、通訳の専門学校に通っているが、誘われたら誰とでも寝てしまう女性で、ポールに「お前は頭悪いから人に 紹介するのが恥ずかしい」と言われてもへらへら笑っているキャラクターだが、実はこのエステル役のエマニュエル・ドゥヴォスという女優が一番の演技派で、
 ポールに捨てられて一人になってから、存在感を発揮し始め、突然歩いている場面で彼女のモノローグが始まり、ポールへの一途な愛を哲学的に語る場面がクライマックスで1番感動的な場面となっている。
 ポールはエステルの他にシルヴィア、ヴァレリーという女性と同時進行で関係を持っているが、フランスの1996年当時の若手スター総出演といった感じの登場人物の全員が三角関係、四角関係で複雑に入り乱れて、全員頭がおかしいとしか思えない状態が、
 2時間過ぎると当たり前に思えてきて、ヴァレリーがポールにストーカー行為を始めたあたりから、もう何が起こっても不思議ではない状態になり、3時間は長かったような、あと2時間くらい、その後の展開を見たいような、『フレンズ』と同じく中毒性がある。
    IMDb
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マチュー・アマルリック(スピルバーグの『ミュンヘン』やソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』など最近はハリウッド映画でも見かけるようになった)とエマニュエル・ドゥヴォス、この二人は最近の『キングス&クイーン』でも共演して二人共に成長した姿を見せてくれた。  『キングス&クイーン』オフィシャル・サイト
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マチュー・アマルリックはセザール賞若手有望男優賞を受賞。一番美しいのはシルヴィア役のモデル兼女優のマリアンヌ・ドニクール、ポールと彼氏のベッドの上で電話で会話する場面で小悪魔キャラクターが爆発する。『魂を救え!』のエマニュエル・サランジェその他大勢出演。それぞれフランス国内で活躍しているらしいが、フランス映画がほとんど輸入されない現状ではその後の動向はよくわからない。
紀伊國屋書店
そして僕は恋をする
紀伊國屋書店
アルノー・デプレシャン DVD-BOX
アルノー デプレシャン, Arnaud Desplechin
すべては映画のために!―アルノー・デプレシャン発言集