吐く息、ガラスに描かれた絵、屋根に降り積もる氷の結晶・・・
 一年で最も白の似合う日が、やって来た。
 街並みにはジングルベルが鳴り響き、大通りでは子供達がカラフルな包装の箱を大事そうに抱えている。
 その姿を見守る両親の視線もまた、暖かく。
 冬の寒さでさえ忘れ去れる、聖夜。
 だが。
 忘れてはいけないことがある。
 その聖夜の裏では、それを守る為に一生懸命戦っている人が居る事を。
 シェル・レランの厨房も、そんな裏方達が居る場所であった。
 
 「おーい、こしょう無いぞ、こしょう!」
 「ブレッドミックス100個出来上がりました!」
 「4名様入られました。クリスマスコースをスタートして下さい。」
 熱気と怒号の入り交じる厨房は、まさに戦場であった。
 ライチもそんな中で、フライパン片手にローストチキンとにらめっこ。
 「・・・よし、出来た! 持っていって下さいー。」
 皿に盛ったローストチキンをホール係に渡し、一息つく。と、シレーナに声を掛けられた。
 「ほら、ライチ君。休んでいる暇はありませんわ。」
 話している間もシレーナの手は休まず、トリュフのスープを仕上げている。
 「あ、はい!」
 フライパンを洗って火にかけて、再びローストチキンを作り始めた。
 ・・・・・・・・・


 シェフ達にとっては永遠とも一瞬とも思える忙しい時間が通り過ぎ。
 ようやく。
 最後の料理が厨房を後にした。
 普通の日なら、ここでようやくシェフ達は一息つき、料理道具の片づけを始めるのだが。
 今日のシェフ達は疲れた様子を見せず、むしろ目がランランと輝いているよう。
 それはライチも同様で、何かを待ちわびるかのようにそわそわと、フライパンをくるくる回したりしている。
 パンパンパンと手を叩く音が聞こえた。
 発信源は、シレーナ。
 「皆さん、今日は本当にご苦労でしたわ。それでは、あれの準備を始めても構いませんわ、ここにある食材、全て使ってくださって結構です。私たちも聖夜を楽しみましょう!」
 厨房から歓声が沸いた。と同時に、シェフ達は思い思いの食材を持ち出し、料理を作り始めた。
 
 そして。
 最後の客が帰った後のホールに、大量の料理や酒が並べられた。
 そこにはシェル・レランのシェフ、スタッフが全員集合している。
 がやがやと騒がしいのは、これから始まるパーティーへの高揚感からか。
 全ての準備が整ったのを見届けて、マイクを握るのは、ライチ。
 「あ、あ・・・えと、えと。音、大丈夫? よーし、じゃあこれから、シェル・レランのクリスマスパーティーを始めるよー!」
 歓声が上がった。そして皆がワインの栓を抜き、グラスに注ぎ、それぞれの手に持つ。
 「みんな、グラスは持った? それじゃシレーナさま、挨拶してくださいー!」
 シレーナはマイクを受け取ると、にこやかな笑顔を浮かべた。
 「まずは皆さんに、今年一年の努力を感謝致しますわ。」
 再び歓声。それが途切れてから、再びシレーナは語り始める。
 「言うまでもないのですけど、私たちはこの世界を支える裏方ですわ。ですけど、私たちが居るからこそ、この世界は成り立っている、そのプライドを忘れてはなりませんわ。」
 ウォーっと、またあちこちで雄叫びのような歓声。
 「皆さんも知っている通り、来年は変化の年になりますわ。きっと、ダイアロス島から旅立つ方も大勢居られるでしょう。ですけど、また来年もこのように、皆さんと杯を交わせる事を祈りまして・・・乾杯!」
 「乾杯ー!」
 「かんぱーい!!」
 「乾杯。」
 あちこちでグラスの触れる音が響き・・・そして喧噪が始まった。
 シェル・レランのクリスマスパーティー。それはシェフ達が今年の労をねぎらい、また来年への活力を溜める為のパーティー。
 わいわい、がやがやと騒ぎ立て、楽しみ、笑い、食べ、飲み、踊りあう。
 そこには上下関係も、スキルの多い少ないなんて事も関係なく、ただ楽しんだ者だけが勝者。
 長い、長い喧噪の夜が、更けていく。
 この先も、より良い夜が続く事を、祈りながら・・・。
 (第33章 完)

