クロノ・クロニクル
スーパーファミコン版クロノ・トリガー(Chrono Trigger)について考察していきます。
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マヨネーはなぜブラをつけたのか?

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喜劇的な笑いは、
人間的なものが、社会的なものに
浸食してきたときに起こります。

「タキシードを着た紳士が、バナナの皮で滑るとおもしろい」
と言います。
タキシードを着た紳士は、社会的な存在の象徴です。

どんなに社会的地位の高い人でも、
バナナの皮で物理的に滑ってしまうのです。

ここに私たちは、人間存在の滑稽さを見出します。
実は、悲劇も同じような構造を持っています。

シェイクスピアのリア王は、
王様という社会的な存在の頂点に立つものが、
家族という、もっとも人間的な要素の一つに
足下をすくわれるのです。

社会的なものに、人間的なものが浸食してくる構図が
演劇全体に共通する構造なのです。

                                          (平田オリザ/「演技と演出」より)

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マヨネーは、クロノたちとの最終決戦において、
「マヨネーのブラ」という切り札を身につけ、戦い、散った。

このとき、"なぜマヨネーはブラをつけたのか?"


「魔王3大しょうぐん」の1人である、空魔士マヨネー。
彼女は"彼"であり、性に悩む1人の少女だった。

魔王軍は、
ジェンダー・アイデンティティの不一致をものともせずに
彼女を受け入れた。

「魔王軍=悪」という、社会的なコンセンサスが、
「魔王軍=家族」という、人間的なものに侵食されていく。


これは、クロノたちが初めて、魔族の村を訪れたときの演出にも見られる。

中世へのゲートをくぐると、そこは民家のクローゼットの中だった。
そこでクロノたちが初めて見る魔族の村人は、
食卓を囲む"家族"だったのである。

制作者が、何よりも最初に見せたかったのが
「魔族=家族」という構図だった。


僕らの、正義と悪の境界線は、次第にあいまいになる。


ビネガーは叫ぶ。
「ワシは負けぬ! わしが負けたら魔族の未来はどうなる!
ワシは負けるわけにはゆかんのだ!」

時代が明確に区切られているのとは対象的に、
人間と魔族との境界線は、だんだんとぼやけて
見えなくなっていく。


マヨネーはブラをつける。

僕らは、「いろじかけ」でそれを奪い、
クロノに装備させる。

「マヨネーのブラ」を身につけることによって、
僕らの目にさっきまでぼやけて見えていた
人間と魔族との境界線は、完全に消失する。


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リオンはつぶやく。
「人間って、バッカだねー。手にした力をどう使うかが大事なのに……」


空魔士マヨネーは、手にした障害を力に変え
堂々とブラを身につけた。

僕ら人間は、どうしたらよいか。

リオンの言うとおり、自分が持っているものの使い方や
"考えかた次第で世界は変わる"のか。


"人生が一度しかないのなら"。


逆説的ながら、クロノ・トリガーからユーザーに放たれる
「ビルドゥングスロマン」への挑戦状は
そういうことではないだろうか。




"人生が一度しかないのなら"…?

矛盾を抱きながら、シルバードへと、僕ら乗り込む。
そして、もう何度目かの過去へと、僕らは旅立つ。




マヨネー01

クロノ・トリガーが誤訳だらけだった件 パート1

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死と同じように避けられないものがある。それは、生きることだ。

There's something just as inevitable as death. And that's life.

                            (チャップリン/「ライムライト」より)
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原始の時代、「大地のおきて」の章では、
人間と恐竜人の、最後の戦いが始まる。

エイラたちは、恐竜人アザーラに打ち勝ち、
恐竜人アザーラは、エイラの救いの手を払い、最期の言葉を遺(のこ)す。

「未来を……」

アザーラは、最期に何を言おうとしたのだろうか?
物語の中では、明確な答えは示されない。
これもまた1つ、クロノ・トリガーファンの間で議論を呼び続けている。

しかし、英語版クロノ・トリガーでは、
これに継ぐ言葉が、明示されているのである。

「We...have no future...」

英語版クロノ・トリガーでは、アザーラの最期の言葉は、
「未来は……"ない"」
と翻訳されているのである。


アザーラの「未来を……」という言葉が意味するのは、果たして、
「no future」という絶望の遺志なのだろうか?


