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 今回も特にグロ描写や暴力描写はありません。
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青年と犬と指導者

 二人の男が雨の降りしきる路上にて対峙していた。一人はオリーヴグリーンのレインコートで体を覆い、フードを目深に被って顔を隠している。そして、もう一方の男は動きやすそうな格好に透明の雨合羽を羽織り、両手を挙げて震えていた。

 レインコートを着込んだ男、青年が男の腹の方に向けて89式小銃を向けていたからだ。次の瞬間には相手の気まぐれで死ぬかもしれないという境遇に立たされた男は、恐ろしさのあまり膀胱の締め付けが緩む思いであった。

 やれやれ、面倒な事になったと思いながら、青年は未だ路地にて呼ばれるのを待っているカノンを呼び寄せる為に甲高い口笛を一度吹く。その時にも銃口は動かさず、油断無く男を狙い続ける。

 フルオートにセレクターを合わせているのは、男が逃げようと横飛びなどで射線から離れても掃射で殺せるようにする為。そして、腹を狙うのは頭を違って動く順番が遅いので、中央に狙いを定めれば動いても体の何処かしらに当たるからだ。

 雨にかき消されて聞こえないかと思ったが、カノンがびしょ濡れになりながら路地から小走りでやってmcm 財布 激安
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来た。犬の聴覚は人間よりずっと優れているので、どうやらこの雨の中でもしっかりと聞こえていたらしい。

 「カノン、此奴を見張っていろ」

 言うまでも無く彼女は犬なので、人間の言語は理解出来ない。だが、青年が取っているのは敵対の構えであり、命じられている事はニュアンスで理解出来る。敵が下手に動いたなら食らいつけ、そういう事だ。

 カノンは男の前で腰を落ち着け、じっとその澄んだ瞳で目を見つめた。男は一瞬、これが相手なら何とか逃げられるんじゃないだろうかと思って足を僅かに躙らせた。

 しかし、彼女は即座に反応して体を起こし、牙を剥いて低い唸りを発し始める。これが小型犬であれば鼻で笑えるだろうが、体高が自分の膝上まである見事な体躯の犬であったらどうだろうか?

 人間は痛がりだ。露骨に痛そうな物には拒絶反応を見せて動けなくなる。剥き出された硬質な光を反射するエナメル質の鋭い牙は、あっさりと被服や肉を深々と裂く威力を秘めている事を連想させる。

 あれに噛みつかれた時の痛みは一体如何ほどの物であろうか? そう想像した男の額に雨ではない滴が伝った。

 カノンは優秀な犬だ。そして、犬には狩猟本能という物があり、狼としての資質が多く引き継がれているシベリアンハスキー種ではそれがより顕著である。それだけではなく、カノンは文明的な生活よりも今の荒れた生活に慣れているので尚更だろう。

 犬は誰に教わるでもなく、急所という物を熟知している。何処をどのように噛めば早く死ぬか、それを本能で分かっているのだ。

 それだけでなく、カノンは人型の物体と戦闘する青年の姿を良く観察している。その時に青年が鈍器で始末する時に何処を狙うかというと、薙ぐように首を潰している事も知っている。やはり、人型の生物であっても喉笛に噛みつけば良いことを学習しているのだ。

 犬の跳躍力という物は素晴らしく、助走が無くても自分の体高の倍程度には跳べる。つまり、二メートルも距離がなく、成人の一般平均程度しか身長が無い男が相手であるのなら、喉に喰らい付くのは容易い事だ。

 これ以上動いたなら、カノンは容赦なく男の喉笛に喰らい付き、捻るように首を跳ね上げて気管と血管ごと頸骨の一部を巻き込んで肉を抉り取るであろう。

 はっきりと分かる死の気配を感じ取り、男は一歩も動けなくなる。銃口も恐ろしいが、もたらされる痛みが容易に想像出来る犬の牙の方が男にはより恐ろしく感じられた。

 カノンが男を押しとどめている間に、青年は鍵を取り出してキャンピングカーの中に戻った。フードを外して手近にあったタオルを取って顔を拭う。入り込んだ細かい雨や、体にぶつかって弾けた雨垂れの滴で顔が濡れていて気持ち悪かった。

 一息吐き、湿った髪を掻き上げてから背負っていた狙撃銃を下ろす。これからは、もしかしたら集団戦になる。射撃間隔の長い狙撃銃では不利だ。援護してくれる仲間が居るなら有用だが、一人では少し考え物である。

 それに、別に何百メートルも開けて交戦する訳では無い。観察した結果、敵にはそれほどの長射程で攻撃できる武器が無いと分かっているので89式だけで十分過ぎる程だ。それに、これでもじっくり狙えば一〇〇メートル程度であれば何とか当てる事も出来る。

 使う予定の無くなった狙撃銃を置き、その代わり近接戦闘に陥った際に制圧力で敵を圧倒する為にMP5A3を手に取った。今回は静かにする必要は無いのでサプレッサを外しておく。