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まずはお知らせから。


本ブログ「Cat-walk」の週間連載は、今週末を以て終了。

以後、不定期更新、とさせて頂きますm(_ _)m

但し、らいち自体はMOEを辞める気はないので、今後もこれまで通りの交流をお願いします。


年明けから色々と、リアルの事情が大変になってくる、というのが一番の理由ですかね。

まあ、ネタ切れ、マンネリ化、モチベーション低下、書くのにけっこう時間がかかる、等々理由を挙げればきりはありませんが。

とりあえずリフレッシュします。

また書いたら、MOE searchでお知らせしますので、是非読んで下さいノ


続いて第32章あとがきですが・・・。

まあ、らいちは今までに新レシピ探索というのをやった事がないの(先週の時点)で、せめて小説だけでも・・・と思って書いてみました。

ローストチキン探しやってみたけど・・・下二つ、分からないって;;


では次回予告になります。

「第33章 ダイアロス島のメリー・クリスマス」

更新予定は12月25日です。では次回も宜しくお願いしますノ


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 「突然ですけど、貴方をテスト致しますわ。」
 椅子に座ったまま、部屋の真ん中で立っているライチに、シレーナが言った。
 「テスト・・・ですか?」
 「はい。貴方は、技術的には一人前のシェフを名乗っても良い頃ですわ。ですけど・・・本物のシェフには、もう一つ条件があるのですわ。」
 シレーナは立ち上がり、部屋を歩く。そして、ライチの前まで来た。
 「その条件とは、独創性ですわ。」
 ビシッと人差し指を立て、ライチに言った。
 「どく・・・そうせいじ?」
 「違いますわ。ど・く・そ・う・せ・いですわ! つまりは、自分だけの料理、自分が開発した料理、となりますわね。要するに、貴方に新しいレシピを発見していただきたいのですわ。」
 「新しいレシピですか? えと、えと・・・うーん。」
 ライチは腕を組み、小首を傾げ、考える。
 「ライチ君、別にここで今すぐというわけではありませんわ。それに、完全に一から作るわけでもありませんわ。」
 そう言うと、シレーナは一枚の紙をライチに差し出した。
 「ここに、新レシピの一部が書いてあります。ライチ君には、残った文字を頼りにこの新レシピを解明して、作ってきてほしいのですわ。できますわよね?」


 ○○のテンプラ
 材料:[?]、[?]の卵、ソウル オブ [?]、[?]


 受け取った紙には、こう書かれていた。
 ライチは自室へ戻り、紙を見つめウンウン唸る。
 「テンプラ・・・って、えと、えと・・・何だろう?」
 ぴょんとベッドから跳ね上がると、向かった先は・・・カマロンの元。
 「カマロンさん、あの、あの、テンプラってどう作るんですか?」
 「おや、ライチ君。テンプラですか・・・どうやら、お嬢様のテストを受けておられるようですな。残念ながら、私からはお教えできませんな。」
 そう言って、カマロンは背を向ける。
 「えー、お願いします、カマロンさんー。」
 ライチは眉を寄せ、困った表情を浮かべてカマロンにすがりつく。
 しかし、そのライチの首を摘み、ひょいっと持ち上げ、横に置いた。
 「ダメなものはダメですぞ。」
 そう言って、歩き出す・・・が。そこでボソッと、呟いた。
 「・・・そういえば、このダイアロス島に『イ・オーフェン』と名乗る者がおりますな。彼ならテンプラを知っていると思いますが・・・まあ、これは独り言ですがね。」
 