原始の時代。
人間と恐竜人は、ともに「大地のおきて」という
行動原理に従って生きていた。

「勝った者が生き、負けた者は死ぬ」
それこそが、この大地のおきて。
それは、原始に生きる人たちにとっての、絶対的な価値観であった。

しかし、「ラ・ヴォス」=「大きな火」という言葉を読み解き、
ラヴォスによって時代の破滅が到来する、という未来を知ったアザーラにとって、
「死」とは、もはや必然のものになっていた。

エイラとの最後の戦い前夜に、アザーラは
自らの"敗北の必然性を悟っていた"のである。

「聞け。そして伝えよ。我等が恐竜人は、運命に戦いを挑み誇り高く滅びたと」

死の直前で、アザーラは
「運命に戦いを挑んだ」と告白する。

破滅の未来を知りながらも、運命に戦いを挑んだ。
この意思は、"希望"と呼ぶものではないだろうか。

このとき、アザーラが抱いていた希望は、
クロノたちがラヴォスを倒そうとする希望と、まったく同質のものである。


「未来を……」


アザーラの最期の言葉は、決して絶望ではなかった。
運命を自らの手で切り開こうとする、"希望"。

アザーラは死の直前に、エイラたちに希望を託したのだ。


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クロノ・トリガーの魅力として、"価値観の流転"があります。
物語が進むに連れて、善悪の境界が曖昧になり、流転します。

魔王、ビネガー、アザーラ、ラヴォスでさえも…
彼らの存在意義には、「誇り」や「意味」があります。

そうなると、時代の流転は、それ自体が
巨大なメタファーになっているように思います。

ゲームをクリアした後に、少し俯瞰してみると、
彼らは、対岸にいる敵対的な存在ではないことに気が付きます。

彼らとの和解を達成すれば、
クロノ・トリガーの新たな側面が見えてくるのではないでしょうか。
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そして、エイラは──

運命をかけた戦いの後に、エイラはアザーラを救おうと、その手を差し伸べる。
「こい! アザーラ! こい!」

これは、「勝った者が生き、負けた者は死ぬ」という、「大地のおきて」に背くものだ。
その二元論に直面したとき、
エイラがとった行動は、「救う」という第三の選択肢だった。


エイラもまた、クロノたちと出会い、いくつかの物語を通過することで、
「大地のおきて」を超越した価値観を獲得したのである。


原始の終焉は、エイラとアザーラ両者のビルドゥングスロマンを描いている。
「未来を……」というハイコンテクストは、絶望ではなく希望を示している。
両者の価値観は破壊され、再構築され、いま一体となった。

「アザーラ わすれない……」

エイラのその「こぶし」には、
未来を託された、宿敵の遺志さえ宿っている。



アザーラ01

なぜ「ぜつぼうのかま」はビネガーの館にあったのか?

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絶望のとなりに だれかがそっと 腰かけた

「あなたはいったい誰ですか」

「私の名前は 希望です」

                                                   やなせたかし

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ビネガーの館で、魔王は最強の武器「ぜつぼうのかま」を発見する。

そして、道化ビネガーを床の下へと叩き落とし、

魔王たちはラヴォスとの最終決戦へと向かった。


なぜ、ぜつぼうのかまはビネガーの館にあったのか?

そして、"なぜ、ビネガーは最後まで道化を演じたのか?"


クロノ・トリガーでは、「最強の武器」を手にするために、

それぞれが「最終試練」ともいえる、最後の"ビルドゥングスロマンの壁"を

乗り越えなければならない。


カエルが、サイラスへの罪の意識を乗り越えたように。

ロボが、"母殺し"を成し遂げたように。


では、魔王は?

