最近のトホホ

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最近の出来事

ホテル大暗のスカイレストランで・・・・・・

夫の誕生日を祝って、どこかでお食事しましょう。何食べたい?肉!ステーキ!・・・・どこがうまい?・・・わからないねぇ。


・・・・・ということで、そうそうハズレはなかろうと思われる、有名ホテル直系のレストランへ出かけてみた。

新宿Nビル50階。高層ビルからの眺めを満喫しつつお食事だ! と出かけた。

日曜の西新宿の高層ビルは人影もまばら。レストランも昼を少し過ぎたころで、客もまばら。

通された席は窓際。よしよし、と座る。しばらくすると、奇妙な音が耳につく。

障害者の方が隣のテーブルで食事をしていたのだった。

障害者の人だって、高層ビルの上で食事したいよね。

多少の雑音は仕方がない。お互い様さ、と気にしないようにしていた。

しかし、そのうち、ぐぇほっ、おえぇっ、ぐえぇぇと咳き込み始めて、痰が絡むのだろう、痰を吐き出すのだろう。そういう音が一頻り続いた。

・・・・・・これは、辛い。ご本人が一番辛いのだろうが、こっちも辛い! 私は面と向いていなかったが、夫はちょうど隣のテーブルに面していて、思いっきりその人がげろげろと口の中のものを皿にもどす場面を見てしまったという。・・・・・・

レストランは空いていた。どうしてホテルの人はもっと離れた席につかせてくれなかったのだろう。

おまけにメインディッシュの皿は違うテーブルのものを運んできた。 違うのでは? というと、さっさとひっさらうようにその皿を取って、違うテーブルにそのまま持っていくではないか。

そしてこちらのテーブルにはライスは出し忘れる、ワインを頼めば一人分しか持ってこない。(私も2人分ときちんと言い忘れたが。) 

デザートは、ケーキを好きなだけ選べるというので私は全種類頼んでみた。目の前に並んでいるケーキワゴンから、4種類のケーキを盛り付けるのに10分待たされてしまった。何にそんなに時間がかかるの???

おまけに、夫の方にはついていないはずのデザート(ケーキ)をつける。「夫の頼んだセットにはデザートはついていないはずでは?」と聞くと、「いえ、ついています。」と言い切り (少なくともメニューには、スープとライスしかついていないと書いてあった)、そのくせ、デザートに関しては、夫には一切要望を聞かず、勝手にケーキを2種、盛ってきた。・・・・どうなってんの?・・・だ。

・・・・・そんなこんなで、うんざりとさせられたお食事に終わったしまった。何よりもステーキが不味かった! こんなものなら、うちで買ってきた肉を焼いたほうがよっぽど上手かった!というくらい不味かった。

もう二度と行くまい!Dukeレストラン!ホテル大暗という名前を冠して、我々はその名を信じて出かけたのに、がーっかり! であった。

折角のバースディランチが台無しです。あまりに腹が立ったので日記にアップしてみました。 

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2001年夫婦世界旅行のつづきです。パリ3日目。 「ダブル」 で予約した部屋はどうみても、シングル。おまけに付いているはずのトイレまで共同。 「プロブレム」 だらけじゃないかっ。こりゃ、許せん! とレセプションまで早速クレームをつけに行ったのですが・・・・・・。




part149 “感じの悪いフランス語”講座③


      ――“忍法クレーム返し”に臍を噛む!





要約: 通された部屋は、我々が予約した内容と違う! 闘志を燃やして、ホテルのレセプションにクレームをつけに行ったのだが、さすが2つ星の “紳士” レセプショニスト。“忍法クレーム返し”の術で、とうとう私は返り討ちにあい、白旗片手に敵前に倒れたのであった。























先ほどの “紳士” が相変わらずレセプションに立っていた。ちろりとまたもや我々を横目で見る。 「あっ。来たな……。」 って思いながら知らん振りしている顔だぞ。







「ちょっと、ムッシュ。あの部屋、我々が予約した内容と違いますよ! 我々はシャワー・トイレ付きの部屋を予約したのです。」 と詰め寄ってみた。 





(ここまでは、大抵の 「旅のフランス語会話―クレーム編」 に載っている。しかし、ここまでなのだ。フランス語会話のテキスト編集者は、この後ホテル側が、日本人が望むような返答をし、しかるべき対応をし、スムーズにクレームが解消されるとでも思っておるのであろうか? あほかっ。 ・・・…あほは、私か? )





