あぶない丘の家/萩尾望都
テーマ:SF・ファンタジー「残酷な神が支配する」という重たいテーマの物を中心に
読んできたんですが、この「あぶない丘の家」は・・・
面白かった!
コミックス版で3巻まで。文庫だと全1巻が出ているようなんですが
終わり方がまだまだ続きそうな感じなので、もしかしたら今後
4巻が出るんでしょうか?だとしたら嬉しい。
ストーリーは4話で構成されているんだけど、その4作がこれまた
全く違うジャンルで「マヒコ」という少年を中心に、オカルト的な
怪奇現象があったり、宇宙から来たという翼の生えた兄がいたり
突然平安時代末期にタイムスリップして、源ブラザーズと関わる
事になってしまったり、未来から来た少年と関わる事になったりと
ゴチャゴチャしているんだけど、それぞれの話が面白くて
きっと作者も楽しんで描いたんだろうなあという印象でした。
第1話は表題の「あぶない丘の家」
突然の交通事故で両親を失ってしまった高校一年生のマヒコと
兄の安曇(アズミ)。
2人での生活も少しだけ落ち着いて来た頃に、亡くなった両親が
現れたり、この家の土地にまつわる因縁が判明したり。
なんとここの家の下には1000年以上前に落下してきた隕石が
あり、それを恐れた当時の人々が少女をイケニエに捧げ、その
子が魔物となり、その魔物と戦う・・とか、兄だと思ってた人が
その隕石を追ってやってきた宇宙人だったりとか・・・と
オカルトベースでファンタジー有SF要素ありと面白い話です。
第2話が「あぶないシンデレラ」
学校劇でシンデレラ役を演じる事になったマヒコ。
いけすかない隣のおばあさんの孫が登場。
マヒコは突然シンデレラの世界に入り込んでしまったり、隣の孫が
おばあさんを殺してしまう幻覚?が見えたりとミステリーチックな話。
第3話が「あぶない壇ノ浦」
そうです。あの下関の壇ノ浦です。
とはいっても山岸凉子さんの「海底より」のようなオカルト・ホラー
ではなく、なんとマヒコが突然前触れもなく平安時代末期に
タイムトリップしてしまう。(特異体質になってしまった理由は
第1話でどぞ)
そこで出会ったのが北条政子だったり源頼朝だったり弟の義経
だったり、弁慶だったり・・・。
過去と未来を往復しながら頼朝や義経と語り合ったり、合戦に
参加したり(一ノ谷の合戦)、頼朝と義経の関係の変化に
悲しくなったり、それでも義経を死なせまいと頑張ったり・・。
頼朝や義経の子供時代、父親の義朝についてなど、歴史も
ちゃっかりと勉強するコーナーもあったりして、これはN●Kあたりの
小学生向けの番組にしたら楽しく勉強も出来そうだなと思いました。
ここんとこ義経ブームで、頼朝といえばケチだの非道だのと
いうイメージもありますが、ちゃんと頼朝サイドの感情の流れも
描写してあって、平等なのが何か気に入りました。
それにしても兄貴のアズミって只者じゃない。
過去へ行っても探しやすいように、どこでもドアみたいなタイムマシンを
あっさりと作っちゃうんだから。パタリロみたいな天才発明家だなあ。
そして最終話「あぶない未来少年」
個人的には一番のお気に入りかな?壇ノ浦も好きなんだけど
未来少年はSFとファンタジーとラブストーリーと少しだけ神話も
織り交ぜてあって、更にはターミネーターみたいなのまで出て
くる物凄い話なんだけど・・・泣けるんですよ。
マヒトとアズミの前に突然現れた自転車に乗った外国人の少年。
彼はジーンといい「トロヤ」という人を探しているという。
と、同時期に転入してきたハーフの兄妹と仲良くなったマヒト
なんだけど、この兄妹の母親がそのトロヤさんだという。
しかもトロヤさんもジーンも200年先の未来から、自転車型の
タイムマシンで現代にやってきたという。
理由は1994年に地球にぶつかる彗星をなんとか阻止する為。
ジーンにより未来の地球の事が語られるんだけど、面白くもあり
そして怖い。
そしてこのジーンのいる世界の彼自身も知らなかった恐ろしい
事実、トロヤの娘・ミイとの可愛い恋愛、ジーンを連れ戻しに
やってきたヒューマノイド・・・。とにかくスケールの大きな話。
結局3巻のラストがジーンの話で、アズミのちゃんとした
正体なども分からないままなのが残念なんだけど、こうして
文庫化もされているし続きが出たらいいなあと思うのです。


















1 ■フリマで
1・2巻を買いました。古書店に行っちゃ3巻探すんですが見つかりません。静香さんと神主の坂上さん、それにエリザベスが好きです、今のところ。マヒコもアズ兄ちゃんも好きだけど。残酷な~の後なんかに読むとちょっとほっとしますよね。