2001年夫婦世界旅行のつづきです。レンヌ4日目にしてもう移動です。





part184 マドリッドへ!





要約: フランスを一旦離れる。バスで一気に南下し、スペインのマドリッドへ移動。(後日スペインから再びフランスに南から入る予定)





















今日はレンヌ15:00発のユーロラインズバスに乗って、スペインはマドリッドへと出発する。





バスの時間まではたっぷりあるので、ゆっくり起き出してのんびり身支度を整え、ホテルのチェック・アウトの手続きだけ済ませる。荷物を預けて、時間まで近場をふらふらすることにした。





朝食(ほとんど「昼食」の時間だが)を昨日のスーパーで買い出しして済まそうと、まずはスーパーへ。しかし、日曜の昼だというのにスーパーはお休みだった。どうしてスーパーが日曜に休むのか? 日本の感覚では理解できないぞ。(追記: 日本でも我が家の近所に“日曜に休む”スーパーが出来たが。) スーパー周辺の店も大概閉まっている。いつも通り営業しているのは駅前の高いカフェばかりだ。





そういえば「日曜日はお休み」という徹底したシステムが欧州の特色であったよ。しかし、軒並みシャッターが下ろされた一画で、マクドナルドだけはひっそりと営業していた♪ さすがグローバルスタンダード(?)。





マクドナルドなら菜っ葉も食べられる。恩の字だ。しかし、硝子越しに見える店の中には客の姿が見当たらない。本当にやっているのだろうか? おそるおそる入ってみると、1階はがらんとしていてやはりだーーれもいない。薄暗い店内にテーブル席がずらりと並んでいるだけだ。人の気配がない。廃屋か? って感じだ。





おそるおそる2階へ上がってみると、カウンターがあり、そこに店員もいて、店は営業しているのだと分かったのだった。と言っても、客は我々の他にたった一人、広い店内にぽつんと座っているばかり。カウンターに控えた店員もたった一人。「いらっしゃいませ~」なんて挨拶もない。





閑散とした店内には短いフレーズのテーマソングらしきものが繰り返し流されていて、その軽やかな曲がかえって妙に寂しげに響いている。人のざわめきのないマクドナルドなんて初めてお目にかかった。





注文しても 「ごいっしょにポテトはいかがですかぁ?」 なんてことも聞かれない。こんなに空いていて、ちゃんと経営が成り立っているのだろうか? ひとごとながら心配になる。





と、我々が食べているうちに、少しずつ客が増えてきた。しかし、客が増えてきてもカウンターで対応する店員は一人のまま。あっという間にカウンターの前には長い行列が出来た。他に店員はいないのだろうか? とひとごとながら心配になる。しかし、たった一人で対応をしている店員は慌てた風も困った風もない。さすがフランスだ。





しばらくたって、漸く奥から他の店員もカウンターに出て来て、手伝い始めた。いるんだったらとっとと出てきて手伝えばいいのに……。ほっとしながらも対応の遅さに呆れる。ひとごとながら……。





しかし、その“奥から出て来た店員”は、しばらくカウンターを手伝ったかと思うと、客がまだ並んでいるにもかかわらず、ふいっと姿を消した。





あれあれ? どこへ行ったのだろう? と見ると、チャッカリ客席に着いてガールフレンドらしい女の子と一緒に食事をしているではないか。いつの間に? 客よりも、自分のシフト優先? どうも、日本では考えられない光景である。





我々が食べ始めた頃入って来た客は、我々が食べ終えた時もまだカウンターに並んで待っていた。だが誰も文句を言う風でもなかった。待つのが当たり前だし、誰も時間に追われていないのかもしれない。フランスではマクドナルドは「ファーストフード」ではないのかもしれないね。





食後は閑散とした通りを少しうろついて、ホテルで預けた荷物を受け取り、バスターミナルへ向かう。





バスの出発時刻30分前までにチェックインしなくてはならない。これはどの国のユーロラインズでも同じ決まりのようだ。





しかし、バスターミナルのオフィスに行ってみると、なんとここも閉まっているではないか。今日の2時半にチェックインしろ! とこちらには言いながら、肝腎の窓口が休みとはどういうことなのか?  





とにかく閉まっているものはどうしようもない。街中にあったユーロラインズのメインオフィスもお休みである。さてどうしたものかと見回すと、バスターミナルには、欧米人のバックパッカーらしき若者が数人、バスを待っていた。待っている人がいる以上、バスは来るのであろう。我々もとにかくバスを待つことにした。





バスは果たして時間通りやってきた。バスの運転手さんが我々のチケットを確認して、ことは済んだ。 (30分前のチェック・インなんて必要なかったじゃん! 日曜に限って不要ということかもしれない。) 





ユーロラインズのバスは流線型が美しい車体である。オランダ―ベルギー間、ベルギー―フランス間で利用した際も、バスはどれも真っ白くピカピカだった。で、今回のバスも真っ白でぴっかぴかに磨き上げられていたのだが、エンジンの音が一際重く、バスがターミナルに入ってきたときはまるで飛行機がゆっくり目の前で止まったかのような感覚だった。





おまけにバスの運転手さんもまるでパイロットのような格好をしていた。欧州ではユーロバスの運転手は飛行機のパイロットほどのステイタスなのだろうか。運転手は胸板厚く威風堂々。思わずこちらが頭を下げたくなるほどだ。





が、驚いたことに、彼はスペイン語しか話さないのであった。フランス語は一切通じない。レンヌはフランスなのに、なぜ? 面食らってしまった。他の客も皆、スペイン人らしく、スペイン語をベラベラ話している。フランス語は一切聞こえない。レンヌから既にスペインは始まっている?