すると、“紳士” レセプショニストは、 「270フラン (4,600円) でトイレが付いている部屋なんてのは、そもそもうちにはないのです。これはツーリストオフィスの犯した間違いなのです。」 と、こともなげに言う。





「なんですと? でも、こちらのホテルだって、その予約を受け付けたではないですかっ? 」





「ツーリストオフィスに問い合わせの電話をしてみたんですがね、あのオフィスは若い人ばかりでやっていて……。昨日あなた方の予約を取った女の子は、今日はお休みで連絡が取れないのです。当事者がいないのだから、わけがわからない。」 と眉根を寄せて、言う。 





「ホテルの方としても、こんな予約を入れられて困ったことです。」 とため息まじりだ。





「なんですとっ? 困っているのはこっちだ。とにかく、約束どおりのお部屋に変えてちょうだいっ。」





こちらのクレームなどどこ吹く風、 “紳士” は澄まし返って、 「とにかく270フランでは、トイレ共同のあの部屋なのだ。」 と言う。





「我々は “270フランで、シャワー・トイレ付き” というから予約を入れたのだっ。予約を受け付けた以上、あなた方は約束を守るべきでしょう。」 





“紳士” は渋い顔だ。よし、もうイッチョ。 「だいたいあの部屋はシングルでしょ? 狭過ぎる。我々はダブルの部屋を予約したのですっ。 あのベッドもシングルベッドでしょ。我々が予約したのはダブルベッドです。」 と詰め寄る。





すると、 “紳士” 、ぷぷぷっと笑い出さんばかりに頬の筋肉を歪めて言った。 





「おぉ。あなた達は小さいからぁ、そんなに大きなベッドは要らないでしょう。あのベッドで問題ないじゃないですか。」 ちょっと顎を上げ、軽くのけぞって、我々を見下ろしてみせさえするじゃないのっ。





なんですとぉっ! ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎっ! こいつぅ。言うに事欠いて、そういうこと、言うか? のけぞって、言うかっ?





夫はフランス語の応酬はよくわからず、ただただ横で見守っている。心配そうに見守っている夫に、こいつが今何を言ったのかは、あまりに失礼で、しかし真実で、訳す気にもならない。





プッツン来た。プッツン来てしまったので、言葉が出てこなくなってしまった。……悔しかった。背が低くていけませんかっ!! (こんなときは日本語で怒鳴ってやればよかった・・・・・・と今は思う。)





体格がどうだろうが、ダブルと約束したからにはダブルを用意せよ! 体が小さくて一人分のベッドで十分だというのなら、料金も一人分にしやがれっ!





……と言ってやればよかったが、その時は歯軋りせんばかりにぐぎぎぎっと言葉を失い、 “紳士” を睨みつけるしかなかった。





私の怒りは、ぐぎぎぎぎ唸っている様子から十分伝わったであろうが、 “紳士” にとっては痛くも痒くもないようだ。





そして “紳士” は、十分私をやり込めたと思ったのだろう。今度は諭すように、 「1日50フラン (900円) プラスすれば、ツインの広い部屋があるのだ。もっと広い部屋がほしいのなら、なぜ差額分を払ってそちらに変えないのだ? あ、なぜだ? 」 と来た。





くそぉ。高飛車な態度だ。悪びれた様子もない。 ……てめぇ。





気を取り直し、今一度攻撃してみる。 「こちらは約束の条件で270フランと言うから、このホテルに決めたのだ。そうでなければ予約は入れなかった。これでは納得がいかないっ。あなたは我々に270フランでダブルの部屋を与えるべきだ。」 と詰め寄る。





が、 「あー。そんなことは、ホテルの方には関係ないっ。それはツーリストオフィスの女の子のミスだ。」 と、 “紳士” はガンとしてはねつける。





今さら50フラン×5日=250フラン (4,300円) を払うのも悔しい。一泊320フラン (5,500円) ってことじゃん。まぁ、法外に高い値段ではないけれど、最初と約束が違うというのが、腹が立つ。承服しかねる。 





今一度噛みついてみる。 「しかしっ。それならばっ、なぜ最初に 『シングルの部屋しかない』 と言わなかったのかっ。予約控えには 『270フランでダブル』 って書いてあるじゃないかっ。 『トイレは共同』 とは書いてないじゃないかっ。最初に言われればチェック・インだってしなかったのにっ。」 と、相手の “人を騙すようなやり口” を突く。





しかし、“紳士” は、 「なんと言われようと、270フランの部屋は、あの部屋しかないのだからして。 あの部屋でお2人、泊まれるのだからして。 むふふ。」 とほくそえんでさえいる。 ……こいつぅ。どうしてくれよう?





