「アジアキャスティングフォーラム」 2010年10月26日14:00~15:30
主催 経済産業省(METI)
公益財団法人 ユニジャパン

日本の俳優タレントらの海外進出を積極的に目指す芸能プロダクションが参加して、中国(香港)、韓国の映画・TVの監督・プロデューサーと事例紹介を交えながらディスカッションを行う。
パネラー
杉本伸(アミューズ取締役)
鈴木謙一(スターダストプロモーション取締役)
Solon So (映画監督、プロデューサー/「ベストキッド」(2010))
ジョナサン・キム(プロデューサー/[初雪の恋]他)
モデレーター 橘田寿宏(ドラゴンハート・インターナショナル代表取締役)


 国際共同製作は各国が後押ししながらも、なかなか成功しないが、俳優たちは、軽々と越境している。その意味では、このセミナーは非常いタイムリーなテーマを取り上げたと思う。また、モデレーターの橘田氏の豊富な現場経験から、現実的な事例を各パネラーから引き出す進行も光った。また、ソロン氏、キム氏のプロデューサーの立場からの国際的なキャスティン論、杉本氏、鈴木氏の俳優事務所の立場から本音の話しが飛び交った。


 日本の俳優は、企画が気に入れば安い出演料でも出演する傾向にあるが、韓国での俳優の出演料について、俳優事務所は妥協しない。キム氏は、人気の韓国人俳優を低い出演料で起用するには、オスカーを保証する以外ないと本音が飛び出す。


 ジョン・ウー作品に香港のミシェル・ユーと韓国のチョン・ウソンが競演するように、アジアでも俳優の交流は深くなっている。杉本氏、鈴木氏も、日本の俳優も海外の野心的な企画い対して、強い欲求ももち、抑えがたくなってきていると語る。


 アジアでの国際化は、共同製作よりも、俳優による国際交流が意外に早く進むことを実感させるセミナーだった。


キネマ旬報映画総合研究所 掛尾のシネマレポート

Solon So 氏、ジョナサン・キム氏、杉本伸氏、

鈴木謙一(左から)

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 映画祭は、コンペティションを中心とした上映作品の質、映画マーケットでの売買取引額の多寡、そしてセミナーでは影響力ある登壇者によるトレンドの形成によって、主催者は内容を競っている。しかし、映画祭のレポートは、コンペ作品を中心とした上映作品に集中しがちだ。


キネマ旬報映画総合研究所 掛尾のシネマレポート

審査委員長 ニール・ジョーダン

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根岸吉太郎監督

キネマ旬報映画総合研究所 掛尾のシネマレポート
新藤兼人監督

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クロージング・セレモニー


 東京国際映画祭でも、ユニジャパン・エンタテインメント・フォーラムでくくられた多数のセミナーをはじめ、様々なイヴェントが開催された。しかし、TIFFのレポートでは、上映作品、また高齢でコンペティションに参加した新藤兼人監督についての記事がほとんどであった。確かに、根岸吉太郎監督が、新藤兼人監督への授与を誇りに思うと語ったときは、熱くなるものがあった。


コンペ作品については、いろいろ既に紹介されているので、このレポートではセミナーについて触れてみたい。まず、これだけにセミナーが開催されながら、開催時間がほとんど、平日の日中ということから、わたしの印象だが、来場者が限定されていたように見える。かなりのセミナーに参加したが、出席者はけっこうレギュラー化していたようだ。関係者に話しを聞くと、フォーラム開催の決定が直前だったことから、広報が遅れたという。せっかくのセミナーを開催しながら、広い参加者に伝わらなかったことは残念だ。


 もうひとつ提案したいことがある。現在、東京周辺の大学には、多くの映画、映像、メディアの学部、学科がある。しかし、セミナー会場には、ほとんど学生の姿が見当たらなかった。わたしも、ときどき大学で話す機会があるので、知り合いの学生に聞くと、ほとんどの学生は、授業と重なるので参加できないという。韓国で、プサン国際映画祭に参加したとき、授業や教授によっては、欠席扱いにならないと聞いた。国内外から、これだけに登壇者が集まった話しを聞く機会は多くない。日本のある大学関係者に聞いたところ、欠席扱いにしないことは難しいとのことだ。それから、セミナーの内容が、4年生の大学生にも高度すぎるという指摘も聞いたが、わたしはそんなことはないと思っている。この欠席どうこうということは、もっと早い段階で、高いレベルの関係者で調整してもらいたいところだ。こえrから、わたしが参加セミナーでいくつか興味深いと感じたものを紹介したい。




