2001年夫婦世界旅行のつづきです。7月19日。ブリュッセルのホテルをチェックアウトして、北駅のユーロラインズバスの乗り場へ。













part136 え? パリ? おおっ、パリ!











あるある。白いぴかぴかのナイスバディのバス。パリ行き、ユーロラインズのバスである。しかしバスのフロントガラスの所に 「パリ」 と書かれたプラカードが出ているのを見ても、さしたる感動もなし。パリへ行く自分はさぞ興奮するだろうと思っていたのに、意外である。





パリ行きのバスに乗り込む前に、残ったベルギーフランを使い切らなくっちゃ。しかし、途中、あるいはパリに着いてからのトイレ代に、小銭は残しておかなくてはならないなぁ、などと細々と必要な額を計算して、駅の売店に行ったり、絵葉書を出すためにポストを探したりなどしていると、 「パリに行くのだ! 」 という感動どころではないのであった。





(追記: 我々は各国の通貨をなるべく残さないように、きっちり使い切りながら旅をした。翌年 《2002年》 からヨーロッパはユーロ通貨に統一されてしまうのだから、もう姿を消してしまう各国の通貨は、できれば記念にとっておきたかった。しかし、旅はまだまだ続く。使えなくなった通貨は荷物になるので、極力使い切るようにしていたのだ。) 





パリ行きのバスは黒人が多かった。みんな申し合わせたようにデューティーフリーショップの袋を持っている。ベルギーは 「税金天国」 と言われているので、買い物に来る観光客が多いのかもしれない。 (あるいは、ベルギーで安く仕入れたものを、パリで高く売るのだろうか? 彼らは商売人なのだろうか。)





走り始めた車窓からは道路沿いに木立が延々と続いて見えるばかり。時たま木立が途切れると、いきなり視界が開ける。木立の向こうには地平線まで畑が続いているのだった。麦畑、ジャガイモ畑。北海道の畑よりも広大に見える。ああ、まるで絵のようだ。





いつしかウトウト眠り込んでいた。ぷしゅーっとバスがガソリンスタンドに止まって目が覚めた。走り始めてから2時間ほど経っていた。今回はトイレ休憩があったことよ (注: アムステルダムからブリュッセルまでの4時間の道のりでは、トイレ休憩がなかった) と胸を撫で下ろし、外へ出ようとすると、バスの後部のドアの横にトイレ発見! なんとバスの中にトイレがあるではないか。やはりユーロラインズのバスにはトイレが付いていたのだ。





ユーロラインズのパンフレットを読むと、  「車内にトイレが付いている」 と書いてあったのだが、アムステルダムからブリュッセルまで利用した時、バスの中を見回してもそれらしいものは見当たらなかったので、今回も 「パンフレットの言葉など当てにならないねっ」 と諦めていたのだ。しかしトイレは、バス後方の非常口のような小さいドアの横に、隠れるようにして存在していた。 (……ってことは、アムステルダムから乗ったバスにも、こっそり、トイレはついていたのかもしれない! )





我々はバスに乗るときは常に前方の席を陣取っていたので、気づかなかったのだ。しかし、同じバスに乗り合わせた人で、バスの中で席を立った人は今まで一人もいなかったように思う。私は、みんな我々と同じようにトイレを我慢しているものと思い込んでいた。な~んだ。やっぱりあったじゃん、トイレ!





何はともあれ、これでパリに着いた途端、トイレ探しに走る必要もない。バスの中のトイレはさすがに無料だ。入り放題だ! となると、トイレ用に取っておいたベルギーフランが無駄になってしまう。この休憩所で使い切ってしまおうと、売店を覗いた。





56ベルギーフラン (約150円) 残っていた。せいぜい小さなチョコバーぐらい買えるかと食料品の棚を見ると、ポテトチップスやクッキーが10フラン、20フランで売っているではないか。なんと安い! こりゃ、56フラン使い切るためには幾つか買わなくてはならない。できるだけきっちり56フラン使い切るために、計算機を片手に、あれやこれや端数を組み合わせ、結局、ポテトチップスとフランボワーズジャムのクッキー、そしてアイスクリーム2本を選んだ。150円ぽっちでこんなに買えちゃう!? 税金がかからないから? なんにしても、ウホウホのウハウハだ。うきうきお菓子を抱えてレジに持って行き、なけなしのベルギーフランを出した。





すると、レジの女の子は何やら叫んで、怒ったように私の出したお金を突き返してきた。びっくりして、戸惑っている私に、 「あなた、これじゃ、買えないわよっ! 」 とベルギーフランを指先で強く敲く。ものすごくむっとしている。我々のお菓子をざっと横へ押しやる。あ。あ。あ……。





何と、そこではベルギーフランは使えないのであった。商品の表示の 「フラン」 とは 「フランス・フラン」 のことだったのだ。道理で安過ぎると思った。後ろに他の客も並んでいたので、突き返されたベルギーフランを手にすごすごと引っ込んだ。折角選んだのに……。ポテトチップス、フランボワーズジャムのクッキー、アイスクリーム……。





バスでうたた寝している間に、我々はいつのまにかフランスに入っていたのだった。それにしたって、ベルギーとの国境付近なのだろうから、ベルギーフランが使えてもよさそうなものなのに……ね。





結局、56ベルギーフランは使えないまま残ってしまった。食料が思いの他沢山買える♡♡♪ という糠喜びと、ベルギーフランは使えない と恐ろしい剣幕で突っぱねられたショックとで、一遍に目が覚めた。なんとも、おまぬけでこっぱずかしいひと場面を演じたものだ。こういうとき、一人でなくて、よかった~としみじみ思う。 (2人して、気づかなかったのか? という問題は、気にしないでおこう。)





再び走り始めたバスの窓からは、ベルギーとさして変わらない風景が流れて行く。それにしても、気がつかないうちにフランスだったとは。何とあっけなくフランスに入ったことか。木立が糸杉の木立に変わった点が、 「フランス」 と言えば 「フランス」 であった。





さて、途中事故車の処理でやや渋滞していた道路も、すぐに順調に流れ始め、予定より7分遅れただけで、バスはパリの東の端、ガリエニ駅に無事到着したのであった。ブリュッセルを出たのはam11:15。パリにはpm15:22。約4時間のバスの旅で、パリだ。ここできちんと感動しておこう。とうとうフランスに上陸したぞ! パリであるっ! おおっ、パリよ!





          つづく


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