今夜のこと。

長女は、布団に入る前、「おやすみなさい、また明日。」の
挨拶と一緒に必ず握手をする。

家事が沢山残っていて、子供達に早く寝てほしくて、
だんだんイライラしてきた私。

長女が、一度挨拶・握手をしたあと、なかなか布団に入らず、
また挨拶・握手をしてきた時、こう言ってしまった。

「もう、さっきしたやん!もうよくない?
お母さん、することいっぱいあるっちゃけん。」

寂しそうに布団に入る長女。

・・・・またやってしまった。

握手くらい、何度したっていいのに、
家事を溜めたのは自分なのに、
なぜ長女に当たってしまったんだろう。

皿洗いをしながら、寝室の長女を見る。
悲しいのか悔しいのか、なかなか寝付けないようだ。

その姿が、子供の頃の自分と重なった。

なんでお母さんは、私にあんなひどいことを言うんだろう。
なんでお母さんは、いつまでも許してくれないんだろう。
なんでお母さんは、あんなに不機嫌なんだろう。

心がつぶれそうなほど悩んだ小さい自分。

悩みが憎しみと軽蔑に変わり、
自分は絶対にあんな母親にはならないと誓ったのに、
同じことを繰り返している自分。

最低、最低、最低。

で、どうするの?

どうか、朝起きたら、お母さんの機嫌が直ってますように、と
祈るような気持ちで寝た、あんな切ない思いを自分の子供にさせるの?

いーや、させない。

「さっきはごめんね。」と枕元に行ってそう言った。

「いいよ、私もごめんね。」と長女。

「ううん。」と言うのが精一杯だった。

長女が謝ることは何も無い、悪いのはお母さん、本当にごめんね。
明日の朝、もう一度そう伝えよう。

やましたさんにお会いした時、
「ちろさんは、お母さんに謝ってほしいんでしょう?
だったら、まず自分が子供に謝ろうよ。」
とおっしゃった。

はじめは意味がわからなかった。

こんなに母に傷つけられた自分が、なぜ子供に謝らないといけないのか?
私は、謝ってもらうべき存在、被害者なのに・・と。

でもとにかくやってみた。

謝れば謝るほど涙が出た。

謝る自分と謝られる長女を見て、癒されていくのを感じた。

あの時の私も、こんな風に親から謝ってほしかったんだな。と、
自分で自分を慰めた。

そしてわかった。
自分がダメでお粗末で不器用な親であるように、
親もダメでお粗末で不器用だったということ。

長女が私を許してくれるように、
私も親を許そう。

そう思えるようになって、親への気持ちが変わった。

断捨離を知らなければ、私は子供に謝ることができなかった。

また今夜のように、失敗することがあるかもしれない。
その時は、きちんと謝っていこう。