草原の実験 | Sound@Cinema

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昨日、大学で学生らから好きな作品を挙げて貰ったが、

和歌山出身の女の子が記憶の彼方に行ってしまっていた

作品を掲げ、ちょっと驚いた。

 

”草原の実験”である。

 

確か渋谷のイメージフォーラムで上映され、主役のこの

美しい少女が舞台挨拶に来ていて、ちょっと話題になった

記憶があるが、見逃している(汗)

 

慌ててDVDを取り寄せ、これ以上の情報を入れない

様にして、真っ新で鑑賞。

 

どこぞ(ロシアの何処か?)の草原で謎の父娘が生活

しており、大自然の中で慎ましく生き抜いている様が

延々と映し出される。しかし、撮影が非常に巧妙で、

光の捉え方が美し過ぎて見入ってしまう。

 

それ以上に主人公の娘、エレーナ・アンの可愛らしさ

が半端では無く、更に目が離せなくなる。

 

更に台詞を一切排除し、心地よい音響効果の波の中に

二人の息遣いが僅かに聞こえる程度。余計にのめり込む。

 

しかしここまで!!!!後は語れない!!!!(驚)

 

ちょっとづつ様子がおかしくなり、驚愕なラストを迎える。

 

全編通して聞こえてくる、多彩の風の表現が見事だ。

まさにその場に居合わせ、乾燥した空気を物語と同時

に吸い込んでいるかの如く、きめ細かい風が配置されている。

 

対比で乾いた大地に流れる水音の表情が怖ろしく

豊かに聞こえてくる。

 

朝、昼、夕、夜、すべての表現に緻密な計算がある。

 

安易に説明してくれる台詞が無いだけで、

背景の作り込みも非常に手が込んでいる。

 

絶対的に良い仕事をしている”音”が聞こえてくる。

 

やばい、この映画やばい、、、

 

 

※この作品を思出せてくれた和歌山の学生に感謝。