侵略戦争をしましたか?・(その21) | 5番の日記~日々好日編~

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不定期連載、「侵略戦争をしましたか?」第21回。

ポツダム宣言のポツダムとは、ドイツのベルリン郊外の町の名前です。
1945年7月、ドイツが降伏してもまだ戦い続ける日本に対し、アメリカのトルーマン大統領、イギリスのチャーチル首相、そして中華民国の蒋介石主席の共同声明として、日本に無条件降伏を求めて発表されました。

当時の日本の鈴木貫太郎首相は、「ポツダム宣言は黙殺」と発言。

…ここまでが前回の話。


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その後に広島と長崎に原爆が投下され、ソ連が参戦して来るに及んでようやく8月14日、日本はポツダム宣言受け入れを決断、中立国のスイスとスウェーデンに向けて打電されました。

そして翌15日に国民に公表…この背景は映画『日本の一番長い日』で描かれています。


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このあたりの話、私は実際に父親から聞いてますので、書物より今回はそちらを書きますね。

父親は昭和2年生まれですからこの時は18歳。
なので当時の記憶はかなりしっかりしてます。
74、75歳ぐらいの方が「戦争体験」を語ったりしておられても、申し訳ないですが、私は話半分に聞いてます。
だって当時5歳とかですよ。
その後にどんどん記憶が上書きされて別のものになるに決まってるんですから。


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6月に国民義勇隊法が制定されて、全国民の15歳~60歳の男子、17歳~40歳の女子を国民義勇戦闘隊に編入する事が決められ、本土決戦、一億総玉砕体制となりましたが、父親のもとに召集令状は来なかったそうです。

奈良という土地は、前回書きましたように当時は非常に人口が少なく、空襲もほとんどなかったんですが、親戚も住んでいた大阪、兵庫には6月下旬以降、ほとんど毎夜のように焼夷弾が降り注いでいました。
アメリカは予め日本語のビラを撒いて空襲予定都市を指定して住民に警告、その通りに攻撃をしたそうです。
「アメリカが撒いているビラを拾ったり読んだりした者は非国民扱いされた」と伝えられていますが、実際には皆さん、拾って読んでいました。

そんな中、8月6日、広島に新型爆弾が投下されたという報道があり、8月8日にソ連が不可侵条約を破棄して日本に宣戦布告、満州・朝鮮・樺太で一斉進撃を開始。
8月9日には長崎にも新型爆弾が投下されました。


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そして8月15日正午の玉音放送…
天皇陛下による重要放送があるので全ての国民は必ず聴くように、との通達が村役場からあり、父親曰く、その時には誰もが「日本は負けた」と知っていた、そして肝心の正午の玉音放送は、

「何を言ってるのか、全然わからなかった」そうです。
(意味不明なのではなくて雑音で)


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ちょい外れますが現代の話です……このポツダム宣言に関してつい最近、ケント・ギルバート氏が「ポツダム宣言は“無条件降伏”ではなかった」とコメントしましたが、これはその通りです。

ただ、深い意味は別になくて、全13箇条から成るこの共同声明、序文には「以下の条件で…」と書かれているので、そりゃまぁ、条件はあるわけで(笑)

いかにも弁護士らしい揚げ足取り…いや、論法ですね。


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実はもっと重要なのは、ポツダム宣言の中で
「無分別な打算により、日本国を滅亡の淵に陥れた軍国主義者による統制を日本国は引き続き許すのか、それとも理性を持って復興するのか、日本国が決意するべき時」
という表現があります。

共産党の志位委員長が5月国会の党首討論の場で
「ポツダム宣言は日本の戦争について間違った戦争だという認識を示している。この認識を認めないのか」
と安倍ちゃんに質したのがこれです。

安倍ちゃんはこれには乗らず
「(ポツダム宣言は)つまびらかに読んでいないので」
と逃げましたが、侵略戦争をしたか?と聞けば「日本は侵略などしていない」と答えるに決まってますから、「間違った戦争だったと認めないのか」と聞いたわけです。

これには答えられないんですよ。

つまり、日本がこのポツダム宣言を受諾したという事は、日本として「間違った戦争だった」と認めたという事で、これは明白。

このへんはさすがに東大首席の志位委員長、安倍ちゃんでは太刀打ちできません(余談ですが、共産党は前委員長も東大首席です。偏差値だけで考えれば自民党も民主党も勝てません)

安倍ちゃんの答弁に対して「ポツダム宣言を読んでないなんて!」と批判する声がたくさんありましたが、志位氏の質問はあからさまなトラップであり、首相という立場での答は、あれしかありません。

トラップに引っかからなかった安倍ちゃんをむしろ評価すべきで、「読んでないとは!」と批判するのは完全にズレてます。
ここまで読めないなら評論家やコメンテーターなんて肩書きはさっさと外して辞めていただかないと。

(つづく)