 サプレッサは消耗品であるので、必要で無い場合は外してやる必要がある。それに、音を軽減する代わりに弾道に狂いが生じたり、弾速が落ちる事がある。死体を引き寄せる危険性が無く、気兼ね無しに撃てるような場面であれば外しておいた方が効果が高い。

 ポーチから手早く不要になった狙撃銃のマガジンとバラの5.56mm弾を取り出し、MP5のマガジンと9mmパラベラムに入れ替える。

 そして、予備のマガジンを一つ取り上げて、装填しているマガジンへ互い違いになるようにダクトテープで括り付けた。この前も使ったが、デュアルマガジンという形式にしておけばより素早い装填が可能になる為である。

 マガジンの種類によってはダクトテープなど無くてもデュアルマガジンに出来る物もあるのだが、生憎そんな便利な物は持っていなかった。だから、有物を力業で活用するしかないのだ。

 そして、次に89式小銃を狙撃銃の隣に置いた。敵は多いのだから、近~中距離で相手をする必要が出てきた場合にもっと効率の良い武器があるからだ。

 青年は部屋の隅に積んである木箱を下ろしていき、一番下の一つに手を掛ける。その木箱は殆ど触れられた事が無いのか、薄く埃が被っていた。

 木箱の蓋を退けると、其処には一つの大きな鉄の塊が大鋸屑に包まれるようにして収まっている。分隊支援火器と分類される5.56mm弾を大量にばらまくことが出来る軽機関銃であった。自衛隊が正式に調達した物の一つで、ミニミ軽機関銃が正式名称である。

 非常に大きな本体に、二〇〇連発ボックスマガジンを装填した大ぶりな軽機関銃であり、89式より幅広で頑強なスリングが装備されている。

 この銃は、一挺で多数の弾丸をばらまいて一人で面制圧を行って分隊規模の味方の進行や攻撃を補助する為に作られている。そのため、精密な射撃には向かないが、瞬間最大火力や面制圧力は小銃を大きく上回る。

 その威力は凄まじく、数百体規模の死体の群れを相手にしても十数秒間引き金を引き続ければ挽肉の山が構築される程だ。

 5.56mm弾を分間七二五発の勢いで射出出来る化け物は、圧倒的な火力で敵を制圧してくれる。大勢と対峙するのなら、これほど心強い物も珍しいだろう。

 では、何故今までそんな凄い物を使わなかったかと言われると、大食らいなのである。一分間に七五〇発撃てるというのは凄まじいが、死体を処分するには些か火力過剰と言わざるを得ない。そして、5.56mm弾はあまり無駄遣い出来ない。

 そこらの警察官の死体から結構な頻度で奪えるニューナンブの38スペシャル弾と比べると、中々落ちていないのだ。そして、凄まじい勢いで銃弾を吐き出し、銃声を撒き散らすので死体を呼び寄せてしまうので、倒した以上に敵が増えてしまうリスクも高い。

 死体に囲まれる心配の無い場所で、対人戦くらいでしかないと使う気が起きないという何とも厄介な代物だった。正に帯に短したすきに長しである。

 それに、弾丸を装填する為のボックスマガジンは二つしか無いし、使った後に態々弾丸をベルトリンクさせるのも面倒だ。使うにしても手間がかかり、状況を選びすぎる。

 今後活躍してくれるような機会は、今回のような状況か、無数の死体に囲まれてやむを得ない時くらいだろう。

 三分程で戦闘準備を済ませ、青年は再びローブを被って表に出た。ふと扉を閉める為に振り返れば、床に水たまりが転々と出来ていた。急いでいたので入り口に脱がずに入ったから、表面に付いていた水滴や服に染みこんでいた水滴が滲み出てしまったのだろう。

 後で掃除することにしよう。まぁ、掃除が出来るような状態であれば、の話であるが。

 とりあえず、好き好んで家に帰れないような状態になる趣味は無いので気をつけるつもりではあるが、やはり万が一という事は起こりうる。今までも危ない事は幾度もあったから、覚悟を決めておくに越した事は無い。

 戦いへの覚悟を決め、青年は居住区の扉を閉めて鍵を掛けた。自分は絶対に此処へ戻ってくると決意しながら。

 MP5は取り回しが鈍くなるが、雨に濡れるのを防ぐ為にレインコートの内側へスリングで吊しておいた。流石に本体が湿る事までは防げないが、これで銃口から雨水が浸入する事は無いだろう。

 しっかりと戦いの準備を済ませたが、実は青年としては未だに撃ち合いは避けたいと考えて居た。仮にあの二人を先制攻撃で殺していたとしても、何時までも帰って来ない二人を心配して捜索隊が出されただろう。

