更新できなかった理由。

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最後の書き込みから結構経つ。興味を失っていたわけではなくて、また勉強していたからである。「リカード貿易問題の最終解決」という塩沢由典教授の書籍を読んでいた。基本的に空き時間に読む上に、医学論文を読むときのように、考察しながらよむために相当時間がかかった。

税別10500円と気軽に手に取るにはなかなかの価格である。内容全てを全面的に肯定するわけではないが、深い観察力と分析力は、多くのダメ経済学者とは雲泥の差がある。また、山程新しい知識も得ることができた。私にとっては、決して高い書籍ではなかった。

ということで、この素晴らしい書籍の内容を私自身の考察を加えて少しずつ紹介していこうと思う。

とりあえずどんな内容の書籍かと言えば、貿易によって物の価値はどうなっていくのかという問題に関して、歴史的経緯や、現在観察される事実からの考察をまじえて解決をはかっているものである。
この問題は、多くの人間が解決済みであり、最も強固な法則であると誤解している。リカードの比較優位説(比較生産費説というのが正しい表現らしい)を検討して、まだ知識が乏しかった私でも気付いた問題点は、実はリカード自身も気付いており、解決できないでいたようだ。
多くの人がその解決であると信じている内容は、J.S.ミルによってなされたもので、多くの非現実的な前提を取り入れたもので、全く現実に一致しない。そしてこの解決が、経済学を誤った方向に導き、現在も続いているのである。多くの非現実的な前提が、公理と化してしまったということだろうと思う。

この書籍の帯には、『200年間の未解決問題がついに解かれた』とある。これに関しては、言い過ぎである感はいなめない。200年間の迷走に終止符をうつ正しい方向性が示されたというなら賛成である。新自由主義の経済学は、世界に貧困と格差をもたらしたが、どのような理屈でどのような政策を取るべきかという体系は、構築されている。解決というからには、多くの実証研究で一致が確認され、政策にいかされて成果をあげて初めて解決と言えるだろうと、自然科学者の端くれである自分には思える。
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