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16:爆発


さて、いつもの様に王宮へ向かおうと思ってグラシスの館を出たら、第七騎士団の若い騎士たちに、新しい研究の為の場所へ連れて行かれた。
何故か僕は王宮ではなく、レッドバルト家の所有する王都最大のホテル、セントラルホテルに。
なんと、その地下には大きなラボが存在していたのだ。

「あ、リノ。おはよう」

「……どう言う事だオリヴィア。なぜこんな所で……」

「私だって今朝mcm 財布 激安
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知ったのよ。しょうがないじゃない、騎士団の決定なんだから。私たちはこの研究の間は、第七騎士団の下に付く事になっているのだから」

「……お前も選抜のメンバーなのか?」

「ええ。あと、クラウスも居るわよ」

「……他には?」

「……それだけ」

「………」

はい?
僕は耳を疑いたくなった。
いったいどういった選び方をしたら、このようないつもの顔ぶれになるのだろう。

「何だかA班で実験していた頃を思い出すわね……」

「…………」

僕は頭を抑えつつ、先が思いやられるなと思ってふらついた。
少数精鋭と聞いていたが、まさか同級生の班員たちと言ういつものメンツで研究する事になるとは。

しかしよくよく考えてみる。
第三研究室には優秀な研究員が多く居るが、オリヴィアとクラウスはまだ若いとは言え相当優秀な人材だ。
なにしろ、僕らの世代は黄金期と呼ばれ、A班は特別天才ぞろいと言われていたから。

この若い僕にリーダーを務めさせる上で、やりやすいチームを作ったと言う事だろうか。
それとも必然的に、彼らの力が必要となると言う事だろうか。

ここで少し、学生時代の班員たちの話をしよう。

僕らは王都の魔法学校の、特に成績の良い上位クラスに在籍していたが、その中でも一際異彩を放つA班の班員だった。

6人いた班員のうち、オリヴィアが班長で、僕とクラウスがただの班員。
オリヴィアは学年の主席争いをしていたほどの優等生だったし、クラウスは魔法式の計算において誰にも負ける事は無かった。
僕は魔法薬学に関して教授たちと渡り合えると言われたほど突出した知識と技術を持っていたが、それ以外に関しては並の人間であった。

現在宮廷画家となったフィオナルド・コレーは、これまたとんでもない天才肌で、造形魔法学や自然魔法学、想像魔法学などあらゆる分野で特異な才能を持っていたが、何故か王宮画家をしている。

残りの二人は、副班長であったウェルナー・セバリュスと、女子班員だったチェチーリエ・プリズ。
ウェルナーは正義感が強く戦闘魔法が得意で、研究室ではなく魔法兵の道へ。
チェチーリエはふわふわした女性らしい生徒で、民俗魔法学の偉い教授の娘で、そのままそちらの学者となった。






「そもそも、妖精をゼリーにするなんて、どういった原理なんでしょうね」

「……僕が思うに、妖精の変化の力を強制的に発動させているんじゃないだろうか。妖精は好き勝手に、あらゆるものに変化する力を持っている」

「なるほど。薬に、強制的にゼリーになるよう魔法式を組み込んで、スリープさせているって事か……」

オリヴィアとクラウス、僕という顔ぶれが集まった後、まず、会議をした。
いったい、今何が必要で、どういった情報が重要なのかまとめ、魔法薬学の視点から考えてみる。
その中で、妖精を魔法薬品によって強制的に変化の力を発揮させているのでは……と言う推論に至った。
要するに、魔法薬が妖精をゼリーにしているのではなく、魔法薬は妖精の変化の力に何かしらの命令を出してるのだ。そしてそのまま、妖精たちを強制的に眠らせている。

もしこれが正しければ、逆に妖精たちを強制的に起こして、元に戻る様に促す魔法式を組み込んだ薬を作れば良いと言う事になる。

妖精ゼリーの現物だけはあるが、やはりどうしても例の“魔法薬品”が欲しいのと、妖精に関する専門的な知識が欲しいところだ。



ランチの時間の事だった。クラウスとオリヴィアはホテルのレストランへ向かったが、僕にはベルルの作ってくれたお弁当があるからと、一人地下に留まっていた。今日はオムレツサンドだった。
美味くできていたので、それを完食してしまい、今後の事を考えつつ、部屋に用意されてあったティーセットのお茶を飲んで、ホッと息をつく。
丁度その時、腕に付けていた魔法結晶の腕輪が光って、なにやら空中伝書が届いたようだった。

「サフラナか?」

どうやらグラシス家からだ。基本的に、こちらからグラシス家に連絡を入れる事はあるが、あちらから伝書が届く事は稀なので何だろうかと思う。

「………」

僕は伝書を開き、少し驚いた。
そこにはベルルの小さな可愛らしい文字で、こう書かれてあったのだ。

『旦那様、お昼はもう食べたかしら? オムレツはサフラナじゃなくて、私がちゃんと作ったのよ? 味で分かっちゃうかもしれないけど……。美味しいと良いな。旦那様、お仕事頑張ってね』

最後に、あの丸頭の妖精の絵が描かれている。
何ともたどたどしい文章だが、ベルルから伝書をもらったのは初めてで予期していなかった事なので、かなり嬉しかったりする。
きっとサフラナが、空中伝書の事を教えたのだ。ナイス、サフラナ。

「ええと……どう返信しようか。“ベルル、サンドウィッチをありがとう。とても美味しいオムレツサンドでした……”って、何で敬語に……。僕は伝書だと誰に対しても敬語になってしまうんだよな……」