 そして、その捜索隊がやって来る前に雨が上がれば良いが、降り続けていれば逃げられずに見つかってしまうだろう。流石にこのデカ物を完全に隠せるような場所は近くには無い。

 確かに交戦の危険性よりは雨の中を走って擱座する危険性の方が直接命には響かないだろうが、今後を考えるとキャンピングカーが擱座するという事は詰みと言っても良いので逃げる事も出来ない。

 と、なると何とかして撃退するか……此方に手を出させなければ良いのである。

 だから青年は二人を殺さず、一人を伝令にして一人を人質として取った。この人質を使って逃げられるようになるまでの時間を稼げぐ計画を立てればいい訳なのだから。

 右腕の時計に目をやると、もう一人の男を伝令に出してから七分程が過ぎようとしていた。宣言した時間通りに市民会館前に到着しようと思ったらそろそろ出ないとならない時間だ。

 青年はミニミ軽機関銃の銃把と本体上部から伸びているキャリングハンドルをしっかりと握り込み、寒さ以外の理由で震えながら両手を挙げて突っ立っている男の背に銃口を押し当てた。

 それに反応して男は何とも情けない叫びを上げたが、青年は無視して銃口をより強く押し当てて言った。

 「ゆっくり歩け。銃口から離れない程度の速度で、市民会館に向かうんだ」

 分かったな? と念を押してから、軽機関銃で男を押し出した。数歩よろける様に前に出てから、此方の表情を伺おうとしたので顔に銃口を突きつけてやる。

 「私の方を見る必要は無いだろう。さぁ、さっさと歩け。それとも膝をぶち抜かれてから引きずられたいか?」

 青年の脅しに男は再び情けない声を上げて、ゆっくりと歩き始めた。死体に襲われて生命の危機には慣れたように感じても、どうしようも無い危難に見舞われた場合経験は何の役にも立たないようだ。

 結局、経験という物は行動の効率を最適化する物に過ぎず、慣れこそが事態への対応を可能にさせるのだ。男は、どうやら人間から理不尽な攻撃を受ける事に慣れていなかったらしい。

 そう考えると、今までは比較的幸福な境遇に居たとも考えられるのでは無いだろうか? 少なからず人間に敵対されてきた経験を持つ青年はそう思った。

 しかし、今そんな事はどうでも良い。考えるべきはどうやって生き残るかであり、この男を上手く使う事だ。

 交渉が上手く行けば、自分は追撃を受ける事は無く悠々と此処を去ることが出来る。だが、決裂すれば敵を殺しきるまでは安心してこの街を去る事は出来ないだろう。車による追撃戦だけは何としても避けなければならない。

 一人で居るというのは色々自由が効いて便利だが、こういう時はどうにも不便で仕方が無いなと青年は思った。

 しかし、不思議とカノン以外の道連れが欲しいとは思わなかった。足手まといになるとしか感じられず、今の安定が崩されるような気がしたからだ。

 彼方を立てれば此方が立たずか、ままならない物だな、とローブの中で普段の歪な笑みを形作りながら、銃口を押しつけて男を急かした…………。











 道路の上に一人の男が立っていた。二の腕の部分に硬質プラスチック板で補強を施したジャケットを着込んだ髭の大男である。

 彼が立つのは市民会館の車止めの前であり、両脇に二人の男が控えている。男の補助役を務める太った中年男と、染めた髪が伸びてカフェゼリーのようなコントラストになった男だ。

 降りしきる雨の中、傘も差さないで彼はじっと正面の道路を射貫くかの如く険しい視線で睨め付けていた。視線に物理的な影響力があるのであれば、道路そのものが抉れるのではないかと思う程視線は険しい。

 それも仕方が無いだろう、自分達の仲間の一人が突然人質に取られたのだから。男はいざとなれば戦う覚悟で武器を握ってこの場に立っていた。

 手に持っているのは迷彩のパターンがプリントされたクロスボウだった。かなり大型の競技用クロスボウであり、分類上はフルサイズクロスボウと呼称される物だ。

 クロスボウとは、矢を装填するレールが掘られた本体に、グリップと機構部が据え付けられ、本体上全部に弓が設置された弩である。

 一般的にはボウガンといえば覚えがいいやもしれない。だが、それはあくまでそれは日本の同名企業が製造した近代的なクロスボウに登録した商標名に過ぎないので、弓の種類では無い。

 男達の指導者である男が持っているクロスボウは競技用に作られた軽量堅個を売りとしたカーボン製の本体に自動巻き上げ機能まで付いた立派な物だ。側面に予備の弓を設置できるクリップなども付いており、最大で六本の弓を保持出来るようになっていた。

 これは男が最初から持っていた装備だ。こうなる以前に男はクロスボウ競技を趣味としており、事件が発生した時もこのクロスボウのおかげで生き延びる事が出来ていた。

 銃と違って弓は刺さった衝撃で手酷く折れ曲がったりしない限り、回収すれば何度でも使う事が出来る。そして、その気になれば製造出来ない事も無い。この状況下では下手な銃よりも有用な武器と言えよう。

