新川達郎・同志社大学大学院教授(地方自治論)の話

 橋下徹知事の発言は、ときに行き過ぎて(自ら)訂正することもあるが、一貫して世間の関心を集める議論を巻き起こし、落としどころを探る手法を取っている。大阪府と大阪市の関係を組み立て直すという地域政党「大阪維新の会」の動きも、そうした観点が感じられる。

 府と市町村の関係を変える目的で、政治集団をつくるのだから、府議会だけでなく市議会も取り込もうというのも合理的な判断。各議会の自主性を失わせるのではないかという指摘もあるだろうが、この行動は地方制度のあり方を考えるうえで、重い一石を投じることになるだろう。

 「大阪都構想」は50~60年前から何度も繰り返されているテーマで、終戦直後にも「大阪商工都」案という都制案が提示されたこともあった。一方、大阪市も大阪府から離脱する案を繰り返し提示している。

 従来の議論は首長や各議会がばらばらに主張をしていただけだったが、今回はそれらをまたいだ政治集団ができ、提案に重みがつくといえる。

 しかし、新党の政策はまだ途中段階で、プランを深め、公約をつくるという作業はこれからになる。これから丁寧な議論ができるかどうかで新党の真価が問われる。

 新党の政策はあくまで議論のテーマとして捉えるべきものだ。今後、これをまったく変えないということではなく、内容をきちんと問い直す必要があるからだ。

 一方、議員に期待されているのは、住民代表として首長とは異なる視点でよりよい決定をすることにある。仮に、知事の言うことを、議員がオウム返しのように賛同して唱えているのだけの集団ができるのなら、議会機能を失うことにもなりかねない。

 もし、今回、橋下知事人気をあてこんで選挙めあてや数合わせの集団ができたのなら、それは議会政治の自殺行為だろう。しかし、首長、議員が参加する自治体をまたいだ政策議論がきちんとできるのなら、それは新たな自治のあり方を提示する可能性にもなる。どちらになるのかは、今後の大阪維新の会の活動にかかっている。

【関連記事】
橋下新党旗揚げ「大阪府域内で大戦争となる」
知る人ぞ知る大阪情報“発信基地”「大阪名品喫茶 大大阪」
橋下新党に戦々恐々「黒船が来た」と政令市議
橋下府知事、「舛添新党」応援は大阪のためになるかで判断
橋下知事、大阪市長選出馬も 府・市再編で
児童虐待防止法施行から今年で10年。なぜ、わが子を傷つけるのか…

保育園で36人食中毒、4歳児が一時入院(読売新聞)
「自民党のエースが夜逃げ」 民主・山岡国対委員長、舛添氏離党に(産経新聞)
<口蹄疫>1週間さかのぼり調査へ 農水省(毎日新聞)
大創産業に300万円賠償命令=無断編集のDVD販売-東京地裁(時事通信)
<愛知5人殺傷>めい殺害容疑で再逮捕 (毎日新聞)
AD