 東京国際映画祭でも、ユニジャパン・エンタテインメント・フォーラムでくくられた多数のセミナーをはじめ、様々なイヴェントが開催された。しかし、TIFFのレポートでは、上映作品、また高齢でコンペティションに参加した新藤兼人監督についての記事がほとんどであった。確かに、根岸吉太郎監督が、新藤兼人監督への授与を誇りに思うと語ったときは、熱くなるものがあった。



「中国・香港―その映画ビジネス戦略」2010年10月26日10:30~12:00
主催 経済産業省(METI)
公益財団法人 ユニジャパン
パネラー
ケルヴィン・ウー(オレンジ・スカイ・ゴールデンハーベストCEO)
クリフォード・クーナン(VARIETY中国在住記者)
モデレーター 関口裕子(バラエティ・ジャパン編集長)


 アジア映画ビジネス、アジア内共同製作をテーマにしたセミナーは、香港フィルマート、プサン国際映画祭でもひんぱんに取り上げられ、わたしも、できる限り参加している。このセミナーはパネラーが外国人だったことから、日本人にとってというより、客観的な視点から語られる内容に新鮮さを感じた。それは、今年のフィルマートで、ローラ・ティーさんがモデレーターを勤めた、香港人若手監督たちによる香港・中国の共同製作についてのパネル・ディスカッション(「映画ビジネスデータブック2010~2011」〈キネ旬総研刊〉に収録)でも感じられたが、我々がもっているスタンダードとは異なる基準で海外との対応を考えているからだ。


 このセミナーでは、パネラーふたりから、今後の中国市場の急成長について語られる一方、クーナン氏からは、中国の政治的リスクについても指摘された。TIFFが尖閣諸島事件直後だったこともあり、中国とのビジネスは、常にリスクが伴うという指摘はその通りだ。ジャーナリストのクーナン氏はその立場にいられるが、中国と映画ビジネスに取り組もうとする知人のプロデューサーは、では、どうしたらいいのか、もう少し踏み込んでもらいたかったと話した。


 また、中国の外国映画輸入枠について、20本と説明されていたが、これはロイヤリティ契約の本数で、他に買取枠、約30本があるが、これについては触れられていなかった。買取については、ビジネスと計算されていないのか、その理解についてどう捉えているかも説明がほしかった。つまり、利益にならなくとも、上映されることで、文化的な理解を広げられるということも我々は重要視するが、国際スタンダードから見れば意味ないことなのかということだ。


 最後に、香港・中国の共同製作の成功事例として、ハリウッド20世紀フォックス、香港、中国による「ホット・サマー・デイズ」という作品が今年の旧正月に公開され大ヒットしたことが紹介された。現在、パート2が製作中とのことだが、こうした成功事例を、どう日本い応用できるか、そういった議論を深めてほしかった。
 限られた時間でこの大きなテーマを語るには限界があったが、情報量の多いセミナーだった。やはり、この席に若い世代の参加者がいれば、大きな刺激を受けたと思う。そう考えると、残念である。



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関口裕子氏、ケルヴィン・ウー氏、クリフォード・クーナン氏(左から)

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連日、連夜のパーティーなど


映画祭の楽しみのひとつは、人との出会いである。映画という共通語をとおして、言葉の通じない外国の映画人やさらには一般の映画ファンの人たちとも、思いがけない出会いがある。その出会いの場となるのが、大小さまざまなパーティー、レセプションである。プサン国際映画祭の期間中は、昼食時、夕方、夜は18:00、21:00、24:00などの時間帯で様々なパーティーが開かれる。また、夜の居酒屋や屋台に行っても、アッと驚くビッグな監督や俳優と出会ったりするときもある。
そのいくつかを紹介しよう。


CJ Entertainment Night / イ・チュウシク・寺脇研 ナイト
韓国最大手の製作、配給、興行会社であるCJエンターテインメント・ナイトのパーティーは10月9日、21:00からグランド・ホテル地下の巨大なクラブで行われた。あまりにも大きな会場と来場者の数、音量に圧倒される。続いて、ジャパン・フィルム・コミッション代表、寺脇研氏、元KOFIC(韓国映画振興委員会)イ・チュンシク委員長と知人、友人たちの交流会が居酒屋を借り切って行われた。こちらは、親密な会で、とてもいい雰囲気だった。



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寺脇ナイトでのキム・ドンホ氏(右)とチョン・サンジン、CINUS(シネコン)代表