 本体レールの上部には中距離用の光学スコープも据え付けられており、男は四〇メートル先の人歩行速度の移動目標でも当てられる自信があった。

 競技として趣味でやっていた頃では想像も出来ないような腕前になってしまったが、やはり危機的な状況という物は否応なく人を成長させるらしい。

 隣の小太りの男が雨で濡れた手で握っているのは警察の死体から剥いできたニューナンブであり、カフェゼリーの彼が持っているのはモスバーグ社製のショットガンを国内法に従ってダウングレードした猟銃であった。

 いずれの火器も、もう弾は殆ど残っていなかったが、少しでも火力があった方が良いだろうと持てる限りの火器を持ち出したのだ。

 男が今後の計画を会議室で考えて居る時に、周囲の探索にでた男が一人でびしょ濡れになりながら戻ってきた。そして、息つく暇も無く仲間が一人人質に取られた事を教えた。

 仲間達はそれを聞いて、直ぐにでも取り返しに行くか報復するべきだと騒ぎ始めたが、男はじっくり考えた後でそれを止めた。

 いまいち要領を得ない説明を聞くに、相手は小銃で武装している。自衛隊が正式採用している小銃であるらしく、しっかりと整備されているのなら脅威であろう。

 最初に大男は、それがモデルガンで無かったかと帰ってきた男に問うた。だが、男は焦っていて良く覚えていないと応える。確かにいきなり出てきて銃を突きつけられれば悉に観察している余裕など無いだろうから仕方が無いだろう。これがモデルガンと確信出来ていたのならまだ気楽だったのだが。

 相手は此方を上回る火力を持っている。クロスボウよりも連射が効き、拳銃や猟銃よりも射程が長い。これはかなり不利だ。交戦するにしても、クロスボウによる初撃が外れたら後は再装填の間に弾丸を浴びせかけられる事になるのだから。

 その上、相手の数が分からないのが最高に痛かった。男は一人しか人間を見ていないと言ったが、此方に人数を気取らせない為や、一人だと油断させる為に敢えて一人だけで出てきた可能性もある。

 そして、数が分からないと言う事は火器の性能で劣る事よりも不利だ。敵が一人だと思って居る状態で対峙したら、隠れていた他の敵から側面攻撃を受ける危険性がある。また、複数居る事を警戒して人数を散らしたのに、相手が一人だった場合は敵にとって一度に相手しなければならない敵が減るので有利にしてしまう事になる。

 かといって味方を分散して運用するのもリスクが大きい。敵を包囲するつもりで、それを予測した敵に各個撃破されたら目も当てられない。

 敵の数が分からない以上、まともな迎撃策や攻撃策を取る事は出来ない。全ての状態を加味して対応出来るほど此方には人員も武器も揃っていないからだ。それに、此処には守るべき子供や老人も居る、制圧された場合はどうしようもなくなってしまう。人質を取られたら嬲り殺しにされる他無いだろう。

 なので、考え抜いた結果として男は戦う事は半ば諦めて敵を向かえる事にした。態々殺さないで解放したと言う事は、何かしらの意図があり、そして訪ねてくると明言した以上何か此方に望む物があるのだろう。

 人質と食料や武器の交換かもしれない。どちらも何処かで調達出来るだろうが、人命に限ってはそうはいかない。人質に取られた男は他ならぬ探索の発起人であり、弟の為に抗生物質や新しい包帯を探す為に出かけていった彼なのだ。

 そんな彼を見捨てた場合にコミュニティに走る衝撃と、それがもたらす不和の大きさはは想像に難くない。

 ある程度の物ならば要求されても受け入れよう。最悪、このクロスボウを差し出しても良い。武器は集団の結束より重いかと問われれば、男としては否であった。

 そのような思考の下に男は決断をすると同時に覚悟を決め、僅か二人の供回りと共に表に出た。残りの戦闘可能な男達は全て市民会館の守りに徹させる。もし戦闘になっても室内での籠城ならまだ目もあるだろう。

 男は覚悟を胸に秘めながら雨に降られつつ、時折腕に巻いたデジタル時計に目をやって、じっと待っていた。社会という柵がなくなっても、時間という物は問題なく流れていき、そして自分達は未だにそれに縛られると同時に頼っている。何とも笑える話だ。

 伝令役の男が言うには、自分が走り始めてから十五分後に此方へ来ると言っていた。なので、正確な時間までは分からなくてもそろそろだろうと推察できる。

 そのまま暫し視線を通りの置くに固定して待っていると、雨で霞んだ遙か遠くに、小さな影が見えた。

 影は最初小さな人影に見えた。だが、それが近づくにつれてどんどんと大きくなっていき、やがて二人の人影が一つに重なっている物だと分かった。

 その内、雨が降っていたとしてもしっかりと影の姿が分かるようになってきた。前を歩いて居るのは両手を挙げた自分の仲間で、その後ろに付いているのは男を盾にするようにして歩いてくるレインコートを着た矮躯の人間だった。この距離からでは男女の区別はつかないが、恐らく体型からして男だろう。