しかし、何をどう言っても、 「ホテルの方は知ったこっちゃな~いのだ。関係な~いのだ。270フランならあの部屋な~のだ~。」 の一点張り。 「天才バカボンのパパ」 か、お前はっ。 





“紳士” は一貫して責任放棄を続ける。 





「金さえ払えば、望み通りの部屋は借りられるのだから、そうすりゃいいだろう? 」 と、こちらのクレームさえ “貧乏人のたわごと” に済まそうとする。





……うぎぎぎぎっ。どうしてくれよう? 





ええいっ。このヒョウロクダマがっ。こんな嘘つきホテル、誰が泊まるもんかぁ! と啖呵を切って出て行くのは、部屋に荷物を置いた今さら、面倒でもある。





今から新しいホテルを探すのか? で、またポンピドゥ・センター前のツーリストオフィスまで出向いて、昨日我々を担当した白人ギャルを探し出して、昨日取られた予約手数料を取り返すのか?





はぁぁぁ。うんざりだ。ごめんだ。うぐぐぐぐっ。





…・・・くそぅ。悔しいけれど、この “暖簾に腕押し、糠に釘、豆腐にかすがい紳士” にはお手上げだ。このクレーム・スルー野郎! お前は “忍法クレーム返し” の使い手かっ。 ……と、心の中で悪態をつきながら、結局私は渋々降参したのだった。とほほ。





臍を噛んでいても埒はあかないし、時間ももったいない。しかたない。とにかく一晩 「ダブル」 という名のシングルの部屋に泊まってみることにしよう。270フランで。





それでもやはり耐えがたければ、50フランの差額を払って、明日からダブルの部屋に変えてもらうということで、クレームと “忍法クレーム返し” の如きフランス語会話は終止符を打ったのであった。





「仕方ないなぁ。仕方ないなぁ。仕方ないけど、じゃ、そういうことで。さよなら。」 とレセプションを去ろうとする我々に、“紳士” は言った。 「Bonne journée !(いい一日を!) 」 ・・・・・・お前が言うか?


 


            つづく


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2001年夫婦世界旅行のつづきです。パリ3日目。2つ星ホテルのレセプション・バトルを観戦して、それでもとにかく 「ノープロブレム」 ということなのでチェック・インすることに・・・・・・。




part148 “感じの悪いフランス語”講座②


――なんじゃ、こりゃ?





要約: とりあえず、レセプショニストの 「ノープロブレム! 」 の言葉を信じ、チェック・インして部屋へ。しかし、部屋は予約した 「トイレ付き」 でもなければ、 「ダブル」 の部屋でもなかった! なんじゃ、こりゃ? 約束が違うど! こりゃ、黙っていられない!









とにかく 「問題はない」 と言うのだから、とりあえずチェック・インだ。やれやれ。宿泊料金は予定どおり一泊270フラン。……よし。





で、 「あの部屋」 に入る。





ドアを開ける。と、すぐ目の前に壁が迫って見えた。その次に、その壁際に置かれた小さな小さなベッドが1つ、目に入る。なんじゃ、こりゃ。





セマッ! 超狭っ! 昨日までの1つ星ホテルの部屋より狭いではないか。どう見ても、せいぜい15㎡といったところだ。ウナギの寝床のように細長い部屋だ。シングルベッド1つで部屋が一杯になる、いわゆる日本の都会のワンルームマンションのようだ。





ベッドと反対側の壁際には一応小さなテーブルと椅子が置いてあるが、そのため一層部屋が狭く感じる。テーブルの上には普通灰皿やレターセットなどが置いてあるものだが、この部屋には何も置いていない。





壁のランプはガラスのランプシェードがなかなかお洒落ではあるが、部屋には箪笥もない! (箪笥がない部屋なんて、ヨーロッパに入って初めてである。) 何か物を架けるフックもない。ない。ない。





バックパックを満足に広げられるスペースもない。ない。ない。ない。まともな空間が、なーい。





とりあえず、バックパックを1つはテーブルの上に、もう1つはドアの脇へ置く。やれやれ。





細長い部屋の奥には、縦に細長い窓が付いていた。庭木の生い茂る中庭が見下ろせて、多少開放感を味わえるのが救いだ。かすかに風も吹いてくる。





そして、部屋の奥、窓の手前に、洗面台と “約束のシャワールーム” は付いていた ♡  が、バスタオルがない。ない。ない。ない。どこにもない。フェイスタオルだけが2枚置かれている。 (フェイスタオルを用意しておいて、なぜバスタオルを置かない? しかし、後でバスタオルだけ頼めば済むことだね。) まぁ、水周りはそこそこ清潔だ。よし。♡





