中学理科教師のつぶやき

中学校理科教師として20年。ひとつの意見として、ここに私の日々考えたことを記録していきます。同業の方、現役生徒、現役親御さんとのネットでの交流もできるといいですね。


テーマ:
相変わらず、声は出ず。
声帯が片方だけ麻痺しているせいか
息が漏れて声にならないなあ という感じ。

それでも授業はありまして
全く話をしない授業を目指したものの
やっぱり無理で、説明はしなくちゃいけないわね。

今日の授業は
露点と飽和水蒸気量の表やグラフから
湿度を求める計算問題をやって
露点と飽和水蒸気量とか
湿度とか実際の水蒸気量の関係を
わかったかどうか 確かめる授業でした。

全国の中学生の8割(推定)がつまずくところですな。

【 問題 】
空気中に含まれる水蒸気量が同じ場合
気温が高い空気と、気温が低い空気とでは
どちらの湿度が高いか?

ア 気温が高い空気
イ 気温が低い空気
ウ どちらも同じ

むふふ

湿度の意味がわかっていないと
正解が出せない問題なのね

でも、わからなくても
選択肢があるので
テキトーに答えを選んじゃう方法もあるのね。
で 三択だから結構当たっちゃう。

当たればいいかというと
そういうことではなくて
ちゃんと理由も説明してもらうのよ。

説明できれば「わかった」ということにしましょう。

問題のプリントを配って
生徒全員が問題を解き終わったあたりをねらって
「ファイナルアンサーな。手をあげてください。」
とかなんとか言って 選んだ記号を聞いてみた。

女子二人A子さんと、B子さんが「ア」
あとは全員「イ」を選びました。
「ウ」は無しね。

優秀な生徒達だなあ。
正解は「イ」です。

圧倒的な人数の不利に
がっがりした顔をするA子さんとB子さん

A子さんなんか、「なんでー!」と
目を丸くしています。

A子さんに
どうして「ア」を選んだか説明できる?
と聞いてみたら
泣きそうな顔で「わかりませーん」

どうやら、印象で「ア」を選んだようです。
わからなくもないよね。
気温が高い=湿度も高い
うん。うん。

それならばと
「イ」を選んだ皆さんに理由を聞いてみました。
おっと。手が上がる。

はい、C夫くん

「気温が低ければ、ちょっとの水蒸気量で
飽和水蒸気量に達するので、湿度が高くなるので
同じ水蒸気量なら、湿度が高いのは、気温の低い方です。」

なるほどねー。頭いいねえ。

「今の話に、賛成の人ー」

ばらばらと手が上がる。
手が上がるのは、わかってる証拠。
でも、おなじ「イ」を選んだ人でも
首をかしげて困ったような顔をしている生徒もいる。
この人たちは、正解したけどわかってない。ガンバレ。

「A子さん、B子さん、わかった?」

悲しそうに、頭を振る二人

「おーい、今の話わかりにくいってよ。
 誰か、二人にもわかるように説明してよ。」
と、生徒にふったら

クラスの秀才、D夫くんが手をあげた。
「黒板のグラフとか表とか使っていいよ。
前に出て説明しな。」

黒板には、飽和水蒸気量のグラフや表が
私お得意の紙板書で貼ってあります。
言葉だけより、図を指しながら説明した方が
わかりやすいでしょ?

「えっと、水蒸気がこのくらいあるとすると
空気が冷えると、こっちに移動するので
湿度は高くなるんです。」

わかってる生徒は、うんうんうなずいて聞いていますが
説明としては、前よりわかんない。

「どう?A子さんB子さん」
「ぜんぜんわかりません。」
「はいだめー。他に説明に挑戦する人~。」
「はい」「はい」「はい」

手がいくつか上がります。
俺だったら、私だったら、こう説明してやる
そんな意欲、意気込みを感じました。

さっきのC夫くんとD夫くんは
自分たちの説明が通じなくて悔しそうです。

おもしろいですね。
正解がわかっている人たちを
正解がわからない生徒が審判しています。
いつの間にか立場が逆転しています。

次々と、挑戦者が黒板の前に立ちます。
身振り手振りでA子さんと、B子さんに説明しますが
「何言ってるかわかんない」と
次々に落とされていきます。

ひとつのことを
それぞれが、いろんな言葉や
いろんな角度から説明しようとしています。

わかっている人には、同じ説明に聞こえますが
わからない人には、それぞれ違う話をするもんだから
ハテナマークが増えていくみたい。

でも、同級生の説明に、一生懸命耳を傾け
頭をはたらかせています。

何人か挑戦者が肩を落として席に戻る中
ついに扉が開く瞬間が訪れました。

F夫くんが
「湿度ってのは、空気に含まれる水蒸気の量が
飽和水蒸気量の何%かってことなのさ。
飽和水蒸気量の半分なら50%ってことよ。」
と、ここまで説明したとき
A子さんが声をあげました。
「あ、そっかぁ。わかった。わかった。わかったぁ。

ひらめいたときに
頭の上のランプが点灯しますが
まさに、A子さんの頭の上のランプがピカーッあっっと光りました。

そもそも湿度とは何かから説明されたとき
それまでの謎の説明が、全部つながったのでしょう
「学ぶ喜び」とは、こういう瞬間じゃないかと思います。

この説明競技会だけで今日の授業は終了。
それでも、達成感いっぱいの授業でした。
だって、A子だけじゃなく、正解者の中の
よくわかってない軍団も、A子と同じく、くり返し説明を聞く中で
また、何と説明するか隣近所と議論する中で
理解できたようでしたから。

ちなみに、授業が終わった後
A子はB子に、黒板の前で解説していました。

B子はまだランプがついていなかったんだね。
A子の説明は、すごくわかりやすかったですよ。

「気温が高いと、すきまがいっぱいあるから
このくらい水蒸気があっても満腹にならないのさ。
でも、気温が低いと同じ水蒸気で、お腹いっぱいになっちゃうじゃん」
「あー、そうか。」と、B子も納得。

お腹いっぱいって・・・(笑)

あー、あんまりしゃべらなくて良いから
楽な授業だったな。







みっちゃん みちみち
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