 「はあっ、はあっ・・・やっと、見つけた。」
 場所は変わって、ここはイルヴァーナ渓谷、名も無き滝の滝壺。
 「おや、拙者を捜しておったのでござるか? それは光栄でござるな。」
 滝壺にゆらりと蠢く、黒い物体。それが言葉を発してきた。
 それはライチが、知り合いの旅人に片っ端から尋ね回り、居そうな場所を歩いて回り。
 ようやく見つけた相手だった。
 「イ・オーフェンさんだよね、ね? ていうか、そうじゃなかったら怒るから!」
 「ははっ、怖いでござるな。確かに拙者は、イ・オーフェンでござる。何か用でござるか?」
 滝壺の黒い物体が、ずぞぞぞっと這い出てきた。それは確かに人型、黒装束のヒューマンだった。
 「あのですね、えと、テンプラってどうやって作るのか、知っていますか?」
 「テンプラでござるか? 懐かしいでござるな・・・あのサクサクとした食感、油の味・・・故郷に帰りたいでござるな。」
 「あ、あの・・・。」
 ライチがオーフェンの黒装束を摘む。
 「っと、話が逸れてしまったでござるな。テンプラは、食材に小麦粉をつけ、溶いた卵を絡ませてから油で揚げればいいのでござる。」
 「食材は何ですか?」
 「食材は何でもいいでござるよ。揚げてみれば美味しいかどうか分かるのではないでござるか?」
 「なるほど、分かりました! ありがとうございますオーフェンさん!」
 しかしオーフェンは目を瞑ったまま。頭巾で見えない口から「ふっふっふっ」という言葉を漏らし。
 見得を切った。
 「しかし、それだけではないでござる! この国でテンプラを作るには、どうしても必要な物があるでござるよ。それがこの『ソウルオブヤマト』でござる!」
 テテテテン!
 どこかで聞いたことがあるような音楽と共に、オーフェンの懐から巻物が現れた。
 「これを使えばあら不思議、使った場所がヤマト国の風土になってしまうのでござる。そこでヤマト国の料理を作れば、本場の物と変わらない出来映えになるでござるよ。今ならたったの80000ゴールド! ・・・ってあれ?」
 滝壺にはいつの間にか、オーフェンしか居なかった。
 ライチはというと・・・。
 「こっむぎこー、たっまごー、えと、他の国の料理だからソウルオブなんとかー。」
 と歌いながら既にレスクール・ヒルズを走っていたのだった。


 早速シェル・レランに戻ったライチは、倉庫から小麦粉とヘビの卵を取り出した。それと、書庫から勝手にソウル系の書物を持ち出し、キッチンへとやって来た。
 えと、食材に小麦粉をつけて、溶いた卵で・・・アレ? 絡まないな・・・ヘビの卵じゃダメか。じゃあ、オルヴァンの卵がどっかにあったな・・・。」
 試行錯誤を繰り返し。
 繰り返し。
 そして・・・。


 「シレーナさまー、料理できましたー!」
 元気よく、シレーナの部屋へやって来たライチ。
 「あらあら、思ったより早かったですわね。」
 「はい! がんばったもんねー。じゃあシレーナさま、ここに持ってきますか?」
 「ええ、お願い致しますわ。」
 ライチは部屋に飛び込んできた元気のまま部屋を飛び出し、廊下を駆けていった。
 そのままのスピードで、お盆を持ったまま廊下を駆け戻ってくる。
 「持ってきましたー!」
 「あら、早かった・・・。」
 そこでシレーナは、言葉を失った。
 ライチが持ってきたお盆の上を見て。そこには・・・ライチの体よりも大きな、蟹の足のような物体が置かれていた。
 「お待たせしました! タコのテンプラです!!」
 ライチはそれを、ドンとシレーナの机に置いた。
 確かにそれは、タコの足のような形をしていて。
 確かにそれは、テンプラらしくカラッと揚がった衣を纏っていた。
 「え・・・タコのテンプラですか? タコをテンプラにする発想は素晴らしいですけど・・・これはタコなのですか?」
 「はい。多分タコです! 美味しいですよ。」
 そう言うと包丁で丁度良いサイズに切り、皿に盛ってシレーナに渡した。
 「どうぞ、シレーナさま!」
 ニコニコ顔で、皿を差し出すライチ。シレーナはつい、それを受け取るが。
 「(私が考えた岩茸のテンプラとは全然違いますわね・・・本当に食べられるものなのですか? この状況をミストに言わせると、神が与えたもうた試練、になるのですか? まあ・・・仕方ないですわ。)」
 意を決したシレーナは、それを一口、食べた。
 「・・・あら、思ったより美味しいですわ。」
 想像外の美味しさに、思わず2口、3口と箸が進む。そしてあっさりと、皿は空になった。
 「美味しかったですわ。ライチ君、この料理のレシピは何なんですの?」
 「はい、この料理のレシピはこれです!」
 