シャワールームは、仕切りがカーテンではなく、ガラス扉だ。 ♡♡ これなら、シャワーの風圧でカーテンがびたびたっと体に張り付いてくることもない。シャワーヘッドもしっかりしていそうだ。よし。 ♡♡♡





しかし、トイレは? トイレはない! どこにもない! なんとトイレは共同!!? なんじゃ、こりゃ? 約束と違うど? 





おまけにベッドはどう見てもシングルベッドだ。1つ星のマッチョマン・ホテル (part139参照) だって、部屋は狭いながらも、ベッドは2人が悠々横になれるダブルベッドだったぞ。





大体この部屋だって、どうみても 「シングル」 の狭さだ。シャワールームのフェイスタオルも2枚、ベッドの枕も2つ、一応用意されてはいるものの、これはどう見ても 「ダブル」 の部屋ではない! 





速攻、レセプションに文句を言いに行く。今度はフランス語で言うことにした。あんたたちの会話はこちとら全~部聞こえてたんだよ~ん。 ( 「全部」 というのは、やや誇張だが。) 下手なごまかしは利かんぜよっ! フランス語会話 「クレームをつける編」 の始まり始まり~、だ。


          


つづく


                      

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2001年夫婦世界旅行のつづきです。パリ3日目。北駅からカデ駅まで無事にバスで移動してきました。





part147 “感じの悪いフランス語”講座①


         ――レセプション・バトル





要約: 宿替えすべく、カデ駅近くの二つ星ホテルに辿り着いた。が、チェック・インしようとすると、いきなりレセプショニストたちがバトルを繰り広げ始めた。問題、ありあり。嫌~な予感は、いよよ色濃くなってきたのであった。 


















さて、バス停に降り立ち、昨日下見したとおり、大通りから路地に入る。





「路地」 と言っても、十分広い道路だ。2車線分はある。車が悠々行き来できる広さである。日本で言えば、いわゆる建築基準法上42条2項道路や位置指定道路ではなく、十分、42条1項1号道路 (押しも押されもしない、立派な公道) として通用する。こうした路地ひとつとってもパリの都市計画の見事さを感じる。





大通りは車と人が忙(せわ)しく行き交っているのに、一歩路地に入ると、人の姿がぱたりと途絶える。車も時折静かに通り過ぎるだけだ。 (こんな広い道路なのに、もったいない……と、ついつい “もったいない病” がここでも疼(うず)く。もったいながっても仕方ないのだが。)





昨日と同じ静けさだ。5~6階の建物が左右隙間なくびっしり並んだ都会の谷間を歩いていく。やや緩い坂道。その坂道にいくつかホテルが整然と並んでいる。





その坂の途中にあるなかなか小綺麗なホテル。Hotel Cronstadt。はて、なんと発音するのか、正確にはよくわからない。こりゃ、フランス語じゃなさそうだ。何語かね? (でも、 「おてる・くろんすたっどぅ」 とか 「おてる・くろんしゅたっど」 とか言っていれば一応通じる。♪ )





入り口の横の狭いロビーには、こぶりながらお洒落なソファーセットがある。♪ リニューアルしたばかりなのか、床もガラスもカウンターもピッカピカだ。♪ 昨日までの1つ星のホテルとはえらい違いである。♪ これならトイレも綺麗そうだ。♡  ああ。今日から人目に怯えずトイレができるっ。♡♡ シャワールームもまともだろう。♡♡♡





☆が一つ増えるだけで、こうも違うか? レセプションのカウンターには、いかにも歴史あるホテルのベテランコンシェルジュでございって感じの初老の男性が立っていた。薄茶色の口ひげを蓄えて、紳士然としている。





糊の利いた白いシャツにプレスの利いた黒いズボン。背筋をしゃんと伸ばして、おつに構えている。で、近づいていった我々を、ちろりと流し見る。おっと、早速感じが悪いぞ。客が入ってきたというのに、 「こんにちは」 も言わないか。





「旅のフランス語会話―ホテル編」 あたりでは、ここは 「こんにちは。マダム。」 とレセプショニストが言ってくれるところじゃないか? で、私が 「こんにちは。ムッシュ。予約した●○ですが。」 と応じる手筈になっているんだぞ。