 距離が二〇メートルほどにまで近づくと、男が何を持っているのかがよく分かった。小銃よりも太く大きな銃。そして、下部に供えられた大きな箱形の弾倉……軽機関銃だ。

 大男は内心で大きく舌打ちをした。相手は小銃なんかよりもずっと性質の悪い物を持っていた。あんな物を相手にしたら一瞬で押しつぶされてしまう。仲間を盾にされている以上、先制攻撃で始末するという事も出来ないだろう。

 男はそのまま仲間を盾にしながらゆっくりと近づいてきた。時折、しっかり狙って居るぞと警告する為にか、人質にされている男の背を軽機関銃の銃口で突いている。仲間はその度に悲壮感溢れる小さな悲鳴を上げた。

 両者の距離が一〇メートルの所にまで来てから、男は足を止めた。そして、小さな声で人質に止まれと告げる。人質の男は、そのまま仲間の下へ走りたくなる衝動を抑えながらその場に留まった。

 沈黙が場を支配する。場に響くのは降り続ける雨が放置された車両や屋根にぶつかる音だけであり、それが延々と反響し続けている。どちらも互いを観察するのに忙しいのか、口を開こうともしなかった。

 一分ほどが過ぎてから、動きが起きた。人質を取った男……青年が軽機関銃を持っていない方の手をそっと上げたのだ。青年はミニミ軽機関銃の銃把を右手で保持しており、同じく右肩に引っかけたスリングで重量を分散させている。

 擡げられた手には、一つの球が握られていた。青年が着込んでいるレインコートと同じオリーヴグリーンに塗装された、ボール型の破片手榴弾であった。

 手榴弾のレバーを固定するピンは既に抜かれており、握っている手だけがレバーを本体に固定している。青年が手榴弾から手を放したらレバーは弾け、時限信管が炸裂して思ったよりあっけない爆発の後で鉄の破片を嵐の如く周囲に振りまくだろう。

 手榴弾というのは映画であれば盛大に爆炎を上げて爆発するが、実際の爆発は地味だ。爆発した場所が地面であれば土を巻き上げるので少々派手に見えるかもしれないが、現実のそれは爆弾としてはささやかなな物である。

 だが、その視覚効果的地味さに反比例し、撒き散らされた鉄片の殺傷範囲は広い。殺傷範囲は起爆地点から半径数十メートルにも及び、殺傷能力は落ちるものの、百メートル先にまで届くことがある。

 遮蔽物が無い状態で炸裂すれば、間違い無く脆弱な人体など、無数の鉄片を体に浴びて挽肉に成り果てる事だろう。そして、敵は仲間の体を盾にして即死は免れるという訳だ。完全には防げないだろうが、それでも致命傷は避けられる。

 男は手榴弾を提示することによって、もしもスナイパーなどを伏せているのであればさっさと諦めろと言っているのだ。手榴弾の起爆を防ぐレバーは男の手によってのみ保持されているので、もしも男を殺せても手榴弾が零れ落ちて起爆し、撒き散らされた鉄片がリーダー達を殺すだろう。

 そして、眼前に居並ぶ男達にも攻撃するなと威圧する。もしも殺せたとしても、自分達はこの距離から数秒後に爆発する手榴弾を止める術はない。男は片手だけで完全に男達の動きを封じきったのだ。

 大男は下手に動けない状況に歯噛みした。これでは最早敵が一人であろうが複数であろうが関係なく自分は動けない。これから後の会話で敵戦力を確かめようと思ったが、最早それを知る意味は無い。どのみち戦えば死ぬ事になるだろう。

 元々殆ど無かった手が、今完全に尽きた。自分達に出来るのは言われたままに従う事か、万分の一の奇跡に縋って玉砕することくらいとなった訳だ。

 男が状況をしっかり出来たであろうと思う時間を計ってから、青年はようやく口を開いた。雨の中でも聞こえるよう、少し大きめに声を張り上げる。

 「さて、状況は理解出来ただろうな?」

 投げかけられた言葉は勝利を確信したような内容であるが、その声の調子は勝ち誇ったようでも侮蔑したようでもなく、ただ淡々と事実の確認の為に投げかけられた物だった。

 大男は苦々しげに表情を歪め、フードに隠れて伺うことの出来ない男の顔を睨め付ける事で応えた。恐らく、声の調子と同じようにあの下では貼り付けたような無表情だけがあるのだろう。

