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Sense189

「よし。元気出てきた」

 寄りかかったままの二匹から離れて、気力を補充した俺をタクは片手を上げて出迎える。

「もう良いのか?」
「ああ、悪かったな。色々と駄目で」
「次から気を付ければ良い。それじゃあ、素材とドロップの配分をするぞ」

 そう言えば、パーティーで活動する場合は、普通そうなるよな。生産職として他人に護衛を頼む場合は、大体素材は生産職が引き受けるからその辺の考えが抜けていた。

「もう、採取した鉱石は鑑定済みよ。鉄が十五、銀が八、それとブルライト鉱石が十八ね。ここはブルライトの採掘場所みたいね」
「まぁ、外壁の採ナイキ
ナイキ acg シューズ
ナイキ air
取ポイントでも偶に採取されるからな。それ目当てで登ったりもしたが、洞窟に入って採取した方が、早かったな」

 タクが過ぎたことを嘆くように呟くが、俺としては、当時のレベルで洞窟に入ったらダイバー・テイルに一方的にやられる自信がある。

「それじゃあ、配分はどうする? 三等分?」
「いや、俺は、鉱石を必要としている訳じゃないし、二人で分けて良いぞ。ただ、ドロップは三等分だ」
「了解」

 タクの好意に甘えて、エミリさんと二人で鉱石を分ける。
 そして、モンスターのドロップだが倒した敵がダイバー・テイル一種のみのためにドロップの種類は少ない。

「潜影の血液と斑の毛皮か。まぁ、売る一択だな」
「そう? 【素材屋】としては、毛皮は嬉しいわ。物質変化させて売れば、中々良い値段で買ってくれるもの」
「俺の目的は、潜影の血液だからな。あんまり興味ないし」
「ユン。その素材は使えるのか?」

 ちょっと待って。とタクに言って道具を揃えていく。
 途中からパーティーに加わったエミリさんは、ドロップの目的を知らないために、不思議そうに首を傾げる。
 俺が取り出したのは、初期の調合キットである。ゲーム開始時には、大変お世話になっていた道具だ。今の最新設備は、工房用の大きく複雑なもので、移動には向かない変わりに、簡単な出先でのインスタント調合なら、これだけで十分だからだ。

「防御属性の検証のため」
「それって前の【属性付加】のこと?」
「それとは別で、汎用性のある薬ではどんな感じか。って事かな?」

 簡単にエミリさんに説明しながら、ベースクリームを容器から取出し、先程手に入れた潜影の血液を少し垂らし、混ぜていく。一度に混ぜるとクリームが溶けて液状になってしまうので慎重に少しずつ注ぎながら、混ぜ込んでいく。
 しばらく、乳白色のクリームが灰褐色の色に変わったのを見て、再び容器に戻す。


 耐闇のクリーム【消耗品】

 【闇属性耐性(極小)】


「ビンゴ。闇属性の素材として使える」
「じゃあ、素材は、後で買い取ってくれ」

 出来上がったクリームをタクに渡し、これからが本番である。

「どうする? どうやって効果調べる?」
「まずは、クリームの使用。その後【属性付加】で良いんじゃないか? 同じ属性と違う属性の差とか」

 そう言いながら、受け取った耐闇のクリームを自分に塗り始める。

「じゃあ、まずは上書きか、それとも重複かの検証だな。始めるぞ。【属性付加】――アーマー」

 闇の四等級の属性石を使用したエンチャント。通常なら、【闇属性耐性(小)】が発生するが結果は――。

「ああ、今切り替わった。【闇属性耐性(小)】になった」
「つまり、効果の上書きね。分類としては、どっちも一時的な強化だから共有は出来ないのね」

 エミリさんと以前、検証した時は、装備の永続付与と一時的な付与では共存できるか。を実験し、共存できたが、今回は別々の手段の一時的付与はどうなるか。という検証だろう。

「そうなると、多分別属性も上書きされるだろうな。でも、クリームはプレイヤー本人が使ってるし、エンチャントは、防具を対象にしている。何か、ちょっと違う様な」
「案外、防具や武器に付けても効果があったりしてな」