まるで、場末の劇場での、お決まりのコントのように、ビネガーを超えて行った、

そこにも何か意味があったのではないか?



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「ラヴォスの呼び声」後、ジャキは、ラヴォスが召喚した黒いゲートにより、

中世のトールス村裏山へと導かれた。そこで彼らは出会った。

その少年は、魔族を見て少しも恐れなかった。

ビネガーが今までみてきた人間とは、少し違っていた。


ビネガーは、とってもこわい顔をしてみせた。

魔族を恐れよ。それこそが魔族のレゾンデートルなのだから。

私は魔族だ。さあ、人間よ、迫害してくれ!


そのとき、ビネガーのパンツのゴムがきれて、ずれて、おちた。

とっさに叫ぶ。「ビネガー ピ~ンチッ!!」

その少年は笑った。

ビネガーは、その人間の笑い声に救われた気がした。



魔族と人間はいつから争い始めたのだろう?

古代では、魔族と人間は共存していたという。

またいつか共存できる時代が来るのだろうか?


少年の笑い声が、どこまでもくすぶり続ける。

道化を演じることで何かが変わるのならば……。

それは、ビネガーの、人間に対する最後の求愛だった。



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やがて、魔王はぜつぼうのかまを手にとる。

「これは……」

長年にわたって精練された闇の力を帯びていた。

波長が合う。身体になじむ。

体内に宿る闇の力が増幅し、すさまじいエネルギーを感じた。


この闇の力の主は、間違いない。


「やみの中、一人生きぬいてきた」

ずっとそう思っていた。

"いつから、俺は助けられていた?"


道化は道化ではなかった。

剣舞をもって克己する弟がいて、自らの性に悩む妹がいて、

そして、父がいた。


彼は魔族に家を与え、家庭を与えた。

孤独な人間を拾い、育てた。

魔王は、ひとりではなかった。


軍事参謀ビネガーはすべてを理解していた。

ジャキが別の時代からやってきたことを。

ラヴォスを自らの手で倒そうとしていることを。


きたるべき時にそなえ、ぜつぼうのかまを創り、護り、託し、

今、見送ってくれたのだ。



イテテテテ……。ガレキの中で道化は腰をさすった。

「大丈夫?魔王様、行っちゃったわよ?」

「魔王様は、共に戦っていくべき本当の仲間を見つけたのですね」


道化は、落ちていく瞬間に魔王の表情を見た。

初めて出会ったときのように、一瞬だが、笑っていた。

やがて、誰かがつぶやいた。「未来を─」と。



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ぜつぼうのかまを握りしめる魔王のその姿に、

カエルは何か違和感を感じた。


絶望のとなりに 誰かが そっと腰かけた



魔王の横顔に、朝日が差し込む。

しかし、それは決して闇とあらがわない。

カエルは問う。それは、いったい、何だ?と。


「あなたはいったい誰ですか」



魔王は、目を細め、彼方を見つめる。

そして、ぜつぼうの名を深く握りなおし、答えた。



「私の名前は─」


































パクリだらけだった件について

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「これ以上は、世間が、ゆるさないからな。」

堀木にそう言われて、ふと、
世間というのは、君じゃないか。

という言葉が、舌の先まで出かかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。

                                                      大庭葉蔵

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オマージュ、サンプリング、パスティーシュ、エピゴーネン、盗作、パクリ……