 


どのフランス語会話の本を読んでも、ホテルのレセプションで、レセプショニストが何も言わず、客をちろりと横目で見るなんて場面は想定されていないぞ。 ……現実はお手本通りにはいかないもんだ。





(いっそ、 『感じの悪いフランス語講座』 など出版されないものだろうか。 “感じの悪いホテルのレセプショニスト” に対応するための会話が載っていると助かるってもんだ。)





とりあえず 「ボンジュール、ムッシュ」 と声をかけてみた。 “チラ見の紳士” レセプショニストは 「ちんまいアジア人が何か言ってるぞ。やれやれ。」 ……って感じで、カウンターの上に広げたノートに落としていた目をけだるそうに上げる。おおっ、やっぱり感じ悪いね。





気を強く持って、 鼻からふんっと息を吐き、さぁ、フランス語会話の始まり始まり~! と意気込んだところで、夫がすかさず、 「フランス語はやめてね。英語で言って。」 と出鼻をくじく。





「おいおい。なんでさ?」 「だって、フランス語でやりとりされると、僕はわからないでしょ。英語でやってよ。」





夫はフランス語があまり得意ではないので、フランス語で会話されると何を言っているのかよくわからず、苛々するのだそうだ。 ・・・・・・それで、ここのところ、私が何かフランス語で話していると、ご機嫌が悪くなったんだね? 





――ちなみに彼は、インドネシア語、タイ語、ヴェトナム語に関して、片言しか知らないのに、かなりその言語の雰囲気を掴んでおり、発音もすばらしく、見た目も現地人と化すので、現地では結構意思疎通が可能な優れものである。





意味などほとんどわからないくせに、現地語の新聞をかなり正確に音読して見せて、現地人を驚かせたりもする特異能力の持ち主だ。





おまけにイタリア語も片言しか知らないくせに、何となくイタリア語に堪能な部分が見受けられるという不思議な能力を持ち合わせている。単にイタリア語が好きなだけなようだが。要は彼の得意な言語は、日本語と英語なのだ。――





しかたない。せっかくフランス語を使うチャンスだが、英語で行きましょ。まず名前を告げ、ホテル予約の控えを差し出した。





するとその “紳士” 、その予約控えに目を通すや、やにわに険しい顔つきになり、 カウンターのそばに立っていたもう一人のレセプショニストらしき女性といきなり声高に言い合いを始めた。





おいおい。ちょっと……。何があったの? 何か予約に問題があったんだね? それにしても、客のこちらには 「ちょっとお待ちください。」 とも何とも言わず、受付同士でいきなり言い合いを始めるか?





女性の方は、 “紳士” とおそろいの、パリッと糊の利いた白いシャツに黒いタイをつけ、タイトなスカートに黒いヒール。爪先から頭のてっぺんまでピシッとしている。さすが、2つ星ホテルのレセプショニストだ。しかし、なにもレセプションの脇でそんなにシャッキリシャキシャキ立っていなくてもいいでしょ? ってくらいにピシッとしている。





黙っていれば35歳~45歳かと思われる、若々しさと落ち着きを合わせ持つ美人なのだが、“紳士” に何やら言われた瞬間、くわっと般若のような顔になった。おおおっ。大魔神か、あなたっ? て感じである。





目を剥いた途端、そのお顔には深い亀裂がびしびしぴしっと走った。 “怒り皺” だよ。あ~あ~、そんなおっかない顔しちゃ、どうみても10歳は老けて見えるぞ。





……すごくファンデーションを厚塗りしていたんだね。皺にそってファンデーションが地盤沈下を起こしたぞ。ファンデーションの亀裂が傷跡のように見えるぞ。おっかないぞ。





あまりに露骨な喧嘩なので、ひょっとたら、客に見せるためのパフォーマンスか? とさえ思われたが、どうやらマジで言い合っているようだ。





“紳士” と “亀裂姉さん” の、客そっちのけの言い合いはなかなか終わりそうになかったので、我々はロビーのソファに座って、とにかく待つことにした。しばしバトル観戦。





一体、何が問題なんだ? 耳をダンボにしても、早口で激しい口調のフランス語は、ところどころ聞き取れない。もちろん、こんな 「レセプショニストの喧嘩」 など、 「旅のフランス語会話」 に組み込まれていない。想定外の会話である。