 そんな馬鹿な。と思うが、まぁ、艶だしワックスなどがある訳で、タクもエンチャントの効果が切れた所で試しに、自分の防具に塗り込み始める。

「出来た」
「出来ちゃったのかよ」
「まぁ、悪い事は無いんじゃない?」

 タクが結果を告げ、俺がツッコミを入れる。エミリさんは、その結果に苦笑しつつ、独自の納得をしたようだ。
 まぁ、余りその辺は深く考えても意味はないと思い、別の事を調べる。武器にクリームを使用した場合は、どうなるか? の結果だが、着けても意味はなかった。
 同じく、異なる防御属性を後からエンチャントした場合やエンチャントの後からクリームを使用した場合などを調べた結果、同じ属性の場合は、効果が強い方が継続される。異なる属性の場合は、上書きされる。という結果になった。

「まぁ、妥当な所だな。何重にも使えたらそりゃ、強すぎるわ。バランス大事だ」
「けど、永続的な装備効果と一時的な効果の属性を重複させれば、そこそこの防御力にはなるわよ」
「まぁな。その辺は、状況に応じてだな」

 小レベルの耐性を仮に5%前後のダメージカットがあるとすると。一時的にでも重複すれば10%の特定属性のダメージカットになる。更に防具などで防御力を高めることも出来るから強力なアイテムの一つではある。
 ダメージカットの検証は、PVPでも出来るからその辺は、タクに任せるとして――

「あと、調べることは、継続時間だけど、どうする?」
「俺が使って、定期的にステータスを見て、時間を計れば良いんじゃないか? 戦闘が無くても調べられるし」
「まぁ、そうだな。この先の平原へと行くか?」

 今回のもう一つの目的は、コカトリスのMOBを確認することだ。
 洞窟の出口とは反対側の遠くには、小山が見えるだけ。少しばかり背の高い木で遠くを角度的に見通せない。

「そうだな。コカトリスの素材を少し調達予定だけど、MOBについて詳しくは知らないんだよな。タク説明頼む」
「おう。コカトリスは、バレーボール程の白い体の鶏だ」
「つまり、地上に居るのか?」
「いや、そのバレーボールのようなずんぐりむっくりな体で空を自由に飛翔する。特に上空からの急降下攻撃の不意打ちと集団で攻めてくる編隊攻撃は中々に厄介だ」

 ずんぐりむっくりの鶏が空を飛ぶ。それを想像しただけで俺は、軽く吹き出しそうになる。どうやら今回のMOBは、ファンシー系な感じの様だ。ぬいぐるみみたいな愛くるしい外見だったら逆に倒すのを躊躇いそうだ。

「あら? ユンくん、楽しそうね」
「いや、だって。そんな丸っこい鶏が飛行して襲ってくるってちょっと可笑しくて」

 なぁ、と肩に乗るザクロに応えるはずもない同意も求めるが、答えの変わりに、二本の尻尾が首に強く巻き付いてくる。

「そんな生ぬるい敵じゃないぞ。そもそも。お前は、あれを見てどう思う?」
「あれ?」

 木々の切れ目と目の前に開ける平原の緩やかに波打つ丘。ただし、今まで遠くに見せる小高い山は、平原の中央に鎮座し、その周辺では、牛型のMOBが闊歩し、凶悪な捩じれた角を持つ山羊が複数頭で群れをなし、小山の岸壁には、空飛ぶ鶏が巣を作る。
 平原の一番奥では、リゥイの三倍以上の大きさの馬が寝そべっている。

「何と言うか、牧歌的な雰囲気の場所だな。あの馬がこのフィールドのボスか?」
「ああ、あれがこのエリアのボスのライトニング・ホース。この先を抜けるのに倒す必要があるが、普通にトップ・プレイヤーでも死ねるレベルだから」

 いや、誰もあんな凶悪な馬に挑みたくないって。こうこの前の一対の鬼で十分だ。
 それにしてもトップで死ねるレベルって明らかにフィールドの通常MOBとボスMOBの格差が激しい。