  タコのテンプラ
 材料:[小麦粉]、[オルヴァン]の卵、ソウル オブ [ヤマト]、[カオスポーション]


 当然の事ながら、再テストとなったライチであった・・・。
 (第32章 完)

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第31章 あとがき

テーマ:

仰木オリックス前監督逝去で少々凹んでおります。

生涯現役

まさに全うしていましたね・・・。


さて、気を取り直して。

第31章、いかがでしたでしょうか? この話は、実際に自分でやってみた内容になっています。なんだか自分でやった事がそのまま小説に書けた事って・・・とても久々な気が^^;

ここんところ、ロクにゲーム出来てないからな。さて、厨房師装備が赤に戻るのはいつの日か。

・・・・・・ピーナッツ色は嫌だ;;


では次回予告です。

「第32章 探せ僕だけのニュー・レシピ」

更新予定は12月18日になります。では次回も宜しくお願いしますノ

 真っ昼間からベッドでゴロゴロと寝転びつつ、ライチは本を読んでいた。
 ライチの眼差しは何だかとっても真剣。
 「おおー、うわ、へー。」
 ぶつぶつと独り言を漏らしながら、パラパラとページをめくっていた。
 そしてページは無くなり、ライチはパタンと本を閉じる・・・とほぼ同時に、ベッドから勢いよく起きあがり。
 「うわー、格好良いな、ピストルはー! バーン! バーン!!」
 と、部屋の中でいきなり、目に見えない銃を持って、辺り構わず撃ち始めた。
 「とおっ! ・・・ゴロゴロ、バァン・・・あ。」
 部屋で思いっきり前転し、腕を突き出して、口で発射音を鳴らして・・・いつの間にか、目の前にシレーナが立っていた。
 「何をしているのですか、ライチ君?」
 「あ・・・えと、その・・・。」
 ライチは俯いて、顔を真っ赤にさせる。その様子を見て、シレーナはくすっと短く笑った。
 「ふふっ・・・もしかして、銃器スキルを上げようとしているのかしら?」
 「・・・じゅうき・・・そうだ!」
 その言葉を聞いて、ライチは思い出した。ダイアロス島にも、攻撃手段として銃を用いている冒険者が居ることを。
 「はい! 銃器スキルあげたいです! あげたい!」
 「あらあら、元気ですわね。では、ライチ君でも使えるような銃のレシピを教えて差し上げますわ。」
 
 シレーナのメモを左手に、つるはしを右手に。くっくを引き連れて、ライチが向かった場所はビスク西門を出てすぐの岩場。
 「ふふ、ここで銅を採るんだよ、くっく。シレーナさまのメモだと、銃を造るのにも弾を造るのにも銅が必要なんだってさ。さーて、やるぞ!」
 気合一閃、ライチはツルハシを岩へぶち当てる・・・が。
 ガツン
 小さな音を立てて、石の表面が欠けただけ。
 「あ、あれ?」
 それはライチのイメージとは大きくかけ離れていたようで、手に残る痺れもあいまってライチを複雑な表情にさせた。
 2,3度ツルハシを叩き落とすが、結果は一緒。手始めに、と思った銅の石でさえ、割れない。
 それもその筈。ライチは採掘の経験が無かった。つまりスキルゼロ。
 初めから上手く行くはずもなく。
 いたずらに、石の表面に傷を作り続けた・・・が、それでも時間をかけたおかげで、何とか一個、割ることが出来た。
 「はぁっ・・・はぁっ・・・やっと、銅鉱石の欠片が一個・・・あー、疲れた。」
 噴き出す汗を拭きつつ、そこら辺の岩にドンと腰を下ろし、バナナミルクを一気に飲み干す。
 そして一息。
 「ふー、採掘ってこんな大変なんだな。まだ欠片が一個だけか・・・がんばろーっと!!」
 勢いよく立ち上がると、手頃な銅の石に向かって、再びツルハシを振るい始めた。


