合理的思考 | 秋山のブログ

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以前、塩沢教授とコメント欄でEBMに関してやりとりしたことがある。そこで法則を連結したものを直ちに正しいと言ってはいけないという話があって、それは自明なことかもしれないが、『教科書に書いておくべき、重大なこと』ではないかというお言葉をいただいた。経済学の新しい教科書を作るのであれば、論理的な思考の基礎を記述しておく必要があるだろうということを、それ以来考えている。

先日いつものように日経ビジネスのHPを見ていたら、『
京大医学部が教える合理的思考』という文庫本(文庫になったのが最近である)の宣伝がされていたので、どんな教育がなされているのか興味をもって、買って読んでみた。
筆者は何を思って、この本を書いたのだろうか。医師は患者やその家族が間違った考えを持っていて苦労することがそれなりにある。情報があふれる時代、何が正しいのか見極める目を持っていないことが問題だ。医療で培ってきたその方法論を広めることは、医療の場で発生する問題を少なくするということから始まって、情報社会の混沌から、あらゆる分野で人々を救い出す手助けになると考えたのではないかと思った。引用する。
P6『情報をどのように吟味して、最善の意思決定をおこなうか・・・・・。医療そして医学研究は、この問題と対峙する最前線にいます。そうした環境で培われてきた「合理的思考」は、医療にとどまらず生活やビジネスの場でもきっと役に立つのではないかと思います。』

さて具体的な中身に移れば、合理的思考をおこなうための注意点が次々提示され、具体例とともに説明されている。具体例には、医療に関することだけでなく、経済に関することも書いていて、例えば私も以前指摘したギリシャの不況は公務員が多いせいではないことなども説明してる。
おおまかに分けられた5つの章に関して引用しておこう。(各章の小項目にも重要な話はたくさんある)
『第1章 イメージで物事を判断していませんか?』
『第2章 それは本当に、正しい根拠?』
『第3章 その数字の読み解き方、間違っています!』
『第4章 「原因と結果」のねじれに注意せよ』
『第5章 納得できる結論にたどり着くために』(以上目次より)
私が今まで書いてきた、経済学者がおかした様々な間違いや、経済に関する間違ったプロパガンダは、これらのパターンに当てはまることが多い。経済学を始める大学生には、学び始める基礎として、この本を読んでもらうことは有意義であるように思える。