シネマな時間に考察を。

心に届く映画を語る、シネマな時間に考察を。ヨーロッパ・中東・アジアを中心とした愛すべき短館系作品のレビューを綴っています。映画と心のちょっといい関係をさがして。心がきらりとひかる瞬間を大切に。


テーマ:

<知性>と<音楽>と<ムード>に惹かれて。
思いがけず手に入れた“大人の世界”への招待状。
扉の“向こう側”で迎えた17歳の日々に。

シネマな時間に考察を。-17.jpg


『17歳の肖像』 AN EDUCATION
2008年/イギリス/100min
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:キャリー・マリガン、ピーター・サースガード


シネマな時間に考察を。-17c.jpg jazzyな音楽に乗せて始まるオープニング・クレジットの “学校”や“授業”を連想させるタイトルバックがかわいい。moodyな雰囲気の中に垣間見られるスクールエイジな感じが本編そのものをよく表している。制服を脱いでドレスアップしたジェニーは、思わずダニーが言葉を失ったほどにハッとする妖艶さを帯びていたけれど、うっとりと酔いしれるのに充分なムードと音楽に囲まれたナイトクラブの一席で、大人の女が憂うのとはまるで違う、若さの醸し出す瑞々しさが実に爽やか。週末旅行のパリで迎えたブルジョワなひとときでさえも。


シネマな時間に考察を。-17a.jpg 優等生でありながら、フランスへの憧憬と文学や絵画・音楽を愛する少女にとって、それは願ってもないメローなシチュエーションだった。退屈な毎日に突然おとずれた夢のようなライフステージ。あの雨の日に立ちすくむ歩道から、ジェニーの生活は一変する。魅力的な刺激が“車寄せ”して向こうからやってきた。扉を開ければそこにあった。
煌くような大人の世界が。


シネマな時間に考察を。-17d.jpg 身の丈よりハイクラスな場所に居て、そこで繰り広げられるスマートな会話に自分自身が参加していると感じる瞬間の、なんとも形容しがたい“恍惚感”が伝わってくる。恍惚感はやがて“自信”を連れてくるんだ。昨日までとは違うライフステージに自分がこの足で立っている!という実感とともに。


シネマな時間に考察を。-17e.jpg 本作は、辛口批評で知られる女性ジャーナリストの回想録を基にして作られた作品ということだ。結果としては、うら若き少女が両親ともども騙されただけの話だったかもしれない。けれど、学校に通うだけでは決して見つけられなかった人生の愉しみという名の扉を開けて、向こう側の世界で貴重な“17歳”を迎えた過去は、その後の長い人生で回想するのにいつまでも色褪せることのない、いつまでも飽く ことのない青春のヒトコマになり得ただろう。


原題は“エドゥケーション”=教育。

シネマな時間に考察を。-17f.jpg 刺激的な大人の世界に浮かれて自ら教育を放棄した彼女は、結果的にはもう一度中断した教育を再選択した。だからこそジャーナリストとしての現在がある。けれど、その間に起こったディヴィッドとの出来事でさえ全て、少女であったジェニーにとって大いなる“人生経験”となったはず。


シネマな時間に考察を。-17b.jpg 大失恋から立ち直り、オックスフォードで新しい生活をはじめるまでの復活劇については敢えて簡潔にあっさりと描写。しかしそれこそ、“あっという間に過ぎてしまう10代”を象徴するエピローグなのかも。


バックに流れる甘く郷愁的な音楽がとかく心地よく、

その心地よさは物語の展開や結末に至るまで快く伝播する。


映画の幕が閉じるころ、
みずみず
しく甘酸っぱい、果実をひとつ、置いていく。



『17歳の肖像』:2010年5月25日シネリーブル神戸にて鑑賞

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