 もともと物覚えは良いライチ。
 どんどんと、採掘のコツを覚え、スキルを上げていった。
 そして。
 「よーし、これぐらいでいいかな・・・っとと。アレ?」
 たくさんの銅鉱石と、鉄鉱石の欠片を3つ持って、ライチはビスクへ戻ろうとしたが。
 重くて、動けなかった。
 
 泣く泣く銅鉱石を数個捨て、それでも重い鞄を背負い、足を引きずるようにゆっくりと。
 ビスク西の、溶鉱炉へ着いた。
 「はぁ・・・はぁ・・・あー、疲れた。って今日こればっかり・・・。」
 金床に腰掛け、バナナミルクで一息。だが。
 「だけど銃が僕を待ってる! よーし!!」
 すぐに、勢いよく立ち上がった。そしてポケットから、シレーナのメモを取り出す。
 「えっと・・・次は銅鉱石の欠片を3つまとめて溶鉱炉で溶かして・・・ふむふむ・・・って、どうやってやればいいんだろ?」
 溶鉱炉の前でオロオロしていると、見かねた鍛冶屋のフェブが声をかけてきた。
 「おう坊主? もしかして溶鉱炉使うの初めてか?」
 「あ、はい。どうやればいいの?」
 「おう、じゃあ教えてやるよ。まずはうちでファイヤートングを買いな。これが無いと何も出来ないからな。」
 言われたとおり、15ゴールド払ってファイヤートングを買う。
 「よし、次はその長い柄が付いてる鉄の箱に、精錬したい鉱石を入れるんだ。大きいのは一つで良いが・・・坊主の持っているぐらいの欠片じゃ、3つは必要だな。」
 鉄の箱に胴鉱石の欠片を3つ並べて入れる。
 「よーし。じゃあそれを溶鉱炉に入れるんだ。後はトングで鉱石を転がしながら、頃合いを見計らって鉄の箱を出して、すぐ水に漬けて冷やせばインゴットが出来るぞ。そら、やってみな。」
 「はーい!」
 元気よく返事をすると、ライチは言われた通りに、鉄の箱を溶鉱炉に入れる。覗き窓から様子を見ると・・・胴鉱石がカレールーのように、ドロドロと溶けていった。
 「・・・美味しそうだな。」
 余計なことを考えてしまった。と、そこで。
 「おう、坊主! もういいぞ、早く出せ!」
 という言葉が飛んだもんだから、ライチは焦ってしまい、勢いよく鉄の箱を引っ張ってしまった。
 ひゅーーー。
 ポト
 「ぎゃあああ!!」
 あまりに勢いよく引っ張り出したため、ライチは柄を離してしまった。鉄箱は綺麗な弧を描きながら・・・フェブの頭に、落ちた。
 悲鳴を聞いて、テオ・サート広場中の人間が振り向いた。
 
 「ったく、気をつけろよ、坊主。」
 「はーい、すいませんでした。」
兜のおかげで、幸いにも大火傷は免れたフェブであった。
 
 その後は順調に進み。
 残りの銅鉱石は全てカッパーインゴットになった。最後に鉄鉱石の欠片を溶かし、アイアンインゴットを作成。
 再びフェブの指導を受けつつ、アイアンインゴットを鉄の棒に。鉄の棒をネジにする。
 そしてついに。
 「よーし坊主、材料は揃ったな。」
 「はい、揃いました!」
 カッパーインゴット2つ、ネジ2つ。そして、前にソーセージを作ったときに余った木の板材を持ってきて、金床の前に並べた。
 「よし、じゃあ俺の言うとおり、組み立てるんだ。」
 「はい!」
 フェブの指導の元、着々と作業は進み・・・そして。
 「出来たー!!」
 ライチは自力で、ドワーヴントライアルーモデルを作り出した。
 「よし、初めてにしては良かったぞ。ハイグレード品と言ってもいいな。後は弾か・・・坊主、アクセサリー屋で鉄ヤスリを大量に買ってきな。」
 「はい!」
 返事良く、ライチは駆けていった。
 その後ろ姿を見つつ、フェブはライチが持っていたメモを見た。
 「しかしこのメモを書いた奴はすっげーな。ど素人からでも銃が使えるよう、採掘や鍛冶の練度まで考えて指示してやがる。一体どんなメタルマスターなんだ?」
 