「そして、視界いっぱいに居るのが、グランド・ロックだ」
「私は、見えないわ。ユンくんは、見える?」
「いや、俺も分からない」

 グランド・ロックなるMOBは、見つけることはできない。平原にあるのは、ただただ牧歌的なMOBと中央に鎮座する大岩山。
 すると、地面が振えるような地響きと立っていられなくなるほど振動が起こる。
 ゲームの中で地震と思わなくないが、タクを見ると余裕の表情である場所を見詰めている。
 中央の岩山とそこから逃げるように飛び立つコカトリスの白。
 
「今日は、様子見なのに悪い。幼獣は戻しておけ。時間が無いぞ」
「えっ!? タク?」

 俺が戸惑っている間にも、揺れは大きくなり、立っているのが困難になって来る。
 その時には、大きな変化を見て取れた。

「超弩級陸亀型MOBのグランド・ロック。奴が動き出すぞ」

 大岩のような体が振動を始め、その下から短く太い鋭い鉤爪を持った手足と尻尾、そして鰐(ワニ)のような顔を地面から覗かせる。あれは、MOBだった事実に驚き、仰ぎ見る。以前倒したレイドボスのガルムファントムが霞むほどの大きさ。

『ヴォォォォォォッ――』

 待機を震わせ、耳を塞ぎたくなるような声を響かせる。それに合わせて、周囲のMOBたちが騒ぎ始める。

「タイミングが悪いな。逃げるぞ」
「どういうことだ!」
「良いから逃げる! 三十六計逃げるに如かず、だ」
「そうね。情報不足のまま当たりたくないから、タクくんから後できっちり情報を絞るわ」

 中々、物騒な事を言うエミリさんだが、その意見には同意する。タクも重要な事を言わない事をあとで一緒に責めるとしよう。動き始めるグランド・ロックとそれに呼応するように各地でMOBたちが暴れ出す。

「なんか、牛の群れがこっちに来たんだが!」

 走りながら、ザクロとリゥイを何とかこの場からいなくすることは出来たが、危機は目の前に迫っている。

「横に避けろ! 絶対に進行方向に進むな!」
「分かった! 避ける方向は左だ!」

 牛の群れは、質量を持ったような波を思わせる。
 ギリギリまで引き付けて、牛の群れが方向転換できないタイミングで左へと避ける。

「どこまで行くんだ!」
「エリアの外か、絶対に安全な場所。もしくは、この狂乱が終わるまで逃げ続けるんだ!」

 無茶苦茶な、と言おうとした直後、背後で爆発が起こる。
 僅かに首を動かしてえ確認すれば、上空でずんぐりむっくりの鶏が短い翼を必死に羽ばたかせて、風を扇いでいる。その風がカマイタチとなり、背後に地面にぶつかって爆発を起こさせている。
 それが一匹だけでは無い、牛同様に何十という数のコカトリスが上空からカマイタチの雨を降らせてくる。

「流石に、これは予想外ね。タクくん、この状態で有利に働く情報ってある?」
「あるぞ! このフィールドは、パーティー同士での共闘にペナルティーは発生しない! だから、運よく他のパーティーと合流できれば、生存率は上がるな!」
「それって別に今聞いても嬉しい情報じゃない! って、うわぁっ!」

 俺が声を上げて抗議するとその直後に俺とタクの間で魔法が炸裂し、軽く吹き飛ばされる。放ったのは、山羊の群れだ。

「ユン! また牛が来た!」
「っ!? 間に合わない」

 タクと距離を離されて、同じ方向に逃げ込めない。咄嗟に反対側へと避けて、難を逃れたが、分断されてしまった。

「ヤバい! これじゃあ」
「兎に角逃げろ! グランド・ロックに登れ! そこが安全だ!」
「ユンくん、無事だったら後で落ち合いましょう!」

 仕方がない。こんなMOBの猛攻の中で何時までも一か所に留まるわけにはいかない。俺は、遠くに見えるグランド・ロックを目指し、走り始める。
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