 「だが、私は別に貴方たちに何かを強いたり命令しようという気は無い」

 謙虚な言い様だが、実際には男の発言力には強制力がある。死にたいか? と未だに擡げられている左手に握られた手榴弾が雄弁に問いかけている。

 「もしもこの提案に同意するというのであれば、我々は諸君等に手を出すつもりはない。無益な撃ち合いは此方の望むところではないのでな」

 青年は茶番だなと思いつつ前もって考えて居た台詞を吐き出した。弾の無駄だから、という感想は隠してだが。

 我々、という主語が、相手が集団である事を男達に教えた。姿は見えないものの、他の人間が何処かで狙っている事を臭わせているのだ。これでまた、無意識の内に行動を制限する楔が男に打ち込まれた。

 「重ねて言うが、争いは本意ではない。我々の望みは被害無くこの街から去ることだ。もう此処には用がないが、雨が去るまで車は出せないのでね」

 言っていることは実に平和な事だ。争いたくない、何もしないで去る事が目的なのだから。しかし、その言葉の裏に何が隠れているのかを男は考えてしまう。人間は私欲の為に動く生き物であり、何の代償も求めないという事は考えにくいからだ。

 「私は今からこの男を連れてもう一度自分達の拠点に帰る。そこで雨が止むのを待ち、雨が止んだらこの男を解放しよう。だから、お前達はこの男が帰ってくるまでその建物から出るな」

 妙だ、男はそう思った。敵は圧倒的な火力を有すると同時に人質まで握っている、圧倒的に優位な立場にあり此方を見下ろしているのだ。だのに男が要求するのは安全な撤退だけだという。

 何とも可笑しな話ではないだろうか、全てを要求し、奪い取る力があるのに望むのは自分達の安全とは。何とも謙虚過ぎ、そして不自然な要求であった。

 その違和感を側近である中年男性も感じ取っていたようだ。妙な話だな? 戦う力があるのに。本当はその銃も爆弾も玩具なんじゃないか? と言う。戦闘を避けようとする姿勢は、本当は武器がないからだと見たのだ。

 青年は無言のまま、徐に軽機関銃の銃口を持ち上げて天に向け、既にトリガーに掛けていた指を絞った。

 内蔵された撃針が落ちて弾丸の雷管を叩き、薬室の中で装薬が炸裂した。爆圧とガスが急速に発生し、薬室の中に残った薬莢と弾丸を押しだし、弾丸は銃口から音速で、薬莢は排莢口から鈍い光を反射しながら外に吐き出された。

 トリガーを絞っていた時間は一瞬に過ぎないが、それでも数発の弾丸が大気を切り裂き、雨を蒸発させながら陰鬱な空に苦情を言いに行くかの如く駆けていった。轟音が轟き、数瞬送れて薬莢が地面を転がる甲高い金属音が響いた。

 後頭部の辺りで大音響を突発的に轟かされた人質は今までで最大の叫びを上げ、腰の芯が抜けたように道路に頽れた。よく観察すれば、既に濡れている股間の辺りからより多くの水分がしみ出しているのが分かる。

 驚きと、今までの緊張のせいで失禁してしまったのだ。命の危機という大きなストレスで圧迫され続けた挙げ句、不意を打って背後で銃なんぞを撃たれてば失禁してしまうのも致し方ないことかもしれない。

 さぁ、これで十分か? とでも言うように青年は肩をすくめてから人質の後頭部に銃口を押しつけた。少し鈍い音が鳴り、発砲炎で熱されていたからか人質がまた声を上げた。

 青年はそれを無視して続ける。こういった武力や人質の存在を前面に押し出して行う交渉等は、一方的にたたみかけた方が良い。極論すれば、声が大きい方が強いのである。

 「さて、別に私たちはお前達を細切れにしてから悠々と帰っても良いんだ。それをしないのは、意味の無い戦闘で怪我をしたり、弾の無駄遣いをしたくないからだ。本当に鉛弾を叩き込むべき存在はそこら中を彷徨いているからな」

 言葉に更なる威圧感を持たせるように、青年は左手の手榴弾を弄ぶように持ち替えた。レバーを外さないように方向を変えたりする程度だろうが、彼等の目には死に神の鎌がちらついているように見えたのだろう。

 お前達の命は此方の心づもりでどうとでもなってしまうのだ、と態度で語っている。別にどうとでもしてやっていいんだ、青年はそう臭わせているし、実際にそう思って居た。

 提案を飲むならそれでよし、飲まないなら向かってくる分は弾が勿体ないが、安全には変えられないので殺す。

 相手が万全に戦闘準備を終えていたら厄介だが、こうなってからなら一方的に殺す事が出来る。もしも増援が市民会館から出てきたら、壁の向こうに手榴弾を放ってやればいい。それで一網打尽だ。

 「如何するね?」

 青年は最後通牒だ、とでも言うよう手榴弾を保持する指の数を徐々に減らしていった。しかし、本当に炸裂させるつもりはない。この距離なら前の人質を盾にしても、人体を貫通したことに依る減衰も足りずに自分も鉄片に切り裂かれてしまう。目や首にでも貰ってしまったらそこで終わりだ。