 その頃、シレーナは。
 「そういえばライチ君は、何の本を読んでいたのかしら?」
 気になって、ライチの部屋に入った。そしてベッドに置かれたままの本を取り、表紙を読んだ。
 『マタギの物語 ~ホワイトゴッド山地に生きる~』
 「・・・あの子、くっく君と一緒に行くつもりなのかしら・・・。」
 
 その頃、ビスク西のペット屋では。
 「あれ・・・なんだか、さむけがするな・・・。」
 季節外れの寒気に嫌な予感を浮かべるくっくであった・・・。
 (第31章 完)

第30章 あとがき

テーマ:

ジェームス

突然ですが、これが誰だか分かりますか?

そうです、ビスク西の門番、破壊魔の異名を取るジェームスです。

彼の素顔が今、白日の下に・・・。

・・・って、何故こんなSSがあるのかと言いますと。

ビデオボードが壊れているからですw

(これでもマシになった方です。初めはグチャグチャでどうしようかと・・・。)

ちなみにチョッパーはこうなります。

はい。

ちょっぱー

もう何がなんだか分かりませんね、はい。

地形とかも何がなんだか。おかげでレスクールヒルズ行けません(谷の境目が分からないので)

早く買い直したいです・・・ああ、また金が減るorz


さて、愚痴はこれぐらいにして。

第30章はいかがでしたでしょうか・・・って、今回はちょっとマニアックすぎましたね<(_ _)>

コーラルイベント出てない人にはさっぱりでしたでしょうし、野球知らない人には何がなんだかw

伐採からピッチャー想像しろって言って、一体何人が気づくやら・・・。

・・・・・まあ、今回はお祭りのノリ、という事で許してくださいorz


では次回予告です。

「第31章 響け銃声 ガン・スキル」

更新予定は12月11日です。では次回も宜しくお願いしますノ

 「どうかね、状況は?」
 その女パンデモスは、わざとらしいほど大きな社長椅子に深々と座り、膝に乗せたミラクルキャットを撫でつつ聞いた。
 「はい、ビスク及びネオクでのビラ配り、捨て看板設置などの宣伝活動はほぼ完了いたしました。後は当日を迎えるのみとなります。」
 黒髪の女コグニートは、手に持つバインダーに挟まれた資料を読みながら、淡々と答えた。
 「そうか。ご苦労だった。当日は何人ぐらい集まるのかね?」
 「事前調査によれば、40人程度の出場が見込まれます。いずれ劣らぬ猛者ばかりかと。」
 「そうかそうか・・・それは楽しみだのう。ふっふっふっ・・・」


 その日は、とても晴れやかであった。例えるとしたら、絶好の野外仕事日和といった所だろうか。
 そんな蒼天の下、ビスク中央のアルター前。その手につるはしやら収穫鎌やら、木こり斧やらを携えた冒険者が集まっていた。
 その数ざっと、40人。
 と、そんな中。場違いさを隠しきれないレラン装備のライチが、アルターの柱に背をつけぼーっとしていた。
 「ライチ君、明日コーラルでイベントが行われるので、参加してきて下さいませんか? 声をかけて頂いた以上、断るわけにはいきませんから。」
 昨日の夜、シレーナから言われた言葉である。
 イベント、という言葉に飛びついたライチは、一も二もなく参加したのであったが・・・。
 内容を、知らなかった。
 「うーん・・・まさか採取する人と生産する人のお祭りだとは思わなかった・・・。」
 自前で材料を調達する関係上、ライチにも多少なりとも採取の心得はあるのだが、さすがに専門家には敵わない。
 イベント内容が書かれたチラシを手に、ちょっとうなだれるライチであった。だが・・・。