似ている作品には、様々な呼び名があります。

世間は、それらに善悪の境界線を与えます。


世間は、言います。「これはオマージュだ、だから善(よ)いのだ」と。

世間は、言います。「これこそは盗作だ、絶対に許さない」と。


世間は、パクリだらけなゴッホの絵画に、最高の賛辞を送ります。


クロノ・クロニクル クロノ・クロニクル


世間は、写真をトレースした漫画家に、ひきょう者の烙印を押します。


クロノ・クロニクル クロノ・クロニクル


これらの基準になっているのは、著作権法です。

世間の感性は、著作権法という明文によって支配されています。



「ここまでパクリだらけなら、世間が、ゆるさないからな。」

世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。

どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。


太宰治先生は「人間失格」の中で、その答えを明かします。

「世間というのは、君じゃないか。」

と。

「世間というものは、個人ではなかろうかと思いはじめてから、

自分は、いままでよりは多少、自分の意志で動く事が出来るようになりました。」

と。


その芸術を、鑑賞し、感動し、称讃し、批判し、罵倒するのは、あなた自身です。

そのパクリだらけだった作品を、オマージュの昇華した傑作とするか、

否、盗作の断罪とするかは、

世間ではなく、あなた自身にゆだねられています。


あなたが今まで見たもの、聴いたもの、触って臭って味見した五感の記憶、

躍動する肉体の記憶、経験、全ての感性を懸けた
あなた自身にゆだねられています。



パクリだらけだった作品を、あなたはどう思いますか?



それは、先達から紡(つむ)がれた芸術の連鎖でしょうか、

それとも、歴史からの剽窃としての糾弾でしょうか。



あなたはどう思いますか?



唯一無二の"あなた"に、問う。






ルッカは母親を救うべきか?

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人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて
おこがましいと思わんかね……………………
                                     本間丈太郎
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緑の夢。それは希望の夢。
そこにはルッカを導く、救いへのゲートオープン。

「ルッカはあるの? もどりたい、いっしゅんが?」
マールの問いに、ルッカは戸惑った。
「ううん……。なるべく考えないようにしているの」
答えはただ一つ。
私、母親を救いたいの。


ルッカの母親、ララには両足がなかった。
緑の夢は、ルッカを10年前へと導いた。
ララが両足を失った、あの忌まわしい一日へと。


"ルッカはあの日、母ララを救うべきだったのか?"


発明家である父タバンが不在の中、スカートの裾が機械に巻き込まれてしまった母ララ。
彼女を救うためには、急いでパスコードを入力しなければならない。
「機械なんて全然わかんない……でもいいの。
ルッカはふつうのおよめさんになるからカガクなんて知らなくていいんだもん!」
そんな幼きルッカには、パスコードの入力方法などわからなかった。


目の前で砕かれる母の両足、
そして、悲鳴──


そのとき、ルッカはふつうの女の子としての幸せを放棄した。
母を救えなかったのは、私が機械を知らなかったから。


それは、贖罪の人生が始まった日。


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ここに、ふつうの女の子になりたくて、ガルディア城を飛び出したマールと、
自らふつうの女の子を放棄したルッカとの対比が見られる。
カエルと魔王の復讐劇の対比に加え、シェイクスピアの戯曲さながらの人間模様。
これこそが、クロノ・トリガーを名作たらしめている要素だと思う。
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緑の夢により、あの日に戻ったルッカ。
パスコードは、父の最愛の人。
今の私にならできる。母を救える。


しかし、ここでララを救えないユーザーが続出したのだ。
スーパーファミコンのコントローラーには、RボタンとLボタンがある。
パスコードの「ララ」は、RARA?それともLALA?
迷うほどの時間は与えられていなかった。


"RとLの二者択一。これは果たして偶然か、必然か?"


ルッカが発明家を志した「トリガー」は、"あの日、ララを救えなかったから"だ。
あの日がなければ、彼女は発明家になってはいなかった。
時を駆けることも、ロボたちに出会うこともなかった。



私利のために、過去を変えることは、今を否定することだ。
戻りたい一瞬、人生はいつだってその連続なんだ。
彼らは、そして私たちも、そこから目を背けちゃいけないんだ。


だから、"ルッカは決して母親を救うべきじゃないんだ"。

制作者が用意した、RとLの運命の選択。
ユーザーは思う「RとLを間違えたせいで、"助けようとしたけど、助けられなかった"」と。
これこそが、制作者がユーザーに与えた究極のエクスキューズなのだ。