まっすぐに続く道路を「ヴィーンッ」と静かな、しかし力強いエンジン音で走り始めたバスは、まるで滑走路を疾走して今にも飛び立たんとしている飛行機のようであった。





バスは順調に走った。2時間おきくらいにそれぞれの街のバスターミナルなどに寄って、休憩が入る。パンフレットを見比べながら進路状況を探る。ナントNantes, ラ・ロシェルLa Rochelle,セントSaintes,ボルドーBordeaux,そして多分ブルゴスBurgosはもうスペインの町? そしてマドリッドMadrid(注:地名の表記はユーレイルバスのパンフに拠る)だ。





レンヌを出てしばらく走ると、車窓は左右一面の向日葵畑であった。鮮やかに大地を黄色く染め抜いたような向日葵畑と、青々とした腰の強い緑一面のトウモロコシ畑とが交互に現われるのであった。





ほんの一区画で終わってしまう小さな向日葵畑から、地平線まで黄色一色に大地が膨らんで見える所もある。青々とした牧草を食む牛たちののどかなひとときは、国道沿いに密に植え付けられた背の高い並木の壁に拠って車のうるささから守られている。





時々畑の遠くの方に街が現われる。レンガだか石だか、統一された色合いの街の中に、必ず一つは尖塔が一際高く空に突き出ている。教会を中心に街が広がっているのであろう。ほんのささやかな集落でさえ、尖塔が突き出て、教会のありかを示す。





向日葵畑も姿を消し、ナントの辺りまで来ると、街の風景がいかにも田舎びてくる。しかし、ラ・ロシェルは整備された緑園都市といった趣で、街中(まちじゅう)緑に埋め尽くされ、適度に川も流れ、道路も整備されていた。ヴァカンス用にしつらえられた街のようだ。





サントはバスが街中で止まらなかったので、よく分からない。サントでバスが止まった所は、キャンピングカーが屯しているトイレしかない所だった。キャンピングカーで移動している人は、ああしたトイレ休憩所で、水も補給しているようだった。誰がどう管理しているのか、そうしたところもゴミひとつ落ちておらずきれいなものだった。





そして、今回寄ることを断念したボルドーは(私は是非ともボルドーでブドウ畑巡りをしたかったのだがっ)、大きな街だった。バスは国鉄駅前の駐車場で止まった。





大きな鉄道の駅を取り囲むようにカフェが軒を連ね、夜も10時を過ぎているのに、店は後から後からやって来る客で賑わっている。





漸く暗み始めた空には明るい月が輝いて、観光客達もサンダル履きあり、半ズボン履きあり。南国ファッションの人が多く、寛いだ夜のざわめきに満ちていた。やや風の悪そうな若者が多かったが、皆ワインやビールをいかにも美味しそうに飲んでいる。





このボルドーで我々は漸く30分の「食事休憩」を与えられた。30分なんてあっという間だ。のんびりワインを味わっている暇もない。駅前の食堂を急いで物色し、テイクアウトできる安いサンドイッチ屋の前の席をとり、とにかく目についたものを頼んでみた。





クリームパイが美味しそうに並んでいた。この一切れだけで腹は満ちそうだ。注文したら、店の人が「温めるか?」と聞いてきた。カスタードクリームパイを温める? 妙なことを聞くなぁ? と思ったが、ものは試しと温めてもらった。……正解だった。





温まったカスタードクリームパイなんてどんな味かしら? 作りたてのカスタードクリームの味かな~と思っていたら、クリームに見えたその一切れは、実はキッシュだった。ほんのり温かいキッシュはなかなか美味しかった。(冷めていたら、いまいちだっただろう。) コーヒーはヨーロッパに来て初めて! と言っていいくらい、まともな物だった。





バスが再び走り出したのは結局1時間後だった。30分だという休憩時間が終わり、他の乗客はぼつぼつ集まってきているのに、肝腎のスペイン人の運転手がなかなか現れなかったのだ。 ユーロバスでこんなことは初めてだ。スペイン人は時間にルーズのようだ。





どうせなら最初から1時間の休憩だとしておいてくれれば、我々だってワインの一杯も飲めたものを~っ! ボルドーの本場ものをボルドーで飲みたかったのにぃぃぃぃぃぃっ。





暢気に現れた運転手さんがバスのドアを開けてくれて、ようやく乗客がぞろぞろとバスに乗り込む。そしてそのまま出発進行。その後は翌朝まで街には止まらない。朝にはもうマドリッドだ。





どこがフランスとスペインの国境だったのか、バスは止まりもしないし、パスポートチェックもないのでとんとわからなかった。しかし、スペインに入ったと思われる辺りから、風景はさらに砂地が増え、整備されていない大地が広がり始めた。フランスと違って、高い樹々が整然と並んでいることがない。中低木が増える。夜目にも、貧しげな家々が増えてきたように見える。





翌朝8:30、予定の時間を1時間過ぎて、バスはマドリッドに着いたのであった。


つづく


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