 場面は変わって、ビスクのアルターが眺められる建物の最上階。
 「ほう・・・沢山集まっておるな。ふむふむ・・・ほとんどの者が、3次シップ装備を手にしているの。確かに、いずれ劣らぬ猛者ばかりのようだな。」
 「はい。資料によりますと、参加者は全部で45名。そのうち採取系及び生産系の3次シップ者は36名に上ります。」
 「そうかそうか。それほどならば、きっと儂の理想とする選手も居るだろう。」
 女パンデモスは、ミラクルキャットを撫でながらニヤリと笑った。
 「失礼ですがこるせあ社長。今更なのですけど、何故このようなイベントを企画されたのですか?」
 「おお、そういえば話してなかったな。なあ、ポルガラ君。今年のダイアロス・野球シリーズの結果を知っているよな。」
 「はい。ビスク野球リーグを制した我が社のビスク西・シロクロタイガースは、ネオクリーグの覇者グロムスミス・イワホリーンズに4連敗を喫しました。」
 と、その瞬間。無駄に大きな高級机がドン!と大きく鳴った。
 こるせあ社長の拳が、叩きつけられたのだ。堅く握られたそれは、わなわなと震えている。
 「その通りだ! この屈辱・・・この恥・・・このままでは済まされん! そこで私は考えたんだ。何故彼らが強かったのか。それは恐らく、採掘で培われた鋼の腕力がものをいったのではないか、と。」
 「は、はぁ・・・。」
 「そこでだ。私は採取系の冒険者から新たな選手を開拓する事に決めたんだ。採掘者はその腕力から豪快なバッティングをするだろう、伐採者はそのフォームから素晴らしい球を投げるだろう、収穫者はその姿勢から堅実な守備をするだろう。」
 こるせあ社長は大げさな身振り手振りで、まるで演説のように説明する。
 「社長、落ち着いてください。玄米茶です。」
 冷静な秘書は、その言葉を聞き流しつつ、机に白黒柄の湯飲みを置いた。
 「おお、ありがとう。では失礼して・・・ズズッ・・・ふう、落ち着いたな。さて、そろそろ開始時間かな。」
 
 場所は戻って、ビスクアルター前。
 コーラルのノアピースを身につけた冒険者達が、次々とアルターをくぐる。その中には勿論、ライチも居た。
 その表情は・・・先ほどとはうってかわって、生き生きとしている。
 「よーし、頑張るぞ! おーはそふとばんくのかんとくー!!」
 テンションが高い理由は、ライチが持っていたチラシの中にあった。
 説明文に、こんな言葉があったのだ。
 『尚、採取者でない方は荷物を運ぶ仕事をお願いします。素早い方歓迎。』
 そう、つまみ食いやシレーナの小言からなど、逃げるときの素早さはシェル・レラン一を自負するライチ。俄然、やる気になったのもうなずける。
 参加者達はスタートラインに立ち。
 銅鑼の音と共に、イベントは開始された。
 
 ちなみにコーラルとはこのような場所である。
 過去のビスク中央は、草が生え岩が転がり大木が立ち並ぶ、まだまだ整備前の状態だ。
 その草を刈り岩を掘り大木を伐り、糸を紡ぎインゴットを造り木材を削り出す。
 その数に応じて、依頼人がチップをくれる。ちなみにそのチップは現代においてはとても貴重で、好事家たちが競って買ってくれるのだ。
 そして今回のイベントは、このような内容である。
 採取者たちは草を刈り岩を掘り大木を伐る。それをライチをはじめとする運び屋が拾い、生産機械前まで運ぶ。その素材を生産者達が加工し、依頼人へ渡す。
 貰ったチップを全員で分割し、それぞれの資産にして貰おう、というのが目的である。
 また普段顔を合わせることのない採取者達に交流を持って貰おうというのも、このイベントの趣旨であるが。
 真の目的が前述なのは、言うまでもないだろう。


