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第十四話 能天その七

「それは」
「相手をそれで威圧させたり驚かせる」
 彼は言った。
「そのこと自体はな。視覚は大事だ」
「相手に見せてどう思わせるかなのね」
「その通りだ。例えば姿を消すにしろだ」
「あっ、そうね」
 ここで未久はわかった。
「見えないとどうしていいかわからないからね。耳とか鼻で感じ取れることはできても」
「耳や鼻で刺激を与えて何かをすることもできるがな」
「それもなの」
「そうだ。しかしそれは実際に役に立ってこそだ」
「だからそうした筋肉は駄目なのね」
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「闘いにはな」
 ここでも闘いを話に出す牧村だった。
「だから俺はそうした筋肉は持たない」
「持たないの」
「少なくとも興味はない」
 やはり否定するのだった。
「いざという時に役に立たないのでは幾ら威圧しようとも何の意味もない」
「そうよね。テニスやるのに筋肉モリモリでも意味ないものね」
「逆に動きが悪くなる」
 それはその通りだった。
「余計な筋肉がついてな。怪我も多くなる」
「だから駄目なのね。成程ね」
「余計なものは身に着けない」
 彼は言った。
「そして威圧するにしろ役に立ってのものだ」
「身体を鍛えるのも大変なのね」
「何も考えなくてしてもそれは役には立たない」
 牧村の分析は続く。
「俺も考えてはいる」
「わかったわ。じゃあ私も」
「どうするんだ?」
「ちょっと考えてやってみるわ」
 考える顔で言うのだった。
「ちょっとね」
「何をだ?」
「勉強よ」
 こう兄に話してきた。
「最近ちょっと成績が伸び悩んでるのよ」
「悪いというわけではないだろう?」
「それでもよ」
 満足していないということだった。不満そうな顔にそmiumiu 財布 一覧うした感情が出ていた。
「何か最近幾ら勉強してもね」
「伸びないか」
「だからちょっとやり方考えてみるわ」
 不満そうな顔が多少であるが晴れた。
「ちょっとね」
「やり方をか」
「そういうことよね」
 あらためて兄に尋ねてきた。
「だからね。何が悪いのか考えてみてね」
「一番簡単な方法がある」
 牧村は相変わらずゲームをしながらここでまた妹に声をかけてきた。
「簡単な方法がな」
「成績を上げる方法?」
「そうだ。何度もやれ」
 彼は言った。
「同じ場所を何度も読んで何度も書いて何度も同じ問題を解く」
「それでいいの」
「教科書も参考書もそれぞれ一つでいい」
 彼は具体的な方法を言ってきた。
「そうして何度も何度もやっていれば確実に力がつく」
「何度もなの」
「何度もだ」
 まるで刻み込むようにして妹に告げる。
「それが一番効果があるし伸びる」
「そうだったの」
「今までどんな方法をしていたんだ?」
 自分の考えを述べてから妹の今までのやり方を問うた。