ショウボックス 10月10日 21:00
CJ Entertainment に続く韓国の配給、興行大手ショウボックスは今後、自社製作も開始することから、ラインアップ発表をかねたパーティーがウェスティング・チョーセン・ホテルで行われた。こちらはマジック・ショーを中心に、社長も自らマジックを披露する楽しい催しだった。ラインアップ発表では「チェイサー」のナ・ホンジン監督の新作「黄海」の長めの紹介映像が上映されたが、力を感じる画面に期待が高まる。また、知人であるチョ・ジンギョ監督(「花嫁はギャングスター」)が、ショウボックス第1回製作作品ということで、成功を期待したい。


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自らマジックを披露するショウ・ボックス社長


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チョ・ジンギョ監督

ジャパン・ナイト 10月11日 21:00
プサン映画祭では恒例となっている日本主催のパーティーがグランド・ホテル、スカイ・ホールで開催された。ここ数年はランチ・タイムに行われていたが、今年は夜になったことで例年以上のゲストが集まった。依田巽TIFFチェアマン、キム・ドンホ実行委員長の挨拶、そしてリ・サンイル(「悪人」)、呉美保(「おかんの嫁入り」)、また映画祭に訪れていた“韓流”ファンといわれる鳩山前総理夫人、鳩山由紀子氏がスピーチを行った。ここには、さまざまなかたちで日韓の映画に係わる人たちが集まり、交流し、1年に1回、ここでしか会えない人もおり、日韓の映画関係において、大きな役割を果たしているといえる。



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依田巽TIFFチェアマン(中央右)とキム・ドンホPIFF実行委員長


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挨拶する鳩山幸氏


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李相日監督


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呉美保監督


パク・クァンス・ナイト 10月11日 22:00
長い間、プサン・フィルム・コミッションの委員長としてBIFCOMをリードしてきたパク・クァンス氏が退任したことから、お別れパーティーが、高層リゾート、ハナコンド1階のカフェで行われた。キム・ドンホ氏をはじめ、プサンのメディア、行政の多くの関係者が駆けつけたことは、パク・クァンス氏の人柄を偲ばせるものがあった。



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キム・ドンホ氏(左)とパク・クァンス氏(中央)


キム・ドンホ・ナイト 10月13日 24:00
キム・ドンホ氏のお疲れ様会のような非公式パーティーが深夜の12時から、ふぃるむ・マーケットの会場シークラウド・ホテルに隣接する屋外オープン・スペースで開催された。ここには、キム・ドンホ氏と親しかった海外の知人、友人が集まり、カジュアルで親しみがあって、賑やかなとてもいい会だった。ジュリエット・ビノシュをはじめ、世界各国から友人が集まったが、日本からは依田巽TIFFチェアマン、行定勲監督、呉美保監督、大竹しのぶさん、寺脇研氏をはじめ、多くの映画人が参加した。12時からスタートにもかかわらず多くの人が集まり、2時になっても人は減らない。それにしても、会場を回って、参加者と話しを交わす委員長の体力は驚異的である。



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キム・ドンホ氏(左)と依田巽氏


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キム・ドンホ氏(左)とイム・グォンテク監督


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大竹しのぶさん(左)と行定勲監督


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大竹しのぶさん(左)と呉美保監督


キム・ドンホ・ファイナル・ナイト 10月14日 22:00
映画祭の公式行事としてのキム・ドンホ実行委員長のフェアウェル・パーティーがグランド・ホテルで開催された。ここには、プサン市の様々な組織を代表する人が次々と登場してキム・ドンホ氏に感謝状、賞状などを贈呈した。キム・ドンホ氏と交遊があることで、プサン市のセレブであることを誇示するような、ヤリ過ぎを感じる面もあった(翌日の朝の朝食の席で韓国人ジャーナリストから、あの進行について、委員長は終了後、不快感を示したと聞いた)。その後、映画祭ボランティアたちのコーラス、ムン・ソリさんをはじめとする韓国の女優たちとダンスをし、とてもいい雰囲気に転じた。
24:00になると、同じグランド・ホテルの22階スカイ・ホールで別の団体のパーティーがあり、そこにも委員長は顔を出す。


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キム・ドンホ実行委員長をかこむ映画祭主要スタッフ


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ボランティアのコーラス隊(後)


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キム・ドンホ氏と踊る女優のム・ソリさん(左)


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女優たちと黒一点の男優アン・ソンギ


映画祭期間中、朝8:30には朝食を取り、連夜24:00スタートのパーティーに顔を出すキム・ドンホ実行委員長の体力、気力は驚異的である。

この他、映画祭期間中にニュージーランド、札幌、タイのパーティー、韓国の映画会社主催の小さな宴会、映画人が自然に集まった居酒屋の飲み会などに参加したが、映画祭でいちばん重要なことは体力、気力だということが痛感した。


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