福井県大野市 地方創生コラム

福井県大野市の地方創生オフィシャルコラムです。

地方創生について

 全国的に人口減少時代が到来し、今後、加速度的な人口減少が懸念されます。
 人口減少を食い止めるためには、「まち」「ひと」「しごと」の創生を図り、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立するとともに、 その好循環を支える「まち」に活力を取り戻すことが必要です。
 福井県大野市においても、人口減少や少子化・高齢化の進行に伴い、地域コミュニティの存続が危ぶまれている現状を鑑み、人口減少対策や地方創生に戦略的に取り組んでいくことを目的に様々なプロジェクトを展開しています。

テーマ:

 平成28年5月に大野市に着任して以来、この4月で約1年が経過し、年度も改まることで一区切りを迎えました。この1年の経験を踏まえて、このタイミングで、市役所内の組織の改編を行い、施策の総合調整を行う「政策局」を設置し、自分が局長を兼ねて施策の推進に責任を持つこととなりましたので、今回はこの設置の背景にある考え方についてご説明したいと思います。

 

 大野市に赴任して1年間、地方創生担当の副市長という立場で、ほぼすべての決裁案件を確認し、議会対応、政策のヒアリング、外部関係者とのやり取り、講演会や説明会での発表など、さまざまな経験を積ませていただきました。その過程において、大野市は地方創生・人口減少対策の取組がすでに着手され、先進的なものも含めて推進が図られている現状を知ったのですが、では今後さらに取組を深化させていくに当たってどうすればいいのかと考えると、個別の取組を充実・強化し、新規の取組にも積極果敢に挑戦していくことはもちろんですが、本当にそれだけでいいのかと思ったのです。
 

 各種の取組を支えていくのは大野市民の皆さまであり、その中核として市を支える組織である大野市役所の機能を充実強化していくこと抜きには、取組の持続可能性も確保できませんし、新しい着想を得て、育てていくという基盤の整備を同時に行っていくことで、各種取組の効果もより発揮され、息の長い取組として育てていくことも可能になると考えました。

 

 その際、自分が内閣府出身であり、かつ内閣府全体の組織の在り方を担当した経験がありましたので、そのような知見も活用しながら考えてみました。大野市役所の組織的な課題を解決するためには、霞が関における内閣府のような、各種施策の総合調整や新しい事務への挑戦を担当する部署として、政策局を設置して、そこを新たな地方創生・人口減少対策の核として施策を推進していくことが、今の大野市役所の課題に沿っているし、自分の強みも生かせるのではないかと考えました。

 

 具体的には、以下の4点の改善を図ることを通じて、政策局がその意義を発揮することができるのではないかと考えています。

 

1.組織としてのミッションの実現に向けて、庁内を先導する組織の欠如
 大野市が目指すべき姿として、たとえば将来像「ひかりかがやく、たくましく、心ふれあうまち」(大野市総合計画)や、キャッチコピー「結の故郷 越前おおの」(越前おおのブランド戦略)などがありますが、ではそれに向けて具体的にどのようなことをしていくのかとなりますと、個別・具体の制度や事業に落とし込んでいくことが必要です。
 一方、現場に近く具体的な課題解決に日々あたっている担当課室が、抽象度が高いゴールの実現に向けて、これまでのルーティーンから自ら離れて個々の事務を不断に見直したり、新しい方向性を機敏に盛り込んでいったりすることは大変困難であり、外部から適切な指摘を行うことが必要です。
 政策局は、各課室の施策に対して方針を提示・指示し、その進捗を管理することを主な任務としています。各課室が現場の課題に対応すべく積み上げた施策に対して、大きなミッションの達成という立場から指摘をし、それをもとに担当課室が見直しなどを行うことを通じて、ミッションの達成に資する内容が個別の施策にも盛り込まれることとなり、その集合が最終的にミッションの達成に大きく貢献するという流れを思い描いています。
 現状では、このような指摘は市長・副市長ヒアリングなどの場で行われていますが、特定の取組について説明を受けた際に市長等が指示するだけでは網羅的ではなく、すべてを見切れるわけではないことから、偏りや漏れが生じてしまいます。また、ヒアリングの場という限られた機会だけでは、その内容が深い部分まで届かない恐れも多々あります。そのための機能を組織としてビルトインし、より広範囲で適切に対応していくことが重要であり、そこに政策局の存在意義があります。