一人ごとを言いながら、何故か返信に苦労した。
悩みつつ返信し終わった後、僕は今度、ベルルにも伝書専用の魔法結晶を買ってあげようと思った。
いつでもやりとりができる様に。





その日の夜、僕が相変わらずいつもより遅い帰宅をした所、グラシスの館の異変に気づかずにはいられなかった。

「………??」

どこか焦げ臭い。
何事かと心配になって居間にまで向かうが、何て事無さそうに縫い物をしているサフラナと……ソファで眠っているベルルが居るだけだ。

「……いったいどういう事だ?」

「ああ、坊ちゃん。お帰りなさいませ。………ああ、この匂いですか? 申し訳ありません。……ちょっと色々とありましてね。クッキーが爆発してしまったんですよね……」

「……クッキーが……爆発??」

はて、クッキーはいつから爆弾になってしまったんだろうか。

「いえね、ベルル様と一緒にクルミのクッキーを焼いていたのですが……なぜか爆発してしまったんですよね。いったい何が悪かったのやら……私が付いていたと言うのに……。奥様は自分が何かミスをしてこんな事になったのだと、酷くショックを受けてしまいまして。ソファでずっと泣いておられたのですが、先ほど泣きつかれて眠ってしまわれました」

「………そうか」

僕はベルルに近寄り、眠る彼女の頬に触れた。
やはりどこか湿っぽく、先ほどまで泣いていたのだなと分かるほど頬が赤い。

僕はベルルを抱きかかえて、二階の寝室へ連れて行った。
二階までいくと、一階のフロアを覆っていた焦げ臭さは無くなる。


「………旦那様……?」

「ああ……ベルル、起こしてしまったか」

「旦那様……っ、私、ごめんなさい……っ!! クッキー、爆発させちゃったの!!」

「………ああ、サフラナから聞いたよ。君に怪我が無くて良かった」

ベルルがベットの上で目を覚まし、ぺたんと座り込んで、口元に手を当てたまままた目に涙を溜め始めた。
僕は慌てて、彼女の涙を拭う。

「私……旦那様が仕事でお疲れだろうと思って……っ。途中まで上手くいっていたのよ?? いったいどうして失敗しちゃったのかしら……っ」

「な、泣くな泣くな。また挑戦すれば良いじゃないか。……楽しみに待っておくよ、僕は」

「………ごめんね旦那様……何も出来なくって……」

ベルルは眉を八の字にして、側にあったクッションを引き寄せ胸に抱き、心底情けないと言う様子で泣いていた。
僕の場合、次こそはと思っていた実験が失敗したときの様な感じかな。

「何度だって挑戦すれば良いんだ。君の理想のクッキーを作るまで。……クルミのクッキーは、僕の母が得意だったお菓子だよ。それを、逆にサフラナが教わったんだ……。君がこれを作ってくれようとしただけで、僕はとても嬉しい……」

「………本当……?」

「ああ。とても嬉しいよ……」

制服の胸ポケットからハンカチを取り出し、ベルルの涙を拭く。
彼女が目をつむると、そのせいでまたポロッと涙が溢れた。

本当に泣き虫で、僕の為に何かしてくれようと一生懸命頑張る。
可愛い人だ。

「そもそも、失敗は成功の元と言うし……僕らの調剤だってそうだ。いまだに、僕は失敗して、爆発させる事もあるんだから」

「………旦那様も、お薬……爆発させちゃうの?」

「ああ。特に今の薬の実験なんて、最初から手こずっているくらいだ。一日に何度爆発させた事か……」

「………」

ベルルが大きな瞳を丸くさせ、小首をかしげて不思議そうに僕を見上げている。口元で手を丸くしたまま。
可愛い。

「だ、だから……その、あまり気にしなくて良いんだそのような失敗くらい」

「でも私……何で失敗しちゃったか分からないのよ? これじゃあ、また同じ事をしてしまうわ。私、このままずっとクルミのクッキー、作れないんじゃないかしらっ。そしたら……旦那様に食べてもらえないわ……っ。旦那様の奥さん失格よ!!」

「まさかそんな……大げさな」

僕は、とりあえずベルルに着替える様に言った。
まだ普段着のドレスのままだったからだ。

ベルルは言われるままに、肩を落としたままクローゼットのある部屋に向かったが、その時、彼女の背中からコロンと落ちるものあり。

「……??」

僕はそれをすぐに摘んでみた所、なんと妖精である。
よく中庭で見かける、細長いアスパラガスみたいな妖精だ。

しかも何かクルミを腕に抱えている。

「………なんで妖精がクルミなんかを……」

僕は瞳を細めつつ、その妖精をマジマジと見つめた。
うちの庭の妖精たちは、普段あまり人前に出てこないし庭の主である僕に悪戯ばかりするし、ちょっととんでもない奴らだが、ベルルが庭に行く様になって表に堂々と出てくる様になった。

このアスパラ妖精もそうだ。
僕に捕まっても騒ぐどころではなくクルミを舐めている。

「おい………まさかベルルがクッキーを焼くのを失敗したのは、お前が何かしたからじゃないだろうな……?」

何となーく、そう思って聞いてみたが、妖精は間抜けな面でクルミを舐めながら、「あー?」という感じだ。

妖精は悪戯好きだ。
しかし妖精の申し子であるベルルに対し、何かしでかすとも思えないが、逆にかまって欲しくて悪戯すると言う事もあるかもしれない。

「旦那様……どうかしたの?」

ベルルがクリーム色の絹のネグリジェを着て、再び戻って来た。

「ああ、妖精が君の背中から……」

僕は摘んでいた妖精を彼女の前に差し出そうとしたら、すでに妖精は僕の手から逃れ、姿を隠してしまっていた。
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