約三十の嘘

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詐欺師同士の絶妙な騙しあいの物語です。
オチも絶妙です。
ゆるめの、いい作品です。


数年ぶりにチームを組んだ詐欺師が、豪華寝台列車の中で、戦利品を独り占めしようと、華麗な嘘の付き合いを演じます。
詐欺師は、全員で6人なのですが、それぞれが個性的で、魅力的です。
キャラ設定がしっかりしていますし、それ自身が、絶妙なオチの伏線になっています。


掛け合いのもどかしさがたまらないです。
騙しあいのお話なので、そういった展開になるのは必然なのですが、裏切りや駆け引きがものすごく魅力的に使われています。
スリル、ショック、サスペンス、などとは一線を画しており、ハラハラドキドキ感はあまり感じられません。
けれども、まさしく”心理戦”であり、ミステリーの要素には不足はありません。
若干の恋愛映画のテイストも含まれており、物語に奥行きをあたえてくれています。
6人が悪者に感じられない展開は秀逸です。


テンポがよく、脚本そのものもよく練られているため、引っかかるところなしにエンディングを迎えることができます。
もとが舞台劇であったことから、ほぼワンシチュエーションなのですが、閉鎖空間ゆえに、展開される駆け引きの妙に引き込まれてしまいます。
ロケでは、トンネルで苦労したそうですが、車窓をあまり写さないカメラワークが、かえって、緊張感を増すこととなっています。


北に逃げていく、というのもベタですが、お約束ですね。


クレージーケンバンドの軽快な音楽も、なかなかいいです。


かつてのカリスマだが、落ちぶれてしまった元リーダーの志方大介役の椎名桔平さん、クールビューティー宝田真智子役の中谷美紀さん、酒びたりから立ち直った、若いがやり手の佐々木健二役の妻夫木聡さん、頼りなく気弱な新リーダーの久津内守役の田辺誠一さん、霊感商法も手がけ、お調子者で新参の横山宏紀役の八嶋智人さん、不思議な巨乳詐欺師の今井優子役の伴杏里さん、みな、いい芝居をしています。


6人の詐欺師のうち、5人までは二流ですが、1人だけが一流です。
役割分担も含め、いい設定ですよね。


”敵をあざむくにはまず味方から”を実感できるでしょう。


一つの嘘のためには三十の別の嘘を用意しなさい。

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