 武器の威力に飲まれている側近二人と人質だったが……リーダーの大男顔はまだ理性的な光を目に宿していた。此方を冷静に値踏みし、今までの発言から此方の粗を探そうとしているのだろうか。

 暫く沈黙が続き、そろそろ青年が焦れ始めた時、ようやっと大男は口を開いた。落ち着いて、しっかりとした響きの声だった。

 「いいだろう、提案を受け入れる。雨が上がったら去るんだな?」

 青年はフードで隠れているとは言え、それでも表情を動かさずに上手く行ったと思った。だが、楽観はしていない。

 これが、大男が怯えたような顔と態度でいったのならば良かった。演技しているという線も疑えたが、それでも殆ど問題は無い。しかし、相手の目にはまだ正常な判断力が伺えた。

 そして、恐らく青年が殆ど単身である事にも気付いているのでは無いだろうか。そもそも大勢がいるのなら、青年が手榴弾で牽制をした時点で数人が出て男を囲んで圧迫した方が効果もあろう。現状からしっかりと類推されたような気がする。

 だが、この人質を切り捨てるつもりは無さそうだし、交戦するつもりも無いように見える。此方を殲滅する心づもりであったなら最初からもっと頭数を用意していただろう。

 青年は暫し考えた。自分の予測を信じ、此方の状態を鑑みながらも出血を厭うて分かって避けたのか。それとも、避けた不利をして人質を切り捨て反抗する腹づもりなのか、と。

 そのどちらの疑いもあるし、可能性もある。しかし青年には人の心を読む力などは無く、最終的には自分の判断と予測に従うしか無いのだ。そして、より可能性が高く、間違っても損害が大きくない方を選んだ。

 「……大変結構、実に宜しい。満足できる答えだ」

 考えた結果とし、青年は男が分かっていながら交戦を避けたと考えるようにした。相手の装備は乏しく、ほんの少し対峙した印象に過ぎないが、この男は仲間を大切にしているのだろう。

 そして、自分達の現有戦力や火力では此方とまともにやり合えばコミュニティが崩壊する程の打撃を受けているとしっかり理解も出来ている筈だ。

 なら、この男を握っている限り交戦を望みはしないであろう。もしも予想が裏切られた場合、自分はこの男を真っ先に殺してから対抗策を打つとしよう。単純に戦うだけで良いのなら、幾つか策が無い事はないのだ。

 万一敗れて死ぬ事になったとしても、相手に利益を一切与えず、そしてとてつもない打撃を与えてやろう。

 警戒にはより強い警戒を以て。虚偽にはより致命的な虚偽を以て。そして、攻撃には相手の死を以て応報とする。

 どうしても相手が殺し合いを望むのなら、砲火を以て応えるしか有るまい。だが、とりあえずはそうならないと思える。なら、それはそれでいいだろう。

 「では、私は今から下がるが、尾行をしたら人質も尾行した人間も殺す。その後で貴方達も殺す」

 「分かった。俺たちは此処から動かない」

 「……結構」

 青年はそう言い、へたり込んでいる人質の背中を銃口で小突いて立つように促した。何時までもへたっていられては困る。彼には少なくとも雨が止むまでは付き合って貰わねばならないのだから。

 地面に手をつきながらよろよろと男が立ち上がるのを見届けると、青年は手榴弾を握ったまま手をレインコートのポケットに突っ込んだ。手は離せないが、見せないことにより、もう敵意が無い事を示せる。

 一度抜いたピンは普通戻せないのだが、少々強引な手段になってしまうけれど、後でピンも戻しておくとしよう。

 「晴れるか、雨脚が弱まっても此処を去る。其方が寄ってこないのなら人質は必ず解放するので安心すると良い」

 人質を急き立てながら振り返り、キャンピングカーへの道を進もうとする。そんな青年の背に、大男が言葉を投げかけた。

 「信用して良いんだな?」

 青年はそれに何も言わず、ただ頷いてから雨の彼方へと去って行った…………。










 大丈夫なんですか? という仲間からの問いかけに髭の大男、彼等のリーダーである男は渡されたタオルで頭を拭いながら応えた。

 「大丈夫だろう。彼処まで徹底的に出血を避けるという事は、此方に勝てる算段が無いか、勝てても被害が怖いという事だ。なら、大人しくしたがっていれば問題ないはずだ」

 その答えに、じゃあもしも俺たちを油断させてから殺す為の嘘だったら? という問いかけが別の仲間から投げつけられた。

 「そもそも殺す気ならさっさとやってるだろうさ。態々人質なんぞ取らず、手榴弾投げ込んでからさっきの銃で掃射すれば一発だ」

 男は濡れた髪をタオルで強く擦って水分を飛ばしながら事も無げに答える。あれだけの武装があるなら、やりようによっては殲滅もできただろう。自分達には対抗できるほど強力な武器は無い。