一方で、運良くララを助けた場合でも、
今のルッカの人生に何ら影響が生じない。
これこそが、制作者がユーザーに与えた、最大の偽善なのである。

緑の夢で私たちがとるべき行動とは、
"制作者が用意したRとLのトリックを自分への言い訳にして、ララを助けない"。
これが正解ではないか。

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千年祭最後の夜、タバンは両足のないララを祭へと連れ出す。
彼はララと生涯を共にするだろう。
誰よりもあの日を悔やんでいるのは、タバンなのだ。

彼は「戻りたい一瞬」へ行ったことがあるのではないか?
しかし、彼は今を受け入れた。そして未来を……。

緑の夢、そこに垣間見える、タバンの物語。

「パスコードは……我が最愛の人」
それは、これからもずっと君の名前なんだ、
ララ。




クロノ・クロニクル



魔王はなぜカエルを殺さなかったのか?

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これは「試練」だ 過去に打ち勝てという「試練」とオレは受け取った
人の成長は……………未熟な過去に打ち勝つことだとな…
え? おまえもそうだろう?

                                     ディアボロ

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A.D.590
勇者サイラスは魔王に敗れる。
そして、もう一人のガルディア王国騎士グレンは、

ビネガーの魔法でカエルへと変えられる。
しかし、グレンは生還した。なぜ?
なぜあのとき、"魔王はグレンを殺さなかったのだろうか?"


ラヴォスを召喚し、その手で長き戦いに決着をつけようとする魔王。
彼にとってガルディア王国とは、
ラヴォス召喚を阻止し、己の未来を閉ざす邪魔者でしかなかった。


そして、魔王は遂にガルディアの勇者サイラスを討つ。
そこには、もう一人の若い騎士がいた。
卑小で臆病な人間だった。それを殺すために炎を練る。
そのとき、風が泣いた。


魔族に転生する前の魔王=ジャキには、風を感じとり
おぼろげながら未来を予知する力があった。
そのとき、魔王は確かに見た。
この人間が、聖剣グランドリオンを抱え、ラヴォスと対峙する場面を。


魔王はこの人間に一縷の希望を見た。
魔王は知っていた。「勇者の強さは、意思の強さ」であると。


これは「試練」だ。
カエルの姿になろうとも、この世を生き延びてみよ、と。
復讐の意思を持ち、絶望を乗り越えて強くなれ、と。
そう、それは魔王自身が乗り越えてきた試練そのものだった。


魔王があのときカエルを殺さなかったのは、
"勇者グレン"に希望を託したからであった。


10年の時を経て、魔王はカエルと再会を果たす。
カエルのその姿に、やみの中、一人生きぬいてきた己の陰が交錯する。


魔王はカエルに問う。
「いつかのカエルか……。どうだ、その後の人生は?」、と。

未熟な過去に打ち勝つことはできたのか?、と。


カエルは答える。

「かんしゃしているぜ。こんな姿だからこそ……

手に入れた物もある」



勇者と魔王の決戦が、再び始まった。



伝説の勇者サイラスはなぜ死んだのか

ガルディア王国騎士団の団長を務め、勇者と呼ばれたサイラス。
彼は最期、魔王の漆黒の炎に焼かれこの世から姿を消す。
カエルの脳裏に刻まれている、サイラスとの記憶はいつもそこで途切れてしまうのだ。


この勇者と魔王の決戦、何か腑に落ちない。
あのとき、"なぜ、グランドリオンは折れたのだろうか?"


