シネマな時間に考察を。

心に届く映画を語る、シネマな時間に考察を。ヨーロッパ・中東・アジアを中心とした愛すべき短館系作品のレビューを綴っています。映画と心のちょっといい関係をさがして。心がきらりとひかる瞬間を大切に。


テーマ:

ハリウッドが失った、
art muetな価値観への郷愁と感嘆、温故知新。
映画が映画だった頃、音のないざわめきがあった。
映画が映画だった頃、色のない情感が満ちていた。
美しと麗しのサイレントなモノクロームに何を想う。


シネマな時間に考察を。

『アーティスト』
2011年/フランス/101min
監督:ミシェル・アザナビシウス
出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ

かつてのスタンダード・サイズに調整された、モノクロのスクリーンにサイレントな魔法が蘇り、美しの世界が情感たっぷりにめくるめく。音のない世界には麗しのロマンティシズム。色のない像にはアーティスティックな彩色が鮮やかに描かれて。

サイレント黄金期のフィルムが再現される冒頭に、楽団のオーケストラピットが悠然と映り込むその躍動感!その先には正装した満員の観客たち。輝く笑顔と感嘆のざわめき。映画が映画だった頃。


シネマな時間に考察を。 1.33:1のアスペクト比で表現される物語には、シネマスコープの分だけ素敵な余白が付いている。セリフの無い2人のやりとりに、はたまた独白のないジョージの心の内に、センシティブなイマジネーションが翼を広げて自由に往来。余白に描かれているはずのシネマな行間を読み取ろうと。映画は本来ただ観るだけのものではなく、感じ取るものだということを。

時代の寵児で大スターのジョージと、彗星の如く現れし新鋭女優ペピー。ジョージにフレンドリーな忠誠を尽くす執事の男と、ジョージを誰より理解する名犬ジャック。


シネマな時間に考察を。 時は流れ、サイレントからトーキーへ。金融恐慌の波にまで飲み込まれてしまう、かつての映画とジョージの栄光その衰退。

コメディやロマンスに留まらず、登場人物の悲哀や苦悩をもドラマティックに伝えるこの作品は、20年代のサイレント映画にはなかった現在の映画としての存在感をも多分にアピールしているし、今の時代に古いサイレント映画を撮ったということではなく、サイレントという映画のひとつの語り口を以って1つの物語を紡いだ新しい作品だとも言い換えられる。かくして監督の映画愛なくして成し得ない偉業であったことに異論はない。


アーティストとしてのこだわりとプライドを捨てきれず、塗り替えられた時代に迎合することもできずに、ジョージは自ら破滅への道を突き進む。ニューウェーブに乗りスターダムを駆け上るペピーはしかし、ジョージを忘れやしなかった。それはまるで、我々が本当はかつての映画を忘れていやしないように。そしてペピーの新作ミュージカル、撮影現場にはジョージの姿。

音の無い、これまでの世界が変わりゆく。
ふたりの踏むタップの音が軽快なリズムを奏でて耳に届く。

ここで初めて入る“音声”は、踊り終えた俳優たちの息遣い。
一拍の後の監督の「カット、パーフェクト!」のかけ声。
それに続くざわめきは、キャスト、スタッフ、技術の声々。

そのざわめきこそが、映画のざわめき。
時代が移れど変わることのない。
作り手と観る者の心を繋ぐ、それはシネマの共通言語。


『アーティスト』:2012年4月25日 神戸国際松竹にて鑑賞



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ペピーがジョージの楽屋でタキシードと戯れる、
あのシーンに溢れるロマンティシズムにブラボー!

アギーわんちゃんのパルムドッグ賞なる演技力にもブラボー!


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