しかし、どうやら 「なんで、こんな予約が受け付けてあるんだ? 受け付けたのはお前だろ? 」 「そんなこと、知らないわよっ。」 「昨日の予約だぞ。お前じゃないかっ。なんでこんな受付をしたんだ? 」 「うっさいわね~。しかたないでしょ。」 ってなことを言い合っている。





ロビーのソファーに夫と2人ちょくりんと座ったまま、私は同時通訳となって、聞き取れる限り、夫に実況中継をする。夫は呆れながら成り行きを見守る。





“紳士” は一旦カウンターに戻ってきてツーリストオフィスに電話をかけてみたり、かかってくる電話を待ってみたり、また電話をかけては、 「彼女、今日はいないの? いつ出てくるの? ・・・・・・くそっ。・・・・・・ダメ? 」 などと、嫌な予感がいやがうえにも増す応答をしている。





“予約ノート” らしき大きなノートを苛立たしげに捲(めく)り捲り、そしてカウンターを挟んで “亀裂姉さん” とバチバチッと視線でジャブの応酬。かと思うと、またカウンターを出て、激しく言い合う接近戦……。





“紳士” も “亀裂姉さん” も、2人とも混乱して、責任を追及し合っている。





彼らは、我々がフランス語を挨拶くらいしか理解しないだろうと高を括ったので、言いたい放題だったのだろうか? 





それとも、取れないはずの予約を受け付けてしまったので、我々をビビラせ、我々がこのホテルにおそれをなして勝手に予約を取り消すよう、わざとバトルをしてみせていたのか?





それとも人前だろうが、客前だろうが、責任問題に関しては、声高にお互いをやり込めずにはおれないのがフランス人なのだろうか?





「どーするつもりだよ。どーするよっ、ああん?」 「うっさいわねーっ。どーとでもなるでしょっ。どーにかすりゃーいいじゃないっ。あんたの仕事でしょ? 私は受け付けただけなんだから。ツーリストオフィスの女の子のミスなんだからっ。私には責任ないわよっ。」 ・・・…激しい応酬である。ここは2つ星ホテル・・・・・・。





……やっぱり、あの予約には手違いがあったのだ。ホテルの外壁に張り出してある料金表のとおり、270フラン (4,600円) ではシャワー・トイレつきの部屋はないのだ。しかし、予約は受け付けられているのであるからして、我々はきっちり予約料も払ってあるのだからして・・・・・・……どうなるっ?





「あーっ、もういいっ。あの部屋があるだろ。まったくいちいち面倒起こしやがってゴニョゴニョ。」 ってなことを “紳士” が吐き出すように言った。 ・・・…「あの部屋」 ? 





「ふん。ふ、ふん。それで・・・・・・どうするのさ? あの部屋にゴニョゴニョ・・・・・・」 と “亀裂姉さん” 。鼻息荒く聞き返しながら、俄かに落ち着きを取り戻してきた。 ・・・・・・ 「あの部屋」 って、一体……?





バトル終了のゴング (= 「あの部屋」 ) が鳴ったらしい。 “紳士” は 「ちっ」 ってな感じで “亀裂姉さん” に背を向け、 “赤コーナー” のカウンターの中に戻り、 “亀裂姉さん” はそんな“紳士” の背中に 「けっ」 って感じの視線を投げかけ、 “青コーナー” の向こうに行ってしまった。バトルが始まってから、実に20分が経過していた。





やれやれ。やっと喧嘩は終わったのね? で、我々の部屋は大丈夫なの? 「あの部屋」 って何よ? 予定通りの条件なんでしょうね?





レセプションのカウンターへ行くと、漸く部屋が提示された。その際に、 「お客様、大変お待たせしました。」 なんて詫びのひと言も、ない。





「シャワー・トイレは付いているんでしょうね? 」 などと聞いちゃうと、 「そのことですが、実はお客様、まことに申し訳ないのですが・・・・・・。」 と言われてしまいそうだ。





いやだ、いやだぞ。270フランで、シャワー・トイレ付きのダブルの部屋の約束だぞ! 今さら変更なんて、言い出してくれるなよ。





そこで、 「大丈夫? 何か問題でもありましたか? 」 と遠回しに聞いてみると、 まだ喧嘩の余韻さめやらず、むっとした感じではあるが、 「いえ。問題ありません。はい、これがあなた方の部屋の鍵です。」 と、ルームキーを寄越した。 ・・・… 「あの部屋」 の鍵なのか・・・・・・?





