【法廷ライブ SS元船長第3回公判】(1)

 《環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーによる日本の調査捕鯨妨害事件で、艦船侵入や傷害など5つの罪に問われたSS抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の第3回公判が31日午前10時5分、東京地裁(多和田隆史裁判長)で始まった》

 《この日は、ベスーン被告本人への被告人質問が午前から午後にかけて行われる予定だ。初公判で、「いかなる人にも傷害を負わせる意図はなかった」と傷害罪を否認し、「(酪酸入りの)瓶を投げたことは認めるが、背景についてはいろいろ事情があり、審理の中で明らかにします」と述べたベスーン被告は、いったい何を語るのか》

 《日本の調査捕鯨に対する批判を展開し、SSの主張をアピールすることはあるのか。産経新聞のインタビューにベスーン被告は、法廷闘争を叫ぶSS代表、ポール・ワトソン容疑者(59)=傷害容疑などで逮捕状=を「間違っている」とし、「家族が恋しい」と語っており、法廷内でも本音がかいま見えるのか》

 《法廷は前回までと同じ426号法廷だ。ベスーン被告本人に対する被告人質問とあって、開廷前には21枚の傍聴券を求め、215人が列をつくった》

 裁判長「それでは被告を入廷させてください」

 《開廷予定の午前10時から1分ほど過ぎてから多和田裁判長がそう告げたが、ベスーン被告はなかなか入廷してこない。何に手間取っていたのか、10時4分ごろになってようやく法廷に入ってきた》

 《前回までと同じ黒いスーツに白いワイシャツ姿。スキンヘッドから髪がやや伸びている。緊張からか顔を紅潮させ、弁護人席の前の長いすに座った》

 裁判長「それでは開廷します」

 《10時5分に多和田裁判長が開廷を告げた。裁判長が不規則発言や録音機の持ち込みに関する禁止事項を述べている間、ベスーン被告は裁判長の方をじっと見つめ、ちらっと傍聴席をうかがった》

 裁判長「それでは被告、前へ出て。これから被告人質問があります。まず弁護人が質問します」

 《多和田裁判長が「通訳が終わってからゆっくり話すように」と一通り、注意事項を述べた後、異例の言及をした》

 裁判長「本法廷での中心争点は、傷害罪が成立するかという点です。この目的と関係のない特定の団体の主義主張をする場ではありません。関係のないことを述べたりする場合は、質問を制限します」

 《この裁判では、当初から関係者の間に、被告がSSの主義主張を展開するのではないかとの懸念があり、多和田裁判長は前もってこれを牽制(けんせい)したようだ》

 《ベスーン被告は裁判長の方を向いて何度かゆっくりうなずき、同意を伝える。女性弁護人がまず質問に立った》

 弁護人「それでは質問をしていきます。あなたはいつから自然保護に関心がありましたか」

 被告「20年近く前からです」

 《ベスーン被告は、通訳が終わった後、一言一言はっきりと話した》

 弁護人「自然保護活動にかかわるようになったのは?」

 被告「6年前にバイオ燃料の啓蒙(けいもう)活動をするようになってからです。ボートに乗って世界一周をし、190都市を回りました」

 弁護人「活動はどんなものでしたか」

 被告「単なる自然保護活動です」

 弁護人「シー・シェパード(SS)の活動に参加するようになったのは?」

 被告「2009年7月からです」

 弁護人「それまでは一人で活動していたのですか」

 被告「イエス(はい)」

 弁護人「なぜSSの活動に参加するようになったのですか」

 被告「ニュージーランドやオーストラリアでは、捕鯨に対する反対意識が高まっており、過熱してきていました。私も何かすべきと考えました」

 弁護人「初公判で職業は『船長だ』とお答えになっていますが、SSから給与が支給されていたのですか」

 被告「ノー(いいえ)。ボランティアでした」

 弁護人「(SS抗議船の)アディ・ギル号には、ほかにどんなメンバーがいたのですか」

 被告「海軍出身者が2人、陸軍が2人、警察官が2人、消防士が1人でした」

 《起訴状によると、ベスーン被告は今年2月11日、南極海で航行中の調査捕鯨団の監視船「第2昭南丸」に酪酸入りの瓶を放ち、異臭を拡散させて業務を妨害、乗組員1人にけがをさせた。同月15日には、第2昭南丸に水上バイクで接近、防護用ネットをナイフで切り、船内に不法侵入するなどしたとされる》

 弁護人「(事件当日の)2月11日、(SS側の母船)スティーブ・アーウィン号に乗船していましたね。何をするつもりだったのですか」

 被告「スティーブ・アーウィン号から(撮影用の)ヘリコプターを飛ばす予定があり、離着陸時に安全なように(第2)昭南丸を引き離す必要がありました」

 弁護人「なぜ引き離す必要があったのですか」

 被告「以前、昭南丸から放水されたことがありました。ヘリのエンジンは外付けで、水がかかると大きな打撃を受けるからです」

 《第2昭南丸からの放水は約50メートルの射程があり、ベスーン被告によると、それはかなり威力があるものだったという》

 弁護人「放水を体に受けたことは?」

 被告「ボートに乗っていてたくさんの乗組員がけがをしました。そのうち1人は目にけがをしました」

 《ヘリから第2昭南丸を引き離すという任務を負って、ベスーン被告は自らが船長を務める抗議船「アディ・ギル号」に乗り込んだ》

 弁護人「酪酸の入ったガラスの瓶を積み込んでいましたね?」

 被告「イエス(はい)」

 弁護人「あなたが準備したものですか」

 被告「ノー(いいえ)」

 弁護人「瓶の大きさは?」

 被告「350ミリリットル入りでした」

 弁護人「ランチャーで瓶を発射しましたね。何回発射しましたか」

 被告「正確に覚えていませんが、4、5回でした。1本を除いてすべて海上に落ちました」

 《ベスーン被告が撃ち込んだのは第2昭南丸の左舷側。約15メートルの距離があったという》

 弁護人「瓶を発射しようとしたとき、甲板に人がいたか見えましたか」

 被告「イエス、見えました」

 《ここで弁護人が法廷内の大型モニターに第2昭南丸の左舷を写した写真を映し出した。写真には一番下のデッキから一番上のマストにかけ、赤で(1)から(6)の番号が振られている。乗組員がいたとされる位置のようだ》

 弁護人「一番下の(1)には何人がいましたか」

 被告「3人がいて、インパルス銃(放水するための機器)を持っていました」

 弁護人「3人とも持っていましたか」

 被告「2人は持っていました」

 《弁護人は(2)から(6)について何人の乗組員がいたかについても尋ねていくが、ベスーン被告は人がいたことを認識はしていたが、何人いたかはよく分からなかったという》

 《ベスーン被告は顔を紅潮させながらも弁護人の質問を受け、一言一言はっきりと答えていった》

 =(2)に続く

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