 参加者達は散り、それぞれの役割を果たし始める。その様子を眺める、こるせあ社長とポルガラ秘書。
 「ほうほう・・・皆、いい動きをしているな。おお、あのパンデモスなんか力強いツルハシの振り方だな。あれなら年間30本はいけるぞ・・・。ほう、あのコグニートの収穫もなかなかだ。ゴールデングラブも夢ではないな。」
 社長はホクホク顔で、イベントを眺める。
 「ふむ、こう有望な選手が多いと目移りしてしまうな・・・ん?」
 と、その時。社長の目に、ある選手・・・もとい、参加者が止まった。
 緑髪の、場違いなレラン装備に身を包んだエルモニーに。
 ライチは素材を手際良く集めると、ダッシュで生産者達に運んでいた。休むことなく、何往復も、何往復も。
 「おお・・・ポルガラ君、見てみなさい。あの素早さ、あの手渡し方。彼は間違いなく、あのポジションの逸材だ!」
 「はぁ・・・では彼もリストへ入れておきますか。」
 「無論だ。このイベントが終わったら、すぐにでも交渉に入ってくれたまえ。」

 イベントは無事に終わり、チップを手にホクホク顔で帰途に着く参加者達。と、その中の数人に、こるせあ社長の命を受けたスカウト達が声をかけた。
 勿論、入団交渉の為である。そしてライチにも、その声がかかり・・・。
 
 数ヵ月後。
 今期のビスク野球リーグが開始された。
 ライチは役割を果たす為、このグラウンドへやってきた。
 ユニフォームに袖を通し、キャップを目深に被ると。
 ベンチへ座る。
 と、そこで監督に声をかけられた。
 「おーい、ボールボーイ。お前の席はあっちだぞ。」
 「あ、そーなの? ごめんなさーい。」
 ・・・・・・そう。ライチはボールボーイとして採用されたのだ。
 ライチの説得に乗り出したこるせあ社長は、こう言った。
 「ビスク東サケカップに、ミッキー君という犬のボールボーイが登場して、それはそれは人気が出たんだ。そこでうちも、人気の出るボールボーイを探していてな。どうだいライチ君、うちに来ないか?」
 犬に対抗されている・・・という意識の無いライチは、社長の提示した給料に目が眩み、サインしてしまったのであった。
 
 おまけ
 「そういえば社長、何故伐採がピッチャーに向いているのですか?」
 「ふふっ、それはクイズにしようかな。ヒントは彼らが使っている道具だ。」
 (第30章 完)

第29章 あとがき

テーマ:

晴天の霹靂・・・って、まさにこのことでしょう。用事をやっと終え、寝る前にちょっとネットでも、と思いMOE wikiを開いた時でした。

そのニュースが目に入ったのは。

「MOE アイテム課金システムへ変更」


ブログや掲示板とかを見る限りでは、ほとんどが反対ですね。中には引退を口にしている人も居ました。

流石にまだ答えを出すのは早いと思います。内容が全く出ていませんし。

ハドソンも企業ならば、儲けが至上命題でしょう。現在は赤字らしいし、このままだとダメだから、MOEを存続させるためにアイテム課金へ移行するのでは。

勿論、客観的な意見ですが。


個人的な許容範囲。

恐らく4月に家age実装でしょう、そして家はRM。他に時の石<○○100.0>がRM、一部の武器防具(能力<ネタ)がRM。この程度ですかね。RMでのブーストが常になるのは嫌ですね。某ナ○トオンラインみたいな。(噂話をあてにしているのでこの認識が正確かどうかは分かりませんが)


まあ、嫌なら辞める、良ければ続ける、それでいいと思いますが。

要望を出すのが、今出来る最大の行動ですね。むしろハドソンもそれを求めているのでは。

私も意見まとめてメールしてみます。そして4月まで静観。それから身の振り方考えます。


さて、前置き長くなりましたが、第29章はいかがでしたでしょうか?

こういう文章を書いたのは初めてだったので、巧く出来たかは分かりませんが^^;

個人的には何とかまとめられて良かったと思っております。

機会があれば、また書いてみたいですね。

さて次回予告ですが。

「第30章 陰謀うずまくコーラル・フェスティバル」

そうです、お待たせしました(誰が待ってるんだ?)

第1回生産者の集いを小説にします(今更?)

こんなに遅くなった理由は・・・ネタがまったく浮かばなかった為です。

(だけどようやく浮かんだネタも、一部の人にしか分からない内容というのは内緒) 

更新予定は12月4日です。では次回も宜しくお願いしますノ