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第二十一話 人狼その十三

「それが何を意味するのかですが」
「わかっている。言わずともな」
 髑髏天使は空を飛び続けている。しかしその上からだった。
「むっ!?」
「空にいたとしても安全とは限りません」
 無数の槍が降ってきた。髑髏天使はそれをすぐに前に飛びかわした。橋にその槍が何本も続けて突き刺さり大きな穴を開けた。
「この槍は」
「これもまた私の力です」
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 ここでも魔物の声だけだった。
「私は血を吸いそのうえでそれをこうして使うことができるのです」
「妙な能力だな」
「ですがこうして使うことができます」
 声は楽しそうに笑っているものだった。
「この様にして」
「血で作った槍か」
 髑髏天使は橋の上に降りた。そのうえでその降り注いだ槍を見て呟いた。
「まさかここまで鋭いとはな」
「槍だけではありませんよ」
 また魔物の声が聞こえてきた。
「この武器もまた」
「むっ!?」
 今度は斧だった。赤黒い斧が上から来た。それは髑髏天使の頭をそのまま狙っていた。
 それを何とかかわそうとする。何とかぎりぎりで頭への直撃はかわしたがかわしきれなかった。胸の鎧を打たれてしまったのだった。
「ぐっ、ぬかった・・・・・・」
「かすっただけですか」
 モズマの声は胸を打っただけに終わっていささか残念そうではあった。
「流石ですね。今のはいけると確信したプラダ キャンバスのですが」
「生憎だが当たってしまった」
 髑髏天使はあえて逆説的な言葉で返してみせた。
「完全にかわすつもりだったのだがな」
「あれをああしたふうにかわせる方が驚きです」
 だが魔物は魔物でこう言うのだった。
「貴方はやはり見事な髑髏天使です」
「髑髏天使にも見事やそういったものがあるのか」
「当然です。髑髏天使は五十年に一度現われるもの」
 このことはもう髑髏天使も知っていた。そうして魔物を倒す存在であるということも。彼がその他ならぬ髑髏天使であるから当然のことだった。
 しかしだった。それを今聞いたところでだった。彼はどうにも思わない。あらためて両手に持つその剣を構えながらそのうえで魔物の気配を探すのだった。 
 探しながらそのうえで。魔物の言葉に応えていた。
「その髑髏天使によって差があります」
「そういうことか」
「貴方はその髑髏天使の中でもです」
 その彼のことだった。
「かなりの強さです。最高かどうかはまだわかりませんが」
「別に最高であろうがなかろうが俺にはどうでもいいことだ」
 それについては興味がないと言いたげな今の言葉だった。
「それはな」
「では何がどうでもなくはないのですか?」
「生き残ることだ」
 それだというのである。
「貴様等との闘いの中でだ。生き残ることがだ」
「それこそが大事だというのですね」
「そういうことだ。俺は人間だ」
 自分を人間だと言い切りもした。
「生き残る。それが人の務めだ」
「ふむ。一理ありますね」
 魔物は今の彼の言葉を認めるような言葉を述べてきた。
「それもまた」
「一理ある、か」
「はい。それは貴方が人である場合においてです」
 区切るのだった。何故か。
「ですが」
「ですが。何だ」
「貴方が人でないのならば」
 何故かこうも言うのだった。
「人でなくなったならば今の御言葉は意味がなくなります」
「言っている意味がわからんな」
 なおも周囲にいる筈の魔物の気配を探りながら言葉を出す。
「それはな」
「そのうちにおわかりになられます」
 魔物も今はこれ以上は深く言おうとはしてこなかった。