ガルディア王国騎士団長のサイラスは、王国の士気を高めるためにグランドリオンを求める。
全ては、ガルディア王国のため……そしてリーネ王妃様のためだった。
国を守り、魔王軍を討伐する。それこそがサイラスの生き様だった。


あるとき、サイラスはグランとリオンから訊いてしまう。
「ラヴォスの存在」、「魔法王国ジールの最後」、そして……ジャキのことを。
サイラスは全てを知ってしまった。


ジャキは魔族の王となり、ラヴォスを倒すために戦っていた。
このとき、サイラスの中でパラダイムシフトが起こった。
愛国、魔王軍への憎悪、誇り高き騎士団……サイラスを支えてきたものが崩壊する。
彼の信じてきた善悪は境界線を失った。
「勇者の強さは、意思の強ささ!」グランの言葉は彼方へ消える。
このとき、グランドリオンはその輝きを失った。


そして、サイラスは魔王との決戦へと向かう。
"国を守るために、星を守ろうとする魔王を倒す"という二律背反の使命に揺れるサイラス。
脳裏に過(よ)ぎる、積極的な死への関与。
輝きを失ったグランドリオンが折れるのは必然だった。


勇者の墓に現れたサイラスの亡霊は、当時の苦悩を語る。
「この体を魔王の炎にやかれた時 私の心は、この世に残された人の事を思い、千々にみだれた。

ガルディア王…… リーネ王妃……

魔王……」


「勇者が殺される」という物語のタブーに潜んでいたのは、
"若きサイラスの悩み"ともいえる、愛と勇気と絶望の物語だった。

カエルと魔王、勝ったのは果たしてどちらか


「カエルと魔王の一騎打ち、勝ったのはいったいどちらか?」
これは未だに、クロノ・トリガーファンの間で議論されている。

エンディング「友との誓い」の中で、カエルは魔王との最後の一騎打ちへと向かう。
やがて長き戦いは終わりを告げる。
そして、魔王城の頂上では、マントをなびかせた勝者の姿が満月に照らされる。

彼はカエルなのか、それとも魔王なのか。
その答えは、物語の中では明かされないままである。

カエル。真の名をグレン。
カエルが魔王を倒す動機は、魔王によって殺された親友サイラスの無念を晴らすため。
サイラスの願いと志を引き継いだ勇者だ。

一方、魔王。真の名はジャキ。
魔王がカエルを退けようとする動機は、打倒ラヴォスを果たすため。
ジール崩壊とともに、幼くして中世へのタイムゲートをくぐったジャキは、
この数十年の間、ひたすらラヴォスへの復讐を誓って生きてきた。
この数十年の間、ひたすら姉サラとの再会を夢見て生きてきた。

この魔王のダイナミックな復讐劇と、サイラスを想うカエルのセンチメンタルな復讐劇。
このコントラストが物語を作っているのだと思う。

そして、2人の生きる根源がともに「復讐」であるというのが、この決戦に哀しみを誘(いざな)う。
その哀しみが、月夜に浮かぶあのシルエットに象徴されているのではないか。

グランは言う。「勇者の強さは、意思の強ささ!」
カエルと魔王の最終決戦。勝敗を分けるのはこの「意志の強さ」だ。

そう考えると、最後に勝ったのは……魔王だろう。
サラに再び会うためなら、どんな力でも欲しい。たとえ魔族になろうとも。
そして人間の姿を捨て、青春を捨てた。

エンディング「時の向こうへ」では、千年祭最後の夜。
カルディア王はクロノたちを未来を救った英雄として祝福する。
魔王だけがまだその手に未来を掴みきっていない。

「サラを探すの……?」マールの言葉に彼は無言で去った。
いつかくるその未来を夢見て。


ニコニコ動画で即削除

先日、ニコニコ動画に

「ドラクエとFFと聖剣伝説がパクリだらけだった件 パート3」と

「アニソンがパクリだらけだった件 パート4」という動画をアップしました。


数分後……


この動画は社団法人日本音楽事業者協会の会員の権利を侵害していたため、

または申し立てがあったため削除されました。


orz...


これからはYouTubeにアップしますorz...

クロノトリガーがパクリだらけだった件が削除されました

クロノトリガーがパクリだらけだった件
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2261520
が削除されましたorz...

タモさんが胸の内を代弁してくれましたorz...