「段ボール家具」が注目されている。子どもの工作などではなく、実際に家庭の中で日常的に使うことができる本格的な家具だ。

 10年ほど前からインターネットなどで販売され始め、じわじわ人気が出ている。さらに東日本大震災を機に、一段と関心が高まっているという。

■「軽くて丈夫、処分しやすい」

 段ボール家具を精力的に取り入れているのが、東京都港区の環境学習施設・区立エコプラザだ。正面入り口で来館者を迎えるカウンターテーブルは、スギ材の天板を、幾重にも貼り重ねられた段ボールが支える。他にも段ボールの椅子や棚などが館内のあちこちにある。

 ノーベル平和賞受賞者で、資源を再利用して循環型社会をめざす「MOTTAINAI運動」の提唱者、ワンガリ・マータイさん(昨年9月死去)も訪れたことがある。

 段ボール椅子をいたく気に入り、「ケニアの実家に持って帰りたい!」と熱烈にリクエスト。後日、エコプラザ特製段ボール椅子を送ったというエピソードもある。

 なぜそんなに人気なのか。「安価なうえに、軽くて、丈夫。しかも処分しやすい」(販売関係者)。

 段ボールといっても、輸送用ケースなどに使われる「強化段ボール」で作られているので、木材と同じぐらい頑丈。それでいて、木材製の家具のように釘や金具などを打ち付けていないので扱いやすい。あくまで段ボールなのでリサイクルも可能だ。「環境にやさしいという要素も人気に拍車をかけている」と関係者は強調する。

■専門メーカーも続々参入

 収納棚、ちゃぶ台、サイドボード、学習机、本棚……。ネット上では、販売各社が多種多様な段ボール家具を紹介している。簡単な棚やテーブルなら価格は数百~数千円程度と、木製家具から比べれば大幅に低価格だ。段ボール家具専門の販売業者だけでなく、段ボール箱メーカーも続々と参入している。

 そんな段ボール家具に最初に注目したのは、学生や、転勤の多いサラリーマン。 そのほか、就学前の幼児用の机などとしても重宝されているという。また、高齢者施設に入居しようとする人が、自分が動けなくなった時のことを考え、「家具を処分してもらう時に迷惑を掛けたくない」と段ボール家具一式をそろえるケースもあるそうだ。

 大震災をきっかけに注目度が増したことも見逃せない。避難所に支援物資として贈られた段ボール製のベッドは、冷たい床で寝起きしていた足腰の弱いお年寄りたちに喜ばれた。家財道具を失った被災者が、比較的容易に手に入れられる家具として重宝しているとも。木製のベッドは調達も運搬も容易ではないが、段ボール家具なら軽いうえ、いざという時は自分で製造することもできる。

 既製品以外にも、強化段ボールの板(シート)を販売する業者もあり、DIYで手軽に楽しむこともできる。ネット上には切り方、ボンドでの貼り方などを指南するサイトもある。

 不況が長引く中、ライフスタイル、ライフステージに応じて、段ボール家具を賢く使いこなすのもおしゃれかもしれない。もちろん、湿気や火気にはご注意を。

エアコンクリーニング

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レアアースなど希少資源の供給不安につけこんで、規制権限を拡大しようとする動きが本格化し始めた。「都市鉱山」というもっともらしい幻想をふりまいて、携帯電話やゲーム機、電子レンジなど「一人で運べる」すべての小型家電にリサイクル規制を導入しようという環境省の計画が、それである。

 だが、おかしな点が多過ぎる。

 そもそも、テレビや冷蔵庫といった大型家電製品は、粗大ごみになって不法投棄が続出し社会問題となったため、「家電リサイクル法」を制定してリサイクルを義務付けることになったのだ。

 これに対し、今回の小型家電はそうした問題が起きていない。そのうえ、環境省は、コストに見合う希少資源の回収が可能だと実証できていない。説明責任を果たさず、企業や消費者に新たな経済的負担を強いる立法に突き進むという乱暴極まりない姿勢なのだ。

 日本は過去に例のない財政危機に直面しており、歳出カットが重要な課題になっている。不要不急の規制を減らし、公務員の定数や人件費の削減に繋げることが肝要なのだ。ところが、環境省は悪質な規制で自らの権限を肥やすばかりか、増税の重荷を背負うであろう国民に、新たなリサイクル負担の重荷まで押しつけようとしているのだ。これは容認できないだけでなく、責任を問われるべき問題だろう。

 環境省の思惑が表面化したのは、2月9日のことだ。小沢一郎氏の秘書の経験を持つことでも知られる環境大臣政務官の樋高剛・衆議院議員(神奈川18区、当選3回)が記者会見で、「本日から中央環境審議会に対しまして、小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済製品からの有用金属の再生利用の在り方について諮問をいたします」と言い放った。

 その審議会に提出された資料をみると、環境省は、「中央環境審議会」(環境大臣の諮問機関)の「廃棄物・リサイクル部会」の下に、新たに「小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済み製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会」を設置するという。



 小委員会の検討課題は、1.リサイクルに係る独自の法制度が存在しない使用済み小型電気電子機器中の有用金属のリサイクルの在り方、2.家電4品目、パソコン及び自動車のリサイクルに関する取り組みとの整合性―の2つだ。最終的には、小委員会のキックオフ・ミーティングを今月(3月)下旬に開き、結論を年末までに出すとしている。

 補足すると、環境省は、「官僚の隠れ蓑」との指摘が絶えない審議会に専門組織を設け、家電メーカーや小売業者に製品の引き取りやリサイクルを、消費者にその費用負担を義務付けている家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)や、パソコンを対象にした資源有効利用促進法、自動車を対象とした自動車リサイクル法などを参考にして、新たな小型電気電子機器のリサイクル法を制定するというのだ。

 そうなると、これら3法と同様に、メーカーや小売業者、消費者に新たな義務や費用負担が課されるのは確実だ。消費者は、小型家電1台当たりテレビ(1台当たり1,785円から2,835円)並みか、それに近いリサイクル負担を強いられるとみられている。

 見逃せないことのひとつは、従来の家電リサイクル法、資源有効利用促進法、自動車リサイクル法の3法がいずれも経済産業省の所管なのに対し、今回の新法制定では環境省が主導権を握ろうとしている点である。

 小型家電のリサイクルに法的規制が本当に必要であり、かつ、規制による効果が期待できるものならば、経済産業省が家電リサイクル法の対象を現行の4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から広げて規制するのが筋だろう。あえて環境省が乗り出そうすれば、省益拡大のそしりは免れまい。冒頭で紹介した会見で、樋高政務官は「経産省さんと競争しているわけではございませんので、一緒にやっていくというのが基本」と述べているが、類似の規制を別立ての法律にするのは無駄である。

 しかも、当の環境省は、新たな法規制の必要性について、前述の審議会に提出した資料の中で「いわゆる『都市鉱山』である小型電気電子機器は、循環資源としての有効利用が期待されていながら、有用金属とともに最終処分場に埋め立てられるなどリサイクルされずに処分されているものが多いと想定される」と記しただけ。これといった論証を示すことができず、推測だけを根拠にして闇雲に法制化を目指す姿勢をさらけだしている。

 こうした環境省の姿勢に対して、ビジネス界では、「メディアは都市鉱山と言う言葉の目新しさに跳びつきがちだが、実際は開発に見合う含有量があるかどうかが疑問だ。取り出せる技術があるか、コストを回収できるかなど、本当の鉱山ならば採掘の開始に二の足を踏むような疑問が溢れている」(経済団体幹部)と苛立っている。

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