先日9/3のNHK「ためしてガッテン」で放送された『抑肝散』について、いろいろ質問されますので、少し説明します。

アルツハイマーに『抑肝散(よくかんさん)』が効果があった。ということですが、

番組でも注意書きがながれましたが、すべての人に効果があるわけではありません。


認知症患者さんでは、

中核症状:記憶障害・見当識障害など

周辺症状:幻覚・妄想・抑うつ・せん妄・興奮・攻撃的言動・抵抗・暴言・徘徊などの精神症状や行動障害がみられます。

この周辺症状をBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とよびます。

BPSDは介護者の精神的肉体的負担も大きく、認知症患者さんの在宅治療を難しくする原因にもなっています。

抑肝散はこのBPSDに効果がある症例がでてきているので、精神科を中心に盛んに処方されているようです。

BPSDに処方される向精神薬は錐体外路症状や、ADL低下、転倒などの副作用がでることが多く、このような副作用がでない漢方薬の内服でBPSDが改善されれば、患者さんにとっても介護する家族にとってもうれしいことですね。


ところで、

中医学では、アルツハイマーに抑肝散という西洋薬を処方するような使い方はしません。

患者さんの『証』が抑肝散を用いる『証』かどうかで決まります。


抑肝散

中医学的には、抑肝散は、平熄内風剤に分類されます。 体内に発生した内風を治す方剤です。

内風は「身中陽気の変化」で、熱盛により肝陽が亢盛になって化風したり、陰血不足のために肝陽偏亢になって動風を生じるもので、肝陽の偏亢に続発してひきおこされる「風うちより生ず」の病変です。

この方剤の、効能は

平肝熄風(へいかんそくふう):内風を平熄させる方法を熄風と呼び、平肝熄風は肝陽化風による病態を治療する方法です。めまい・横になりたがる・頭がクラクラしたり頭痛がある・身体が震える・言語が不明瞭・突然の昏倒・意識不明・口眼の歪み・半身不随・舌がこわばり発語できないなど・舌質紅・脈弦

②疏肝健脾(そかんけんぴ):肝気鬱結・脾失健運を治療する方法です。肝脾不調証に用いる。脇の脹れた痛み・よくため息をつく・怒りっぽい・食欲不振・腹が脹る・腹痛・大便が不調・泥状便・下痢など・舌苔白・脈弦


 この方剤には、7種類の植物の生薬が含まれています。

柴胡(さいこ):セリ科ミシマトウキの根:疏肝解鬱(肝の疏泄をよくして鬱を解く)などの効能。

川芎(せんきゅう):セリ科マルバトウキの根:疏肝解鬱・行気活血などの効能。

釣藤鉤(ちょうとうこう):アカネ科カギカズラの茎枝の一部をつけた鉤棘:平肝熄風・清熱止痙などの効能。

当帰(とうき):セリ科ニホントウキの根:柔肝和血などの効能。

白朮(びゃくじゅつ):きく科オオバナオケラまたはオケラの根茎:健脾補気・燥湿利水などの効能。

茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科マツホドの層を除いた菌核:健脾安神・利水滲湿などの効能。

甘草(かんぞう):マメ科ウラルカンゾウの根:諸薬調和などの効能。


中医学では、病名ではなく、個人の証をいろいろな角度から見極めます。

証が同じなら、アルツハイマーだけでなく、様々な症状に服用していただきます。


また、抑肝散に陳皮(ちんぴ)と半夏(はんげ)を加えた抑肝散加陳皮半夏という方剤もあります。

この方剤は、抑肝散の証プラス肝胃不和の悪心・嘔吐・または痰飲を伴う場合に使用します。


中医学では、からだのどこがバランスを崩しているのかを、四診により様々な角度から慎重に見極めます。

病気になる前に普段から自分のからだのバランスの崩れを見極め、からだのバランスを整えることが大切ですが、病気になってからでも、中医学的なアプローチでからだを整えることは、より快適な生活を送るために益々必要になってきていると思います。


次回は認知証についてお話します。


〒151-0053
渋谷区代々木1-32-2 宮崎ビル2F
日本中医薬学院グループ・遼寧(リョウネイ)漢方薬局
TEL.FAX:03-3370-0826
薬局 mail:yakkyoku@chuigaku.jp

http://www.chuigaku.co.jp/yakkyoku/
   

AD

コメント(2)