春の陽に使い残しの日焼け止めふと思いだす使用期限

職安に通いつ奥の事務所へと吾を雇いたし吾がいぬものかと

メルアドを確かめることあしき吾アカウント名の偽名のごとく

筆名を新しくする愚かさに近頃気づくネットの歌人

陽だまりは神さまからの贈り物聖歌隊席扇風機下

エアコンの吹きだす音に驚きつ冬は止まりし薔薇の庭にて

やわらかき陽の光にぞイエズスは吾らのうえに吾らの代わりに

イエスさまのしづかに微笑む十字架の復活の日の夢の残り香

ミサ後にはまばらな声の響きゆくガレットを売る軽やかショップ

椅子のうえ思う人らのおもはゆく祈りのうちに消えゆアレグロ

テンションを一つさげては調弦の忘れしハープ弦切れもせず

苛立ちに予備の弦などそろえては弾かぬハープは部屋の飾りか

桜咲く並木をみては復活の幻のごとゆがみゆく時

春はきぬ今が春だと四旬節忘れし吾のゆれし裏地に

朝マックコーヒーフロート我慢して甘きマフィンの蜂蜜を思う

朝電話訃報の中に談笑のあり93の旅立ちのこと

歳月は他人のなかにつながれば逢うことなきを老齢と呼ぶ

悩みひと罪かさねてはつながりの幻のごと箏の音のごと

名のなきはミサのドロップ聖霊のさりて咲きゆく樹の下の草

吾のありて祭壇の花通りすぐお掃除モップ艶やかな床

コリント一 4.10-21


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