 そして、そんな敵が何で態々人質まで取って、茶番劇のように己の優位さを示しながら自分達に実質的な不利益が無い交渉を持ちかけてきたのか? 少し考えれば違和感を感じざるを得ないだろう。

 だが、相手はそれを銃が本物であるという事や手榴弾での脅しなど、火力を見せつけることによって交渉相手を飲み込んで意識の埒外に押しやってしまった。

 人間は思考能力が低下している時には魅力的な提案に迷うこと無く飛びついてしまう生き物だ。人という生き物は痛がりで面倒くさい事が嫌いだから、そうなるのは最早本能と言って良い。

 相手は態々そうなるよう仕向ける為の準備をし、実行に移した。そこまで考えたと言う事は、本当に交戦したくなかったのだろう。

 これらの事から推測して、男は相手に敵対する心づもりが本当に無いのだろうと判断した。

 だからこそ、今も悠々と構えて暢気にタオルで頭なんぞを拭いている。指導者は常に落ち着いているべきであるし、今となっては焦っても仕方があるまい。

 じゃあ、今すぐ報復に向かってもいいんじゃないか? と誰かが小さな声で言った。男はそれを鼻で笑いたかったが、努めて冷静に返した。

 「武器は本物だっただろう。あんなのと戦ったら少なからず被害が出るぞ。銃口の前に体を晒したいか?」

 誰も答えなかった。当然だろう、自ら望んで挽肉になりたがるような自殺志願者はとっくの昔に歩く死体の仲間入りしているだろう。

 その後も仲間は随分と考え込んでいたが、その考えで何かがどうなる訳でも無い。最終的にはあの男を信用するしかないのだから。そして、あの男は態々弾を無駄遣いする性質ではないだろう。

 しかし、戦おうという意思がなくとも、相手はそうとも限らないので戦う準備をしなくてはならない。何とも世知辛い世の中だ。

 人間は悪意を以て己を立て、他種族への悪意で繁栄してきた。そして、その後は身内に悪意を向けながら更なる発展を遂げていく。人間は究極的に悪意を持った生き物だ。悪意が人間を生物として発展させて、生き延びさせてきた。それ故に、人間は悪意を捨てる事は出来ないだろう。

 悪意を捨てられないから、相手も悪意を持っていると思って動く。それが、今回の諍いの原因であろう。自分が悪意を行使するつもりが無くても、相手にまでそれを要求することは出来ないのである。

 何と因果で業の深い生き物であろうか。このような種族存亡の危機であっても、同種族の生き物すら信頼できないなんて。利己の為に悪意を以て動く物が多過ぎ、それらから身を守る為に自分も悪意を持たなければならないとは。

 実に愚かで惨めな生き物だと男は思った。そして、自分達は眼前の安穏を取って、そう遠くない滅びを受け入れている。その中でもとびきり愚かな生き物だろう。いや、生きる事を諦めた物を生き物と呼んでいいものだろうか。

 哲学論などを考えても仕方が無いか、男は内心でそう嗤ってから、すっかり水分を吸って重くなったタオルを肩に掛けた。

 悪意を持たないと交流も出来ず、戦う意思がなくても悪意を向けないと生きて行けない。善人は淘汰される、前から変わらなかったが、今となっては淘汰の程度が違うようになり、どちらになりきれない者も当沙汰されるようになってしまった。

 殺したくなくても殺さなければならない。奪いたくなくても奪わなければならない。これではまるで獣ではないか。

 最初から自分達も獣と大して変わらないかと思い直し、剰りに自嘲的な考えがおかしく感じて男は相好を崩した。今となっては人類も小狡い猿の一種に過ぎない。

 「リーダー、少し雨脚が弱まってきた」

 窓際に立っていたカフェゼリーの彼がそう言った。反応して窓に目線をやると、確かに少しだがマシになり、雲が薄くなって明るくなってきている気がした。

 この調子ならあと半時間もすれば天気も好転する事だろう。そうすれば彼も帰ってくるはずだ。

 男は多分今もずぶ濡れのままにされているであろう人質の事を考え、とりあえず湯を沸かしておくように命じた…………。
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 銃撃戦? そんなもの……家にはないよ。

 と、言う訳でやはり戦闘なんてありませんし、しません。少々強引な手管とご都合主義ですが、基本的にこんなノリの物だと思って下さい。

 長々とお待たせして申し訳ありませんでした。しかも長い割に冗長で盛り上がりもなく落ちも弱くてご都合主義という……誰か私に文才を分けて下さい。せめて武器の説明でも省いて読み易くするべきでしょうか。

 一応確認はしておりますが、私の事ですので誤字が多々あると思います。宜しければ誤字・誤用・矛盾箇所指摘や感想などお待ちしております。