            つづく


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2001年夫婦世界旅行のつづきです。パリ3日目。7月21日、土曜日。フランスで初めての 「週末」 です。一日中、いいお天気ではありましたが。





part146 バス初体験で日仏比較親切考





要約: パリで初めてバスに乗った。バスの中のフランス人は、人のことには無関心 (気が利かない) なので、なんだか不親切なようにも思われたのであった。 「親切」 って何だろう。 日本人と外国人の 「親切」 の違いは、 「親切な行為」 というものが明確か否かという点にあるのかも。









珍しく暑い1日であった。半袖のTシャツ一枚でも暑いほどである。 (ヨーロッパに入って以来ずっと薄ら寒くて、我々は長袖の上着を手放せずにいた。) なるほど 「夏」 であるらしい。





今日はまず宿替え。予約した2つ星のホテルへ移動だ。昨日メトロに乗って下見に行った際、メトロは階段が多くて、バックパックを背負っての移動は結構しんどそうに思われたので、今日はバスで移動してみることにした。





目的地カデ (cadet) は北駅から南西にメトロで3駅ほどの距離だ。バスででもさほどの距離ではない。バスに乗るのにメトロのカルネ (回数券) もそのまま使える。 ♡ 





ヨーロッパで初めての “バス体験” 。ちょっとどきどきである。バスの路線図でよくよく路線を確認してから、北駅前のバス停へ。





北駅の辺りへ行ったら、ひと目でそれとわかるバス停があった。さすがヨーロッパだ。 “交通機関の 「駅」 がはっきりわかりやすい” ということは、それだけで何やら “先進国的秩序” を感じてしまう。





(アジアではバンコク以外は、 「バス停」 がとてもバス停に見えないので、慣れるまでバス停を探すことが一苦労だった。





……っていうか、今思い出しても、あそこのどこが 「バス停」 だったのか、いまだにわからないバス停が多かった。で、我々にとっては、 「すぐにバス停だとわかる! 」 ことだけでも結構 “感動もの” なのである。)





バスの時刻などわからなかったので、とにかくバス停で待っていたら、さほど待たずにバスは来た。





バスは乗り口も降り口も低く出来ていて乗り降りしやすい。窓も広くて外の景色も見やすい。 「次に止まるバス停」 も車内の掲示板に点滅するので実に分かりやすい。これならバスが走っていく道路を、目を皿のようにして地図で追う必要もない。楽勝だ。 で、無事カデ駅 (cadet) に着いた。





バスの中ではちょっとよろけて、隣に立っている初老の女性の背中にぶつかってしまった。 「あ、ぱるどん (あ、失礼)」 と軽く詫びる。と、その女性、くるりと私に向き直り、目をぱちくりさせて、私を覗き込み、 「あらら。あなた。あなたは謝る必要なんてないわ。」 と言うではないか。





え?  あの、いや、そんなにきっちり謝罪したわけではないのだけれど? こちらのたった一言の 「ぱるどん」 をわざわざ否定してくださるこのお方は一体……? 変なリアクションだなとは思ったが、せっかく言葉を返してくれたので、 「あ、はぁ、そうですか。わかりました。ありがとうございます。」 と今度は軽く礼を言ってみた。





するとその女性、またも目をくるくるさせて、 「あらら。あなた。あなたはお礼を言う必要なんてないわ。」 ……と言い出すかと思ったら、今度は違った。





「ええ。ええ。あなたは謝る必要なんて、ありません。全然っ。」 と、さらに力強く否定して、にっこり笑う。そこまで言われると、何かあるのか? と返って意味深長に受け取ってしまう。





が、どうも向こうから話し掛けてくる老婦人にはちょっと注意! (part137参照) の経験もあるので、あまり深入りしないようにしよう。





さりげな~く視線を外し、さりげな~くご婦人に背を向け、夫にやや大袈裟に話しかけなどして、老婦人から少し距離をとった。





彼女はそれ以上話しかけてこなかった。ほっとしたような、残念なような……。ちょっと人にぶつかったら 「ぱるどん」 とひとこと言うことが、特に “謝り過ぎ” だとは思えないのだが……。私の 「ぱるどん」 は一体彼女にどう響いたのだろう? 





それとも、フランス人は、人にちょっとぶつかったくらいじゃ、謝らないものなのかな? で、自分も謝らないのだから、人からも謝られる必要は断然ない! と思っているのかな?





