この映画を観た後は、電車の中などで咳をしている人を見かけると思わず顔を背けてしまいそうになる映画『コンテイジョン』

あるウィルスが発生し、そのウィルスがパンデミックしていく様子を、患者(とその家族)、医療従事者、ジャーナリストなどの視点から描いています。

この映画を観ていて私が実感したのは、人間の弱さと強さです。

突然変異で発生したウィルスに、いとも簡単に冒され、死んでしまいます。
そして、そのウィルスに自分も感染するのではないかという恐怖、政府やWHOは何か本当の情報を隠しているのではないかという猜疑心、ジャーナリストの煽る情報操作に踊らされ、冷静さを失って、暴動などの行動を起こしてしまうのです。

でも、ウィルスから逃れて生き延びた人びとは、そんな中でも懸命に生き、愛する人を守ろうとします。
例え暴動を起こし他人を傷つけても。
ある取引をし、不正な方法を使ったとしても。

スティーヴン・ソダーバーグ監督は、そんな弱さを抱えながらも生き続けなくてはならない人間の強さと弱さを、抑えた映像でリアルに描き出していました。


<STORY>
香港出張から帰って来た女性が謎の疾病で急死した。その女性の住むミネソタの他、香港、ロンドン、東京などおで同じ症例での志望者が発生し、死者はどんどん増えていく。世界保健機関(WHO)や米国の疾病予防管理管理センター(CDC)は調査に乗り出し、ウィルス発生の場所の特定や、感染防止のための患者隔離などを進めていく。しかし、感染は広がり続け、あるジャーナリストの発言に煽られ、人びとの間には恐怖心や猜疑心も広がっていく…。


<Cheeseの解説>
この映画は、複数の登場人物の行動を同時多発的に描いていきます。

一人は、最初の死者となるベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)とその家族。
香港出張から帰国したベスは、病院で死亡。彼女の連れ子である男の子も死んでしまいます。
しかし、彼女の再婚相手であるミッチ・エムホフ(マット・デイモン)は、なぜか抗体を持っていたらしく、一度は隔離病棟に閉じ込められるものの、発症する兆候もなく元気に生存。
第一死亡者の夫として、事態を見守りながら、偶然ベスと接触せずにすんだ自分の連れ子を感染から守ろうと、必死で奮闘するのです。

そして、疾病予防管理管理センター(CDC)の職員、チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)とミアーズ医師(ケイト・ウィンスレット)。
チーヴァーはウィルスの原因解明や特効薬製作を急ぎつつ、部下のミアーズをウィルスの発症した地に送り、現場での治療や対策に当たらせます。

WHOでは、オランテス医師(マリオン・コティヤール)をウィルスが発生したと思われる香港に派遣し、ウィルスがどこでどのように発生し、どう感染していったのかを調査させます。

そして、民間人でももう一人、ウィルスを相手に奮闘している人がいました。
ジャーナリストを名乗るアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)は、新しいウィルスで死者が発生したという情報をいち早く入手し、その情報をブログで発信。
正確な情報が少ない中、政府の対応を批判する情報や出所不明の独自情報を展開し、信者を獲得していきます。
正しい情報や安心できる情報を求める市民たちは、彼の推奨する薬を求め、街では暴動まで発生するのです。。。

そこに超常的なヒーローは登場しません。
みんな、自分の持てる能力や、自分の信念、自分の愛情の中で、できること、すべきことを懸命に果たしているだけなのです。


こう見ていくと、震災後の日本にとても状況が似ていると思う人も多いのではないでしょうか。
自分の身の危険も顧みず、現場で奮闘する職員。
一般には知らされない情報。
あやしいジャーナリストが発信する情報に踊らされる人びと。
情報はツイッターで拡散し、秘密はフェイスブックで暴かれていきます。

それでも、生き残る人は生き残り、生活を続けていきます。
何があっても人は家族を愛し、若者は成長し、恋をするのです。

パンドラの匣が空いても、その底には希望が残されている。。。
ソダーバーグ監督は、普通の人びとの普通の生活の中にある希望という可能性を、最後に残してくれました。


別コラム:オトコに見せたいこの映画『コンテイジョン』


『コンテイジョン』(106分/アメリカ/2011年)
原題:Contagion
公開:2011年11月12日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:新宿ピカデリーほかにて
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:マット・デイモンケイト・ウィンスレットローレンス・フィッシュバーンジュード・ロウグウィネス・パルトロウマリオン・コティヤールブライアン・クランストンジェニファー・イーリージョン・ホークスエリオット・グールド/サナ・レイサン/ジリアン・アルメナンテ/ナタリー・ガル/モニーク・ガブリエラ・カーネン/ディミトリ・マーティン
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/


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