 

2.改善すべき課題を具体化・言語化し、内容を深めるプロセスの不足
 1.とも関係しますが、ある施策を担当している課室がそれを直接担当していない部局(=政策局)と議論を行うに当たっては、その業界・エリアだけの暗黙の了解やルールでは通用せず、その課題を分析し言語化して伝え、共通の理解を得た上で議論を行うことが不可欠となります。逆に言えば、言語化できない課室があればそこは実際の施策をきちんと理解・分析できていないということであり、この作業はそういう組織の問題をあぶりだすという意味も同時に持ち合わせています。
 その上で、過去から連綿と行われてきた施策・事業の見直しに向けて、課題を言語化するというプロセスを通じて、直接の担当者であっても気づいていなかった内容を掘り起こし、見える化すること自体が、気づきのプロセスとして重要ですし、言語化することによって論点や課題が明確化し、内容を深めるための建設的な議論につながります。
 このように、政策局は一定の知見を持っているけれどもその施策の直接の担当ではないという立ち位置から各課室に刺激を与え、施策の深化を促す役割を担います。

 

3.庁内の情報を整理・一元化し、効率的・効果的に施策を進めていく体制の不備
 大野市役所に限らず、どの組織においても課題となるポイントの一つに「組織の縦割り」があります。必要な情報が共有されていない、類似の宣伝を重複して行ってしまう、政策間連携が必要な取組について他課室から協力が得られない、そもそも他課室の動向をつかみきれないなど、現象としてはきりがありません。
 とはいえ、日々の業務に追われている各課室が、自分が担当している事務を適切に遂行するだけにとどまらず、それぞれで他課室の情報・動向まで追いかけ、もれなく調整・連携を行っていくということは、大変な事務負担であり、なかなかできるものではありません。
 その点において、政策局は情報の収集・共有という取組を通じ、他課室の業務のサポートが可能となります。もちろん、政策局に各課室の情報が適切に集約されることが前提であり、ルールを整備して情報の流れを整理することで、それ自体も業務の見直し・効率化につながりますし、政策局が各課室を支える土台として機能することを目指していきます。

 

4.既存の事務を見直し、効率化を不断に進める仕組みの不足
 地方創生・人口減少対策が加速度的に進む中で、市役所内ではこれまでにない新しい施策・事業がどんどんと始まっています。一方で行政組織の肥大化を防ぐ観点から、人員の拡大は困難ですし、新たな部や課の設置は可能な限り避けなければなりません(政策局の設置も既存の課室の整理を前提としており、拡大はしていません)。
 このような中では、既存の事務を減らす、あるいはかける労力を少なくすることをしなければ、仕事が増えすぎて支え切れなくなることは自明です。しかしながら行政組織というのは、一度始めた事務を自ら廃止するのは苦手であり、外部の力で廃止する流れを作り上げる工夫が必要です。
 そのため、全体の事務の調整を行う政策局が、俯瞰的な立ち位置から事務の評価を行い、廃止するものや実施方法の変更を決めていくことで、途中で息切れすることなく地方創生・人口減少対策を進めていくことが可能となります。昨年度から進めている市役所の働き方改革「8時だよ!全員退庁」も、この重要な要素の一つです。


 今回の体制整備を、各種の取組の企画立案・推進と並行して行うことで、平成29年度は前年度以上に、大野市の地方創生・人口減少対策を加速度的に進めていきたいと考えています。
 

いいね!した人  |  リブログ(0)