20分ほどバスに揺られていると、 「cadet」 と表示が出た。そりゃ、降りるぞ、降りるぞ。はい、ごめんなさいよ。降りますよ。あ、ぱるどん < ぱるどんっ < ぱるどんっっっ。 クレッシェンドに 「ぱるどん」 を連呼する。 (このバックパックが目に入らんかっ? ちょーっとぉ、どいて、どいてっ! ) 人を掻き分け、バックパックをずりずり引きずり、バスを降りる。





日本の交通機関を利用していると、大きな荷物などを持ち込んだ場合、やたらじろじろ見られたり、いかにも迷惑そうな顔をされたりすることがよくあるが、ヨーロッパ、特にフランスでは、そんな目を全く感じない。





人が何を持っていようが関係ないって感じだ。 「混んでいるところに大きな荷物も持ち込んで、場所塞(ふさ)ぎで申し訳ないなぁ。」 という日本で感じる “肩身の狭さ” も、ここでは感じなくて済む。気持ち的に結構楽だ。





しかし、その代わり、こちらが大きな荷物を持っているということに気を使ってくれることもない。大きな荷物を降ろすのだから、ちょっと気を利かして、脇へ寄るなどして場所をあけてくれればいいのに、彼らは知らんぷりだ。不親切だなぁと思わず恨めしくなるほど、知らんぷりだ。





追記: 親切なフランス人も存在する! 


 


“フランス人は、不親切だと恨めしくなるほど、他人事に知らんぷりだ! ” と日記には書いてあるが、みんながみんなそういうわけではない。フランス人は結構親切だったりもする。





去年 (2004年) 、同じくパリでの出来事。メトロの階段で、大きなスーツケースを一人で運び上げようとしていると、 「これ、運ぶんだね? 」 と言って、ひょい、とととっ……、どっこいしょ! 重いスーツケースをあっという間に階段の上まで運んでくれたフランス人青年も存在したのである。





彼はスーツケースを地上に置くと、 「はい」 と持ち主にバトンタッチして、すっと去っていった。なんだ、親切じゃん、フランス人 ♡





しかし、この恩恵に預かったのは、中年バックパッカーの私ではなく、妙齢の “ベル・ツーリスト (麗しき旅人) ” 、私の姪っ子なので、 「フランス人の親切」 というものには年齢制限、性別制限、外見制限などがあるかもしれない! ぐぎぎぎぎ。姪っ子ばかり、親切にされてるじゃん? とも思う。中高年にこそ親切にしたらどうやねん? だ。いやいや。愚痴るまい……。





とにかく、 「大きな荷物を運ぶのを手伝ってくれる」 などの親切は、意外と日本人には見受けられないように思う。





日本では、駅の階段などで、乳母車をひとりで移動させようとしている若い女性に、 「手伝いましょう」 と声をかける日本男性を私はまだ見たことがない。(日本人女性はある。)





が、日本にいる外人男性がそうしたことに手を貸している光景は、何度か目撃している。





私が 「手伝いましょうか」 と声をかけると、若いママさんは一様にまず目を丸くして、一瞬ためらう。で、 「いえ、大丈夫です。」 と、大抵は断られる。 ( …・・・なぜ? )





今まで10回くらい声をかけた中で、乳母車を運ぶのを手伝ったのは、たったの一回しかない。 (これって、一体……? )





思うに、私と外人さんとの 「手伝おう」 という姿勢が違うのだと思う。





日本にいる外人さんは、 「手伝いましょうか? 」 と声をかけたら、相手の意向を確かめる間もなく、とっとと乳母車など運んでしまう。彼らの 「手伝いましょうか? 」 は、ほぼ 「手伝いますよ! 」 という意思表明なのだろう。





で、日本人の私の 「手伝いましょうか? 」 は文字通りの疑問文で、相手の意向をまず確認しようとする。下手に手伝って、返って迷惑だったら悪いと思うからだ。





だが、相手は 「手伝ってほしいか、否か? 」 という選択を迫られ、つい迷惑をかけては悪いと思うのか、手伝ってもらうことが返って不快なのか、 「いいえ、大丈夫です。」 と答えてしまうのではなかろうか。





「親切」 とは相手のためによかれと思ってする心配りだと思うが、外人さんの方がそうした 「親切な行為」 というものが明確で、それを実行するのに迷いがない。





日本人はというと、 「小さな親切、大きなお世話」 という慣用句があるとおり、 「親切」 が常に 「親切」 とは限らないという複雑なところがあるように思う。親切とは何か、それさえ曖昧なのが日本文化ではないだろうか。





まぁ、それはある意味、相手を慮(おもんばか)る神経の細やかさのなせる業(わざ)とも言えるのであろうが。


           つづく


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